東京都の小平市は、新宿まで電車で約30分という都心部へのアクセスの良さから、「都心から一番近いプチ田舎」というキャッチコピーを掲げています。
緑豊かな自然とどこか懐かしさを感じさせる街並みに加え、生活の利便性もしっかりと確保されており、子育てに適した環境が整っていると感じます。
私たち家族は約10年前、夫の仕事の都合で長男の出産直後に小平市へ引越してきました。この街の住みやすさに惹かれ、3人目の妊娠を機にマイホームを購入し、現在も暮らし続けています。
今回は、約10年間にわたって子育てをしてきた私の視点から、小平市での子育ての魅力についてご紹介したいと思います。
小平市で子育て中
ここでは小平市の概要や、子育ての地として選んだ理由について紹介します。
小平市の概要
小平市は、東京都の多摩地域の武蔵野台地上にあり、都心からは26キロメートルのところに位置しています。
以前この周辺は水が乏しく、人が生活するのには適さない地域でしたが、玉川上水の開通がきっかけで開発が進みました。その後、7つの村が合併して、神奈川県北多摩郡小平村になったのが始まりです。
小平を走る鉄道は、JR武蔵野線、西武新宿線、西武国分寺線、西武多摩湖線、西武拝島線の5線が通っていて、市内には鉄道駅が7つもあります。その中でも西武新宿線は、小平駅から西武新宿駅まで約30分で着くアクセスの良さがあります。
バス路線も多く、JR国分寺駅やJR武蔵小金井駅などにも移動することができます。市内特有のコミュニティバスであるにじバスや、コミュニティタクシーのぶるべー号を使うと市内巡回が簡単にでき、市民の移動手段の助けになっています。
また、小平市はブルーベリー栽培発祥の地であり、日本で初めて農産物として栽培されました。これがきっかけで、シンボルマーク“ぶるべー”が誕生したそうです。市内で妊娠届を出した私の娘たちの母子手帳は、この“ぶるべー”が表紙になっています。
わが家が子育て環境に小平市を選んだワケ
子育ての地として小平市を選んだ理由は主に3つです。それぞれ詳しく紹介していきます。
子育て環境に小平市を選んだワケ(1)街中が緑豊か
小平市には、玉川上水緑道などの市内をぐるりと一周できる約21キロメートルの小平グリーンロードが通っています。2004年に「美しい日本の歩きたくなる みち 500選」に認証され、2005年には「新日本歩く道紀行100選」に認定されています。
四季折々の自然の変わりゆく姿を楽しみながら、のんびりお散歩できるので、子どもからお年寄りまで、お散歩コースとしてよく利用しているのを見かけます。
また、小平市には都立小金井公園があります。玉川上水沿いに位置し、面積約80ヘクタール(日比谷公園の5倍)の広大な公園で子どもとのお出かけにもぴったりです。
園内は、広大な芝生エリアやバーベキュー広場、サイクリングセンター、ドッグランなどたくさんの施設が設けられ、桜のシーズンになると、多くの団体がお花見を楽しんでいます。
アスレチック広場やふわふわドーム、ソリゲレンデは特に子どもが大好きなエリア。特にソリゲレンデでは、週末になるとソリを持った子どもたちで溢れています。
施設名:都立小金井公園
所在地:東京都小平市花小金井南町三丁目 他
アクセス:西武新宿線「花小金井」駅から西武バス「小金井公園西口」下車
開園日:常時開園
子育て環境に小平市を選んだワケ(2)子ども連れ世帯が多く安心感があった
市内を歩いていると、子ども連れ家族の姿をよく見かけます。買い物や食事に行くときも、わが家と同じぐらいの子どもを連れている家庭が多く、ある程度子どもがはしゃいでいても気を遣わずにいられる安心感があります。
さらに、市内には交番が複数あり、警察官がパトロールする姿もよく見られます。市の取り組みの一つに防災・犯罪抑止対策を掲げており、街全体で安全安心な街づくりに取り組んでいることも、治安維持につながっていると考えられます。
子育て環境に小平市を選んだワケ(3)身近で生活必需品がそろいやすい
