埼玉県にある上尾市は、東京駅や上野駅まで電車で 45分以内の場所に位置しています。そのため、都心へ通勤通学する方のベッドタウンとして人気があり、幅広い世代の方が暮らしている街です。
わが家は5年前に転勤で上尾市にやってきました。当時未就園児と幼稚園児だった2人の子どもは現在幼稚園児と小学生になりましたが、一貫して子育てがしやすく満足しています。
私が住んでいる5年の間にも、上尾市の子育ての環境や支援内容は少しずつ充実してきました。今回は、実際に上尾市で子育てをしてきた体験をもとに街を紹介します。
上尾市で子育て中
上尾市の概要
上尾市はさいたま市と川越市に隣接する、人口約23万人の都市で、日中は人口の3分の1が流出する、都心やさいたま市のベッドタウンです。
特筆すべきは、交通のアクセスのよさで、市内にはJR高崎線の上尾駅と北上尾駅があります。上尾駅からは乗り換えなしで上野駅まで約35分で移動でき、東京駅には約45分、大宮には2駅8分で移動することが可能です。
ターミナルである大宮駅からは新幹線を含めた他路線への乗り換えができます。上尾駅までは民間のバスや市内循環バス「ぐるっとくん」が縦横無尽に走っており、市内のどのエリアからもアクセスしやすくなっています。
国道16・17号線が市内を走っており、圏央道のICにも近いため車でのお出かけにも便利です。昨今では子育て支援が充実していることから、子育て世代の流入が増えています。
わが家が子育て環境に上尾市を選んだワケ
私は家族の転勤が決まったときに、「子育て支援の内容・治安・アクセス・教育環境の選択肢がたくさんあるか」を重視しました。過去にも転勤で全国の数ヶ所で生活してきたことがあったので、先輩ママたちから聞いた情報をもとに自分なりの基準を定めていました。
特に重視したのは教育環境の選択肢です。転勤前に子どもが通っていた幼稚園は地域に1つだけで、選択の余地がなくて困ったことがあったからです。調べていくと、上尾市は幼稚園や小中学校の数が多く、それなりに自由に選べることがわかりました。
子どもたちが成長していくと行動範囲や興味も広がります。車と電車のどちらでも移動がしやすい場所であれば、よりよい教育環境を与えられるだろうと考えていました。高校や大学を選ぶときも、自宅から通学できる範囲が広くなり、中学受験をするかしないかも選択できます。
夫の通勤との兼ね合いもあるので、車1台で今後も不便なく暮らせることも、重要なポイントでした。
実際どう?上尾市の子育て
数字で見る上尾市の子育て事情
上尾市の子ども(0歳~14歳、2023年3月31日現在)は26,613人、市の人口の11.6%を占めます。全国の子どもの割合が11.5%ですので、平均的な数字といえるでしょう。
2023年5月1日時点で、保育施設は67園(認可保育施設・小規模保育施設・認定子ども園・事業所内保育施設)、幼稚園21園・小学校22校・中学校12校があります。
2023年度の待機児童は26名でした。保育施設を年々新設するなど保育の受け入れ枠拡大に努めていますが、入所申し込み者が年々増えています。そのため、2023年度は7年ぶりに待機児童増加となりました。
上尾市の子育て支援情報
ここでは、上尾市の子育て支援情報について紹介します。制度は今後見直される可能性があるため、最新の情報は上尾市の公式ホームページから確認してみてくださいね。
上尾市の子育て支援(1)幼稚園の制度が年々充実
ここ数年で大きく変わったことの1つに、幼稚園の制度の充実が挙げられます。4年保育(満2歳児〜)や、満3歳児入園を受け入れる幼稚園が少しずつ増えてきました。延長保育を利用できる園も多く、延長保育の料金も無償化されているため(1日あたりの上限あり)、共働きの家庭でも幼稚園に入りやすくなっています。
上尾市の幼稚園はすべて私立幼稚園なので、こうした制度のある園は今後も増えていくのではないかと予想されます。子どもの預け先を保育施設にするか幼稚園にするか、選択肢が広がるのは嬉しいですね。
上尾市の子育て支援(2)医療費助成が18歳まで延長
2024年4月の診療分から、通院・手術にかかる医療費の支給対象年齢が18歳まで引き上げられることになりました。
また、上尾市で発行されたこども医療費受給者証があれば、埼玉県内の医療機関のどこでも無料で通院することが可能です。埼玉県外の医療機関であっても、窓口では3割負担になりますが、後日償還払請求を行えます。
上尾市の子育て支援(3)教育環境の充実、保護者負担の軽減
上尾市では待機児童の改称と同時に保育サービスの充実を図るため、すべての公立保育所で昼寝用ベッドを導入しています。すべての公立保育所に、全児童分を導入することは、埼玉県内では初めての試みでした。
小学校から英語の授業が始まり、5・6年生ではスピーチ大会を導入する学校もあります。1人1台のタブレット端末を活用した学習や、プールの授業の民間委託など、時代に即した教育が進められています。
