プレファミリーの住まい購入時に気をつけたいこと(保活編)
※「プレファミリー」とは…ここでは「これから子どもをつくる予定の夫婦のこと」
※「保活」とは…「子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動のこと」
こんにちは! 子育てファミリーママのsoraです。
保育園の待機児童問題が注目される中、子どもを保育園に入園させるために保護者が行う活動が「就活」「婚活」などの表現になぞらえて「保活」と呼ばれるようになっています。(※以下、文章内「保活」)
私は「保活」の知識がない時に2年後完成のマンションを購入し、引き渡し後「保育園に転入できない」という理由で、未入居のまま売却したことがあります。
待機児童問題があんなに騒がれているのに、ちゃんと調べずに契約してしまったのは軽率だったと後悔しています。
私と同じ思いをする人を一人でも減らせればと、住まい探し時に最低限知っておいていただきたい超基礎の「保活」知識について書いてみます。
これからお子さんを、とお考えの夫婦お二人世帯(※以下、文章内「プレファミリー世帯」)の住宅購入に少しでもお役に立てれば幸いです。
なお、日本各地に待機児童問題はありますが、エリアによって事情も変わって来ますので、ここでは、1都3県の「保活」について話していきます。
基礎知識:保育園の種類について
保育園はその種類によって、申し込み先、対象年齢、開園時間、保育料などが変わって来ます。大きくわけて、「認可保育園」と「認可外(無認可)保育園」があります。
| 保育園などの種別 | 説明 | 申込 | 保育料 | |
| 認可施設 | 認可保育園 |
国が定めた一定の基準を満たし、認可を受けている保育園。 年齢ごとに必要な保育スペースや保育者の数が決められている。 |
各市区町村の保育課に申込。
保護者が就労や病気などにより保育ができない「保育を必要としている」場合のみ利用できる。 |
世帯の住民税所得額による (認可外に比べ安価なことが多い) |
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認定こども園 (保育部門) |
幼稚園と保育園の機能や特長をあわせ持つ施設。教育と保育を一体的に行う施設。「一体」については、「年齢区分型」と「並列型」の2種類がある。 | |||
| 待機児童解消のため各自治体が設置する保育室など。※自治体による | ||||
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小規模保育事業 家庭的保育事業 |
少人数での0~2 歳の保育事業(待機児童問題解消のため) | 基本、認可保育園と同様 | ||
| ※その他、認可施設には、事業所内保育事業/居住訪問型保育事業などがある | ||||
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認可外(無認可) 保育園 |
認証保育園 | 東京都独自の制度で、独自の基準を満たしている保育園。※自治体による |
各保育園と行う。 選考基準は保育園独自で、先着順、面接、抽選、優先枠など様々。 |
各保育園が決めた金額で、同クラス内は、基本料金は同額 |
| (認証以外) | 国及び自治体の基準を満たしていない保育。 | |||
ポイントとしては、認可施設の入園基準は常に「保育を必要としている世帯」かどうか。
就労や病気などの理由により家庭で保育をできない場合に利用できる施設になりますので就労を理由に保育園に預ける場合は、復職することが必須になります。
また、東京都でよく聞く「認証保育園」は「認可外(無認可)保育園」の中の一つだということ。東京都独自の基準を満たしている保育園で、申し込みは各保育園に行いますが、保育料は都によって上限が決められており、認証ではない認可外よりは安価なことが多いようです。
認証保育園は東京都の制度ですが、他県でも同じように独自の基準を設けた保育園があるところもあります(呼び名は県によって異なる。例えば横浜市の「保育室」は東京都の認証保育園に類似)。国の定めた基準には満たないものの、自治体の基準は満たしているということで、一定の安心感を得る保護者も多いようです。
それに対して、認証以外の認可外保育園は、施設も設備も教育方針も園によって異なり、中には簡素な施設・設備で認可保育園よりも安価な保育園もありますが、大抵の認可外保育園は、認可保育園や認証保育園よりも保育料が高額なところが多くなります。小学校受験やバイオリンなどの楽器レッスンを受けられる保育園や英語だけで生活するインターナショナル保育園もあります。
このように種類は様々ですが、プレファミリーの基礎知識としては、大きくわけて「認可保育園」と「認可外保育園」があることを理解しておいてください。
どの保育園に入園するか
では、どの保育園に入園するかですが、
・国の基準を満たしているので安心
・保育園料が経済的
・保育室の広さや園庭など施設面の充実
などの理由から、まずは認可保育園の入園を目指す家庭が多いです。
一方、
・保育を必要としていなくても預けられる(場合が多い)、
・居住区以外でも入園できる(園もある)ので立地や教育方針の合うところにする、
・(園によっては)保育園料が高い分、保育が手厚い、
・(市区町村によっては)認可外保育園利用時の補助金の支給があるので、認可・無認可にこだわらず家に近い保育園を選ぶ
などの理由であえて認可外保育園を選ぶ家庭もあります。
また、認可保育園の選考基準によっては、認可外保育園に預けて復職していると、指数になる自治体も多く、指数を得るために、まず短期間だけでも認可外保育園に預ける場合があります。(※指数とは保育の必要性を点数化したもの)

認可外(特に都心)の保育園は園庭がない保育園も多いです。
待機児童数と利用基準の確認
出生率は下がり、幼児の数は減っていくので、保育政策の将来を予測するのは困難。
