わが家は夫の転勤により台東区に引越してきました。住み始めて4年が経ち、この街で出産と育児を経験して感じたのは、台東区では子育てをしやすい地域づくりがされているということです。
東京都台東区と聞くと、上野公園やアメ横など、観光地のイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし実際は、子育て環境が整っているエリアです。上野や浅草には公園や児童館が充実し、保育園の選択肢も多いため、子どもと一緒にのびのび過ごせます。
また、医療費助成や保育料補助などの支援制度も手厚く、子育て世帯にとって安心できる環境です。今回は、台東区で子育てをしている体験をもとに、台東区の子育て事情を紹介します。
台東区で子育て中
台東区の概要
台東区は東京23区部の中心よりやや東側に位置し、面積は10.11平方キロメートルと23区で最も小さい区です。人口は、21万6,000人を超えていて、上野や浅草などの観光地をはじめ、活気ある下町エリアとしても知られています。
歴史的な神社仏閣が多く、浅草寺や鳥越神社では四季折々の行事を楽しめます。自然も豊かで、上野恩賜公園や隅田公園では子どもと遊んだり散歩をしたりすることが可能です。
エリアごとに特徴が異なり、上野は都会的で便利、蔵前は静かでおしゃれ、入谷・三ノ輪は下町の温かさが残る住宅街になっています。交通の便もよく、都会の利便性と下町の温かさ、豊かな自然がバランスよく共存する街といえます。
わが家が子育て環境に台東区を選んだワケ
私たちが台東区に住み始めてからは4年、2人の子どもを育てて3年が経ちました。東京に引越してきたきっかけは夫の転勤で、台東区を選択したのは、3つの理由からです。
子育て環境に台東区を選んだワケ(1)日常の買い物がしやすく、生活が便利
台東区には、浅草ROX・ユニクロ・ドンキホーテなどの使いやすい商業施設があります。子育てをしていると、おむつやミルクなどの物資を自宅近くでそろえられる環境は、非常に便利でした。
子育て環境に台東区を選んだワケ(2)公共施設が便利で活用しやすい
天候が悪い日や室内で過ごしたいときに便利なのが、台東区立中央図書館と児童館です。台東区立中央図書館は、子ども向けの絵本が豊富で、親子でのんびり過ごすのにぴったりです。
また、中央図書館が入っている生涯学習センターの4階には、無料で利用できる「こども室」があり、子どもと遊べます。児童館では、親子向けのイベントやおもちゃが充実していて、子どもが飽きずに楽しめます。雨の日や寒い日でも、こうした施設があることで「今日はどうしよう?」と、悩むことが少ないです。
子育て環境に台東区を選んだワケ(3)交通アクセスが良好で生活圏が広がる
台東区内はJR・地下鉄・都バスが充実していて、どこへ行くにも便利な立地です。特に、上野駅からは新幹線に乗ることができるので、帰省や旅行によく利用しています。現在、わが家は車を所有していないですが、不自由なく移動できています。
実際どう?台東区の子育て事情
数字で見る台東区の子育て事情
2025年1月1日時点で、台東区に住んでいる0〜14歳の子どもの人口は約1万6,000人です。
また、台東区内の保育施設数は以下のとおりです。
・幼稚園:私立:7園・公立10園
・公立認可保育園:10園
・公設民営認可保育園・認定こども園:3園
・私立認可保育園・認定こども園:30園
台東区の待機児童に関する最新情報は見つけられなかったのですが、2021年4月に厚生労働省から発表されたデータによると、0人でした。台東区では、待機児童の解消に向けて、ベビーシッター事業や子どもクラブの整備が行われています。
台東区の子育て支援情報
台東区では、子育て世帯を支援するための制度が充実しています。ここでは、特に利用しやすい5つの支援制度を紹介します。
わが家はベビーシッターなどの預かり制度をよく利用しています。最新情報は、台東区の公式サイトで確認ください。
台東区の子育て支援情報(1)出産育児一時金や育児支援金
出産一時金は、台東区で国民健康保険に加入している方が出産したときに、出生児1人につき42万円(令和5年3月31日までに出産した方)が支給されます。
【児童手当】
3歳未満:1万5,000円
3歳以上小学校修了前(第1子・第2子):1万円
3歳以上小学校修了前(第3子以降):1万5,000円
中学生:1万円
台東区の子育て支援情報(2)ベビーシッター利用支援事業
ベビーシッター利用支援事業とは、一時的または定期的に子どもを預けたい保護者に対し、ベビーシッターによる保育サービスの料金を助成することで、経済的な負担を軽減する事業です。
助成額:
午前7時 ~ 午後10時1時間2,500円上限
午後10時~ 翌午前7時1時間3,500円上限
