目黒区は、渋谷区や品川区に隣接していて交通利便性が高く、中目黒や自由が丘などのおしゃれなエリアのイメージが強いのではないでしょうか。そのため、子育て世帯が住みやすい環境というイメージと結びつかない方もいるかもしれません。
私自身、目黒区で子育てを始めるまでは、一人暮らしや二人暮らしの人にとっての魅力が多いエリアというイメージでした。
今回の記事では、実際に目黒区で子育てを経験した私が、子育て支援を利用して感じたことや子どもと過ごすなかで気づいた利便性の高さ、環境のよさについて紹介します。目黒区での子育てを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
目黒区で子育て中
はじめに、目黒区の概要について紹介します。
目黒区の概要
東京都23区の南西部に位置する目黒区 は、渋谷区・大田区・品川区・世田谷区と隣接しています。面積は14.67km2と23区内では16番目の大きさ で、2024年7月1日現在の目黒区の総人口は280,775人、総世帯数は161,114世帯 でした。
都心部近くに位置する目黒区は交通利便性に優れており、渋谷区と大田区を結ぶ形で目黒区の中心を通っている東急東横線が主要路線です。目黒区内では、この他に京王井の頭線や東京メトロ日比谷線などを利用できます。
<目黒区を通る鉄道路線>
・東急東横線
・東急目黒線
・京王井の頭線
・東急大井町線
・東京メトロ日比谷線
・東急田園都市線
・JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン(停車駅はなし)
目黒区を代表する主要な駅には、中目黒駅や自由が丘駅があり、高級住宅街として有名な青葉台・ 八雲・柿の木坂などもあるので、おしゃれで高級なイメージを持つ方が多いかもしれません。
実際に、中目黒駅や自由が丘駅周辺はSNSで話題となる店舗やトレンドの店舗が多いので、休日は多くの人で賑わっています。それ以外のエリアは、閑静な住宅街が中心の静かで落ち着いた場所がほとんどです。
わが家が子育て環境に目黒区を選んだワケ
私が目黒区を選んだ理由は、都心部に近く交通利便性に優れているという点が最も大きな理由でした。
当時は通勤の都合上、都心部と横浜方面のどちらにもアクセスしやすい場所で引越しを検討していたため、東急東横線が通る目黒区が候補に挙がりました。実際に住んでみると、交通利便性の高さだけでなく、閑静な住宅街が多いところや自然が多い点など、もともと感じていた魅力以外にも住みやすい環境が整っていることに気づきました。
その後、結婚・出産を経て目黒区での子育てが始まったのです。出産後に引越しを検討しなかったのは、目黒区の子育て支援や子どもと一緒に落ち着いた環境で過ごせたことが理由です。
実際どう?目黒区の子育て
それでは、目黒区の子育てに関する具体的なデータや子育て支援情報を見ながら、目黒区での子育てについてお伝えします。
数字で見る目黒区の子育て事情
2024年7月1日時点での住民基本台帳に基づく目黒区の総人口は約28万人 となっており、そのうち約4万人が0~19歳までの人口です。
<目黒区 年齢別人口>
・0~4歳:9,533人
・5~9歳:10,528人
・10~14歳:10,415人
・15~19歳:9,592人
目黒区の総人口から見ると19歳以下の人口は少ないように感じます。しかし総人口に対する0~14歳までの年少人口の割合で見てみると、目黒区は10.85% 、隣接する大田区の年少人口率は10.10% のため、他の区と比べて極端に少ないわけではありません。
また、保育園の待機児童数は2020年から0名 を維持し続けており、保育施設の定員数は2020年度から108名分増えました 。認可保育園に注目すると、定員数は361名も増えている ので、目黒区では認可保育園を中心とした保育施設の拡充を図っていることが窺えます。
目黒区の子育て支援情報
目黒区では、子どもの権利を尊重し、子どもが自らの意志でいきいきと成長していく「子育ち」を支えるまちづくりを、地域全体で総合的に進める「目黒区子ども総合計画」 を策定しました。
目黒区は、これからの子どもと子育てを支えるために、妊娠期や出産、子育て期を通じた切れ目ない支援を目指しているそうです。取り組みの一環として、学童保育クラブの拡充や保育施設を含めた施設整備に力を入れています。
ここからは、目黒区が取り組んでいる子育て支援情報の一部を紹介します。今回紹介する制度は、今後見直される可能性もあるので、利用する場合は目黒区の公式ホームページで最新の情報をご確認ください。