自治体もよりよい制度にするために、1年で劇的に方針を変更することもあります。さらに、待機児童数が減ってくると評判になり転入者が目に見えて増えるという現象もありますし、大規模マンションが一つできたらその周辺は途端に状況が悪化することもあります。
いつかはお子さんをと思っている場合、実際の出産がいつになるかはわかりませんので、参考程度にしかなりませんが、現状を簡単に確認しましょう。
入園しやすさを測る際に一番簡単なのは、待機児童数を確認することです。
各自治体が発表していますので、ネットで検索すれば待機児童数はすぐにわかります。
ただし、待機児童数が全てではありません。今までバラバラだった待機児童数のカウントの方法は徐々に統一されつつありますが、保育園に入れないと思って申請さえしていない隠れ待機児童が、一説には顕在化している待機児童数の約2倍から3倍いるともいわれています。
さらに、保育園の入りやすさは、狭域での判断が必要です。待機児童数が多い区でも、比較的入りやすい駅があることも。さらに、駅のどちら側かによっても状況が変わってくることがあります。市区町村単位での待機児童数を見ても、判断できないかもしれません。
もちろん、より詳しく調べる方法もあります。どんな条件の人がどの保育園に入園できたかを公表している市区町村もあり、かなり具体的に入園できるかどうかのシミュレーションをすることができます。ホームページで公表していなくても、自治体の保育課に聞けば教えてくれる場合もあります。
なかなかそこに時間が取れないという場合は、一応、市区町村の待機児童数を確認し、待機児童数が多い場合は、数年間の入園数の推移を見るか、あるいは、どれくらいの保育園を新設しているかを確認してください。(受け入れが何人増えているか)。一見、待機児童数が多いように見えても、毎年何園も保育園を作り続けているエリアは、待機児童問題にしっかり取り組んでおり、数年以内に改善する見込みがあるということです。
引越しを検討しているエリアに待機児童数が一定いるということがわかった場合は、さらに、確認していただきたいことがあります。
認可保育園の入園基準は、「保育を必要としていること」という考えに基づき、各自治体が独自に制定しています。(自治体によって全くその考え方が異なるのも「保活」を難しくしている要因の一つだと私は思っています。)
引越し先の自治体の利用基準を確認してください。
一般的な調べ方は以下の3つが挙げられます。
・自治体のホームページから探す
・自治体の保育課に問い合わせてみる
・その自治体に住んでいる先輩パパママに教えてもらう(ただし毎年基準は変わるので数年前の情報は信ぴょう性が薄い)
ホームページで探す場合は、
「○○区(市) 保育園」で検索して出てきた自治体のホームページの中から、保育園入園の手続きのしおり(大抵30ページから70ページくらいのPDFファイルです)を探し、「利用調整基準表」を確認します。「基本指数」「調整指数」「優先順位」の順で記載してあることが多いので、全部一通り目を通してみてください。
引越し先の入所基準で、ご自身の世帯の「優先順位」を確認してください。
例えば、認可保育園の入園基準で最後に明暗が分かれるのは、「保護者の在住期間が長い」あるいは「世帯の年収が低い」のどちらかの基準であることがほとんどです。引越し先の自治体がどちらを重視しているのかを確認しておいた方がよいと思います。
認可保育園入園の決定要因が「保護者の在住期間が長い世帯」になっていた場合は、その自治体により長く住んでいる人を優先的に入園させる市区町村ということです。知らずにたくさん待機児童のいるエリアに転入してしまうとほぼ確実に認可には入園できません。もう少し詳しく調べてから引越しを決めた方が良いと思います。
また、「所得割課税額が低い世帯(経済的困窮度の高い世帯)」が優先順位の上の方にある場合、世帯年収が高い世帯は不利なので、認可に入れなかった場合を想定して、認可外、小規模保育、幼稚園の入園などの可能性も一緒に検討しておいてください。
その他、自営業の方は、「基本指数」で居宅内就労が不利になっていないか、園児の祖父母が同じ市区内にいる、あるいは同居している場合、それが不利にならないか、などを確認してみてください。
他にも、いろいろ確認したいことはありますが、ここではまだ具体的な活動をする前の最低限ということで割愛します。
【まとめ】最低限の知識を持って、後悔の少ない引越しを。
実際の保活をする際には、もっと知識が必要になります。(保活についてレクチャーする機会があり、資料を作ったらパワーポイントで46ページ、1時間では話し終わらないくらいの大作になりました。)
繰り返しになりますが、待機児童の状況も自治体の基準・方針も1年で急変します。
例えば、もともと杉並区は認可外保育園に長く預けることによってより指数を得ることができる区で、指数を得るためにはとにかく早く0歳のうちから認可外保育園に預けて復職しなくてはいけないという欠点がありました。2017年にその方針を変更し、来年からはしっかり育休を取得し、子どもと一緒にいる方が指数を得られるようになりました。焦って復職しなくてよいので、子どもと長く一緒にいたい保護者にとっては良い変更だと言えるでしょう。(逆に早く復職したい人も0歳クラスが入りやすくなるかと予想します)。
区の議事録やホームページで方針の変更過程を見ていましたが、早く子どもを預け復職すべきだったところから、より長く育休を取ると指数が高くなるという、全く異なる基準への移行期間がほぼ1年とかなり短いのにびっくりしました。
状況は変わっていくので、引越し前に調べても役にたたないということもあり得ます。それでも、少なくとも居住年数の長さが優先されるエリアに知識なく引越してしまわないよう、最低限は調べてみてください!

最低限の知識を持って、後悔の少ない引っ越しを!
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