ふじみ野市は、埼玉県の南部に位置する街です。都心部から約30キロメートル離れており、アクセスがよいため、ベッドタウンにもなっています。また自然が豊富で、子育てにも適したこの街を、ふじみ野市在住10余年・PTA役員経験者・子育て経験15年の元保育士が紹介します。
子育てに役立つ情報だけではなく、生活に潤いを与える息抜きスポットや、住んでみないとわからない実際のところなどもお届けします。
ふじみ野で子育て
まずは、ふじみ野市の概要を見ていきましょう。
ふじみ野市の概要
ふじみ野市は埼玉県南部に位置する、面積14.64平方キロメートル、人口約11万4,500人の都市です。武蔵野台地に位置し、ほぼ平坦な土地が広がっているのが特徴です。江戸時代から昭和初期にかけての舟運で栄えた、新河岸川が南北に流れています。その名のとおり、富士山がきれいに見渡せる、風光明媚な土地でもあります。
また1993年に、日本初のアウトレットモール「リズム」がオープンした街として、知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。近年では、出身アーティストの曲が電車の発車メロディとして採用されるなど、ゆかりの地として話題になったことも記憶に新しいです (2023年3月31日をもって終了) 。
アクセス環境としては、川越街道(国道254号)が市の中央部を南北に、西側に関越自動車道が走っています。また、東武東上線が川越街道に並行して走り、急行が止まるふじみ野駅もあることから、便利な立地といえるでしょう。
ふじみ野市を子育て環境として選んだワケ
わが家は以前、都内の大規模団地に住んでいました。しかし、団地敷地内にあった小学校のクラスが、各学年3クラスから1クラスになるなど、子育て世帯が少なくなっていると感じたのです。
子育てしているうえで、近所に同じ子育て世帯がいることは心強いこともあって、引越しを考えました。また、子どもが家で騒いでもいいように、一軒家に住みたいという気持ちも強くありました。そこで引越し先として選んだのが、ふじみ野市でした。
ここでは、子育て環境としてふじみ野市を選んだ理由を紹介します。
ふじみ野市を選んだ理由(1)子育て世帯が多いと感じた
ふじみ野市は2005(平成17)年に上福岡市と大井町が合併して生まれた新しい自治体です。近隣のさらに東京に近い朝霞市・志木市・新座市などよりも地価が安く、土地開発が現在進行形であった当時は、住宅の選択肢が多かったことも魅力でした。
同じように魅力を感じている同年代が住宅展示場に集まっている様子は、子どもがたくさん街にいる風景が想像できて、うれしくなったのを覚えています。
それでも、初めての一軒家購入はわからないことばかりで、悩みに悩みました。最終的には「一回ぐらい失敗してもいいや」と開き直るのですが、同時期に同年代の人たちが引越してくるのではないかという期待が、私の背中を押してくれました。
ふじみ野市を選んだ理由(2)文化的な雰囲気が気に入った
比較的新しい駅前の街並みの中には、当時から「バレエ」「アート」「ミュージック」「フェスティバル」などのポスターが街中に点在していました。駅前のタワーマンションの下には、クイーンズ伊勢丹、住宅地にフレンチレストランや自然派食料品店などのお店が点在していました。高級タワーマンションとして売り出した当時に移り住んできた方々が、ファッショナブルな雰囲気を街に根付かせてくれたのかもしれません。
ふじみ野市を選んだ理由(3)大型商業施設建設中のため、地価の上昇が見込めた
私たちが引越しを考えていた当時、まだ「ららぽーと富士見」は着工すらしていませんでした。しかし、不動産屋さんで物件探しをしていると決まって「大きなショッピングモールができるから、今のうちにこちらに引越して来た方が得だよ」と言われたものです。
最初は半信半疑でしたが、どこの不動産屋に行っても話題に上がるので、いつの間にか信じていました。実際に、引越してから1年後に公式発表があったときは安堵しました。
実際のふじみ野市の子育てについて
実際にふじみ野市に住んでみて感じた、子育て事情を伝えます。
数字で見るふじみ野市の子育て事情
ふじみ野市の人口はこの10年、毎年増えています。2015年に11万1,921人だった人口が、2024年12月現在、11万4,567人になりました。
保育所・幼稚園は、下記のとおりです。(2024年12月現在)
認可保育園23園
小規模保育所4園
事業所内(地域枠)保育所1園
幼稚園7園
こども園2園
