熊本市は「水の都」や「森の都」と呼ばれるほどの豊かな自然と、活気ある都会の街という側面が融合した政令指定都市です。
主要駅周辺には生活に便利な環境が整い、少し車を走らせると山や湖、海などの自然が姿を現します。実際に暮らしてみると、都会と自然の両方を味わえる熊本市での生活は、ストレスが少なくのびのびと過ごせる環境でした。
わが家が熊本市に引越してきたのは長男が3歳だった、約10年前のことです。2人の子どもがいる私は、子育てをほとんど熊本市で過ごしてきました。
私は大阪府出身で、結婚してから海外や日本のいくつかの土地で暮らした経験があります。比較的、順応しやすい性格ではありますが、慣れない土地での子育てにはたくさんの不安がありました。
今回は、熊本市で暮らし始めて10年になる私が、熊本市での子育ての体験談や、熊本市の魅力や住みやすいエリアなどをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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熊本市での子育て
まずは、熊本市での子育て環境や熊本市の魅力について、詳しく紹介していきます。
熊本市の概要
熊本市の人口は2023年4月1日時点で約73万6千人。九州の中でみると、福岡市と北九州市の次に人口が多い都市です。
2012年に政令指定都市に指定されていて、中央区・東区・西区・南区・北区の5つの区があります。「水の都」「森の都」と呼ばれるほどの豊かな自然と、活気ある都会の街という2つの側面があり、どちらも楽しめる環境であるところが一番の魅力です。
熊本市の中心市街地には「熊本城」や西日本最大級といわれる商店街があり、路面電車が走っています。ビジネス街でもあり、国内外の観光客も多く、活気がある印象です。
熊本市の西部には金峰山があり、遠くに有明海を望めます。さらに、熊本市の中心部から車で15分ほどのところにある「江津湖」は、水道水の100%を天然地下水でまかなっている、「日本一の地下水都市・熊本」を象徴するような場所です。江津湖の周囲には遊歩道、芝生の広がる公園があり、湧水広場では夏になると水遊びをする子どもたちでいっぱいになります。
わが家が熊本市での子育てを選んだ理由
わが家は夫の仕事の都合で熊本市に引越してきました。熊本県の中心の街である熊本市は、路面電車が東西に走り、バスの本数も多く利便性に優れています。医療機関や学校もたくさんあるので、安心して暮らすことができます。
子どもが小さいうちは救急病院にかかることが多いので、医療機関が近くにあることは重要なポイントでした。公園や図書館、児童館が充実しているところも、住んでみてよかったと感じた点です。
実際どう?熊本市の子育て
熊本市の子育て施策にはどのようなものがあるか、くわしく見ていきましょう。
数字で見る熊本市の子育て事情
熊本市は政令指定都市の中で、出生率は第3位ですが(2016年時点)熊本市の子育て世帯数は全体的に減少傾向にあります。
保育所の待機児童数は、2023年4月の段階でどの区も0人を達成しており、子育てしながら働きやすい環境が整っています。
熊本市の子育て支援情報
ここでは、熊本市の子育て支援情報をご紹介します。制度は今後見直しされる可能性がありますので、利用される場合は熊本市の公式ホームページで最新情報を確認してみてくださいね。
熊本市の子育て支援情報(1)子育て支援優良企業
熊本市では、子育て世帯が安心して子育てと仕事の両立をしやすくなるような取り組みとして、「子育て支援優良企業」の認定をしています。
子育て世帯などが働きやすい環境を積極的につくる企業は、人材確保や人材の定着がしやすいです。そのため、今後は時短勤務や社内の子ども預かりなどがある、働きやすい企業の増加が期待できます。
熊本市の子育て支援情報(2)ようこそ赤ちゃんプロジェクト
熊本市では「ようこそ赤ちゃんギフト」として、2022年4月1日以降に妊娠届を出した、または生まれた赤ちゃんがいる方に5万円ずつ、2回にわたって10万円が給付されます。
また、伴走型相談支援として、妊娠の届け出をしたときや出生届を出した後、保健師さんや助産師さんの相談サポートを受けられます。
熊本市の子育て支援情報(3)こども医療費の助成制度
