栃木県のほぼ中央に位置している宇都宮市。宇都宮駅は東北新幹線の停車駅でもあり、東京駅から約50分というアクセスのよさから北関東の中枢拠点となっています。豊かな自然にも恵まれ、都会の便利さと田舎のよさのバランスのとれた街です。
わが家は、私が下の子を妊娠中に夫の転勤で宇都宮市に引越しました。当初、知らない街での育児は不安だらけでした。しかし生活を始めて、公園や子育てを支援する施設の多さや、充実した子育てサポートに驚きました。
この記事では、実際に子育てをして感じた宇都宮市の魅力や、住みやすさについてお伝えしていきます。ぜひ参考にしてくださいね。
宇都宮市での子育て
はじめに、宇都宮市の概要について紹介します。
宇都宮市の概要
宇都宮市は東京から北に約100kmに位置する、人口約52万人の北関東最大の都市です。宇都宮は言わずと知れた餃子の街ですが、実はジャズやカクテル、プロスポーツの街でもあります。休日には各地でイベントも頻繁に開催され、活気あふれるエネルギッシュな街です。
市内には大型ショッピングモールや公園はもちろん、動物園に遊園地、博物館や科学館など親子で楽しめるスポットがたくさんあります。宇都宮市は栃木県の中心に位置しているため、市外や他県へもアクセスしやすく、那須や日光など、観光地へのお出かけ先の選択肢も豊富です。
宇都宮市はJR東北新幹線・JR上野東京ライン・東武鉄道が通り、宇都宮駅から東京駅までは乗り換えなしで行けるため、東京都内へのアクセスも良好です。
2023年8月には、国内初となる全線新設の次世代型路面電車LRTが開業し、市内の公共交通がさらに便利になりました。LRTは二酸化炭素 (CO2) や排気ガスを排出せず、クリーンエネルギー100%で走るので環境にも優しく、市を挙げたSDGsの取り組みの1つです。
宇都宮市では高校生までの医療費無償をはじめ、新婚夫婦の住宅費等の援助、妊産婦への医療費の助成、不妊治療費の助成などの独自の取り組みを行っています。全国トップレベルの子育て支援で、安心して結婚・子育てできる街の実現に力を入れています。
わが家が子育てに宇都宮市を選んだワケ
私はもともと茨城県の出身で、宇都宮市へは餃子を食べに数回遊びに行ったことがある程度でした。下の子を妊娠中に夫の転勤が決まり、当時1歳の上の子を連れて家族3人で宇都宮市に引越すことになったのです。
はじめは、宇都宮市に隣接している上三川町や下野市も視野に入れて家を探し始めました。その頃、夫の会社の人から「宇都宮は子育て支援が手厚く、買い物も便利だからおすすめ」とアドバイスをもらい、宇都宮市に住むことを決めました。
わが家は車を2台所有しているため、宇都宮駅周辺ではなく、駐車場が2台取れる雀宮駅周辺にアパートを借りることに。宇都宮駅から1駅南にある雀宮駅は閑静な住宅街なので、宇都宮駅周辺ほど交通量も多くなく、小さな子どもがいるわが家にはぴったりでした。
実際どう?宇都宮市の子育て
宇都宮市に引越して間もなく下の子を出産し、未就学児2人の子どもとたちと夫の4人で宇都宮の生活をスタートしました。出産・子育てをしてみて感じた、宇都宮市で子育てする魅力を紹介します。
数字で見る宇都宮市の子育て事情
宇都宮市の人口は2018年まで過去50年間増加していましたが、現在は緩やかに減少しています。
2023年3月時点で宇都宮市の15歳未満の人口は、6万4,484人で全体の約12.5%です。全国の15歳未満の人口の割合が11.6%となっており、それを若干上回るものの、全国的な傾向と同様に65歳以上の人口が増加し、15歳未満の人口が減少しています。
宇都宮市は「住みよさランキング」全国第3位 (※東洋経済新報社 都市データパック2023年版) 、「共働き子育てしやすい街ランキング」全国第2位 (※日経BPコンサルティング 自治体の子育て支援制度に関する調査 共働き子育てしやすいまちランキング2021) に選ばれるなど、子育て世帯にとって暮らしやすい街としても注目されています。
宇都宮市の保育施設数は下記のとおりです (2024年4月以降入所申し込み対象園)。
・公立保育所9園
・私立保育所77園
・認定こども園31園
・家庭的保育事業8園
・小規模保育事業38園
・事業所内保育事業5園
・居宅訪問型保育事業2園