目黒区の子育て支援情報(1)めぐろ子育てホッ!とナビ
2020年4月1日から始まった取り組みが「めぐろ子育てホッ!とナビ」 の配信です。このサイトでは、目黒区の妊娠・出産や子育てに関する情報が取りまとめられており、地域のイベントを調べたり、区からのお知らせを受け取ったりすることが可能です。
サイト内にある目黒区の子育て支援情報検索では、目黒区の行政サービスを中心とした情報検索を行えます。子育て支援サービスごとに情報がまとまっているので、妊娠・出産を控えている方はもちろん、未就学児から高校生の子どもを持つ子育て期の方にとって使いやすい機能といえます。
目黒区の子育て支援情報(2)ゆりかご・めぐろ
「ゆりかご・めぐろ」 とは、目黒区に住む妊婦の方を対象に、ゆりかご相談員(助産師・保健師・看護師)が面接を行う、出産・子育て応援事業の1つです。
時間は30~40分ほどで、出産前の生活で気になることや産後についての不安を相談できる他、妊娠中や産後に利用できる目黒区のサービスについて案内してもらえます。この面談を受けると、目黒区から「ゆりかご応援グッズ」として下記が支給されます。
・育児用品カタログギフト1万円相当
・国からの出産応援ギフト電子クーポン5万円分
ゆりかご応援グッズには、新生児の衣服やママバッグなど産後すぐに活躍しそうなアイテムが充実しており、何かと物入りな育児中に嬉しい支援サービスです。
目黒区の子育て支援情報(3)めぐろ子ども子育てサポートグループ
目黒区内で子育て相談や親子の集い、交流の場の提供といった子育て支援活動を行っているのが、「めぐろ子ども子育てサポートグループ」 です。
活動しているグループに関する情報は、めぐろ子育てホッ!とナビから確認することが可能です。各グループの活動場所や活動サイクル、活動内容などが一覧になっています。
グループごとの活動内容は多岐にわたり、絵本・児童書の読み聞かせやプレーパーク活動といった子どもを中心にした活動以外にも、パパ・ママの交流スペースとして人気の子育てサロンもあります。
子ども同士やパパ・ママ同士の交流の場としては児童館も人気ですが、気軽に立ち寄れる場所に児童館がない方は、子育てサポートグループの活動を利用してみてください。
目黒区の子育て支援情報(4)子ども医療費助成制度
目黒区では、区内在住の健康保険に加入している、0歳から18歳到達後の最初の3月31日までの子どもを対象に、「子ども医療費助成制度」 を実施しています。
この制度を利用すると、保険診療でかかった医療の自己負担額を区が助成してくれるので、子どものケガや病気が重なった際も非常に心強いです。
わが家でも、子どもが保育園に入園してすぐの時期に風邪や感染症が続き、医療費助成制度の恩恵を受けました。医療費助成制度のおかげで、少しでも子どもの様子に違和感がある場合、すぐに病院に連れて行きやすいので、重症化の予防や家庭内感染の抑止につながっていると思います。
目黒区の子育て支援情報(5)ファミリー世帯家賃助成
「ファミリー世帯家賃助成」 は、18歳未満の子どもを扶養する世帯に対して目黒区が家賃の一部を助成する取り組みです。
助成を受けるには、目黒区の民間賃貸住宅(公的住宅・社宅・2親等以内の親族が所有するものを除く)に住んでいて、世帯の年間総所得金額が定められた金額以下であるなどの要件をすべて満たす必要があります。
助成額は月額2万円で、要件に該当すれば最長で3年間助成を受けることも可能です。
目黒区での子育て体験談
ここからは、目黒区で子育てをした私の体験談を交えながら、エリアの魅力や環境、おすすめのエリアなどを紹介します。
目黒区で子育てをする魅力
目黒区で子育てをする魅力は、交通利便性の高さと閑静な落ち着いた住環境で生活できる点です。
東急東横線をはじめ、京王井の頭線や東京メトロ日比谷線など、交通利便性の高い路線が利用できる目黒区は、都心部へのアクセスに優れているので通勤や外出時に便利です。交通利便性が高いと子どもとの外出時も移動しやすく、通勤時間を短縮できるため、子どもと過ごす時間を効率的に使えるでしょう。
また、目黒区では高級住宅街周辺だけでなく、どのエリアも駅から数分離れると閑静な住宅街が広がっています。そのため、都心部近くであることを感じさせない落ち着いた環境で生活でき、子どもとものんびりと過ごせています。
目黒区の子育て環境
区内のほとんどが住宅街となっている目黒区では、住宅街の合間に子どもたちが日常的に使いやすい規模の公園が整備されています。大きな公園は限られていますが、自然に触れ合える場所や公園の少なさに不満を感じたことはありません。
