江東区は、東京23区の東南端に位置する街です。区内には隅田川や荒川が流れ、東京湾にも面していることから“水彩都市”として知られています。運河や公園が多く、自然環境が豊かな点が魅力です。
わが家は結婚後に子育てを視野に入れ、江東区を選んで引越してきました。実際に妊娠・出産を経て、子育てをする中で感じたのは、江東区の周辺環境が子育てに向いていることです。この記事では、江東区で4歳と1歳の子育てをする私が、江東区が子育てに向いている理由とおすすめのエリアについてお伝えします。
江東区で子育て中
まず、江東区の概要を紹介します。
江東区の概要
江東区の面積は42.99平方キロメートルで、東京都の東南端に位置しています。大田区・品川区・港区・中央区・墨田区・江戸川区の各区と隣接しており、墨田川や荒川、東京湾にも面しています。2024年10月1日現在、江東区の人口は約541,000人です。
江東区の発展は、江戸時代初期の埋め立てと新田開発から始まっています。深川地区は縦横に走る河川を利用して、木材・倉庫業、米・油問屋の街として栄えました。また、社寺の祭礼などの行事を中心に遊興地としても賑わいました。
一方、城東地区は江戸近郊の農地として栄え、西瓜、カボチャ、ナス、ネギなどの野菜類を耕作していました。この辺りは行楽地としても知られていたようです。
江東区といえば、伝統的なガラス工芸品「江戸切子」や、アサリやハマグリを使った郷土料理「深川めし」があります。また「極堅深川」という、噛みしめるほどに堅さが増し、美味しさが広がる江戸せんべいもあります。
そして、江東区は何といっても、都心へのアクセスがよいです。10の鉄道路線が走っており、都バスも南北に9系統縦断しています。また、2030年代半ばの開業を目標に、東京メトロ有楽町線豊洲駅~東陽町と東陽町~住吉駅間に、2つの中間新駅を設置する計画が進められています。今後は、より利便性も向上していくでしょう。
わが家が子育て環境に江東区を選んだ理由
私たち夫婦は、結婚するまで別の地域で暮らしていました。しかし、結婚後は将来の子育ても視野に入れて、間取りの広い家に引越しを決意しました。私たちが江東区を選ぶ決め手となった3つのポイントを紹介します。
子育て環境に江東区を選んだワケ(1)都心へのアクセスが便利
結婚当初、私は勤務していた江東区から郊外への異動が決定しました。また、夫は勤務地が変わる仕事なので、区内外へのアクセス利便性がよい場所を検討していたところでした。実際に江東区で勤務していた経験から、電車の駅や路線が多いことやバスの本数が多いことを知っていました。
子育て環境に江東区を選んだワケ(2)治安がよいイメージがあった
独身時代に住んでいたエリアは繁華街が近く、治安に不安を感じることがありました。そんな経験をしたからこそ、将来の子育てを考えて治安のよい場所を選ぼうと決めていました。江東区は、街頭防犯カメラの設置や子ども110番の家の設置、パトロールカーが巡回するなど、生活の身近な場所で防犯対策がされていると感じています。
子育て環境に江東区を選んだワケ(3)公園が多い
もともと私も夫も自然遊びや運動が好きだったので、公園などの自然環境が近い場所に魅力を感じていました。調べてみると、児童遊園は99ヶ所、区立公園は172ヶ所、そして規模の大きい都立公園は7ヶ所あり、近くに複数公園があることがわかりました。
都立公園など大きな公園では、春はお花見やピクニック、夏はじゃぶじゃぶ池で水遊び、秋はバーベキューなど、季節ごとにさまざまな楽しみ方ができます。毎年10月に都立木場公園で開催される江東区民まつりは地域の文化や交流を促進し、子どもたちが楽しめるアクティビティや出店が楽しめる大規模なイベントが行われています。
住んで分かった江東区の子育て事情
わが家は現在、夫と4歳の娘と1歳の息子の4人で、江東区の賃貸マンションに住んでいます。ここからは、実際に住んでみてわかった江東区の子育て事情をお伝えします。
