神奈川県の中心である横浜市は、みなとみらいや中華街などがある観光地として有名です。富山県の山間部出身の私は「こんな観光地でどうやって子育てをするの?」と、はじめは疑問に思っていました。
私は就職をきっかけに神奈川県へ移住し、その後結婚を機に横浜市へ引越してきました。横浜市で子育てを始めて3年以上が経ち、子育て支援制度の充実と、買い物やレジャーの便利さを実感しています。自然に親しめる緑地も多く、地域の方との交流も嬉しいものだと再発見しました。
今回は、実際に横浜市で子育て中の私が、横浜市の魅力や子育て環境についてご紹介します。引越しを検討中の方や、横浜市の子育て環境が気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。
横浜市で子育て中
はじめに、横浜市の概要を紹介します。
横浜市の概要
神奈川県東部に位置する横浜市は、県庁所在地であり、総人口約377万人の大都市です(2023年1月1日現在)。政令指定都市で18の行政区があります。
隣り合う自治体は多く、川崎市および東京都町田市、大和市・藤沢市・鎌倉市・逗子市・横須賀市と接しています。東側は東京湾です。
横浜といえば、東京湾に面したみなとみらい地区のビル群や、観覧車のある風景が有名です。中華街や外国人居留地、八景島シーパラダイスなどを思い浮かべる方もいるでしょう。私も引越してくる前は、こうした観光地のイメージを強く持っていました。
しかし観光地は横浜市のほんの一部で、内陸部には緑地や農地が多いです。閑静な住宅地や子育てしやすいニュータウンも各所にあります。住む場所次第で、都会的で便利な暮らしも、のどかな田園風景の中での暮らしも楽しめるのが、横浜市です。
横浜市の住まいを探す
わが家が子育て環境に横浜市を選んだワケ
わが家は18ある行政区の中で、横浜市の北東に位置する神奈川区に住んでいます。結婚を機に入居した大口駅近くの賃貸マンションから、新子安駅近くの中古マンションへ、神奈川区の中で一度引越しました。
大口・新子安エリアは、横浜駅までJR線で2駅。東京方面にも神奈川県西部にも出やすく、交通の便がとてもいい場所です。住まいを選んだ当時は共働きだったため、私も夫も通勤しやすいことが重要でした。商店街や落ち着いた住宅地があり、私たちにとってホッとできる街だったところも大きなポイントです。
子育てに関しては、無事に授かったときに考えよう、と正直安易な姿勢でした。その後、横浜市で息子を出産し、あっという間に現在3歳に。実際に子育てを始めてみると、共働き時代には知らなかった横浜市のいい面が見えてきました。
実際どう?横浜市の子育て
ここからは、横浜市の子育て事情と子育て支援について、私の経験も交えて紹介します。
数字で見る横浜市の子育て事情
横浜市の人口は、ここ数十年増え続けていましたが、2022年と2023年は連続してマイナスとなりました。それでも子どもの数は多く、現在の年少人口(0~14歳)は、約43万人となっています(2023年1月時点)。全国と比べて、横浜市は生産年齢人口(15〜64歳)の割合が高く、老年人口(65歳以上)の割合が低いのが特徴です。
横浜市は2015年度より”横浜市子ども・子育て支援事業計画”を作成し、子育て支援を充実させるべく取り組んでいます。子育て世帯からも広く意見を聞き、本当に求められている支援を届ける取り組みです。
2023年4月時点の、保育所等のデータを以下にまとめました。
・保育所等施設数 1,196箇所
・定員数 73,709名
・待機児童数 10名
待機児童数は、前年と比べて1名減りました。今の基準で待機児童数の集計が始まった2018年には、63名だったので、5年間で50名以上減ったことになります。
また、保育所等施設数は「横浜市子ども・子育て支援事業計画」が始まった2015年と比べて1.5倍に増えました。これらのデータから、横浜市が待機児童対策に力を入れていることが分かります。
幼稚園と認定こども園の数は以下のとおりで、こちらも充実した施設数です。(2022年度時点)
・幼稚園 239箇所
・幼保連携型認定こども園 49箇所
保育所等に比べれば少ないですが、通園バスを運行している園も多く、選択肢は思ったより広い印象です。
横浜市の子育て支援情報
ここでは、横浜市の代表的な子育て支援・取り組みを紹介します。中には今年度(2023年度)から変更される制度もあり、まさに充実していく途上ですので、最新情報は横浜市の公式サイトをご確認ください。
横浜市の子育て支援情報(1)小児医療費助成
横浜市では、0歳から中学3年生までの医療費を助成しています。
今までは所得制限がありましたが、2023年8月から撤廃されることとなりました。これにより、保険診療の入院・通院における自己負担額が、保護者の収入にかかわらず全額助成されます。
小さい子どもは何かと病気をもらってくるものですし、元気に遊んでいれば多少のケガも避けられません。いざというときにお金の心配なく受診できるのは、とてもありがたいです。
