大阪府茨木市は大阪の北摂と呼ばれるエリアにあり、大阪と京都の中間に位置しています 。豊かな緑が多く、鉄道・バス・高速道路といった交通網が発達しており、都会と田舎のいいとこ取りをした“ちょうどいい”街です。
生まれも育ちも茨木市の私は、結婚後も茨木市で子育てすることを決意。現在市内で3児の子育ての真っ最中です。今回の記事では実際に茨木市で子育てして感じた魅力について、市民ライターがリアルな印象をお伝えします。
茨木市で子育て中
まずは茨木市がどのような街なのか、概要を紹介します。
茨木市の概要
茨木市は大阪府の北摂エリアに位置する中核都市で、豊かな自然と歴史、交通の利便性を生かしている街です。北摂の中でもベッドタウンのイメージを持たれる茨木市ですが、2017年2月に「次なる茨木へ。」というスローガンが制定され、取り組みの一部として老朽化した建物の改装や時代に合わせたアップデートが進められています。
茨木市は、教育に力を入れています。昨今では、立命館大学・追手門学院大学のキャンパス増設をきっかけに周辺エリアの開発が進み 、子どもと大人が一緒に楽しめる商業施設や公園が増えました。
2023年11月には、茨木市の新たなランドマークとなる子育て・文化複合施設「おにクル」 が誕生しました。「おにクル」は子育て支援のほか図書館やプラネタリウム、コンサートホール・遊び場・カフェなどが入る多機能施設です。100回以上のワークショップを開催し、延べ2,000人以上の参加者とともに作り上げられた“市民の声が反映された”施設です。機能・デザインともにこれまでに例を見ない公共施設として、注目されています。
全国的に少子化が進む中、このような背景から茨木市は市外からの転入が多く、年々人口が増加傾向にあります。
わが家が子育て環境に茨木市を選んだワケ
私が結婚後も生まれ育った茨木市に籍を置いた理由の1つは、アクセスのよさです。茨木市は阪急電鉄・JR・大阪モノレールといった複数の鉄道駅があり、高速道路のICも近いため、お出かけの選択肢が多いです。
JRなら大阪駅まで最短15分 、京都駅まで最短26分。 学生や社会人の頃から気軽に都心へ出かけられる環境にあったことから、子どもが生まれてからも同じように楽しめるだろうと感じていました。
また、自然が近くにある場所で子育てをしたいという希望もありました。茨木市内には、市街地から車で15分ほど行ったところに「いばきた 」と呼ばれる山間部があります。産直の野菜が買えるお店や川遊びができる場所、バーベキューができる施設があり、思い立ったらすぐにアウトドアが楽しめる魅力的な場所です。
実際どう?茨木市の子育て
私は茨木市内の比較的郊外に住んでいますが、子連れでの買い物やお出かけに困ったことはありません。ここからは、実際に住んでいて感じる茨木市のリアルな子育て事情を紹介します。
数字で見る茨木市の子育て事情
以前から全国で問題視されている保育施設の待機児童問題。茨木市では待機児童解消施策に取り組んでおり、2020年に待機児童ゼロを達成しました。 そこから2023年度まで現状を維持しています。
具体的には、2015年~2018年度は合計661人分で、2019年~2021年度では合計688人分の保育の受入体制について新たに整備・確保しました。
茨木市の保育施設数は、2024年8月1日時点で88ヶ所あります。 内訳は以下のとおりです。(公立・私立を含む)
・認可保育所23園
・認定こども園44園
・小規模保育事業19園
・事業所内保育事業2園
特に大規模マンションの開発が進む東部ブロックを中心に、今後も保育需要が高まることが予想されており、茨木市では整備計画を制定して継続的に取り組んでいます。
茨木市の子育て支援情報
茨木市は「次なる茨木へ」を合言葉に、市独自の「茨木市次世代育成支援行動計画」を策定し、子どもの最善の利益が実現される社会をめざした施策を実施しています。ここでは、私が実際に茨木市で子育て中に嬉しかった支援情報を3つ紹介します。
茨木市の子育て支援情報(1) こども医療費助成制度
茨木市では、18歳到達後の最初の3月31日までの子どもを対象に、入院・通院にまつわる保険診療の自己負担分を助成する「こども医療費助成制度」を実施しています。子どもが小さい頃は、病気やケガで病院にお世話になる回数は多いものです。
茨木市なら子どもの自己負担額は1回あたり500円。月2回までは同病院で費用が発生するものの、月3回目以降の診療は無料になります。
実際に私の息子は小学生のとき骨折しましたが、入院・手術をしても1日500円の自己負担で済みました。(※入院時の差額ベッド代や各種文書料などは対象外です)
