東京都北区での子育て体験談。子育て支援情報や子育てにおすすめのエリアを紹介

東京都北区は、東京都の北部に位置する街です。赤羽駅周辺の飲み屋街のイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実際は住宅地が広がり、商店街や公園、公共施設が充実しています。交通の便も良好で、都心はもちろん埼玉や神奈川にも行きやすい立地です。

私は就職と同時に王子に移り住み、その後駒込・田端エリアに転居し、結婚・出産後も住み続けています。気づけば10年以上が経過し、現在は2歳児を育てながら第二子を妊娠中です。

妊娠・出産を経て北区の子育て環境が充実していることを知りました。知り合いから聞く話によると、ほかの地域よりも子育て環境が充実しているそうです。

この記事では、子育て真っただ中の私がリアルな体験をもとに「東京都北区で子育てする魅力」を伝えます。

東京都北区で子育て中

まずは、東京都北区の概要を紹介します。

東京都北区の概要

北区は東京都北部、23区の中でも埼玉よりに位置する街です。20.61平方キロメートルの面積と約36万2,000人超の人口を誇り、荒川区・足立区・板橋区・文京区・豊島区に隣接しています。

北区と聞くと、飲兵衛の街、赤羽が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、飲み屋街はほんの一部で、多くのエリアが閑静な住宅地です。桜の名所や緑の豊かな自然も多いほか、60以上の商店街があり、区民の暮らしを支えています。

北区は2024年から1万円札の顔となった、渋沢栄一が人生の拠点とした街でもあります。渋沢栄一は、王子の製紙会社を立ち上げました。王子エリアに構えた自宅には多くの来賓が訪れ、社交場としても重要な役割を果たしていました。また、北区にはかつて芥川龍之介や室生犀星が住んでいたことがあり、多くの文豪や芸術家に愛された街といえるでしょう。

北区にはJR山手線・上野東京ライン、東京メトロ南北線などの鉄道が通っていて、JRの駅数は都内で最も多い11駅があるなど、交通アクセスに優れた地域です。王子駅・赤羽駅・田端駅といった主要駅からはバスが充実しているほか、東京さくらトラム（都電荒川線）も走っていて、駅と住宅地を結んでいます。

都心まで30分以内でアクセスできる便利なエリアであるため、主要駅の周辺では常にマンション建設が行われていて、人気の高さを感じます。

わが家が子育て環境に東京都北区を選んだワケ

私の妊娠が判明したときには、すでに北区に住んでいました。出産後の生活をイメージしたときに、引越しも選択肢として挙がりましたが、住み慣れた北区で子育てをしたいと思いました。

私は妊娠中も出産後もフルタイムでの勤務を望んでいたため、仕事と子育ての両立を目標に情報収集をしてみたところ、やはり北区に住み続けるのが最善との判断に至ったのです。

ここからは、北区での子育ての決め手になった項目を3つご紹介します。

東京都北区を選んだ理由(1)勤務地まで比較的近くて治安がいい

私も夫も現在の駒込・田端エリアからの出勤時間は45分ほどです。もちろん、都心から離れていく方が家賃も安くなりますが、その分、通勤時間がプラスされます。出産後に時短勤務にしないためには、アクセスのよさを譲ることはできません。

北区に住み始めてから10年が経過し、近くの商店街も活気があり、治安がいいことを実感できていたことも大きなポイントです。

東京都北区を選んだ理由(2)実家からアクセスしやすい

私の実家は東北地方にあり、帰省は上野駅から東北新幹線に乗車します。以前から実家にはよく帰省していましたが、出産後はサポートしてもらう回数も増えると予想していました。仕事で遅くなる日は数日実家の両親に来てもらうことをイメージしていたため、上野駅まで15分程度で行ける場所に住むことが重要でした。

東京都北区を選んだ理由(3)保育園が近所に多い

独身時代から、自宅周辺には保育園が非常に多いと感じていました。共働きの家庭にとって保育園は必要不可欠です。第1希望の園に通えるか分からないため、アクセスしやすい保育園が複数あることは、送迎の負担軽減になると考えました。

