子育てしやすい街と聞いて、どのような環境を思い浮かべますか?自然が豊かでのびのびと子育てできる・支援制度が充実している・交通の便や治安がよいなど、条件を挙げればきりがありません。そのため、どの街を選べばいいか分からなくなってしまう方も多いでしょう。
わが家が暮らす「川崎市」は、東京や横浜など都心部へのアクセスが良好で、自然が広がるエリアもあるため、子育てする環境としておすすめです。 ただし、川崎市と聞くと、繁華街や競馬場、工業地帯があり「栄えていそうだけど、治安は大丈夫かな」と思う方も少なくありません。
そこで今回は産まれも育ちも川崎の私が、2児の母として、ファミリー目線で川崎市を紹介します。 具体的な子育て制度や子育て支援情報もまとめているので、今後川崎市への引越しを検討している方は参考にしてみてください。
川崎市で子育て中
川崎市は子育てする環境としておすすめです。川崎市の概要や、わが家が子育てする街として選んだ理由についても紹介します。
川崎市の概要
神奈川県の北東部にある川崎市は、1924年に川崎町・御幸村・大師町が合併して誕生しました。現在は、横浜市・相模原市に並ぶ政令指定都市にまで成長し、今年(2024年)の7月で市制100年を迎えました。川崎市は、川崎港側から、川崎区・幸区・中原区・高津区・宮前区・多摩区・麻生区の7つの行政区から成り立っています。
地形は、東京都と横浜市に挟まれていて細長く、面積は144.35km²です。全国に20ある政令指定都市の中で、最も面積が小さく、大阪市の次に人口密度が高いとされています。2024年4月には、市の人口が155万人を突破しました。(世帯数:784,086戸・人口:1,551,788人)(2024年10月時点)
川崎市は、日本の大都市の中でも人口増加率が高く、平均年齢が若いのが特徴です。そのため、活気に満ちた街として再開発も進んでいます。
また、川崎市は全体的に平坦なエリアが多く、 坂が少ないため生活がしやすい地形です。川崎市と東京都の間には、東京湾に注ぐ一級河川「多摩川」が流れています。沿岸には、緑豊かな自然環境が広がっているので、都市部にいながら大自然を感じられるのも魅力の一つです。
わが家が子育て環境に川崎市を選んだ理由
ここでは、わが家が子育て環境に川崎市を選んだ理由と、住みやすさについて紹介します。
子育てに川崎市を選んだ理由(1)商業施設の充実と再開発
川崎市では、主要な駅周辺の再開発が進んでいます。ショッピングモールや商店街なども充実しており、生活しやすく、子育て環境としてぴったりだと感じました。有名なところは、ラゾーナ川崎プラザ・ラ チッタデッラ・グランツリー武蔵小杉・Kosugi 3rd Avenueなどがあります。駅の近くでほぼすべてが完結できるので、小さな子どもと一緒でもお出かけしやすいです。
また、川崎駅の東口周辺は、市役所や郵便局など市の中枢機能が集中しています。バリアフリーも強化され、ベビーカーや車椅子での移動もスムーズに行えるようになりました。実際に子どもを連れて歩いてみると、分かりやすい位置にエレベーターが多くあります。また、エレベーター内も広くなっているので、ベビーカーや大きめの荷物を持っていても利用しやすいです。
子育てに川崎市を選んだ理由(2)立地とアクセスのよさ
川崎市は、首都圏や主要駅へのアクセスがよく、羽田空港にも近接しています。最近では、東京湾アクアラインや多摩川スカイブリッジが開通し、羽田空港へのアクセスがさらに向上しました。また、京急川崎駅から羽田空港までは電車で約20分です。夫の実家が遠方のわが家は、このアクセスのよさがかなり魅力的でした。
市内の路線は、JR東日本・JR東海・京急電鉄・東急電鉄・小田急電鉄・京王電鉄の6社で、計15路線が運行しています。バスは、川崎市バス(通称:市バス)・臨港バス・東急バス・小田急バス・京浜急行バス・神奈川中央交通が走っており、公共の交通機関が充実しているのも特徴です。車の運転ができなくても、比較的どこへでも行けるので、ペーパードライバーの私はとても助かります。
子育てに川崎市を選んだ理由(3)子育て支援制度の充実
川崎市の子育て支援は、赤ちゃんだけでなく、ママの心身にも目を向けた制度づくりがされている印象があります。妊娠期から出産・子育てと段階ごとに利用できるので、助かりました。
たとえば、新生児訪問や宿泊型産後ケア、産後一時預かり、産前産後家庭支援ヘルパー派遣など、産前産後にお世話になった覚えがあります。
子育てに川崎市を選んだ理由(4)地域で防犯に関する取り組み
川崎市と聞くと、繁華街といったイメージを持つ方も多いでしょう。実際に暮らしていても、駅前などは飲み屋街もあり、夜は特ににぎわっています。