茨木市の子育て支援情報(2) 伴走型出産・子育て応援事業
2023年2月から始まった茨木市独自の新しい子育て支援です。妊娠期から出産・子育てまで一貫して子育て家庭に寄り添う支援で、伴走型相談支援と経済的支援の2つの軸で成り立っています。
・伴走型相談支援…(1)妊娠届出時、(2)妊娠8ヶ月頃(希望者)、(3)出生届出後の3回のタイミングで、保健師・助産師・保育士さんとの面談を実施
・経済的支援…妊娠届出時と出生届出後に2回ギフトを支給(ギフトは妊婦一人あたり5万円+児童一人あたり5万円の合計10万円分)
ギフトという名称ですがプレゼントは物資ではなく現金が口座に振り込まれるので、好きな用途に使えるところがポイントです。
茨木市の子育て支援情報(3) 一人も見捨てへん教育
茨木市の子育て支援の魅力は、子どもが大きくなってからも支援が充実しているところです。茨木市では教育委員会と現場が一体となって「一人も見捨てへん教育」というスローガンのもと、学力や非認知能力の発展に取り組み、実際に学力向上に成功しています。
具体的には、小学校から一人に1台タブレットを貸与してICT教育を推進。生徒個人に応じた学習支援を充実させるために、100人以上の介助員・医療介助員(看護師資格保有者)と、190人以上のスクールサポーターを小・中学校に配置しています。
茨木市には6つの大学があり、地域と連携を深めているところも特徴です。それぞれの専門性を生かした講座やイベントが各キャンパスで開催されています。大学内に併設された公園には、連日多くの子どもが集まっており、小さい頃から大学に触れることで教育への関心が高まっているように感じます。
茨木市の子育て支援情報(4) 就学援助制度・奨学金制度
茨木市では、小学校・中学校・高校に入学する際に、経済的支援が受けられる制度があります。経済的な理由で進学をあきらめる必要がないため、誰もが平等に学べる環境が整っているといえます。
・小学校入学準備金…一人あたり5万7,060 円を支給(対象)認定基準に該当する人
・就学援助制度…小中学校生活に必要な費用の一部を支給(対象)一世帯あたりの合計所得が所得基準額以下の人もしくは生活保護(教育扶助)を受けている人
・高校等入学支度金…第1子の場合一人あたり10万円、第2子以降の場合一人あたり18万円(対象)住民票が茨木市にあり、高校などの1年生として入学する予定かつ初めて茨木市の奨学金を受ける人
なお、小学校入学準備金や高校等入学支度金は、返済不要です。
茨木市の子育て支援情報(5) ファミリー・サポート・センター
ファミリー・サポート・センターとは、仕事と家庭の両立を支援し、子育てしやすい地域環境をつくることを目的に茨木市で行われている事業です。育児の援助を受けたい人と、援助をしたい人を市がマッチングしています。
<対象>
生後3ヶ月から小学6年生までの子どもの保護者
<依頼できる内容>
・保育所や幼稚園への送迎
・保育所や幼稚園の保育開始までと、終了後の子どもの預かり
・小学校の開始前や放課後、学童保育終了後の子どもの預かり
・幼稚園・学校の行事などでの子どもの預かり
・保護者の通院時や急用時の子どもの預かり
ファミリー・サポート・センターは事前の説明会参加や登録の手間はありますが、1時間700円~という安価で依頼できるところが魅力です。共働きで時間のやりくりに困っている人に、うってつけの制度といえるでしょう。
茨木市での子育て体験談
ここからは、実際に茨木市で子育てをして感じた魅力を紹介します。
茨木市で子育てをする魅力
茨木市は子どもの年代に合わせた施設が充実しています。子どもが産まれる前のパパ&ママクラスから始まり、出産後~未就学児の間は、子育てサロンやつどいの広場と呼ばれる場所に何度も足を運びました。同じ年代の子どもが集まって安全に遊べるだけでなく、先輩ママさんと話ができるので、悩みを相談したりアドバイスをもらったりすることが多かったです。何度も足を運ぶうちにママ友と呼べる存在もできました。
茨木市の子育て環境
茨木市は市が運営している公共施設以外にも、子どもが楽しめる場所が豊富にあります。
茨木市の子育て環境(1)岩倉公園
わが家の子どもが小さい頃気に入っていたのは、岩倉公園です。立命館大学いばらきキャンパス内にあり、ザイルクライミングやスプリング遊具などの一風変わった遊具が子どもたちから人気でした。
私は隣接のカフェでコーヒーを買って子どもが走り回るのを見守りながら過ごすことが多く、徒歩圏内に大型ショッピングモールがあるので、公園と買い物をはしごして遊ぶ親子も多いです。