今は第3希望だった園に通っていますが、自宅から10分弱と近いため、保育園の多いエリアに住んでいてよかったと感じています。

実際どう？北区の子育て

私は現在、北区内の賃貸マンションで、夫と1歳の息子と暮らしながら第二子を妊娠中です。ここからは実際に住んでみて感じた、北区の子育ての状況についてお伝えします。

数字で見る北区の子育て事情

北区の人口は、ここ10年ほど増加傾向が続いています。現在、北区の年少人口（0～14歳）は約37,000人です（2025年3月1日時点）。2010年の年少人口は31,200人だったことから、この10年強で北区の子どもの数が増えていることが分かります。

北区の保育施設数は以下のとおりです（2025年3月8日時点）。

・認可保育所104園(公立45園※分園含む＋私立59園)
・企業主導型保育事業所6園
・認証保育所3ヶ所
・小規模保育事業所17園
・事業所内保育事業所2園
・家庭的保育事業所3園

北区の保育園待機児童は4月入園時点の推移から2016年をピークに減少し、2023年4月には0人を達成しています。保育園数も各エリアに豊富にあるため、働く世帯が安心して利用できそうです。

北区の市立幼稚園は2025年3月時点で26園(私立20園、区立3園)あります。

北区の子育て支援情報

北区では「子どもの 幸せ№1」の実現を目指し、妊娠から出産、その後の子育てまで手厚い支援があります。

ここでは北区の子育て支援情報のうち、私が実際に利用して利便性が高く、子育て中の人に知ってほしいと感じたものを5つ紹介します。最新情報は北区の公式ホームページで確認してみてください。

北区の子育て支援情報（1）子ども応援ガイド「きたハピモバイル」

「子育てするなら北区が一番！」を合言葉に、子育て応援ガイド「きたハピモバイル」を展開しています。子育て情報はもちろん、保育園や幼稚園の入園手続きサポートや申し込み結果もアプリから確認可能です。

学童や医療機関に関する情報も見られるため、妊娠期から小学校期まで活用できます。いちいち区役所に赴く必要がなく、忙しい親にとって非常にありがたいサービスです。

北区の子育て支援情報（2）はぴママたまご面接・はぴママひよこ面接

妊娠中や産後は子どもの成長や将来のことなど不安がつきものです。親の不安をケアするために、北区では全妊婦を対象とした「はぴママたまご面接」と、生後6ヶ月の保護者を対象とした「はぴママひよこ面接」を実施しています。

保健師さんをはじめとした専門職の人が妊娠や子育て相談に乗ってくれて、対応する区のサービスを紹介してくれるため、この面談で初めて知る支援もありました。また、面接するだけで以下のようなグッズや商品券をもらえました。

【はぴママたまご面接】
クリーム・オイルセット、ロングクッション、バスローブ・クリームセット、こども商品券(4,000円)より1つを選択
【はぴママひよこ面接】
カタログギフト

悩みを聞いてもらえるだけで助かりますし、妊娠や出産のお祝いを兼ねてグッズや商品券をいただけて、大変うれしい気持ちになりました。

北区の子育て支援情報（3）産後ケア事業

妊娠中も大変ですが、出産後の日々は慣れないことも多く、心身ともに疲弊する人も多いのではないでしょうか。北区では、日帰りの「産後デイケア」と宿泊を伴う「産後ショートステイ」ができる制度があります。対象は、北区に住民票がある産後のママと赤ちゃんです（医療行為が必要な方は利用できません）。

妊娠8ヶ月以降に利用申請を行い、各対応施設に自分で予約をとることで利用できます。

【産後ショートステイ】
期間：産後4ヶ月0日まで（最大3泊4日）
※1泊2日の2回利用、2泊3日の1回利用も可能です。施設によって利用対象期間が異なります。
実施施設：東京北医療センター、スワンレディースクリニック、東京リバーサイド病院、あらかわレディースクリニック、綾瀬産後ケア、東京都立豊島病院、板橋区医師会病院(2025年3月9日時点)


【産後デイケア】
期間：産後6ヶ月0日まで、6日まで
実施施設：みづき助産院、はあとほっと、ほっこり～の、晴ル・助産院、スワンレディースクリニック、綾瀬産後ケア、はうおり助産院、ムックムク(2025年3月9日時点)

