神奈川県央の西部に位置する秦野市は、「日本一おいしい名水」とされる地下水を貯える丹沢の山々に囲まれた自然豊かな街です。東京から60km以上離れた秦野市は、首都圏のベッドタウンとして機能しています。
以前、わが家は東京に住んでいたのですが、私の妊娠・出産を機に、家族で秦野市へ引越してきました。秦野市で子育てをしていて感じるのが、自然と触れ合える機会が多く、地域ぐるみで子育てができる環境であることです。
今回は、実際に住んでみてわかった秦野市の子育てに関する魅力について、住民目線でお伝えします。
秦野市の概要
秦野市の概要や、子育て環境として秦野市を選んだ理由についてお伝えしましょう。
秦野市の概要
子育てをするにあたって、その街の住みやすさや子育て支援の特徴などが気になるでしょう。ここでは、秦野市の概要について紹介します。
秦野市は、神奈川県央の西部にある、丹沢の麓に位置する都市です。人口は約16万人、約7万世帯が暮らしています。市域の半分以上が山に囲まれており、神奈川県唯一の盆地です。
県の行政区域では、湘南地域に含まれます。湘南というと、ビーチをイメージする方も多いかもしれませんが、秦野市は海に面していません。
秦野市の「おいしい奏野の水」は「名水百選選抜総選挙 おいしさが素晴らしい名水部門」で、全国1位になっています。ペットボトルで販売されているミネラルウォーターも、丹沢が採取地になっているものをよく見かけます。
秦野市のアクセス状況
秦野市は自然に囲まれた場所ですが、都市部へのアクセスがよく、横浜には1時間20分ほどで行けます。さらに、秦野駅には一部ロマンスカーや快速急行・急行が停車するので、新宿駅まで乗り換えせずに約70分でアクセス可能です。
また、箱根・鎌倉・江ノ島といった観光地に日帰りで行けるので、子どもを連れて少し遠出をするのも楽しいでしょう。
秦野市内には、東名高速道路や、2022年4月に開通した新東名高速道路も通っているので、車での移動も便利な地域となっています。
秦野市の自然環境
秦野市の気候は、太平洋岸気候に属しています。海洋気象の影響を受けて降雪が少なく、風速も弱いため、比較的温暖で過ごしやすい気候です。
秦野市の地盤を地震発生時に揺れが伝わる速度の「S波速度」で表すと、平均374 m/sです。S波速度が300~700m/s程度の数値が良好な地盤とされているので、秦野市の地盤は比較的強いといえるでしょう。また海に面していないので、津波の心配も少ない点も、安心して暮らせるポイントでしょう。
わが家が子育て環境に秦野市を選んだワケ
私は秦野市で生まれ育ち、大学を卒業してから、就職を機に東京で一人暮らしを始めました。その後、結婚・出産を機に、家族みんなで秦野市へ戻ってきました。秦野市に戻ってきた一番の理由は、都心部の人混みに疲れてしまったからです。
以前暮らしていた地域は、平日も土日も人で溢れかえり、近所のスーパーへ行くのさえ億劫でした。秦野市に戻ってきてからは、人で混雑しているといった場所はほぼなく、買い物ものんびりできます。何より自然が豊かで、空気と水がとても美味しいと思える点が気に入っています。
また、秦野市では「こども家庭センター」が設置されるなど、地域ぐるみで子育てに力を入れていると感じました。子どもが、自宅以外に安心できる居場所を作れるのではないかと思えたことも、決め手です。
秦野市の子育て事情
ここでは、住民から見たリアルな秦野市の子育て事情を紹介します。
数字で見る秦野市の子育て事情
秦野市の人口は、2010年の約17万人をピークに減少に転じており、2024年7月現在は16万692人となっています。現在の秦野市の年少人口は(0~14歳)は、16,090人です。
秦野市の保育施設数は、以下のとおりです。
市立認定こども園:5
私立認定こども園:4
私立認可保育園:23
小規模保育事業の保育施設:2
家庭的保育事業の保育施設:2
市内36ヶ所の保育所等の待機児童数は、2022年〜2024年と3年連続で0人でした。
就学前児童(0〜5歳児の数)は5,098人と過去最少となった一方、保育所等利用申込率は48.41%でした。
就学前児童数が減少しているにもかかわらず、保育所のニーズが高まっている状態です。そのため、秦野市では保育コンシェルジュによる相談を受けています。
私も保育コンシェルジュを利用したことがあり、子育て中の不安が和らぎました。待機児童が0という結果も、秦野市全体が子育て環境に力を入れているからこそだと感じます。
秦野市の子育て支援情報
ここでは、秦野市の子育て支援情報のうち、主な5つを紹介します。ただし、内容は今後変更になる可能性もあるので、最新情報は秦野市の公式ホームページなどをご確認ください。