最近では共働きの保護者負担を考慮し、PTA活動の軽減化が上尾市全体で進んでいます。ほとんどの学校が強制をしない方向で改革を進めており、中にはPTAを解散した学校もありました。今後もこの流れは進んでいくものと予想されます。
上尾市での子育て体験談
上尾市で子育てをする魅力
上尾市には、「上尾市といえばこれ!」というような知名度のある特産品や目玉の観光スポットはありません。そのかわり、ベッドタウンならではの生活や交通の便利さ、静かに暮らせる環境が最大の特長ではないでしょうか。
市内のどの地区に住んでいても、スーパーやドラッグストアには事欠きません。バスやニューシャトル(さいたま市・大宮駅〜伊奈町・内宿駅をつなぐモノレール)、電車の交通網が充実しているため、大きな駅の周辺でなくても生活はできます。
私の知り合いには、車のない家庭で生活している方や車の免許を持っていない方もいますが、自転車があればそこまで不便ではないとのことでした。自転車を利用する方が多いので、レーンが設けられている場所もあちこちにあります。
上尾市は静かで安心して生活ができる環境だと感じています。週に数回、子どもたちが下校する時間には学校安全パトロールカー(通称青パト)が地域を巡回しています。市内に出没した不審者情報や学校に宛てた脅迫メールなどがあった場合は、学校から「さくら連絡網」を通じて注意喚起や情報共有が行われます。子どもたちの安全を守るべく、学校と地域とPTAが協力体制を取っていて安心です。
上尾市の子育て環境
上尾市の子育て環境(1)公園
上尾市には、代表的な公園が3ヶ所あります。
●上尾丸山公園
上尾市で1番の規模を誇り、「水と緑の調和」がテーマの総合公園です。公園内に池が点在していて野鳥を観察でき、夏には水遊びをする子どもたちで賑わいます。
水遊びエリアのそばには圧倒的存在感の滝があり、四季折々の景色が楽しめる魅力的な公園です。特に春の桜が咲き乱れる景色や、秋の紅葉の頃は圧巻の美しさです。キッチンカーのグルメを片手に、家族で楽しめます。
子ども用遊具や小動物コーナー、無料のバーベキュー場などもあり、飽きることなく過ごせます。隣接する天文台や自然学習館では、イベントが定期的に開催されているので、ぜひチェックしてみてください。上尾の自然や文化について学ぶことができ、天体観察に詳しい係員さんがいろいろなお話を聞かせてくれますよ。
●上平公園
子ども用遊具や2種類のジョギングコース、テニスコート、野球場があり子どもも大人も楽しめる公園です。子ども用の遊具は、小さい子用(0〜2歳ぐらい)とそれ以上の年齢の子用で分かれています。夏には水遊びができる親水広場があり、週末にはキッチンカーも来ます。
UDトラックス上尾スタジアム(上尾市民球場)は、収容人員5,500人で夜間利用も可能な、本格的なスタジアムです。高校野球の各種大会や予選、プロ野球イースタン・リーグも行われています。夏のナイターにもキッチンカーが集うので、観戦しながら楽しめるでしょう。
テニスコートは12面あり、全天候型コート・クレーコート・夜間照明塔・クラブハウス(シャワー室・更衣室・休憩室あり)が、完備されています。
●平塚公園
木々が茂る森と芝生、 テニスコートがある緑の豊かな公園です。広々とした芝生のエリアでは、休日にファミリー連れがテントを張ってピクニックをしたり、軽いボール遊びを楽しんでいたりする姿を見かけます。芝生エリアの周辺がコースになっており、ジョギングやウォーキングをする方や自転車で走る子どもたちが多いです。テニスコートと隣接した水の広場は、夏場は噴水が出て水遊びを楽しめます。
森のエリアはフィールドアスレチックにチャレンジできます。散策路で木の実を探したり葉っぱを集めたり、野鳥の観察や虫とりなど、自然を目一杯楽しめる、武蔵野の風景を残した公園です。
上尾市の子育て環境(2)児童館
上尾市の児童館は2ヶ所あります。
●こどもの城
市内外から人が集まる人気の児童館です。赤ちゃんから18歳までが利用でき、未就園児から小中学生まで、年齢に合わせたイベントが毎月開催されているので、年中混み合っています。室内遊具が充実したプレイホール、ボールが使える体育遊戯室、外遊びができる中庭、図書スペースなどがあり飽きません。
別室で、0歳から3歳までが対象の子育て支援拠点「トコトコ」が開室されています。小さな子用のおもちゃが用意されており、子どもと一緒に参加できるイベントやワークショップも開かれています。
●アッピーランド
こどもの城と同様に、プレイホール・体育・遊戯室・中庭などがある児童館です。幅広い年代の子どもが楽しめるように、さまざまなイベントが催されています。受付ではおもちゃ屋さんにあるようなおもちゃを借りられて、小さな子でも楽しく遊べます。こどもの城に比べると人が少なく、のんびりと過ごせる印象です。
館内には影絵芸術の第一人者である藤城清治氏の作品「光る海」、「光る森」が展示されているのが特徴です。
上尾市の子育て環境(3)大型ショッピングセンター