※クーポン等の支払いや福利厚生などの助成を受けている場合は、その額を差し引いたあとの料金が補助対象となります。
上限時間:児童1人につき年度あたり144時間。
多胎児(双子など)の場合は、児童1人につき年度あたり288時間(※未就学児のみ)
台東区の子育て支援情報(3) 医療費助成(子ども医療費助成)
医療費助成では、子ども(0歳から18歳)が健康保険を使って医療機関にかかった場合に、医療機関に支払う医療費の自己負担金を助成してくれます。
※健康保険の取扱いができないもの(健康診断・予防接種・差額ベッド代・薬の容器代、特定医療機関でかかった初診時の特定療養費など)は、助成されません。
台東区の子育て支援情報(4) 認証保育所等保育料助成制度
台東区では、保育を必要とする子どもが認証保育所や、指導監督基準を満たす旨の証明書を有する認可外保育施設(以下「認証保育所等」)に通っている場合、保育料を支払っている保護者に助成を行っています。この制度は、認可保育園の利用者と、認証保育所等を利用されている方の負担の差を軽減するために設けられました。
「認可に入れなかったから大変…」という状況でも、経済的な負担が軽減されるのであれば、安心して利用できるでしょう。特に認証保育所は就労制限のない保育所のため、育児をするうえでは欠かせない制度だと思います。
台東区の子育て支援情報(5)子育て支援センター・一時預かり制度
児童館は、子どもたちが遊びを通して体を動かし、情操を豊かにするとともに、自主性や協調性を育てるための施設です。台東区には、8館あります。
どの児童館にも遊戯室や図書室があり、季節にふさわしい楽しい行事が行われていて、親子で参加できるイベントも定期的に開催されています。例えば、「親子リトミック」や「絵本の読み聞かせ会」のように、子どもが楽しく過ごせるイベントが豊富です。
【児童館】
対象者: 0~18歳のまでの児童とその保護者
開設時間: 午前9時30分から午後6時
休館日: 日曜日、祝日(※)、年末年始
※ 5月5日は施設の一部を開放します
子ども家庭支援センターでは、基本的に0~3歳までの子が遊べます。土曜日には、パパさんが参加するイベントがあり、賑わっている様子を見かけることが多いです。また、いっとき保育という一時預かり制度には、就労制限なく、リフレッシュしたいときにも使えるので便利でした。
【いっとき保育】
対象者: 台東区内に住所を有する0歳(満6ヶ月)から6歳(就学前)までの健康で集団生活が可能なお子さん
実施施設:ほうらい子育てサポートセンター:0歳(満6ヶ月)から6歳(就学前)まで
谷中子ども家庭支援センター :1歳から6歳(就学前)まで
利用定員:0歳(満6ヶ月)から1歳まで1時間あたり2人
1歳から6歳(就学前)まで1時間あたり10人
利用日時:0歳(満6ヶ月)から1歳まで
月~金曜日(土・日・祝日、12月29日から1月3日を除く)
午前10時から午後4時のうち1回あたり4時間まで
1歳から6歳(就学前)まで
午前9時~午後5時(1月1日から1月3日を除く)
利用限度: 1ヶ月8回
利用料金:1時間500円(昼食代400円、おやつ代100円別途負担)
申請期間: 利用したい日の前月の1日から利用したい日まで
台東区での子育て体験談
台東区で子育てをして3年の間に、私が感じた魅力と意外なギャップについて体験談を交えてお伝えします。
台東区で子育てする魅力
台東区浅草エリアは神社が多く、お祭りも頻繁にあります。知っている方も多いであろう「三社祭り」では地域の子どもたちがお神輿を担いで歩くことができ、貴重な体験ができます。
また、児童館では親子向けのイベントが定期的に開催されていて、自然と顔を合わせる親御さんが多くなるため、育児仲間と仲良くなるきっかけになりました。
近所の公園では、よく顔を合わせる親同士が自然に会話することも多く、地域でのつながりを感じられます。子育てをするうえで、「近所に相談できる仲間がいる」と感じられることは、非常に心強いです。
台東区で子育てして感じたギャップ
もちろん、住んでみて感じたギャップもありました。
台東区で子育てして感じたギャップ(1)保活はエリアによって競争が激しい
現在、私の子どもたちは認証保育園に通っています。2歳までの園の小規模保育園となるため、それ以降は認可保育園を目指すママさんが多く、話を聞いてみると希望の園への入園は厳しいようです。「保活が不安…」という方は、早めの情報収集と相談が重要だと感じました。
台東区で子育てして感じたギャップ(2)観光地エリアは混雑しやすい
上野や浅草周辺は、週末になると観光客が増え、ベビーカー移動がしづらくなるので、注意が必要です。そのため、午前中の早い時間帯や、平日を狙ってお出かけすることをおすすめします。こうした「観光地ならではの混雑」はありますが、訪れる時間帯を工夫することで快適に過ごせます。