西武新宿線花小金井駅近くに、24時間営業の西友があります。西友の中には、ヤマダ電気や100円ショップのセリアも入っており、食料品から日用品まで、幅広く購入することができます。
その他にもスーパーは何種類かあり、気分や買いたいものに応じて行き先を選択することもできます。商店街には昔ながらの八百屋さんや、農産品の直売所などもあり、野菜や果物を安く購入できるところもあります。
さらに、子ども用品を取り扱う西松屋や、ファッションセンターしまむら、ワークマンキッズなど、子ども服を安く購入できるお店が多いところも魅力の一つです。
実際どう?小平市の子育て
実際に小平市で子育てしている体験談をふまえ、子育て支援情報などについて紹介します。
数字で見る小平市の子育て事情
小平市の2024年1月1日時点での人口は、19万6,913人で、前年に比べ11人減少しています。しかし、市の統計表をみると、人口は緩やかに増加傾向にあります。
その中で、年少人口(0~14歳)は、2万5,103人であり、1990年以降あまり変化していません。(2025年4月20日時点)
市の保育園施設数は、以下の通りです。
・市立認可保育園 7園
・私立認可保育園 42園
・私立幼稚園 15園
また、2024年4月時点では市内の保育園待機児童数は0人でした。保育園の数を増やすなどして待機児童数を抑えられるよう対策が取られているようです。
小平市の子育て支援情報
小平市の子ども支援は、妊娠期から出産、就学時にかけていくつかの制度が設けられています。実際にわが家で利用した制度や、利用中の制度も含めご紹介していきます。
小平市の子育て支援情報(1) 妊婦のための支援給付
「出産・子育て応援事業」が改正され、2025年4月から始まったのが「妊婦のための支援給付」です。妊婦の産前産後期間における身体的・精神的・経済的負担を軽減し、妊婦や胎児である子どもの保健及び福祉の向上に寄与することを目的としています。現金または、東京都のギフトカードによる支給が行われます。
主な支給対象者と支給額は以下の通りです。
・支給対象者
1回目(妊娠時):2025年4月1日以降に妊娠届を提出した妊婦(届出日時点で小平市民であること)
2回目(出産後):2025年4月1日以降に出産した産婦(届出日時点で小平市民であること)
また、2025年4月1日以降に流産・人工妊娠中絶、死産となった方も支給対象となります。
・給付金の支給額
1回目(妊娠時):5万円
2回目(出産後):胎児の数×5万円
私は改正前に行われていた出産・子育て応援事業を利用しました。産後にもらえたギフト券は、市内の指定店で利用でき、オムツやベビーフードなどの購入に利用でき、経済的にとても助かりました。
小平市の子育て支援情報(2) 児童手当
小平市に住所があり、高校生年代(18歳到達後最初の3月31日)までの児童を養育している家庭に支給される手当です。
児童1人あたりの月額は、以下の通り。
・第1子・第2子の0〜3歳未満 15,000円
・3歳以上の小学生、中学生、高校生 10,000円
・第3子以降(小学生、中学生、高校生いずれも同額)30,000円
原則として申請した月の翌月分からの支給となります。手続きの詳しい方法については、市の公式サイトで確認してみてくださいね。
小平市の子育て支援情報(3) 乳幼児医療費助成制度
小平市では、0歳から小学校入学前までの子どもを対象に、医療費の自己負担分を全額助成する「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」を実施しています。所得制限はなく、申請により医療証が交付され、健康保険が適用される診療や薬の費用が助成されます。小学生前の小さな子どもは、特に体調をくずしやすく何かと受診の必要が出てくるため、子育て世帯にとってありがたい制度です。
小平市の子育て支援情報(4)幼児教育・保育の無償化