数字で見る江東区の子育て事情
2024年10月1日現在、江東区の0~5歳の人口は約24,000人です。2019年10月1日時点の0~5歳の人口は約28,000人だったことから、5年前と比較して減少傾向にあることがわかります。
2019年度に51人いた待機児童は、積極的な施設整備により、2022年4月に待機児童ゼロを達成しました。
江東区には「保育園ナビゲーター」という相談窓口があり、保育園の申込時期・方法についてのサポートや、保育サービスに関する情報が得られます。私も初めての“保活”(認可保育園入園活動)のときから、何度も助けられています。
江東区が扱う保育施設は、全部で213園です。(令和7年度保育施設MAPより) 詳細は、以下のとおりです。
・認可保育園…187園(区立27/公設民営17/私立143)
・認定こども園…1園
・小規模認可保育園…12園
そのほかにも、病児・病後児保育事業や休日保育事業があるので、働くパパママの強い味方になっています。
また、江東区の認可外保育園へ入園する場合は、“保護者負担軽減補助金”が支払われます。希望する認可保育園への入園が困難、もしくは近所の認可外保育園を希望する場合でも安心して利用できます。
なお、江東区の公立幼稚園は16園、私立は幼稚園が11園、こども園が4園、類似施設が1園あります。
江東区の子育て支援情報
江東区は、子どもたちのために何がもっともよいことかを常に考え、子どもたち健やかで幸せに成長できる「こどもまんなか社会」の実現を目指しています。
正直なところ、将来何人子どもを持ちたいかを夫婦で考えたときに、問題になるのは金銭面だと思います。
そこで今回は、江東区の子育て支援のうち、魅力を感じた5つの施策を紹介します。
※子育て支援制度は頻繁に変わるため、最新情報は江東区の公式ホームページをご確認ください。
江東区の子育て支援情報(1)出産・子育て応援事業
妊娠中から妊産婦に寄り添い、支援する交付金が創設されました。妊婦1人につき5万円相当のクーポン、出産すると子1人につき10万円相当のクーポンが経済的支援として支給されます。
・出産応援ギフト(妊婦1人につき5万円相当のクーポン)
対象者:2023年3月1日以降に妊娠した妊婦
支給要件:妊娠届の提出、妊婦(ゆりかご)面接を受けたあと申請意向確認書等に電子回答
申請期限:妊娠期間中まで
ゆりかご面接を受けると、妊婦さんへのプレゼント(こども商品券1万円分)も受け取れます。このこども商品券は、タクシー代の支払いにも使えるので、わが家は妊娠~乳児期にとても助かりました。
・子育て応援ギフト(子1人につき10万円相当のクーポン)
対象者:2023年3月1日以降に出生した子の養育者
支給要件:出生届の提出、新生児・産婦訪問指導を受けたあと申請意向確認書等に電子回答
申請期限:生後5ヶ月を迎える日の前日まで
私が2人を出産したあと、新生児・産婦訪問指導は、どちらもベテランの助産師さんが家まで来てくださいました。赤ちゃんの体重測定や、授乳の悩みも親身になって聞いていただけたので、とても気持ちが楽になったことを覚えています。
江東区の子育て支援情報(2)妊婦健診費助成制度
妊娠された方は、妊娠健康診査(以下、妊婦健診)を都内の契約医療機関で受診できます。妊娠の届出をすると、14回分の妊婦健診受診票、4回分の妊婦超音波検査受診票、1回分の妊婦子宮頸がん検診受診票がもらえます。
・助成上限額
1回あたり5,140円(2024年度助成上限額)
※医療機関での指導内容や検査項目により自己負担額が発生します。
・対象者
2024年10月1日以降に妊娠届を提出した方
江東区の子育て支援情報(3)産後ケア事業
江東区は、出産後のママさんへ寄り添ってくれる産後ケアが3種類あります。産後は想像していなかった悩みが尽きないものです。1人で抱えず、区の支援を利用することでリフレッシュできるでしょう。
【宿泊型産後ケア】