岩倉公園の地面はクッション性のある材質でできていて、雨あがりの日に遊べるのも魅力的。防災機能も兼ね備えていて、災害時は避難場所になります。
施設名:岩倉公園
所在地:大阪府茨木市岩倉町2-2
アクセス:JR茨木駅から徒歩約7分
茨木市の子育て環境(2)こどもとmanabo
子育てをしながら、ほかにも何か楽しみを見つけたいと思っているママは多いのではないでしょうか。そのような人におすすめなのが、2021年にオープンした一時保育付シェアスペース「こどもとmanabo」です。「自分の教室」「エステサロン開業」など、ママがやりたい夢を叶えられる場所でもあり、レッスンに参加して親子でさまざまなことを学べる場所でもあります。
子どもが笑顔で何かに夢中になっている姿は、見ているだけで元気をもらえます。ピアノ・英会話・エステ・料理など、趣味ができれば交流関係も広がりますよ。
施設名:こどもとmanabo
所在地:大阪府茨木市下中条町7-8
アクセス:JR茨木駅から徒歩約7分
茨木市の子育て環境(3)おにクル
子どもが歩けるようになった時期におすすめなのは、図書館や木育広場です。2023年11月にオープンした新施設「おにクル」は、まさに乳幼児にうってつけの遊び場。 子ども向け図書館があるほか、木でできたおもちゃが並ぶ遊び場や芝生エリアもあります。小さいお子さんが自由かつ安全に楽しめるので、市外からも多くの親子が訪れています。
施設名:茨木市文化・子育て複合施設 おにクル
所在地:大阪府茨木市駅前3丁目9-45
アクセス:JR茨木駅・阪急茨木市駅からいずれも徒歩約10分
子育てはどうしても孤独な気持ちを感じやすいので、少し勇気を出して外に足を運んでみるのがおすすめ。心をほっとさせられる場所が茨木市には数多くあると思います。
茨木市の住まい事情
茨木市の賃貸相場を見てみると、ファミリー向けの2LDKは9万円台からと なっています。何かと比較されがちな隣の高槻市で2LDKは10万円台からとなっていました。 吹田市は13万円台からと なっており、北摂の中でも茨木市の賃貸の家賃相場は高くないようです。
ただし昨今は駅の近くに新築マンションが増えていて、価格も上昇しています。茨木市は特にエリアごとの特色が強いため、どのような環境で子育てをしたいかを明確にしてから、エリアを検討するとよいでしょう。
茨木市の子育て世帯におすすめエリア
最後に、子育て世帯に人気の茨木市内のエリアを2つピックアップして紹介します。
茨木市の子育て世帯におすすめエリア(1)中条エリア
中条エリアはJR茨木駅と市役所の間に位置し、まさに茨木市の中核にあたる場所です。市役所や子育て施設おにクルが徒歩圏内にあるほか、自転車で気軽に行ける距離に岩倉公園やこどもとmanabo、ショッピングモールもあります。習いごとの教室が密集していることもあり、教育に力を入れたい家族におすすめのエリアです。
施設名:イオンモール茨木
所在地:大阪府茨木市松ケ本町8-30-3
アクセス:JR茨木駅から徒歩約7分
茨木市の子育て世帯におすすめエリア(2)太田・総持寺エリア
太田・総持寺エリアは、日本遺産の「総持寺」を有する、歴史を感じられるエリアです 。市街地から少し離れているものの、追手門学院大学の新キャンパス建設とともに開発が進んでお り、注目度が高まっています。JR総持寺駅と阪急総持寺駅の2駅があり、交通の利便性も良好です。
一方で公園やグラウンド、大型スライダーが人気の市民プールなど子ども連れで楽しめるスポットが多いほか、車で少し走ればダムや紅葉の観光名所などがあり自然も豊富です。のびのびと子どもの個性を育てたい人におすすめします。
施設名:茨木市立西河原市民プール
所在地:大阪府茨木市西河原3丁目2-38
アクセス:JR総持寺駅から徒歩約15分
施設名:西河原公園
所在地:大阪府茨木市城の前町1
アクセス:JR総持寺駅から徒歩約10分
施設名:ダムパークいばきた
所在地:大阪府茨木市生保53-1
アクセス:新名神高速道路「茨木千提寺IC」から車で約5分
茨木市は子育て施設や支援が充実している街!
昨今、茨木市では子育て世帯におすすめの施設やスポットが数多く登場しています。建物が新しくなっているだけではなく、市民の声を聴いて市政が進められている実感があり、今後も住みやすさは向上していくでしょう。子育てに困ったら相談できる場所や人が充実しているので、孤育ての心配もありません。納得した子育てをしたいと考えている人にこそ、ぜひ訪れてみてほしい街です。
今回紹介した内容を参考に、ぜひ茨木市での子育てを検討してみてくださいね。