宇都宮市は2020年に策定した支援事業計画で、「年間を通した待機児童ゼロの継続的な実現」を掲げ、既存施設の認定こども園への移行や私立保育所の新設を進めました。その結果、2023年4月時点で7年連続待機児童ゼロを実現。併せて第3子以降の保育料無償化など、子育てを経済的にサポートするため保育料の軽減にも力を入れています。
宇都宮市内の幼稚園の数は2023年11月時点で18園。幼稚園から認定こども園へ移行した園も多くあります。
宇都宮市の子育て支援情報
宇都宮市の最大の魅力は、子育て支援の多さです。「結婚・子育てするなら宇都宮」をテーマに応援パッケージと称し、出会い・結婚から妊娠・出産、子育て・教育までをサポートするシステムが豊富にあります。わが家は転勤族で、これまで4つの地域に住みましたが、宇都宮市の群を抜いたサポートの多さに驚きました。
ここでは宇都宮市の子育て支援のうち、主なものを5つ紹介します。支援の内容は今後変更になる可能性もありますので、最新情報は宇都宮市のホームページをご確認ください。
宇都宮市の子育て支援情報(1)妊産婦医療費助成
宇都宮市は、全国でも数少ない妊産婦医療助成制度を設けています。これは妊産婦さんが、健康保険適応になる治療を受けた場合の医療費 (自己負担分) を、市が負担してくれるものです。
人によっては妊娠中に重いつわりで病院にかかったり、ホルモンバランスの乱れで体調を崩してしまったりすることも少なくありません。私も妊娠中は肌が過敏になり、ひどい湿疹で何度も皮膚科に通いました。
妊娠期間は長いうえに、出産・子育てにはいろいろとお金がかかるため、この制度はとても助かりました。対象期間は出産した翌々月の末日までと長いので、出産で体調を崩してしまった場合も安心です。
対象者:宇都宮市に住民票がある妊産婦
自己負担金:健康保険適用のものは無料 (高額療養費に該当した場合は別途条件あり)
宇都宮市の子育て支援情報(2)こども医療費助成
多くの自治体における子どもの医療費助成は、小中学生までが対象であったり一部負担金が必要であったりしますが、宇都宮市では、18歳までの子どもの医療費が無償です。
乳幼児期の子どもは自分ではながかめないので、耳鼻科や小児科で鼻水の吸引をお願いする機会も多くありました。幼稚園や学校に行きだすと、風邪や病気を頻繁にもらってきて兄弟にうつしたり、部活や運動で怪我をする回数が増えたりしました。そのため、子どもが成人するまでに医療費を気にしなくていいのは大変ありがたかったです。
親にとって子どもの体調不良は何より心配なものです。病院へかかるときに金銭的な心配をする必要がないのは、子育ての安心につながります。
対象者:宇都宮市に住民票がある高校3年生相当 (満18際に達する日以後の最初の3月31日まで )
自己負担金:健康保険適用のものは無料
宇都宮市の子育て支援情報(3)LINEで24時間回答してくれる「教えてミヤリー」
宇都宮市は、LINE(ライン)からいつでも質問できる宇都宮市公式LINE「教えてミヤリー」を運用しています。
AI (人口知能)の自動回答により 、24時間365日いつでも気軽にLINEから、子育てや住まいに関する質問ができます。夜間や休日の診療について、急遽子どもを預ける必要ができた場合の預け先など、LINEで質問するだけで答えてくれます。
わが家も病院がやっていない日曜日に子どもが熱を出してしまったときに、診療先を探すために活用しました。ホームページから知りたい情報のページを探すのは意外と時間がかかるので、LINEからすぐに欲しい情報をもらえて助かりました。
利用方法は、LINEのアプリをインストールして、友だち登録をするだけと簡単なので、スマホに入れておくと安心です。
宇都宮市の子育て支援情報(4)多世代交流施設の設置
宇都宮駅から徒歩16分の場所にある宇都宮市民プラザの6階には、「ゆうあいひろば」という多世代交流施設があります。
「ゆうあいひろば」には、子どもが思いきり遊べる大型遊具や工作ができる大きな広場あり、利用料は無料です。職員の方が常駐しているので子育ての悩み相談はもちろん、買い物や病院に行きたいときなどに使える一時預かり保育もあります(前日までの予約が必要) 。
わが家には子どもが2人いるので、ハイハイをする赤ちゃんと走り回る幼児が一緒に楽しめる施設はとても助かりました。特に、雨の日や真夏の暑い日は室内の遊び場はありがたく、よく通っていました。