台東区の子育て環境
台東区には、50ヶ所の区立公園や26ヶ所の区立児童遊園などがあります。今回は、わが家がよく利用するおすすめの公園を紹介します。
台東区の子育て環境(1)上野恩賜公園
上野恩賜公園は、広大な敷地を誇る公園で、桜の名所としても知られています。園内には上野動物園や博物館、美術館があり、親子で楽しめるスポットが充実しています。
芝生エリアや遊具がある園内はピクニックや外遊びにぴったりな環境です。都会の中で自然を感じながら、のびのび過ごせる魅力的な公園です。
所在地: 台東区上野公園・池之端3丁目
アクセス: JR山手線・JR京浜東北線・JR高崎線・JR宇都宮線・東京メトロ銀座線・東京メトロ日比谷線「上野」駅G16・H17出口より 徒歩2分
開園時間: 常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業
台東区の子育て環境(2)隅田公園
隅田公園は、隅田川沿いに広がる緑の豊かな公園です。春には桜を見に訪れる方でいっぱいになります。広々とした遊歩道が整備されていて、ベビーカーでの散歩やジョギングも可能です。川沿いの景色を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごせます。
公園内の遊具や芝生エリアは、子どもがのびのび遊べる環境です。休日には親子連れが多く、ピクニックを楽しむ姿を見かけることが多いです。開放的な雰囲気で、リフレッシュしたいときにも訪れたくなる公園です。
所在地: 東京都台東区今戸1丁目1番、浅草7丁目1番、花川戸2丁目1番、花川戸1丁目1番
アクセス: 東京メトロ銀座線「浅草」駅より徒歩2分
開園時間:常時開園
台東区の子育て環境(3)入谷南公園
入谷南公園は、台東区内でも広めの公園で、思いきり走り回れるグラウンドがあります。遊具も充実していて、すべり台やブランコがあるので小さな子どもも楽しめる環境です。周囲には緑も多く、落ち着いた雰囲気が広がり、親子でのんびり過ごすのにぴったりの公園です。
所在地: 東京都台東区松が谷3-23-7
アクセス:東京メトロ日比谷線「入谷」駅2番出口より徒歩8分
開園時間:常時開園
台東区の住まい事情
台東区の住まい事情について、家賃相場をみてみましょう。ファミリー向けの2LDK・3K・3DKの間取りで、台東区の家賃相場は24.30万円でした。隣の墨田区は22.71万円、文京区は25.11万円です。
台東区は新幹線が利用できる上野駅があり、旅行や帰省にも便利です。さらに公園も豊富なことから子育て世帯には暮らしやすい環境がそろっています。家賃相場は低くはないですが、利便性や子育て環境を考えると妥当だと思います。
台東区の子育て世帯におすすめエリア
浅草エリアは買い物や遊び場が充実し、便利な生活環境が魅力的です。入谷エリアは下町の温かさが残る落ち着いた住宅街で、広めの物件も見つかりやすいです。どちらも子育てしやすい特徴があり、ライフスタイルに合わせて選べます。
浅草エリア
「浅草」と聞くと観光地のイメージを持つ方もいらっしゃるかと思いますが、実は落ち着いた住宅街もあります。
浅草ROXやユニクロといった商業施設があり、子ども連れでの買い物がしやすいです。また、商店街が充実しているので、食品や日用品の買い物も楽しめます。地域のお祭りやイベントがよく開催されるエリアなので、地域のつながりを感じることができて、子どもと一緒に楽しめるでしょう。
入谷エリア
入谷は、台東区の中でも比較的家賃が低めなエリアです。子育て世帯向けの広めな物件も探しやすいでしょう。
入谷エリアには、入谷南公園や千束公園など地元の親子が集まるスポットが多くあります。また、下町ならではの人情味あるコミュニティがあり、子ども連れでも参加しやすいイベントが開催されています。落ち着いた環境で、コストを抑えつつ広めの物件を探したい方に特におすすめのエリアです。
台東区は子どもの遊び場が豊富で下町の親しみも感じられる街
台東区の魅力は、公園が豊富なところです。さらに雨の日や暑い日は、台東区立図書館や児童館など、室内で快適に過ごせる施設もあります。
子育て支援も充実していて、私は医療費助成制度のおかげで、子どもの通院時の費用負担がなく、安心できました。スーパーやドラッグストアも各所にあるため、日常生活の不便さを感じにくい環境です。
私は、台東区での子育てを通して「子どもが楽しく過ごせる場所が多く、親にとっても安心できる環境」だと感じています。台東区での暮らしが気になった方は、ぜひ物件情報や支援制度をチェックして、理想の住まい探しに役立ててくださいね。