利用可能な施設は、北区内だけでなく近隣地域の施設もあります。私が2022年に第一子を出産したときよりも施設数や利用可能日数が増えていて、支援が年々充実していることを感じました。

北区の子育て支援情報（4）児童館・家庭支援センター

北区には児童館・子どもセンター・ティーンズセンターが21ヶ所、家庭支援センターが1ヶ所あり、各地域の子育てのサポートをしています。

児童館は子どもの遊び場が提供されるだけでなく、同じくらいの月齢や年齢の親子が集まる「乳幼児クラブ」があり、わが家も参加していました。毎週1回、手遊びやハイハイ競争、おもちゃ作りなどを他の親子と交流する時間が用意されていて、子どもは楽しそうでしたし私にとってもいいリフレッシュになりました。

1歳になる月には「みんなでお祝い輝きバースデー」が、児童館や子どもセンターなどで開催されます。同じ月齢の親子が集まり、わが家が参加したときは、自己紹介をした後に絵本の読み聞かせや簡単なゲームなどを30分ほど楽しみました。このイベントの招待状に同封されているアンケートに回答すると、東京都子育て支援専用QUOカードPayがもらえます（2025年3月9日時点）。

北区の子育て支援情報（5）病児・病後児保育

共働きのわが家にとって、子どもの体調不良は緊急事態です。仕事復帰後、何度利用したか分からないくらいお世話になっているのが、病児・病後児保育です。北区内の保育園のほか、隣接する文京区にある駒込病院の病児保育も利用できます。

事前に利用申請をすると、利用したいときに電話やインターネットを通じて予約できるようになります。各施設の定員は2～5名と非常に少なく、キャンセル待ちになることもあありますが、当日繰り上がりで利用できる場合がほとんどです。
施設：東京北医療センター病児病後児保育室 にじのへや、キッズタウン東十条病後児保育室 すずらん、にじいろ保育園志茂病児・病後児保育室 にじいろ、東京都立駒込病院病児・病後児保育室 ろびん
利用時間：8時～18時で、施設によって異なります
料金：2,000円～3,000円

北区での子育て体験談

ここからは、実際に北区で子育て中の私が感じた「北区の子育てのしやすさ」について体験談を交えて紹介します。

北区で子育てをする魅力

北区で子育てをしていて感じた魅力についてまとめてみました。

北区で子育てをする魅力（1）金銭的に助かる支援制度が充実

子育てには出産から独り立ちするまで多大なお金がかかります。わが家は共働きですが、何があるか分からない時代に、2人の子どもを育てられるのか悩みました。

北区では18歳までの子どもの医療費が基本的には無料です。入院時の差額ベッド代や食事代、予防接種費用は別ですが、日常的な通院や薬にお金がかからないのは非常に助かります。

また、保育料も第二子は無料です。月々数万円かかる保育料が0円になれば、将来のための貯蓄や投資に回せます。

上記2点の支援制度があったことが、子どもを2人育てようと決断する大きな要因となりました。

北区で子育てをする魅力（2）30代半ばの子育て世代が多いと感じる

わが家では30代半ばで第一子を授かりました。児童館や保育園を利用する際に、「周囲は若いママやパパが多いかも」と不安がありました。

実際に北区に住み、周囲の同年代の子どもを持つ親と会ってみると、私たちと同じく30代半ばくらいの方が多いように感じました。同じくらいの年齢層だと、何かと話も合うため仲も深まりやすく、子育ての相談もしやすくて助かっています。

北区の子育て環境

北区は、どの地域でも子育てがしやすい街です。ここでは、気になる北区の子育て環境を紹介します。

北区の子育て環境(1)子どもがのびのびと遊べる施設がある

北区は、多くの公園や児童館があります。特に公園は遊具がある一般的な公園から、夏に水遊びができる公園やバーベキューができる公園まで、さまざまです。

近所の公園は日常的に利用し、天気のいい日は少し遠出をして、いつもは行かない公園に足を延ばすことが多いです。大きな公園は駅からのアクセスもよく、公園によっては駐車場もあるため、気軽に行けて助かっています。