産後4ヶ月未満のママさんと赤ちゃんが施設に宿泊し、心身のケアや育児アドバイスを受けたり、睡眠不足などで疲れているときは赤ちゃんを預けて休養の機会をもらえたりします。(4泊5日まで・1回のみ)
・宿泊数ごとの利用者負担金
1泊2日/8,200円
2泊3日/12,300円
3泊4日/16,400円
4泊5日/20,500円
・内容
母体ケア(母体の健康状態のチェックなど)
乳児ケア(乳児の健康状態、体重のチェックなど)
育児相談、授乳指導、休息、食事の提供(入所日の昼食~帰宅日の昼食まで)
【日帰り型産後ケア】
産後4ヶ月未満のママさんと赤ちゃんが日帰りで、施設にて心身のケアや育児アドバイスを受け、休養の機会をもらえます。(1回、必要に応じて2回まで)
・利用者負担金
3,300円(母子各1人のとき)
・内容
母体ケア(母体の健康状態のチェックなど)
乳児ケア(乳児の健康状態、体重のチェックなど)
育児相談、授乳指導、休息、食事の提供(利用日の昼食)
【乳房ケア】
産後1年未満の母乳育児に関して、心配のあるママさんの自宅に助産師が訪問し、乳房ケアをしてくれます。また、指定の医療機関で受けることも可能です。(訪問、外来どちらか1回のみ)
・利用者負担金
1,100円
・内容
助産師による乳房ケアや授乳指導
このように、宿泊型や日帰り型などの産後ケアは頼もしい方々によるフォローで、心置きなく休めるのが嬉しいポイントです。
江東区の子育て支援情報(4)児童手当
【手当額】
2人まで 3歳未満
手当額(1人/月)…15,000円
3歳~高校生年代
手当額(1人/月)…10,000円
3人目以降(年齢不問)※1
手当額(1人/月)…30,000円
※1:上の子が22歳到達後の最初の3月31日で“児童1人目”から外れるので、それまで3人目だった子は2人目というカウントになる。
2024年10月分からは、以下のように制度が変わりました。
・所得制限の撤廃
・支給対象を“中学生まで”から“高校生年代”まで延長
・第3子以降の支給額を30,000円に増額(多子加算)
・支給される月が“年3回”から“年6回(各偶数月)”に変更
江東区の子育て支援情報(5)子ども医療費助成
対象者:高校3年生等(18歳到達後の最初の3月31日)までの子どもを養育して同居している、健康保険制度に加入している保護者
助成内容:
・医療機関などで支払う医療費のうち保険診療の自己負担分
・補装具(治療用めがね等)で健康保険組合が給付を決定したもの
助成対象とならないもの:
・健康保険適用外のもの(健康診断、予防接種、薬の容器代、文書料、差額ベッド代など)
・入院時の食事代
・交通事故などの第三者行為による治療費
・学校、幼稚園、保育園などの管理下でけがを負った場合(日本スポーツ振興センター法が適用される医療費)
・各健康保険組合などから支給される高額療養費、付加給付金に該当するもの
・ほかの公費負担医療制度で助成を受けられるもの
この制度はとてもありがたいと思っています。子どもが体調を崩しやすいと病院代もかさみますが、医療証があることで自己負担はゼロです。そしてわが家の場合、息子が1歳半のときに入院、喉の手術をしました。検査費用や手術費用、薬代など自己負担額は一切ありませんでした。実際にかかったのは食事代のみで、子どもを育てるうえで大きい支援だと実感しています。
江東区での子育て体験談
ここからは、実際に江東区で子育てしている私が、江東区での子育てをおすすめする理由について、体験談を交えながら紹介します。
江東区で子育てをする魅力(1)公園が多い
江東区は都心に近いにもかかわらず、公園が多いので、お花の観察や虫取り、ドングリ拾いなど自然遊びも十分に楽しめます。そして、川や海が近いので、親子で気軽に釣りが楽しめるところも魅力です。釣れた魚は親子で調理することで食育もできます。
江東区で子育てをする魅力(2)子育てに関する相談ができる場所がある