「こどもの医療費の助成制度」は、3歳以上から1つの医療機関で、1ヶ月につき700円の自己負担が発生します。(中学生になると1ヶ月につき1,200円)
近隣の市では、子どもの医療費を無償化しているところが多いです。助成を受けるには、「こども医療費受給資格者証」(ひまわりカード)を申請する必要があります。
助成が受けられるのは、保険診療による医科・歯科・お薬(保険)にかかる医療費の一部負担金です。
熊本市の子育て支援情報(4)病児・病後児保育
病児・病後児保育とは、小学校6年生までの児童が病気または回復期にあるが、保護者が家庭で保育をできない場合に、一時的に施設で保育する制度です。
月曜日~土曜日の、午前8:00から午後6時まで利用でき、施設の空き状況は確認ページで随時チェックできます。料金は1日2,000円(昼食代込み)で、利用料の減免制度があります。
熊本市での子育て体験談
ここからは、私が実際に熊本市で子育てをしてきた体験談や、おすすめの遊び場所をご紹介します。
熊本市で子育てをする魅力
私が感じる熊本市での子育ての魅力は、「豊かな自然」と「便利な街」を満喫しながら、ストレスが少ない環境でのびのびと子育てできるところです。保育所の待機児童がゼロ(2023年4月現在)であったり、病児・病後児保育が活用しやすかったりと、働きやすい環境が整っています。
また、飲食店や駐車場の混雑が少ないところも、子育てがしやすいと感じる要因です。平日は車もそれほど多くないので、子どもたちの通学や外遊びを安心して見守ることができます。
熊本市の5つの区、それぞれの子育て環境
ここからは、熊本市にある子連れに便利な施設や、それぞれの区の特徴をご紹介します。
熊本市子育て環境(1)中央区
熊本市の中心地である中央区には、熊本城や百貨店、水前寺成趣園などがあります。路面電車(熊本市電)やバスの本数も多く、公共交通機関が充実していて便利なエリアです。
医療機関や学校も多く、文教地区といわれる白川校区も含まれているため、子育て世帯にも人気があります。白川校区では小学校の児童数が2000年~2020年まで増加していました。隣接する大江校区も、子育て世帯が増加傾向の人気の校区です。
わが家の子どもたちが幼稚園の頃によく行ったおすすめ施設は、熊本市中央区の中心地にある「鶴屋百貨店」の屋上広場スマイリアです。近所の公園とは少し違ったユニークな遊具で遊べるので、子どもたちはもちろん、大人も一緒に楽しめました。
食事のできるテーブルとイスが室内外に設置されていて、気軽に休憩ができるところも魅力的なポイントです。わが家はときどき、お弁当やパンをデパ地下で購入し、お昼ごはんを屋上広場で食べていました。授乳室やおむつ替えなどのスペースもあり、赤ちゃんがいても安心してゆっくりと過ごせます。
熊本市子育て環境(2)東区
東区は、5区の中で最も人口が多いエリアです(2023年4月)。九州自動車道や東バイパスなどの主要な道路が通っていて、利便性に優れています。
スーパーが多数あり、医療機関や学校、塾も充実しているので生活がしやすいです。自然の豊かな江津湖や隣接する動植物園は、子どもも大人も楽しめる人気のレジャースポットです。子育て世帯が快適に暮らせる環境が整っている街となっています。
熊本市子育て環境(3)西区
田畑や山林が70%の自然豊かな地域で、北部には有明海を望む金峰山があり、おいしいミカンや野菜が豊富です。
有明海には海の玄関口として機能する熊本港があり、長崎や天草とつながるフェリーが発着しています。九州新幹線が通る熊本駅周辺には、商業施設が開業し、新しいマンションも多く建設され、地域開発が進むエリアとなっています。
人口は5区の中で一番少ないですが(2023年4月)、一部の小学校では児童が増加傾向にあるようです。
熊本市子育て環境(4)南区
南区は、農地が区の50%以上を占めていて米、野菜、花きなどの栽培が盛んです。半導体生産の工場、県内流通の拠点として流通業務団地や新幹線車両所があり、熊本市の製造・運輸を支える地域でもあります。
国道3号や東バイパス沿いには病院や商業施設が多く、生活の利便性も高いです。
熊本市子育て環境(5)北区
北区は、豊かな自然が魅力の地域です。阿蘇山系から流れてきた湧水がある公園「八景水谷公園」や「植木温泉」など人気の温泉地があります。大きな遊具がある公園「立田自然公園」や「坪井川緑地」など、子どもが喜ぶレジャー施設も充実していて、のびのびとした子育てができます。
