湘南の心地よい潮風が吹き抜ける海沿いの街、神奈川県茅ヶ崎市。都心から電車で1時間ほどという便利さがありながら、海と緑に囲まれてのんびりとした時間が流れるこのエリアは、子育て世帯におすすめです。
私は、2014年に南アフリカ人の夫と共に茅ヶ崎へ移住し、今は8歳と5歳の子どもを育てながら、日々の暮らしの中で多文化な子育てを楽しんでいます。
この記事では、実体験を交えながら、ファミリーにおすすめのエリアや子育て支援の情報を紹介します。「自然のそばで、家族とゆったり暮らしたい」という想いをお持ちの方に、茅ヶ崎の魅力をお届けできればうれしいです。
茅ヶ崎市で子育て中
茅ヶ崎市の概要
茅ヶ崎市は、神奈川県の湘南エリアの中央に位置する街です。
市の面積は約35.7平方キロメートルで、人口は約24万2,000人(2025年4月時点)でした。南に広がる海岸線、北にのどかな里山、中央部にはにぎやかな商業エリアがあり、平坦な地形が続いています。
茅ヶ崎は古くから保養地や別荘地として愛されてきた歴史のある街です。また、気候や風土、習慣が似ていることからハワイのホノルル市と姉妹都市友好協定を結んでいて、国を超えた文化交流が行われています。
茅ヶ崎市は、都心へアクセスしやすいエリアです。JR茅ケ崎駅からは東海道線や湘南新宿ラインが利用でき、東京・新宿・横浜などの大都市まで、乗り換えなしでアクセス可能です。
英国の情報誌『MONOCLE』(2020年1月号)が発表した「世界のベストスモールシティ25」では、日本で唯一、茅ヶ崎市が第5位にランクインしました。茅ヶ崎の魅力は、国内外からも高く評価されています。
わが家が子育て環境に茅ヶ崎市を選んだワケ
共働きのわが家にとって都心へのアクセスのよさは、子育てと仕事を両立するうえで欠かせない条件です。一方で、子どもたちには自然の中でのびのび育ってほしいという想いを持っています。また、私たち夫婦が暮らしていた南アフリカの海辺の街と近い環境で、子育てができたらとも考えていました。これらの私たちの希望をすべて叶えてくれたのが、茅ヶ崎市だったのです。
茅ヶ崎は温暖な気候で、晴れた日が多く、海や公園で思い切り遊べます。地域のお祭りやイベントも多く、週末には家族で楽しめるアクティビティが豊富で、子どもたちが自然や人と関わりながら育っていける環境が整っています。
また、夫も私もそれぞれの職場の最寄り駅まで乗り換えなしで通勤できるため、便利です。時間帯によっては混雑しますが、グリーン券を購入すればグリーン車に座って移動することも可能です。私は疲れたときや、車内で仕事に集中したいときに利用しています。
私の実家は茅ヶ崎からは遠く、夫の家族も海外にいるため、知り合いが少ない土地での子育てに多少の不安はありました。それでも現在は、仕事も子育ても大切にできる茅ヶ崎での暮らしを気に入っています。
実際どう?茅ヶ崎市の子育て
続いては、実際の茅ヶ崎市での子育て事情や、子育て支援情報について紹介します。
数字で見る茅ヶ崎市の子育て事情
家族で移住や転入を考えるときに気になるのが、子育て環境でしょう。茅ヶ崎市ではどのようなサポートが受けられるのか、どのくらいの子どもが暮らしているのか、市が公表している公式データと支援制度をもとにご紹介します。
2024年1月1日時点では、茅ヶ崎市の0~14歳の子どもは3万229人で、市全体の人口約12.4%でした。
保育施設の整備は進んでいるものの、2024年4月1日には待機児童が9人、保留児童は369人でした。特に0~2歳の小さな子どもを持つ家庭では、希望する施設に入れないこともあるでしょう。
そこで茅ヶ崎市では、「こどまちプロジェクト2025-2029(ちがさきのこどもけいかく)」を立ち上げ、子どもたちがのびのびと育つ環境を整える取り組みを進めています。この計画では、保育園の定員増加や保育士の確保を進めるだけでなく、子どもたちの声にも耳を傾けながら、よりよいまちづくりを目指しています。
このように、子どもの幸せを大切にしながら、安心して子育てできる環境づくりに力を入れているところが、茅ヶ崎市の大きな魅力です。