待機児童数は3名ですが、待機児童問題をニュースなどで目にすることが多かった当時も、市の対応が早かったことを覚えています。
ふじみ野市の子育て支援情報
ここからは、ふじみ野市には特徴的な子育て支援があります。ベッドタウンとして発展してきたこともあり、子育てに不自由しないような施策が練られていると感じます。
こちらで紹介するのは、2024年12月時点での情報です。最新の情報は、市の公式ホームページなどでご確認ください。
ふじみ野市の子育て支援情報(1)ブックスタート事業
ふじみ野市では、子どもの10ヶ月健康相談の受診の際に絵本がプレゼントされます。また、会場では絵本の読み聞かせや、図書館員の方からの絵本選びのアドバイスももらえます。
子どもに絵本の読み聞かせをしてあげたいと思う方も、多いのではないでしょうか。しかし、月齢に合った内容の本はどれなのか、悩むこともあるかもしれません。ブックスタート事業は、このような保護者にとってうれしい支援といえます。
ふじみ野市の子育て支援情報(2)お出かけサポートタクシー
未就学児がいる方や妊娠中の方、高齢者の方など向けに、タクシー運賃の半額を助成してくれます。事前予約をせずに、必要なタイミングで頼めるのも利用しやすい点です。私も2人目を妊娠中の買い物によく利用させてもらいました。
運転手の方々が荷物の上げ降ろしや、乗りやすいような踏み台なども用意してくれます。
ふじみ野市の子育て支援情報(3)子育て支援アプリ「ふじみん電子母子手帳」
この電子母子手帳を使うと、妊娠中の体重記録、子どもの成長記録、予防接種のスケジュール管理ができます。また、育児に関する情報や、市の子育て支援情報を配信してくれるので、ふと思い立ったときにすぐに確認できます。予防接種などを受ける大変さが軽減できるでしょう。
ふじみ野市の子育て支援情報(4)公園にボール遊びができるゾーンの設置
ふじみ野市では、安全面や騒音の問題を考慮して、公園でのボール遊びは原則禁止になっています。ただ、親としては子どもに自由に遊んでほしいという気持ちもありました。そんな中で「福岡中央公園」にボール遊びが可能なゾーンが設置されたことは、非常にありがたかったです。
今回はモデルケースとしての設置ですが、今後もボール遊びゾーンを増やしていくことを検討しているようなので、楽しみにしています。
ふじみ野市の市長は市内の行事によく顔を出しており、私の息子たちも名前と顔が一致しているほどです。市民の方々ともよく話しているのを見かけます。また、困り事への対応も率先して動いてくれるので、このような形での条例制定などが実現しているのだなと感じます。
ふじみ野市の子育て支援情報(5)パパ・ママ応援ショップ
埼玉県で行われている「パパ・ママ応援事業」は、買い物の割引をはじめとした優待が受けられるカードを発行して、子育て家庭を応援するものです。「パパ・ママ応援ショップ」にはふじみ野市も参加しています。わが家は、よく行くレストランでこのカードを利用し、ドリンクバーやソフトクリーム、一品料理などを無料でサービスしてもらいました。最近はSNSアプリにも対応したので、カードを持ち歩かなくてもよくなりました。急な場面でも利用できるようになったのは、うれしい限りです。
ふじみ野市での子育て体験談
ここからは、実際にふじみ野市で子育て中の私が感じた街の様子を伝えます。
ふじみ野市で子育てをする魅力
PTAや自治会などの参加が必須ではない
周りの子育て世帯の話を聞く限り、市内の小学校の多くはPTA参加が必須ではなく、わが家の子どもたちが通っていた小学校も該当しました。
本来、PTAなどで取り組むバザーや学校行事も、お手伝いは挙手制でした。ただ、その代わりなのか、父親同士の活動が盛んで「おやじの会」と称して、何かと学校のお手伝いをしてくれる団体もありました。
また、自治会もほぼ活動という活動はしておらず、高齢者の方々がたまにゲートボール大会を開いているのを見かける程度です。ただ、毎年ハロウィーンのときには、集会所でお菓子を配ってくれるなど、子どもたちの交流の場は適度につくってくれています。
市外から入居後も地域になじみやすい
ふじみ野市内では、現在も畑を住宅地に開拓しているのを見かけます。また、市内に大学もあることから、新しい入居者も増えています。そのため、土地にゆかりのない人も多く集まっており、昔からの慣習のようなものを気にしなくてよいのは、ありがたいです。
ふじみ野市の子育て環境
大型の公園が充実している