横浜市の子育て支援情報(2)産前産後ヘルパー派遣事業
産前産後の世帯が、横浜市が委託したヘルパー事業者をお得に利用できる制度です。妊娠中の心身の不調で上の子の子育てに支障がある場合、または出産後5ヶ月未満(双子以上の場合は1年未満)で家事育児のサポートが必要な場合に利用できます。
出産時に里帰りしなかったわが家は、この制度で産後の家事代行を依頼でき、大変助かりました。産後に利用する場合は妊娠32週から申し込みができるため、事前に手続きしておくことをおすすめします。
ヘルパー事業者は、家事が得意な事業者と保育が得意な事業者に、ある程度分かれるようです。区役所の担当の方が詳しいので、迷ったら聞いてみてください。
横浜市の子育て支援情報(3)地域子育て支援拠点の設置
横浜市の各区には、地域子育て支援拠点が設置されています。0歳から就学前の子どもと保護者が自由に遊べ、さまざまな交流会やイベントに参加できる施設です。地域の遊び場や子育てサークルの情報、幼稚園や保育園の情報を得たり、個別に育児相談をしたりすることも可能です。
私の住む神奈川区のように、メインの拠点に加えてサテライトが設置されている区もあります。私がよく利用する“かなーちえサテライト”は、新子安地域の子ども増加に伴い、2021年に新設されました。
かなーちえサテライトは木造一戸建ての居心地がよい空間で、幼稚園に上がった今もときどき遊びに行きます。家にはないおもちゃがたくさんあり、息子は大喜び。私も職員の方や他の保護者の方と話したり、ときには相談をしたりと、元気をもらえる場所です。
横浜市の子育て支援情報(4)横浜子育てサポートシステム
地域の中で子どもを預けたい人と預かってくれる人を引き合わせ、地域ぐるみで子育てをサポートする取り組みです。生後57日以上から小学校6年生まで利用できます。
自宅や預かってくれる人の家で見てもらうほか、普段遊びに行く地域子育て支援拠点で預かってもらったり、保育園や幼稚園への送迎を頼んだりすることも可能です。私も息子が1歳の頃に、何度か子育てサポートシステムを利用して地域子育て支援拠点で預かってもらいましたが、見知ったスタッフの方もいるので安心できました。
プロのベビーシッターに頼むよりも手頃な料金で利用できるところが魅力です。2023年7月1日からは、以下のように利用者の負担が軽減され、ますます利用しやすくなります。
・利用料が1時間800円から500円に値下げ(平日日中の場合。時間外は100円増し)
・子サポdeあずかりおためし券(無料クーポン)の配付(2023年4月1日以降に生まれた子のいる世帯が利用登録した場合。 8時間分)
横浜市の子育て支援情報(5)幼児教育・保育の無償化
横浜市では、2019年10月1日から、幼児教育・保育が無償化されました。3歳児〜5歳児クラスのすべての子どもと、市民税非課税世帯の0歳児〜2歳児クラスの子どもが対象となります。
無償化されるのは、認可保育園や幼稚園、認定こども園といった認可施設に通う場合です。非認可施設に通う場合も、条件に応じて補助金を受け取れます。わが家も息子が幼稚園に上がり、まさに恩恵を受け始めたところです。
横浜市での子育て体験談
私は横浜市神奈川区に住み、3歳の男の子を育てています。ここでは私の目線で、横浜市で子育てをする魅力についてお伝えします。
以下の、横浜市神奈川区を紹介する記事でも子育て体験に触れていますので、よろしければご覧ください。
横浜市で子育てをする魅力
「子どもとお出かけしよう!」と思ったときに、レジャースポットや観光地にアクセスしやすいのが、横浜市の魅力です。多くの施設にベビーカーで移動しやすいスロープやエレベーター、授乳室などが整備されており、子連れでも困りません。
横浜駅周辺には、子育て初心者でも訪ねやすい商業施設がいくつもあります。中でも横浜ベイクォーターは、子どもとのびのび過ごせて気に入っている施設です。風通しがよく気持ちいい建物に、カフェやレストラン、可愛いベビーグッズの店や100円ショップがそろっています。
3階のメイン広場には時期によって芝生やクリスマスツリーが登場し、子どもたちもハイハイ、よちよちと楽しそうです。授乳室や親子休憩室、キッズトイレも完備されているので安心して滞在できます。
施設名:横浜ベイクォーター
所在地:神奈川県横浜市神奈川区金港町1-10
アクセス:各線横浜駅 きた東口Aから徒歩3分、東口から徒歩7分
営業時間:ショップ11:00〜20:00、サービス11:00〜21:00、レストラン&カフェ11:00〜23:00(一部 7:00〜)、スマイルキッズステーション(4階)10:00〜19:00
野毛山動物園は、比較的小規模で見学しやすく、入園無料がうれしい動物園です。乳幼児連れの親子も多く見かけます。
息子はレッサーパンダ、キリン、ペンギンがお気に入り。園内各所にベンチやテーブルがあるほか、室内に休憩所も設置されており、日差しや虫を避けてランチができます。
徒歩で向かうと坂道がきついですが、JR桜木町駅からバスで行くことも可能です。余力があれば帰りに桜木町駅周辺で、みなとみらいの空気を吸いながらカフェタイムも楽しめます。