「ず~っと住みたい”わがまち北区”」を目指し、まちづくり活動が活発です。福岡にアクセスしやすい立地で、自然に囲まれていながらも、便利なエリアです。
熊本市の住まい事情
実際に住むとなると、家賃が気になりますよね。ここでは、ファミリーにおすすめの間取りである2LDK・3K・3DKの家賃相場をご紹介していきます。福岡市とも比較していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
〈熊本市の家賃相場〉
・熊本市中央区:11.09万円
・熊本市東区:8.69万円
・熊本市西区:9.67万円
・熊本市南区:7.44万円
・熊本市北区:7.50万円
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〈福岡市の家賃相場〉
・福岡市博多区:13.16万円
・福岡市西区:9.67万円
・福岡市早良区:12.25万円
・福岡市東区:9.36万円
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今回は福岡市のファミリー世帯に人気のある3区と博多区を、熊本市の各区と比較してみました。
同じ、ファミリー世帯に人気がある熊本市東区と、福岡市西区の家賃を比較したところ、月々約1万円の差がありました。新幹線が通っている熊本市西区と福岡市博多区を比較すると、約1.4倍福岡市博多区が高くなっています。できるだけ家賃を抑えて自然豊かな環境で子育てをしたいという方には、特に熊本市がおすすめです。
熊本市の子育て世帯におすすめエリア
ここからは、熊本市内で子育て世帯におすすめのエリアを3つ、ご紹介します。
熊本市の子育て世帯におすすめのエリア(1)長嶺エリア
長嶺エリアの北側には主要な県道、東側には九州自動車道(高速道路)が通っていて、県外へのお出かけに便利です。エリア内にはシュロアモールというショッピング・モールがあり、スーパーや100円ショップなどが入っています。
熊本赤十字病院や西日本病院などの大きな病院があるので、子どもの急な体調不良のときも安心です。
熊本市の子育て世帯におすすめのエリア(2)健軍エリア
熊本市東区の健軍エリアは、市電が通っていて移動に便利なエリアです。熊本市動植物園が近く、広々とした園内は、ふらっと散歩したくなったときにぴったり。動植物園では子どもが喜ぶイベントを開催していることが多いです。休みの日に開催されるナイトズーのイベントは、親子で楽しめました。
エリア内にある健軍商店街は、1954年から続く昔ながらの商店が残っています。鮮魚店や精肉店、飲食店が多く軒を連ねています。商店街のイベントも季節ごとに楽しめるので、親子で思い出をたくさん作りたいという方に、おすすめのエリアです。
熊本市の子育て世帯におすすめのエリア(3)白川校区エリア
熊本市中央区にある白川校区周辺エリアは、子育て世帯に人気のエリアです。特に北側は文教地区といわれていて、閑静な住宅地が広がっています。
日中は学生が多く活気があります。熊本市の中心地に近く、公共交通機関も充実しているので、車がなくても生活に困ることは少ないです。
夜間診療を受診できる病院も近くにあるので安心です。近隣にある熊本市立図書館では、無料で参加できる、子ども映画の上映会や読み聞かせのイベントなどが行われています。小さなお子さんも参加できて、親子で学ぶ環境が整っています。
自然に恵まれた便利な街、熊本市でのびのび子育て
熊本市での子育ては、恵まれた自然と便利な生活の両方が満喫できます。遊ぶときは自然の中で思いっきり遊び、ふだんは都会と同じように便利に暮らせる環境が整っているので、のびのびと子育てができる街だといえるでしょう。
ただし、ここ数年雨量が多くなっているので、水災害について地域のハザードマップを活用しながら調べておくと安心です。自然豊かで「水の都」と呼ばれるだけあって、熊本市には湖や大きな川がいくつもあります。避難経路を確認し、もしものときに備えておくことが大切です。
現在、熊本市ではシェアサイクルサービス「チャリチャリ」の実証実験が一部の地域で行われています。熊本市では、自然を守りつつできる便利な暮らしがアップデートされ続けています。