川崎市では地域ボランティアのパトロールや、防犯灯・防犯カメラの設置などが行われています。こういった取り組みのおかげで、危険な目に遭うこともなく、安心して子ども連れでの外出もできています。
実際どう?川崎市の子育て
ここからは 実際に川崎市で子育てをしている経験から感じた子育て事情を紹介します。
数字で見る川崎市の子育て事情
川崎市では、2024年に待機児童が4年連続でゼロになったと発表されました。
保育所への利用申請者数は、昨年度より667人増えて、37,158人になっています。このことから、子育てと社会参加を大切にする家庭が増えていると考えられます。また、受入れ枠の拡充もあり、利用児童数は前年度比で547人増の35,515人となり、過去最高を記録しています。
川崎市の保育施設数は、以下のとおりです。(2024年4月時点)
・認可保育所 428ヶ所
<地域型保育事業>
・小規模保育事業所 66ヶ所
・事業所内保育事業所 6ヶ所
・家庭的保育事業 21ヶ所
・幼稚園・認定こども園 83ヶ所
<その他>
・一時保育事業 90ヶ所
・障害児保育事業 233ヶ所
・病児・病後児保育事業 7ヶ所
<認可外保育>
・川崎認定保育園 80ヶ所
・川崎市地域保育園 26ヶ所
川崎市の各区役所では保護者の保育ニーズに応じて、川崎認定保育園や年度ごとの「年度限定型」保育事業などさまざまな保育の選択肢の提案をし、きめ細やかなサポートにも力を入れています。子どもたちを安心して預けられる環境が整ってきていることは、働く子育て世帯にとっては嬉しい限りです。
川崎市の子育て支援情報
川崎市の子育てビジョンは『子どもたちの笑顔があふれるまち・かわさき』です。質の高い幼児期の学校教育や保育の提供、保育の量的拡大と確保、地域の子ども・子育て支援の充実に力を入れています。
最新情報は、川崎市の公式ホームページでご確認ください。
川崎市の子育て支援情報(1)こどもまんなか応援サポーターによる活動
川崎市では、こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同し、「こどもまんなか応援サポーター」として「未来を担う子ども・若者がすこやかに育ち成長できるまち・かわさき」を目指しています。市内には、こどもまんなか応援サポーターとして活動している企業や、事業者によるイベントがよく開催されています。子どもが主体となってさまざまな経験ができるイベントも多く、楽しそうに取り組んでいる姿を見ることができます。
川崎市の子育て支援情報(2)ジモイク川崎
川崎市内の地域子育て支援センターや、保育園などの子育てイベントや講座に関する情報を調べたり、予約したりできる無料のWebアプリです。わが家でも「ジモイク」をよく利用しています。これにより、24時間いつでも子育て講座やイベント情報をチェックし、すぐに予約ができるようになりました。肝心なときに配布物などが見当たらないことが多いわが家にとって、アプリで見られるのはとても便利です。
川崎市の子育て支援情報(3)わくわくプラザ
小学校1年生〜6年生までの希望者が利用できる遊び場です。学童と違い、利用条件はなく、市内の各小学校内にあります。放課後や土曜日・長期休暇などに利用できます。基本的に無料ですが、万が一に備えて保険の加入(年額810円程度)と、希望者には実費でおやつの提供があります。
わが家の子どもたちはまだ小さいので「わくわくプラザ」を利用したことはありませんが、小学生以上の子どもがいる共働き世帯にとって助かる施設です。(川崎市ではより多くの児童が利用できるように、公立の学童保育を廃止し、2011年より「わくわくプラザ」に統合されています。)
川崎市の子育て支援情報(4)産後ケアの充実
宿泊型産後ケアや産後の一時預かり・産前産後のヘルパー・相談窓口(電話・LINE対応。子どもからの相談もOK )などに対応しています。2024年10月、川崎市では産後ケアの内容が以前に増して充実しました。産後ケア施設に6時間滞在できる日帰りプランや、自宅への訪問型など、産後のママの状況によって使い分けできます。
主なプランは、以下のとおりです。
<宿泊型>
1泊2日~最大6泊7日まで
料金:1泊2日15,000円
(延泊ごとに7,500円追加)
<【日帰り】ロング型 >
1日6時間 7,500円
<【日帰り】ショート型>
1回90分 4,000円
<【訪問型】>
1回90分 5,000円
※すべてのプランについて、お子さん一人につき、通算して7日(回)以内という利用制限があります。
川崎市の子育て支援情報(5)小児医療費助成事業