秦野市の子育て支援情報(1)出産
秦野市には、不妊治療費(先進医療分)助成、不育症治療費助成などがあり、妊娠前から支援を受けられることが魅力的です。2023年秋には、秦野市内にも分娩可能な産婦人科が新設され、できたばかりのきれいな病院で出産も可能になりました。
保健福祉センターにて、出産前の家族向けに「おめでた家族教室」が開催されています。ママ・パパ向けだけではなく、祖父母向けの講座も開催されています。産後もママの体調を整えて、リフレッシュしながら安心して育児に取り組めるよう、日帰り型、訪問型、宿泊型の産後ケア事業が用意されているのも魅力です。
秦野市の子育て支援情報(2)育児
秦野市では、未就園児の交流にも積極的に取り組んでいるのが特徴です。
子育て支援センター「ぽけっと21」は市内9ヶ所に設置され、子どもに起こりやすい病気、栄養士のお話、ママピラティスなどをテーマとした講座を定期的に開講しています。
またコミュニティ保育を実施しており、市内の各地域で未就学児をもつ母親がグループを作り、児童館や公園などで保育を行っています。母親が見守る中、幼稚園入園前から同年代の子どもと遊べるのが魅力的です。
また、未就園児だけではなく、小学生を対象にした取り組みもあります。ベジタステーションはだのでは、大学生が中心となって工作やグループごとにゲームをしたり、レクリエーションなどを行ったりして、子どもの居場所を作っています。それ以外にも、放課後に保護者が家庭にいない小学生を対象に、市内13校で児童ホームを用意するなど、共働き世帯の支援にも力を入れているのが特徴です。
秦野市の子育て支援情報(3)保育
秦野市内の保育園のほとんどが広い園庭を所有していて、のびのびと外遊びができます。秦野の保育園は、丹沢大山国定公園の麓である立地を活かして、課外活動にて登山などを積極的に取り入れている園が多いのが特徴です。
秦野市の子育て支援情報(4)教育
秦野市の目指す教育の姿は、園小中一貫教育を通した子どもの育成、「知の循環型社会」の構築の推進です。
秦野市内および近隣の市町村に、私立の小学校はありません。ほとんどの子どもは秦野市内の公立小学校に進学することになり、市が園小中の一貫教育を勧めているのもあって、安心して学校に通えます。小学校受験を経験する子がほとんどいないので、幼児教室などに通うことなく、のびのびと成長できます。
また秦野市では、発達に特性をもった子ども向けの支援学級が、市内の全小学校にあります。発達に特性がある場合でも、近隣の小学校に通えるのが魅力的です。
秦野市の子育て支援情報(5)医療
秦野市には、小児医療費助成制度があります。この制度は、2024年10月から、医療費の助成対象者が18歳の年度末までとなります。特に、中学・高校生は部活動なども始まり、怪我などのリスクも上がるので、18歳まで医療費を負担してもらえるのは有難いでしょう。
以前は、小学生以上になると所得制限がありましたが、2023年10月以降は所得制限が撤廃され、誰でも利用できます。
秦野市での子育て体験談
ここからは、実際に秦野市で子育てをしているからこそ紹介したい、魅力やスポットについてお伝えします。
秦野市で子育てをする魅力
秦野市で子育てをする一番の魅力は、豊かな自然の中で子育てができることです。身近な場所に川や森林が広がり、広い公園もたくさんあります。人があまり多くないので、のびのびと遊ぶことが可能です。
子育て支援については産前から充実しているため、市のサービスを積極的に利用することで、孤立せずに子育てを楽しめます。
市内はバス路線が充実しており、わが家ではバスもよく利用しています。「バスロケーションシステム」という、近くのバスや運行情報を検索できるサービスがあり、子どもを連れてのお出かけにとても便利です。ただし、地域によってはバスの本数などが少ないため、生活をするうえでは自家用車があるとより便利でしょう。
秦野市の子育て環境
子ども連れにおすすめしたい秦野市のスポットを3つ紹介します。
秦野市の子育て環境(1)表丹沢県民の森
表丹沢県民の森は、塔ノ岳への登山道となる、大倉尾根の隣の斜面にある自然公園です。芝生の広場などの休憩スポットがあり、ピクニックや森林浴を行うのにぴったりです。遊歩道も整備されており、小学校低学年くらいの子どもでも楽しめます。駐車場が近くにあるため、車での利用も便利です。
施設名:表丹沢県民の森
所在地:神奈川県秦野市三廻部
アクセス:小田急小田原線渋沢駅よりバス
・渋02大倉行き 大倉下車徒歩約90分
・かみちゃん号「みくるべ線」 県民の森入口下車徒歩約45分
秦野市の子育て環境(2) 秦野市カルチャーパーク