茅ヶ崎市の子育て支援情報
ここからは茅ヶ崎市が実施している子育て支援制度のうち、私が利用したことのある5つの制度を紹介します。
茅ヶ崎市の子育て支援情報(1)出産育児一時金
出産時に支給される「出産育児一時金」は、健康保険加入者に対して、出生児1人につき50万円が支給されます。また、「直接支払制度」を利用して、直接、入院した医療機関での精算に充てることが可能です
(2024年12月2日時点)。
茅ヶ崎市の子育て支援情報(2)保育コンシェルジュ
保育コンシェルジュは、保育施設の選び方や入所手続きに関する相談ができる心強い味方です。家庭の状況に合わせた情報提供を行い、スムーズな保育施設選びをサポートしています。予約制で、電話や市役所での面会で対応しています(2025年4月18日時点)。
茅ヶ崎市の子育て支援情報(3)小児医療費助成制度
小児医療費助成制度は、子どもの健康維持と保護者の経済的負担の軽減を目的にした、保険診療の自己負担分を助成する制度です。茅ヶ崎市では、0歳から高校生世代までが対象となっていて、所得制限はなく、通院・入院ともに対象です(2025年3月24日時点)。
茅ヶ崎市の子育て支援情報(4)ファミリー・サポート・センター
ファミリー・サポート・センターとは、保育園・学校の送迎や、行事に参加したいときや美容院などに行きたいとき、または第2子の出産時に上のお子さんを預けたいときなどに、育児のサポートをしてくれるサービスです。依頼する方と預ける方が登録をし、センターを通してやりとりを行うので安心して利用できます(2024年9月19日時点)。
茅ヶ崎市の子育て支援情報(5)子育て支援センター
市内には4つの子育て支援センターがあり、親子の交流や育児相談、情報提供などを行っています。自由に利用できるフリースペースやイベントが開催されていて、子育て中の人々と交流できます。
子育て支援制度は、今後内容などが変更される場合がありますので、最新情報は茅ヶ崎市の公式サイト等でご確認ください。
茅ヶ崎市での子育て体験談
茅ヶ崎市で子育てをする魅力
私が実際に茅ヶ崎で子育てをしていて感じるのは、気候の穏やかさです。私が以前暮らしていた地域は、夏は蒸し暑く、冬は底冷えする気候でした。しかし茅ヶ崎は、海からの潮風が新鮮で心地よく、真冬でも比較的暖かいので、年間を通して穏やかに過ごせています。
私は、個人商店やカフェなどが多くてアットホームな雰囲気が漂う、茅ヶ崎の土地柄が気に入っています。フレンドリーな人が多いので、外国人や移住者にもやさしい街だと感じました。
地域のつながりが深く、街全体で子どもを見守ってくれている安心感が大きいです。子どもたちの通う保育園や小学校では、街の商店街を訪れて親交を深める行事があります。また、地域の人々に学校を開放し、活動を見学してもらうなど、子どもたちと地域コミュニティをつなげる取り組みが行われています。
茅ヶ崎市の子育て環境
茅ヶ崎には、家族連れで楽しめるスポットやイベント、おいしいレストランやカフェが豊富です。今回は、その中で特におすすめの3つをご紹介します。
茅ヶ崎市の子育て環境(1) サザンビーチちがさき花火大会
茅ヶ崎の夏の風物詩ともいえる「サザンビーチちがさき花火大会」は、家族で楽しめる一大イベントです。毎年8月に開催され、地元住民をはじめとした近隣の地域からも多くの人が訪れるこの花火大会は、サザンビーチちがさきを舞台に、夜空に大輪の花火が咲き誇ります。海に映る花火の美しさは格別で、特に風が穏やかな夜には水面に揺れる光が幻想的です。
打ち上げ場所が観覧エリアから近く、迫力ある花火が目の前に広がります。砂浜にレジャーシートを広げてピクニック気分で観賞したり、近くのカフェや屋台で地元グルメを楽しんだりと、ファミリーで過ごすイベントとしてぴったりです。
茅ヶ崎市の子育て環境(2)MOKICHI FOODSGARDEN(モキチフーズガーデン)