そのほかにも、子育てを援助したい人と、援助を受けたい人のマッチングを手伝う「ファミリーサポートセンター」や、若者が気軽に交流できる自由スペースの「青少年エリア」、お弁当や飲み物を飲食できる「カフェエリア」があります。
同じ建物内に、一部証明証の交付や図書の返却と貸し出しができる「バンバ出張所」「パスポートセンター」などの行政窓口もいくつかあり、一度に複数の用事を済ませられて便利です。
宇都宮市の子育て支援情報(5)教育環境の充実
宇都宮市は「育もう 地域の愛で 子どもの未来」を合言葉に、家庭や学校、行政などが一体となって、教育に力を入れています。
全国的に増加傾向のある「中1ギャップ」の解消に向けた小中一貫教育カリキュラムの採用、小学校からの英語、プログラミング教育、市内全69小学校の体育館への空調設備導入などを取り入れています。
また、学校図書館司書を全校に配置するなど、読書にも力を入れており、小中学生の読書量は全国平均の2倍以上です。市内には5つの市立図書館があり、読書を身近に感じる環境が整っています。
図書館にはキッズスペースや授乳室などもあり、わが家も子どもと一緒に頻繁に図書館に通っています。絵本や児童書の種類も豊富で、イベントもよく開催されているので親子で楽しめる憩いの場です。
宇都宮市での子育て体験
ここでは、実際に宇都宮市で2人の子どもを育てた私が感じた、宇都宮市のおすすめポイントや魅力を紹介します。
宇都宮市で子育てをする魅力
私が宇都宮市の生活で感じた最大の魅力は、子育てで頼れる場所がたくさんあることです。知らない土地での子育ては、家族や友人もいないのでとても孤独を感じていました。しかし、相談できる場所があったため、ストレスをためすぎることなく育児ができました。
宇都宮市には、全部で12ヶ所の子育てサロンがあり、イベントも頻繁に開催されています。子育てサロンとは別に、保育園や認定こども園が独自で行っている子育て支援もあり「今日はどこに行こうかな」と、いろいろなサロンを子どもと回りました。
サロンでは職員さんや保育士さんが話を聞いてくれたり、育児の相談に乗ってくれたりするので、気晴らしにもなりました。サロンで会う同世代の子どもを持つお母さんたちから、おすすめのお店や小児科などの子育て情報もたくさん教えてもらえたので、土地勘のない私にはとてもありがたかったです。
市内には、保育施設の数も多く、一時保育を利用する際に重宝しました。私が2人目を出産したとき、上の子はまだ2歳で幼稚園に入る前でした。妊娠中の体調不良や妊婦検診のときに一時保育を利用していましたが、一時保育は枠が少なく、予約が取れないことも珍しくありません。
そんなときに、複数の保育園に登録しておくことで、急な体調不良でも子どもを預けることができました。保育園によってはリフレッシュ目的での利用もでき、産後のひどい寝不足のときなどに利用することで、とても救われました。
宇都宮市の子育て環境
宇都宮市は「自然環境でのびのび子育てしたいけれど、田舎すぎる暮らしは困る」という家庭にぴったりの場所です。市内には大小合わせ1,085ヶ所もの公園があり(2022年4月現在)、「自宅から歩いてすぐに公園がある」という住まい環境を手に入れやすいです。デパートやショッピングモールなどの商業施設も多数あり、生活に困ることはありません。
宇都宮上三川ICから車で約15分の場所にあるショッピングモール「ベルモール」は、飲食からファッション、家電、アミューズメント施設までさまざまなショップが入っている大型ショッピングモールです。
同じ敷地内に、アルパカと触れ合えるアルパカ広場や天然温泉が楽しめるベルさくらの湯もあり、親子で楽しめます。ショッピングモール内にはアカチャンホンポも入っており、子どもが小さいときは店内で開催されるイベントによく参加していました。
ただし、休日にはショッピングモール目当てで周辺が混雑するため、車で行く際には注意が必要です。
施設名:ショッピングモール ベルモール
所在地:栃木県宇都宮市陽東6-2-1
アクセス:LRT JR宇都宮東口停留場より約11分
営業時間:10:00~21:00(レストランは22:00まで)
みずほの自然の森公園は、私たち親子がお気に入りの場所の1つです。東京ドーム5個分の広さがある園内には、四季折々の草花が楽しめるフラワーガーデンやバーベキュー場、子どもが遊べる遊具などがあります。春や秋にはお弁当を持って芝生で遊び、夏には虫取りや公園で行われるイベントに参加するなど、さまざまな形で楽しい時間を過ごしました。