秦野市カルチャーパークは、野球場、テニスコート、陸上競技場、市民プールなどが備えられている公園です。夏には期間限定で、じゃぶじゃぶ池と呼ばれる無料の水遊び場も設置されます。また、カルチャーパークのそばに流れる水無川沿いには、500m以上桜並木があり、桜の名所としても知られています。2016年にはバラ園もオープンし、見どころがたくさんある公園です。
カルチャーパークの中で子ども連れにおすすめしたいのは、中央こども公園です。通称「ペコちゃん公園はだの」とも呼ばれ、ロングすべり台やターザンロープ・砂場などの遊具が充実しています。子どもが転倒しても怪我をしないよう、クッション性のあるゴムで舗装されており、安全に遊べる環境が整っています。
施設名:秦野市カルチャーパーク
所在地:神奈川県秦野市平沢148
アクセス:小田急小田原線秦野駅よりバス、カルチャーパーク前 下車徒歩5分
秦野市の子育て環境(3) 神奈川県立秦野戸川公園
神奈川県立秦野戸川公園は、公園の中心に川が流れており、大きな吊り橋が特徴的な公園です。戸川公園では、川遊びや子ども向けの遊具・フワフワジャンプ(巨大なトランポリン)やバーベキューなどができます。
子どもと川遊びをする際に気になるのは、川の流れの速さや水質です。戸川公園は川の流れがほとんどなく、浅い川があるので、1~2歳の小さな子どもでも安全に遊べます。また、秦野市内を流れている水無川の上流にあたり、水が透明でとてもきれいであるため、川遊びにおすすめです。
施設名:神奈川県立秦野戸川公園
所在地:神奈川県秦野市堀山下1513
アクセス:小田急小田原線渋沢駅よりバス、終点大倉下車すぐ
秦野市の住まい事情
秦野市では、移住・定住ガイドブックを発行したり、移住セミナーが開催されたりしています。また、移・定住支援制度を設け、積極的に支援を行っています。
移住・定住ガイドブック「はだの丹沢ライフ」では、街の魅力や支援制度を確認することができます。内容は秦野市のホームページから確認することができます。
秦野市は、日本一の名水と丹沢の森に育まれ、自然が豊富です。市内には「秦野ショッピングセンター」「イオン秦野」といった大型スーパーもあり、生活環境も整っています。ただし、実際に暮らすとなると、家賃事情も気になるところでしょう。
秦野市の家賃相場は、以下のとおりです。
ワンルーム 5.15万円
1LDK 7.34万円
2LDK 8.57万円
続いて、秦野市と近隣地域の家賃相場を比べてみました。お隣にある平塚市の2LDKの家賃相場は、13.29万円です。近年再開発が進み、引越しを検討する人が増えた海老名市の2LDKの家賃相場は、9.78万円となっています。どちらも秦野市と比べると、少し高い印象でした。
秦野市の子育て世帯におすすめのエリア
ここでは、秦野市の中でも、特に子育て環境としておすすめのエリアを紹介します。
秦野市の子育て世帯におすすめのエリア(1)小田急線「秦野駅」周辺
秦野駅周辺は、秦野駅の改札を出てすぐにスーパーがあり、仕事帰りにも買い物がしやすいです。駅の近くには、保育園・幼稚園・小学校・中学校があるため、通学にも便利なエリアです。また、学習塾などの習い事施設も駅前に集中しているので、送り迎えなども可能です。
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秦野市の子育て世帯におすすめのエリア(2)イオン秦野店周辺
続いては、秦野市にあるイオン秦野店周辺エリアです。わが家は、おむつや服、おやつなど子ども関連の生活用品を頻繁に買いに行くため、大型のショッピングセンターが近くにあると便利です。
イオンに行けばほとんどのものがそろい、子ども向けの遊び場や広いフードコートなどもあるので、ファミリー世帯は重宝するでしょう。また、イオン周辺に児童館や子育て支援センターや学校もあるので、子育て世帯におすすめのエリアです。
施設名:イオン秦野ショッピングセンター
所在地:神奈川県秦野市入船町12-1
アクセス:小田急秦野駅よりバス、ジョイフルタウン 下車すぐ
・秦20,21,22,25,27 系統、下宿下車すぐ
秦野市は豊かな自然の中で子どもが成長できる街
秦野市で子育てしていて実感することは、自然の中で子どもがのびのび成長できていることです。支援センターや近所の公園で出会う子どもたちも、キラキラした笑顔で遊んでいます。また、実際に私も秦野市の子育て支援を利用した経験があり、とても助けられました。
これからも秦野市は、さらに子育てしやすい街へ変化を遂げていくでしょう。子どもと一緒に自然に癒やされたいと思っている方は、ぜひ秦野市への移住を候補に入れてみてください。