<目黒区の主な公園>
・碑文谷公園
・清水池公園
・中目黒公園
・菅刈公園
・駒場公園
・林試の森公園
林試の森公園は、品川区と目黒区の区境に位置する大きな公園です。公園の中心には池があり、芝生や広場、遊具が充実しているので休日は子ども連れの家族で賑わいます。園内には緑が多いので森林浴や散策、ランニングにもぴったりで、親子が一緒に楽しめる場所です。
目黒区の公園はバラエティに富んでおり、洋館や江戸時代の屋敷がある公園、日本庭園を見学できる公園、動物広場やポニー園を併設している公園などもあります。
目黒区の住まい事情
青葉台・八雲・柿の木坂・碑文谷・自由が丘などの高級住宅街がある目黒区は、東京都内でも家賃相場は比較的高めのエリアです。
目黒区に隣接する区と比較すると分かるように、近隣エリアでは渋谷区に次ぐ家賃相場の高さとなっています。
<1LDK・2K・2DKの家賃相場>
・目黒区:20.17万円
・渋谷区:23.31万円
・品川区:17.96万円
・大田区:14.55万円
・世田谷区:16.16万円
<2LDK・3K・3DKの家賃相場>
・目黒区:30.40万円
・渋谷区:34.35万円
・品川区:25.42万円
・大田区:20.79万円
・世田谷区:23.09万円
金額だけで比較すると目黒区の家賃相場の高さは目立ちますが、交通利便性が高くて閑静な住環境が整っている点、街や公共施設の整備が行き届いている点を踏まえると、決して高すぎる金額ではないと思います。
目黒区の子育て世帯におすすめエリア
ここまでお伝えしてきたように、目黒区はおしゃれで高級感のあるエリアという一面もありますが、交通利便性の高く閑静な住宅街が広がり落ち着いた環境が整っているので、子育て世帯にもおすすめのエリアです。
目黒区のなかでも特におすすめしたい2つのエリアを紹介します。
目黒区の子育て世帯におすすめエリア(1)学芸大学駅周辺
東急東横線沿線にある学芸大学駅は、急行を利用すると渋谷駅まで約6分で到着 する交通利便性の高い駅です。
駅の改札を出ると、左右に東口商店街と西口商店街があり、ファストフードや居酒屋を中心とした飲食店が充実 しています。改札の目の前には東急ストアがあり、商店街ではお惣菜を購入できるため、子ども連れでも買い物がスムーズです。
駅を出て高架下沿いを南に6分ほど歩いたところには碑文谷公園 があります。碑文谷公園の中心にある弁天池では、土日・祝日に30分200円でボートに乗ることが可能 です。
碑文谷公園には、モルモットやうさぎなどの小動物にさわったり抱っこしたりすることが可能な動物ふれあいコーナーや、ポニーの乗馬体験ができる「こども動物ひろば」 があります。
このように、学芸大学駅周辺は公園もあり、買い物に便利な商店街もそろっているため、親にも子どもにも魅力的なエリアです。
学芸大学駅周辺の住まいを探す
目黒区の子育て世帯におすすめエリア(2)都立大学駅周辺
2つ目に紹介するおすすめエリアは、学芸大学駅と同じ東急東横線沿線にある都立大学駅周辺 です。東横線沿線のため、都心部や横浜方面へのアクセスに優れているだけでなく、目黒通りも近い ので車で外出する際も便利でした。
私が都立大学駅周辺で子育てをしていて一番魅力的に感じたのは、八雲・柿の木坂などの高級住宅街が近くにあり、駅周辺も閑静で落ち着いた環境だったところです。
目黒区の主要エリアほど駅周辺は栄えていませんが、日常的な買い物に不便を感じることはありません。また、駅のすぐ裏の道にある呑川本流緑道 は車通りも少ないので、小さな子どもと一緒でも安心して散歩ができました。
都立大学駅周辺は、都心部へのアクセスに優れ交通利便性が高く、都心部に近いことを忘れるような落ち着いた環境が整っています。そのため、利便性を求めつつも、のんびりとした住環境で子どもと過ごしたいと考える方にはぴったりなエリアです。
都立大学駅周辺の住まいを探す
目黒区はおしゃれで高級なだけじゃない、子育て世帯に嬉しい環境が整った街
目黒区は、中目黒や自由が丘のようにおしゃれで高級なエリアがある一方で、閑静な住宅街と落ち着いた環境が広がるエリアでもあります。
都心部に近いため、目黒区全域が交通利便性に優れており、子どもとの外出時や通勤・通学にも便利なので、子育て世帯に合った街といえるでしょう。
また、目黒区では子育て世帯に向けた支援事業にも力を入れて取り組んでおり、保育施設の拡充などの施設整備は今後さらに充実していくことが予想できます。
23区内や都心部に近いエリアでの子育てを考えている方は、ぜひ目黒区を候補に入れて検討してみてください。