夏場は水路に水が流れるため、水遊びをしに多くの家族が訪れます。水深も浅く、小さな子どもでも安心して遊べるため、わが家も頻繁に訪れていました。
宇都宮市の住まい事情
住まいを決めるにあたって、家賃は気になる要素でしょう。ここからは宇都宮市の家賃相場についてお伝えしていきます。
宇都宮市の2LDK・3K・3DKの家賃相場は、7.48万円です。東京23区の中でも家賃が比較的安いとされている練馬区の家賃相場が14.99万円、江戸川区は15.52万円となっています。同じくらいの広さの物件でも、東京23区と宇都宮市では家賃相場に大きく差があります。
続いて、宇都宮市に隣接するさくら市と下野市の家賃相場も見ていきましょう。宇都宮市の2LDKの家賃相場は9.65万円です。隣のさくら市の家賃相場は5.74万円で、下野市は7.45万円です。利便性が高く、子育てに力を入れている宇都宮市は、家賃相場が高い傾向にあります。
子育て世帯にうれしい施策がたくさんある宇都宮市ですが、「子育てタクシー」の導入や東京圏への通勤・通学への交通費助成など、新しい施策も次々に実施しているところも魅力です。このように、宇都宮市は子育て世帯に優しい街として、発展し続けています。
宇都宮市の子育て世帯におすすめエリア
子育てしやすい環境が整っている宇都宮市の中でも特におすすめのエリアを紹介します。
宇都宮市の子育て世帯におすすめエリア(1)インターパーク周辺
最初におすすめしたいのは、インターパーク周辺です。インターパークは宇都宮市にある地名のひとつで、周辺にはデパートやショッピングモール、ホームセンターなどの大型施設が複数あります。そのほかにも、公園や病院などの生活に必要な施設がすべてそろうため、市内でも人気のエリアです。
インターパークには、多種多様なお店が並ぶオープンモール“インターパークショッピングビレジ”があります。アウトレットのようなオープンタイプの造りで、ファストファッションから飲食店、映画館などのお店が入っています。敷地内にあるインターパーク小児科眼科は、日曜・祝日も診察してくれるため、子どもの急な体調不良のときに何度もお世話になりました。
道路を挟んだ別棟には“FKDショッピングモール”があり、スーパーやフードコート、デパートコスメなども取り扱っています。宇都宮上三川ICを降りてすぐという立地のよさから市外からも多くの人が訪れるので、休日は渋滞しやすく、車での移動は注意が必要です。
施設名:インターパークショッピングビレッジ
所在地:栃木県宇都宮市インターパーク4-1-3
アクセス:宇都宮上三川ICより車で5分
営業時間:10:00~20:00(店舗により異なる)
宇都宮市の子育て世帯におすすめエリア(2)栃木県庁周辺
JR宇都宮駅から西へ徒歩25分ほどの場所にある栃木県庁の周辺も、子育て世帯にうれしい施設が多くあります。
栃木県庁周辺には、宇都宮市民プラザゆうあいひろば、栃木県立図書館、栃木県総合文化センター、宇都宮二荒山神社などがあります。栃木県の施設も多くあることから公共交通機関も充実しており、車がない家庭でも移動が楽です。栃木県総合文化センターでは、入場無料の美術品の展示も多く催されているため、気軽に本格的なアートに触れられます。
施設名:栃木総合文化センター
所在地:栃木県宇都宮市本町1-8
アクセス:東武宇都宮駅下車 徒歩10分
宇都宮市の中心部に位置する八幡山公園は、大人から子どもまで楽しめる人気のスポットです。園内には、市内を一望できる宇都宮タワーや小動物がいる動物舎、大型複合遊具があるアドベンチャーUがあります。
大型遊具は、少し大きな子どもでも十分に楽しめ、週末には多くの家族連れでにぎわいます。わが子もアドベンチャーUにあるゴーカートがお気に入りで、天気のいい日にはよく訪れました。公園内には約800本の桜の木が植えられており、お花見スポットとしても有名です。
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進化し続ける街、宇都宮で安心の子育てを
宇都宮市は他の地域と比べても、とにかく子育て世帯に優しい街だと感じています。現状でも多くの施策や支援がありますが、新しい取り組みにもどんどんチャレンジしており、市民がよりいい暮らしをできるよう日々進化しています。
自然に恵まれながらも程よく都会な宇都宮市で、子育てしてみてはいかがでしょうか。