2019年10月から小平市では、幼児教育・保育の無償化が実施されました。3歳から5歳までのすべての子どもが対象で、認可保育園や幼稚園、認定こども園などの保育料が無償となります。
また、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもについても、保育の必要性が認められた場合、保育料が無償化されます。
この制度のおかげで家計の負担はかなり軽減されたように思います。
小平市の子育て支援情報(5)市立小・中学校給食費の無償化
小平市では2024年4月から、市立小・中学校に通うすべての児童・生徒を対象に、学校給食費が無償化されました。この取り組みは、保護者の経済的負担を軽減し、子育て支援を強化することを目的としています。
制度を利用するにあたり、所得制限なく申請の必要ないのですが、無償化の対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
・小平市立小・中学校に在学していること(市外在住者も含む)
・生活保護など他の制度により給食費全額の支給を受けていないこと
・学校給食の提供を受けていること
これまでに紹介した支援情報の内容は、随時変更されることがあります。詳しくは小平市のホームページでご確認ください。
小平市での子育て体験談
実際に小平市で子育てして感じた魅力や、市内の子育て環境についてお伝えします。
小平市で子育てをする魅力
小平市の魅力は、都心へのアクセスの良さや自然の豊かさだけではありません。市内の商店街には、昔ながらのお団子屋さんや八百屋さんなど、懐かしい雰囲気のお店が今も多く残っています。お店の人たちも気さくで親切なので、買い物のついでに立ち寄るのが楽しみになります。
小平市の子育て環境
年間を通して、多くのお祭りやイベントが開催される小平市。ブルーベリーなど小平産の特産物をメインとしたお祭りや、季節の植物を主役としたイベントなど子ども連れで楽しめる魅力的なイベントがたくさん開催されています。
また、小平市は芸術や文学、歴史などに触れられる環境も豊富。身近に子どもの興味や探究心を追求させてあげられる施設があるのは親にとって嬉しいものです。
小平市の子育て環境(1) 小平グリーンロード灯りまつり
市民が灯ろうを手作りし、その幻想的な灯りが、小平グリーンロードを灯すお祭りです。日が暮れる前から準備が始まり、徐々に日が暮れると、灯ろうの灯りがゆらめき始めます。
その灯りの列がずっと先まで続き、幻想的な灯りを眺めていると、どこか切なく、感動的な気持ちになります。
出店も多くあり、飲食や催し物などを楽しみながらお祭りを堪能できます。わが家の子どもたちが作った灯ろうが並んでいたこともあり、いい思い出となりました。
小平市の子育て環境(2)小平市民まつり
あかしあ通りの約1.5キロメートルを、子どもから大人まで、みこしを担いで歩きます。太鼓の音や、みこしの担ぎ手の掛け声などが盛大に響き渡り、その迫力は凄まじいものです。小平よさこいやダンスパレードなども見られます。
市内のお祭り行事では、地域宣伝隊のコダレンジャーによるショーも開催されることがあり、子どもたちも大興奮のイベントになっています。
小平市の子育て環境(3)なかまちテラス
なかまちテラスは、公民館と図書館、カフェが一体化した複合施設です。世界的に有名な建築家が設計した外観も特徴的。児童書コーナーは絨毯が敷いてあるので、靴を脱いでゆっくりくつろぎながら読書を楽しめますよ。
併設の「Caze cafeなかまち」では、パスタやカレーなどを楽しむことができます。図書館で本を借りるついでにランチやお茶して帰るといったお出かけプランもおすすめです。
施設名:なかまちテラス
所在地:東京都小平市仲町145
アクセス:西武新宿線「小平駅」から徒歩12分
開館時間:月木土日祝休日 9:00~17:00 火水 9:00~20:00
休館日:金曜日、第3木曜(祝日や休日の場合は開館)、12月28日~1月4日までの年末年始