江東区には「子ども家庭センターみずべ」という場所があります。これは、親子で遊べる場所や子育ての悩みを相談したり、子育て仲間を作ったり、家にいる子どもを一時的に預かってくれたりなど、さまざまなニーズに応えてくれる場所です。
“みずべ”は江東区内に8ヶ所 “児童館”は17ヶ所あります。子育てひろばでは季節ごとのイベントも開催されるので、親子で楽しみながらお友達を作ったり、交流できたりします。お家で子どもと1対1になりがちなママさんの息抜きの場になるでしょう。
私が第一子の子育てのときは、コロナ禍でイベントも少なく制限がありましたが、現在はとても利用しやすくなりました。
江東区の子育て環境
江東区内の公園は比較的近くに何ヶ所かあるエリアが多いので、飽きずに遊びに行きやすいです。ショッピングモールも多いので、雨の日だけでなく、猛暑の日など天候にかかわらず、子どもを疲れるまで遊ばせたり親の気分転換ができたりします。
施設名:有明ガーデン
所在地:東京都江東区有明2丁目1-8
アクセス:新交通ゆりかもめ「有明」駅から徒歩4分、「有明テニスの森」駅から徒歩3分
りんかい線「国際展示場」駅から徒歩6分
営業時間:10:00~21:00(レストラン・カフェ11:00~23:00)
江東区の住まい事情
江東区への引越しを検討するうえで気になるのは、家賃などの住まい事情です。
ここでは2024年10月23日時点での2LDK・3K・3DKの家賃相場を近隣地域と比較しています。江東区の賃料は21.50万円で、高い順で見てみると23区中16位です。
近隣の中央区は28.25万円、墨田区は20.47万円、江戸川区は16.61万円と、都心部から離れるにつれて家賃相場が低くなることがわかります。
都内への通勤や通学の必要がある世帯には、交通の利便性が高い江東区は住みやすい街といえます。江東区は電車の駅や都営バスの停留所、走っている本数も多いので、車は必要なときだけカーシェアやレンタカーを利用するのが経済的です。
江東区の子育て世帯におすすめエリア
ここからは、子育て世帯におすすめしたいエリアについて紹介します。
江東区の子育て世帯におすすめのエリア(1)住吉駅周辺
私が実際に生活している住吉駅周辺は、江東区内でも比較的家賃が安く、子育て世帯が暮らしやすい街です。東京メトロ半蔵門線と都営新宿線の2線が利用でき、半蔵門線は2駅で東京スカイツリー®のある「押上」駅へ、「渋谷」駅には30分もかからずに行けます。
また、住吉駅を降りると「ニトリ」やスーパー「ライフ」があるので、買い物も便利です。
アカチャンホンポの入っているアリオ北砂、映画館や飲食店なども多い「錦糸町」が自転車で行ける範囲にあるので、車を持たなくても暮らしやすいです。
江東区の子育て世帯におすすめのエリア(2)豊洲駅周辺
豊洲駅周辺はファミリー世帯も多く、道も広いので歩きやすいです。東京メトロ有楽町線や新交通ゆりかもめが通っており、ゆりかもめで「台場」駅まで約17分、有楽町線で「池袋」駅までは30分ほどで行けます。
また、豊洲駅周辺には、映画館、子どもの職業体験が楽しめるキッザニアなどがある「アーバンドック ららぽーと豊洲」、2018年にオープンしたデジタルアート施設「チームラボプラネッツTOKYO」など、子どもも大人も楽しめる施設があります。
さらに、子ども向けの遊具やじゃぶじゃぶ池があり、四季折々の花木も楽しめる「豊洲公園」も魅力的です。毎週末はキッチンカーなどが来て、さまざまなイベントが開催されるのでわが家もよく出かけています。
江東区は都心の近くでありながら自然豊かな環境で子育てができる街
住んだことのない地域に住むのは、勇気が必要だと思います。そんな方へ、安心して子育てできる街として江東区をおすすめしたいです。都心へのアクセスも便利で、自然豊かな環境がそろっています。また、実際に暮らしていて日々よりよい環境へ変化している街だと感じます。
江東区へ引越しを考えている方は、ぜひ足を運んでみてください。