健康保険に加入している、0歳〜中学卒業までの子どもが対象の制度です。通院医療費と入院医療費とそれぞれ助成内容は異なりますが、基本的にどちらも所得制限はありません。対象の子たちには、医療証が発行されます。
通院の場合、小学3年生までが全額助成となり、小学4年生〜中学3年生までが一部助成(1回500円までの窓口負担)となります。調剤・入院は0歳〜中学3年生までの全員が全額助成を受けられます。子どもはすぐに風邪をひくので、この制度はありがたいです。
わが家の長女は、しょっちゅう風邪をひきます。悪化する前に病院に連れていくことから、受診の回数が多くなるので、全額助成はとても助かっています。
川崎市での子育て体験談
ここでは実際に、川崎市に住んで感じた子育て事情を紹介します。
川崎市で子育てをする魅力
まずは、子育て中に感じた川崎市の魅力です。
川崎市で子育てする魅力(1)道路の整備と歩行者の安全確保
川崎市は全体的に平坦な道が多いためか、自転車を利用している人をよく見かけます。川崎駅前の駐輪場は東口と西口と合わせて15施設以上あります。それでも私が学生の頃は、常に満車状態だったのを思い出します。通勤・通学の時間帯のバスの本数はかなり多いのですが、徒歩30分くらいの距離なら自転車を使う人が多かったように思います。
そのため、自転車専用レーンの整備や道幅の拡張など、道路環境を整える取り組みがされている場所が多くあります。このおかげで、歩行者としても自転車を利用する側としても、お互いに安全に通行できるようになりました。
川崎市で子育てする魅力(2)駅前に集約された商業施設
駅前に商業施設が集約されているため、子どもとのお出かけがとても楽です。川崎駅に直結した大型商業施設が複数あり、さらに駅の東側には大きな地下街が広がっています。駅から少し距離のある場所であっても、広い歩道があるなど、ベビーカーでも行きやすい施設がたくさんあります。
また、ほとんどの施設までの道には屋根が付いているので、雨の日や真夏の暑い日でも快適に移動することが可能です。子どもとお出かけの際、エレベーターを探すのに苦労した経験がある方も多いかもしれませんが、川崎駅周辺は階段のすぐ近くに必ずといっていいほどエレベーターが設置されています。台数も多いので、私の経験上、エレベーター探しに疲弊することはほぼありません。
川崎市の子育て環境
川崎市は、子どもの遊べる施設や公園が充実しています。子どもの年齢に合わせた遊べる施設が、屋内から屋外までたくさんあります。そこで、数ある中からおすすめのスポットを紹介します。(全スポット2024年10月時点での情報です。お出かけの際には事前に公式サイトをご確認ください。)
川崎市の子育て環境(1)夢見ヶ崎動物公園
川崎市幸区にある動物園で、入場料は無料です。こちらではレッサーパンダやアライグマといったかわいらしい動物を見られます。大型の動物はいませんが、小さなお子さんを連れて回るのにぴったりの広さです。
施設名:夢見ヶ崎動物公園
所在地:川崎市幸区南加瀬1-2-1
開園時間:9:00〜16:00
休園日:なし(年中無休)
アクセス:
・JR南武線 鹿島田駅 徒歩 約20分
・JR横須賀線・湘南新宿ライン 新川崎駅 徒歩 約15分
川崎市の子育て環境(2)TOYLO PARK powered by リトルプラネット グランツリー武蔵小杉
こちらは、子どもも大人も楽しめる遊び場です。「テクノロジー」×「遊び」をテーマに、最新のデジタル技術を活用したアトラクションを体験することが可能です。プロジェクションマッピングで映し出された影絵やぬりえなどを使って、子どもの非認知能力を育むことを目標としています。頭や身体をめいっぱい動かして楽しめるのが魅力です。そして、室内施設になっているので、天候を気にせず子どもを遊ばせてあげられる点も嬉しいポイントです。
施設名:TOYLO PARK powered by リトルプラネット グランツリー武蔵小杉
所在地:神奈川県川崎市中原区新丸子東3丁目1135番地1号 グランツリー武蔵小杉 4F
営業時間:10:00 ~ 20:00
定休日:グランツリー武蔵小杉の定休日に準ずる
アクセス:JR東日本/東京急行電鉄「武蔵小杉駅」から徒歩4分
川崎市の子育て環境(3)川崎市子ども夢パーク
川崎市子ども夢パークは、高津区にある無料の遊び場です。さまざまな体験ができるエリアに分かれていて、アスレチックや泥遊び、楽器演奏など、子どもが興味を持って楽しめる施設になっています。また、乳幼児優先の室内遊び場もあるので、子どもが小さいうちから気軽に遊ばせてあげられる環境があります。外で遊ぶ場合は、かなり泥んこになるので、予備の着替えが必須です。
施設名:川崎市子ども夢パーク