上尾市には大型のショッピングセンターが2ヶ所あります。どちらも子連れで用事をサクッと済ませたいときに適した施設です。
●イオンモール上尾
今や上尾市民にとって欠かせない存在になった、イオンモール上尾。埼玉県内では中規模程度のイオンモールで、子連れでも疲れず回れます。週末には子ども向けのワークショップやイベントが催されるので、わが家もよく利用しています。
イオンモール上尾のいいところは、AGEO PARKがあるところです。人工芝広場・ふわふわドーム・アスレチックがあり、野外テラスも設置されています。駐車場の一部を改修して作った公園で、規模が大きいところが特徴です。安全なゴムチップで舗装されているので、子どもたちは裸足になり夢中で駆け回って遊べます。
大人は飲み物や食べ物を片手に、座って見守れます。スマホから注文して、オーダーしたものを届けてくれるサービスは子育て世代にとっては本当にありがたく、助かります。
施設名:イオンモール上尾
所在地:埼玉県上尾市愛宕3-8-1
アクセス:JR高崎線「上尾駅」より徒歩約20分
営業時間:イオンスタイル8:00〜22:00
(専門店・フードフォレスト10:00〜21:00、あげおダイニング11:00〜22:00 ほか店舗により異なる)
●アリオ上尾
大型のショッピングモールで、店内には郵便局があり、ホームセンター隣接していて便利です。子ども向けのイベントはイオンモールに比べると少ない印象ですが、定期的に開催されています。
敷地内にあるキッズパークは、午前中は未就園児、午後からは幼稚園児や小学生がかわるがわるやってきてにぎやかです。期間限定ですが、噴水コーナーもあります。各階に赤ちゃんの休憩室や授乳室完備されていて、赤ちゃん連れでも安心です。
私のおすすめは、アリオ上尾内のパン屋さん「ブーランジェリー横浜」。小麦の香りが豊かで、種類の豊富さが自慢のパン屋さんです。8のつく日はパンのセールをやっていて、対象品は118円(税込)で購入できます。
児童館「こどもの城」からも近いアリオ上尾は、遊んだ帰りに買い物をしたり、フードコートで食事を楽しんだりする親子を見かける施設です。
施設名:アリオ上尾
所在地:埼玉県上尾市大字壱丁目367番地
アクセス:JR高崎線「上尾駅」西口よりバス約10分
営業時間:10:00〜21:00(レストラン11:00〜22:00)
上尾市の住まい事情
続いて、上尾市の家賃相場を見ていきましょう。2LDK〜3DKのファミリー向けの家賃相場は次のとおりです。今回は上尾市と隣接する川越市・さいたま市北区・西区の家賃相場と比較してみます。
【2LDK~3DKの家賃相場】
・上尾市:8.34万円
・川越市:11.63万円
・さいたま市北区:11.15万円
・さいたま市西区:13.95万円
隣接したエリアと比較すると、非常にリーズナブルであることがわかります。都心部へのアクセスもよく、広いお部屋をできるだけ安く借りたいという方におすすめです。
上尾市の子育て世帯におすすめエリア
上尾市の子育て世帯におすすめのエリア(1)上尾駅周辺エリア
上尾駅周辺エリアは、生活のインフラがすべてそろっていて、便利に暮らせるエリアです。駅周辺には保育施設が集まり、新設の保育園も増えています。西口東口ともに徒歩圏内に小学校があり、働きながら子育てをするにはうってつけのエリアです。
東口には上尾市図書館の駅前分館があり、東口から徒歩で約4分の場所に本館があります。交通面では上尾駅から市内各地にバスが出ていますので、車がなくてもさほど不便はないでしょう。
西口にはショーサンプラザ、東口には丸広百貨店と大型の商業施設があるので買い物も問題ありません。どちらの出口にも総合病院があるのが上尾駅の特徴です。ここまで生活インフラが充実したエリアは市内でも上尾駅エリアだけです。
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上尾市の子育て世帯におすすめのエリア(2)イオンモール上尾周辺エリア
子連れの買い物に便利なイオンモール上尾。イオンモール内の内科・小児科・アレルギー科「かるがも上尾クリニック」は土日祝日も診察してくれるので、子育て世代の安心材料になるでしょう。
周辺には上尾運動公園や外食チェーン店があります。上尾運動公園周辺は豊かな緑が広がり、気軽にスポーツを楽しめる環境が整っています。子ども向けの公園もあるので、休日は親子連れで賑わっていることが多いです。
さいたま市との市境が近いエリアなので、車があればさいたま市方面の病院や公園、他のショッピングモールへも気軽にアクセスできます。選択肢が広がり、より便利で充実した日々が送れるでしょう。
上尾市は生活の利便性と安心の子育て環境を大切にしたい人におすすめ
上尾市は、一貫して子育てしやすい街だと感じています。特に、生活のインフラや子育て支援の制度がしっかりと整っているところが魅力です。今後も充実した子育て支援や選択肢が増えていくでしょう。
子育ても仕事も充実させたい方は、ぜひ上尾市への引越しを検討してみてはいかがでしょうか。