ふじみ野市運動公園・西の原中央公園や近隣の水子貝塚公園・びん沼自然公園と、広い公園が複数点在しているため、休日のピクニックや遊び場には困りません。大型の公園は、市街地からは少し距離があるので、休日に特別に行ける場所として子どもたちも楽しんでくれます。
特に隣市の富士見市にある「びん沼自然公園」は、釣りの名所としても知られています。最近は、園内にグラウンドゴルフ場とキャンプサイトが設置されました。子どもとのキャンプなど、自然と触れ合う機会も増えたこともうれしいです。
ほかにも、ふじみ野市近郊には「秋ヶ瀬公園」や「森林公園」「こども動物自然公園」といった大型の公園があります。
高速の乗り入れ口が近く遠出しやすい
関越自動車道の出入り口が隣の三芳町にあるため、車でのお出かけも便利です。秩父や群馬など、自然豊かなエリアへ1時間ほどで行けます。また都内へ行くにも、さいたま市から首都高に乗り入れできるので、子連れでのお出かけが楽しめます。
児童館が充実している
市の東西には、大きな児童館があります。乳幼児から高校生まで利用者がいて、夏休み時期には夜間開館として20時まで利用できる日もあります。
また、子どもが参加できるイベントも、たくさん開催されているのが魅力です。工作やダンス・育児講座・年齢別の交流タイムなど、親同士の交流ができるイベントもあります。引越してきた方々は、ここで子育て仲間を見つけることも多いようです。
施設名:ふじみ野市 西児童センター
所在地:埼玉県ふじみ野市大井中央1-1-1 ふじみ野市大井総合支所3階
開館時間:10時00分~18時00分
10月~2月末は、小学生のみでの利用は17時までとなります。
施設名:ふじみ野市 東児童センター
所在地:埼玉県ふじみ野市福岡1-2-5ふじみ野市総合センターフクトピア内3階
開館時間:10時00分~18時00分
ふじみ野の住まい事情
気になるふじみ野市の住まい事情について、家賃相場を調べてみました。
2LDKでは11.70万円、3LDKでは14.07万円となっています。隣の川越市は、2LDKで13.88万円、3LDKだと14.87万円でした。
比べてみると、川越市の方が少し高く、2LDKでは2万円ほどの差があります。東武東上線の川越特急が運行していることも関係しているのかもしれません。都心へのアクセスがよい分、家賃相場が上がっていると思います。
ただ、ふじみ野駅にはTJライナーという特急が停車するので、池袋まで約20分でアクセス可能です(6~9時台に5本のみ運行)。家賃を少しでも抑えたいのであれば、ふじみ野市は子育て世帯におすすめしたいエリアです。
ふじみ野市の子育て世帯におすすめエリア
ここでは、子育て世帯がよく利用する、ふじみ野市内のおすすめエリアを紹介しましょう。
ふじみ野市の子育て世帯におすすめエリア(1)イオン大井店周辺
駅前のメインロードを歩いてすぐに見えてくるのが「イオン大井店」です。大型商業施設であり、買い物がすべてこちらで済むのが魅力です。イオン内には、子どもが大好きなゲームコーナーもあり、買い物ついでに遊ばせることができます。
イオン大井の近くには子連れで行きたいお店がほかにもたくさんあります。特に、自然食販売の「サン・スマイル」、アウトドア用品の「ワイルドワン」、おいしいケーキの「パティスリー ドゥ スイーツ」は、わが家でもよく利用するお店です。
施設名:イオン大井店
所在地:埼玉県ふじみ野市ふじみ野1丁目2-1
アクセス:東武東上線「ふじみ野駅」下車 西口より徒歩約12分
ふじみ野市の子育て世帯におすすめエリア(2)トナリエ周辺
ここは屋外型の商業施設です。夏になると噴水が設けられ、水遊びを楽しめます。ほかにも、子どもが遊べる広場があり、わが家の子ども大好きな場所です。
毎週末、さまざまなカテゴリーのキッチンカーが来るのも、楽しみのひとつです。また、珍しいものが食べられると評判で、テレビでもよく放送されているスーパーマーケット「ロピア」もあります。子どもも楽しみながらついてきてくれるので、買い物にも困りません。
さらに、近くの畑で直売所が併設されているところが数ヶ所あり、採れたての野菜を買えることも魅力です。
施設名:トナリエ ふじみ野
所在地:埼玉県ふじみ野市うれし野2-10-87
アクセス:ふじみ野駅より徒歩5分
ふじみ野市は、自然と利便性どちらも欲しい子育て世帯におすすめ
あらためてふじみ野市を振り返ってみると「いい街だなぁ」と思います。あるべきものがきちんとそろっているので、利便性が高いです。そのうえ自然が豊かに残っていて、街中にも子どもたちが自由に遊び回る余裕があります。
都内への通勤も十分に可能な距離なので、お引越しの際は候補に入れてみてもよいのではないでしょうか。