「モキチフーズガーデン」は、湘南の老舗蔵元「熊澤酒造」が手がける人気のレストランです。かつての精麦工場をリノベーションした趣のある空間で、石窯で焼き上げる本格ピザや地元のクラフトビール「湘南ビール」に合う料理を楽しめます。敷地内にはベーカリーとスイーツショップが併設されていて、地元食材を使ったパンやケーキが並びます。
子ども連れでもゆったり過ごせる落ち着いた雰囲気で、週末のランチや観光の合間にもおすすめです。茅ケ崎駅から徒歩圏内というアクセスのよさも魅力です。
店舗名:モキチフーズガーデン
所在地:神奈川県茅ヶ崎市元町13-1
アクセス:JR茅ケ崎駅から徒歩5分
営業時間:【ランチ】11:30~15:30(14:30LO) 【ディナー】17:30~21:30(20:30LO) ※最終入店20:00
定休日:毎週火曜日、12月31日・1月1日
茅ヶ崎市の子育て環境(3)茅ヶ崎市役所
茅ヶ崎市役所は、行政施設でありながら、市民の憩いの場にもなっています。敷地内にはきれいに整えられた芝生が広がっていて、おしゃれなカフェや地域密着型のラジオ局、ChigasakiFM(チガサキエフエム)が併設されています。
市役所での手続きを済ませた後、ラジオから流れる茅ヶ崎出身のアーティストの曲をBGMに、淹れたてのコーヒーでのんびりと過ごすのもおすすめです。
広場では、週末になると地域のイベントが頻繁に開催されていて、多くの家族連れでにぎわいます。
施設名:茅ヶ崎市役所
所在地:茅ヶ崎市茅ヶ崎1丁目1番1号
アクセス:JR茅ヶ崎駅北口から徒歩7分
開庁日:月曜日から金曜日 8:30~17:00
閉庁日:祝日・休日・12月29日から1月3日
茅ヶ崎市の住まい事情
茅ヶ崎市の家賃相場を調べてみました。
ファミリー向けの間取りとして利用しやすい2LDK・3K・3DKは12.90万円で、近隣の市である藤沢市は14.97万円、鎌倉市は15.23万円でした。同じ湘南エリアの市と比べてみても家賃相場は低めです。
また、わが家の家探しの際に感じたことは、茅ヶ崎には湘南らしさを取り入れた間取りが多い点です。例えば、サーフボードやアウトドア用品が楽における広い玄関スペース、開放感あふれる吹き抜けのリビング、外シャワー付きの間取りなどがありました。
茅ヶ崎市の子育て世帯におすすめエリア
茅ヶ崎市内で子育て世帯におすすめしたいエリアを3つ紹介します。
それぞれのエリアによって特徴が変わりますので、ライフスタイルや希望に合わせて選んでみてくださいね。
茅ヶ崎市の子育て世帯におすすめエリア(1) 茅ケ崎駅・辻堂駅周辺エリア
JR東海道線が利用できる茅ケ崎駅や辻堂駅周辺は、交通の便がよく、通勤や通学にも便利なエリアです。駅の周りには大型商業施設や飲食店、公園がそろっていて、日々の生活を快適にしてくれます。保育園や小学校も多くあるため、安心して子育てができる環境が整っています。
茅ヶ崎市の子育て世帯におすすめエリア(2) サザンビーチ・中海岸周辺エリア
サザンビーチや中海岸周辺は、海の近くで暮らす湘南らしさをより一層感じられるエリアです。天気のいい日には散歩やピクニック、マリンスポーツなどを楽しめ、自然の中でのびのびとした子育てが叶います。家族で過ごす時間がより豊かになる、魅力が詰まったエリアです。
茅ヶ崎市の子育て世帯におすすめエリア(3) 茅ケ崎里山公園周辺エリア
自然に囲まれた茅ケ崎里山公園周辺は、田園風景が広がるエリアです。四季を感じながら自然の中で過ごす時間を持ちたいご家庭にぴったりです。広々とした芝生や遊具、季節ごとの自然観察ができるエリアもあり、親子で過ごす時間がより楽しくなるでしょう。
自然と便利さ両方を兼ね備えた暮らしが叶う街、茅ヶ崎で子育てしよう
海と緑が身近にある茅ヶ崎は、自然の中でのびのびと子育てができるやさしい街です。駅周辺は便利で、行政サービスが充実していて暮らしやすいです。何げない日常の中に、子どもの笑顔や家族のぬくもりが自然と溶け込んでいきます。
都市の便利さと自然の豊かさ、どちらも感じられる茅ヶ崎で暮らしてみて、子育ての地として茅ヶ崎を選んでよかったと心から感じています。自然たっぷりの地域で子育てしたい方は、茅ヶ崎市を検討してみてはいかがでしょうか。