施設名:Caze cafeなかまち
所在地:東京都小平市仲町145
アクセス:西武新宿線「小平駅」から徒歩12分
営業時間:月火水木 10:00~16:00 土日 11:00~16:00
定休日:毎週金曜 第3木曜(その他臨時休業あり)
小平市の子育て環境(4)ルネこだいら
小平駅から徒歩3分の距離にある、音楽、演劇、講演、展示など幅広く活用できる文化会館です。劇団四季のミュージカルから音楽家たちの演奏会、お笑いライブなどが楽しめます。また、地元の子どもたちのダンスや楽器演奏の発表会も行われます。
施設名:ルネこだいら(小平市民文化会館)
所在地:東京都小平市美園町1-8-5
アクセス:西武新宿線「小平駅」南口から徒歩3分
開館時間:9:00~22:00(施設予約受付時間は別)
休館日:第4月曜とその翌日(月により変更あり)、年末年始
小平市の子育て環境(5)ガスミュージアム
都市ガス事業の歴史と暮らしとの関わりについて知ることができる博物館です。広大な敷地に佇む赤レンガの建物は、レトロな雰囲気たっぷりです。駐車場も入場料も無料なので、気軽に立ち寄ることができます。
施設名:ガスミュージアム
所在地:東京都小平市大沼町4-31-25
アクセス:花小金井駅北口より西武バス(武21)「東久留米駅西口」行き乗車 「ガスミュージアム入口」下車徒歩3分
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜(祝日振替休日の場合は翌日が休館)、年末年始
小平市の住まい事情
ここまで小平市が子育て環境として魅力的であることをお伝えしてきましたが、実際に住むとなると、気になるのは家賃相場ですよね。
子育て世代は、子どもが成長することを考えると1LDK以上が候補にあがるのではないでしょうか。小平市の家賃相場は、1LDKで9.97万円、2DKだと8.33万円、2LDKで13.93万円となっています。
近隣地域と比較すると、お隣の小金井市では1LDKで13.61万円、2LDKだと18.61万円でした。
小平市は、西武線で都心へのアクセスが良好なうえ、家賃も比較的抑えられているため、子育て世帯にとって住みやすいエリアといえるでしょう。
小平市の子育て世帯におすすめエリア
小平市内で子育て世帯におすすめしたいエリアを2つ紹介します。
小平市の子育て世帯におすすめエリア(1)花小金井駅周辺
花小金井駅周辺は飲食店やスーパーなどが数多く並んでいます。北口にはいなげや、西友、南口にはピーコックなど、スーパーがすぐ近くに点在しており、買い物にとても便利です。さらに薬局や書店などもあり、必要なものはほとんどそろえることができます。
駅からほど近くに「東部出張所」という市役所の一部を担う施設もあり、わざわざ小平市役所まで行かずとも公的な手続きなど済ませられ便利です。
小平市の子育て世帯におすすめエリア(2)小平駅周辺
西武新宿線と拝島線が乗り入れる駅で、小平が接続駅となっています。拝島線を利用すれば奥多摩地域や埼玉方面へも移動することができ、通学や通勤に便利です。
南口すぐ横には深夜1時まで営業している西友があり、夜遅くまで食料品などの買い物ができます。北口を出て5分ほど歩くと、優雅な印象の小平霊園の入り口に到着。小平霊園は災害時の広域避難場所に指定されているため、住まい近くに避難場所があるという安心感もあります。
小平市は利便性がよく自然も豊富!のびのび子育てしたい方におすすめの街
ここ数年、小平市ではマンションや一戸建ての建設が増えているように感じますが、市が誇る豊かな自然はしっかりと残されています。自然の美しさは、ここに住む人々に癒しを与えてくれています。
都会の喧騒に疲れても、この街に帰れば心がホッと癒される。そんな場所として、今後もずっとこの街は続いていくことでしょう。
温かい雰囲気や親しみやすい人々に囲まれ、充実した施設や制度も整っている小平市。子育て環境としてもぴったりです。