わが家がよく利用する田端公園は、子どもが大好きな滑り台があります。動物のモニュメントや砂場もあるため、一日中遊んでいても時間が足りません。

簡単なクライミングができる石山もあり、外遊びが好きなお子さんにはぴったりの遊び場です。

施設名：田端公園
所在地：東京都北区田端3丁目23-24

北区の子育て環境(2)都心をはじめ周辺地域へのアクセスがよい

北区は交通の便が非常によく、都心へのアクセスはもちろん、埼玉や神奈川へのアクセスも、少ない乗り換えで移動できる駅が多いです。

子育て中はちょっとした遠出が増えやすいです。子連れの移動は時間がかかりすぎたり、乗り換えが多かったりすると、子どものケアで親が疲れてしまうこともあります。

わが家からは30分あれば都心や埼玉に移動できるため、休日のお出かけの選択肢が増えました。

北区の住まい事情

実際に北区に住むとなったら、家賃などの住まい事情も気になります。わが家は夫婦ともに都心勤務のため、23区内に住みたいという希望がありました。夫婦それぞれの職場までの距離を踏まえて、北区以外で候補に上がったのは、豊島区と板橋区です。

2LDK・3K・3DKの家賃相場を比較すると、北区は21.90万円で豊島区は23.97万円、板橋区は21.30万円でした。北区と比較すると、豊島区は繁華街の池袋があるので家賃相場が高く、板橋区は住宅街がメインのため家賃相場が低いのでしょう。

ここからは、豊島区と板橋区を除き、北区と近隣地域の家賃相場を比較します。北区の家賃相場21.90万円に対し、隣接する足立区は16.17万円で、荒川区は21.23万円、文京区は24.67万円でした。

特に都心への通勤・通学がある世帯の場合、北区は交通の便がよく、家賃の費用を抑えられるのではないでしょうか。

北区の子育て世帯におすすめエリア

ここでは、子育て世帯がよく利用する、北区内のおすすめエリアを紹介します。

北区の子育て世帯におすすめのエリア（1）駒込・田端エリア

駒込・田端エリアは商店街や公園も多く、遊び盛りのファミリーに特におすすめです。このエリアは、豊島区・文京区・台東区の区境にあります。そのため、近隣の区の児童館や公園などを利用しやすく、遊び場が豊富です。

駒込駅はJR山手線と東京メトロ南北線の2路線があり、北区内はもちろん、都心へのアクセスのよさも魅力です。

北区の子育て世帯におすすめのエリア（2）王子エリア

王子エリアにある飛鳥山公園は、桜の名所として有名です。広い公園内には散歩できる道が整備され、豊富な遊具が設置されている場所もあります。0歳児から小学生までの子どもたちでいつも混み合っていますが、広いのでのびのびと遊べます。わが家は桜の時季や秋になると、お弁当を持ってピクニックに行くのが恒例です。

施設名：飛鳥山公園
所在地：東京都北区王子1-1-3
アクセス：JR京浜東北線「王子駅」（中央口か南口）から徒歩すぐ
東京さくらトラム（都電荒川線）「飛鳥山」「王子駅前」から徒歩すぐ
東京メトロ南北線「王子駅」（一番出口）から徒歩3分
北区コミュニティバス【Kバス】王子・駒込ルート[8][20]飛鳥山公園下車すぐ
営業時間：終日開園（公園内の旧渋沢庭園の開園時間は異なります）

王子駅から10分ほどの距離にあるホームセンターや大型スーパー、赤ちゃんや子ども用品の店が入る商業施設でお買い物も楽しめます。

子育て支援が手厚い北区は安心して子育てしたい人に特におすすめ

北区での子育て歴約3年の私が感じるのは、北区の子育て環境が年々よくなっていることです。例えば、産後ケアの日数や対象施設の拡充、第二子の保育料無料や医療費無料の年齢上限の引き上げなど、この数年で子育て世帯にとって助かる制度が設置され、拡充しています。

北区の公園や児童館は、どのエリアにも多く、都心や近隣地域への交通アクセスも良好です。23区内の北側エリアに引越しをお考えの方は、北区も候補に入れて検討してみてはいかがでしょうか。