所在地:神奈川県川崎市高津区下作延 5丁目 30番地 1号
営業時間:9:00 ~ 9:00
休園日:毎月第3火曜日・年末年始・臨時施設点検日
アクセス:JR南武線「津田山駅」から徒歩5分(駐車場は車椅子専用スペース以外ありません)
川崎市の子育て環境(4)電車とバスの博物館
こちらの博物館は、電車とバス好きな子にぴったりです。特に運転シミュレーターは、まるで本物の電車やバスを運転している気分になれるので、おすすめです(入場料とは別に料金がかかります)。ほかにも、大迫力の模型やジオラマを見たり、電車内を歩いたり、電車やバスのシートに座って休憩もできます。
施設名:電車とバスの博物館
所在地:神奈川県川崎市宮前区宮崎2-10-12
営業時間:10:00~16:30(最終入館16:00)
休館日:毎週木曜(木曜が祝日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)
アクセス:東急田園都市線「宮崎台」駅直結
川崎市の住まい事情
川崎市は全部で7区に分かれており、街によって家賃相場や住環境に違いがあります。実際に住むとなったら、どこがいいでしょうか。
わが家は子どもが生まれてから、 1LDKの賃貸の家が手狭になったので、引越しを検討しました。その際に、一駅隣の横浜市の鶴見駅も視野に入れて探しましたが、一駅違うと市も変わるためか、家賃相場にも差がある印象でした。
ここでは、現在私が住んでいる川崎市(川崎区)と、近隣の横浜市の家賃相場を比べてみました。間取りは、子育て世帯が住みやすい2K・2DK・2LDKです。川崎駅がある川崎区は18.75万円です。続いて、近隣の横浜市では、横浜駅のある西区が24.29万円と6万円程差がありました。
横浜市は新幹線の停車駅もあり、都内へのアクセスもよいため、川崎市内の家賃相場と比べると高くなるのは納得です。川崎駅は、南武線・東海道本線・京浜東北線の3路線となっています。横浜駅は東海道本線・京浜東北線・根岸線・横須賀線・湘南新宿ラインの5本のJR路線が乗り入れています。
通勤・通学に利用する路線があるのであれば、より家賃相場が低い川崎市が経済的にもよいのではないでしょうか。
川崎市の子育て世帯におすすめエリア
ここでは、子育て世帯におすすめの川崎市内のエリアについて、紹介します。
川崎市の子育て世帯におすすめエリア(1)武蔵小杉駅エリア
武蔵小杉駅周辺は、川崎市内でも特に子育て世帯におすすめしたいエリアです。理由としては、子育て支援施設・買い物環境・教育環境・医療環境の充実です。治安がよく、交通利便性がよいなどが挙げられます。また、ファミリー向けの施設が充実しているのも、魅力の一つといえます。
武蔵小杉駅周辺には、多くの医療施設があります。専門医院はもちろん、関東労災病院・日本医科大学武蔵小杉病院などの総合病院もあるため、万が一のときにも安心です。
川崎市の子育て世帯におすすめエリア(2)元住吉駅エリア
元住吉駅のある中原区では、川崎市と一体となり、さまざまな子育て支援を展開しています。たとえば、子育て中の家庭同士がつながるきっかけづくりの会や、保育所と地域子育て支援センターなどの施設の整備に力を入れています。
交通の利便性の面では、東急東横線・東急目黒線が乗り入れていて、都内や横浜などの都心部に出やすく、通勤や通学にも便利です。ほかにも、日用品や食材が購入できる地域に密着した商店街があり、子どもを連れての買い物も楽しめます。
川崎市の子育て世帯におすすめエリア(3)川崎駅エリア
川崎駅周辺のエリアは、保育園や幼稚園や地域子育て支援センターなど、安心して子どもを預けられる施設が多くあります。駅チカの保育施設であれば、通勤にも便利です。また、公園や商業施設など、子どもと一緒に出かけやすい場所も豊富です。
生活必需品が購入できるスーパーや複合型商業施設も充実していて、交通の利便性もよいため、子育て世帯には住みやすい環境といえるでしょう。
たくさんの魅力がある川崎市でのびのび子育てを。
川崎市は7つの区から構成され、街それぞれが個性豊かに発展してきています。これは、川崎市が多摩川に沿うように長い地形をしており、多くの鉄道路線が通っているからです。比較的どの街も交通の便がよく、子育て支援に力を入れている印象があります。さらに、駅前などの再開発に積極的に取り組んでいるのも事実です。
近代的な商業施設が立ち並び、利便性に富んだイメージの川崎市ですが、多摩川や鶴見川が隣接していたり、丘陵地帯があったりと自然豊かな顔も持ち合わせています。それぞれのニーズに合った街を選ぶことで、より快適な生活を送れるでしょう。
首都圏方面への引越しをお考えの方は、ぜひ川崎市も視野に入れて検討してみてください。