電車が大好きな3歳児の親としては、色々な電車を見に行きやすいところも、横浜市の楽しみのひとつです。
神奈川区新子安に住むわが家の最寄りは、JR京浜東北線と京急本線です。JR東海道線と横須賀線も通っており、特急列車も通過するため、線路沿いで眺めていると飽きません。
横浜市にはほかにも、東海道新幹線に相鉄線、東急線・みなとみらい線・横浜市営地下鉄・シーサイドラインと、さまざまな鉄道会社の路線があります。各社の鉄道博物館も人気です。
私たちがよく遊びに行く京急ミュージアムは、横浜駅からアクセスしやすい場所にあり、休日の入館予約があっという間に埋まります。JR京浜東北線の根岸駅からバスで行く横浜市電保存館は、土日でも比較的空いている穴場です。
横浜市の子育て環境
普段どのような子育て生活を送っているのか、もう少し紹介していきます。
私の住む新子安エリアは、新しいマンションが次々建ち、子どもが多い地域です。公園では近所の子とよく一緒になりますし、近隣の保育園から遊びに来ている姿を見かけることも多いです。神奈川区地域子育て支援拠点”かなーちえサテライト”は、いつもにぎわっています。
一方で、昔からの住宅地も残っているため、祖父母世代の方も多いように感じます。公園の手入れをしてくださっているボランティアの方が、息子に親しく声を掛けてくださるとうれしいです。
食品の買い物は、スーパー”オーケーストア”を主に利用しています。ベビー服を探すときは、横浜駅も利用しますが、東神奈川駅の”イオンスタイル東神奈川”も混みすぎないのでお気に入りです。
大口駅の周辺では、大口商店街の活気が好きで、ときどき利用します。なじみのパン店に行くと、奥さんが息子を覚えていて声を掛けてくださるのがうれしいです。かつての私が想像していた”観光地横浜”とは違い、にぎやかでありつつも、地に足の着いた暮らしができていると感じます。また、私は富山県の山間部で育ったためか、緑地や土の地面があると癒やされます。私の感覚でも、横浜市は都会なりに緑が多く、いい意味でギャップを感じました。
〈横浜市内にある大きな公園〉
・四季の森公園
・保土ヶ谷公園
・三ツ池公園
・久良岐公園
・根岸森林公園
・陣ケ下渓谷公園
わが家からは、ちょっとした雑木林のある公園が徒歩圏内にあり、秋には松ぼっくりやドングリを拾って遊びました。電動自転車で足を延ばすと、古民家と池が個性的な馬場花木園や、桜がきれいな三ツ池公園に着きます。
生活が便利でありながら、気軽に自然に親しむことも可能なのは、住んでみて実感した横浜市の魅力です。
横浜市の住まい事情
ここまでお伝えしてきたように、さまざまな魅力を持つ横浜市ですが、住まい事情はどうでしょうか。ファミリー向け2LDK・3K・3DKの家賃相場を、東京都内で横浜市に近い区と比べてみました。
まず、東急電鉄の二子玉川駅や小田急電鉄の成城学園前駅がファミリー層に人気の、東京都世田谷区。2LDK・3K・3DKの家賃相場は、23.60万円となっています。
もうひとつ、田園調布の高級住宅地が有名な東京都大田区。こちらの2LDK・3K・3DKの家賃相場は21.22万円でした。
横浜市内の方は、このあと紹介するおすすめエリアがある区を見てください。2LDK・3K・3DKの家賃相場は以下のとおりです。
・横浜市都筑区 13.02万円
・横浜市港北区 16.43万円
・横浜市青葉区 12.51万円
東京都内は高そうなイメージを持っていましたが、実際に比べてみると、横浜市の家賃相場と10万円ほども差があることに驚きました。
横浜市の子育て世帯におすすめエリア
私の住む神奈川区新子安エリアもいいところですが、横浜市には人気のエリアがいくつもあります。ここでは子育て世帯におすすめのエリアを3つピックアップしてご紹介します。
横浜市の子育て世帯におすすめエリア(1)横浜市都筑区「センター南駅」周辺エリア
最初に紹介するのは、横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンラインが通る、センター南駅周辺です。 港北ニュータウンの一部として開発されたセンター南エリアは、港北TOKYU S.C. をはじめとするショッピング・モールが数多くあり、便利な子育て生活を満喫できます。
一方で、自然がまるごと残された広い公園も大変近いです。都筑中央公園は、元々あった里山を生かして整備されており、森に迷い込んだ気分で遊べます。駅から徒歩10分以内の場所にあり、ショッピング・モールも大自然も楽しめるのは、子育て世帯にとってぜいたくな環境といえるでしょう。
施設名:港北TOKYU S.C.
所在地:神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央5-1
アクセス:横浜市営地下鉄センター南駅下車すぐ
営業時間:ショッピング・サービス10:00〜20:00、レストラン&カフェ11:00〜22:00(オーダーストップ21:30)、A館6階 109シネマズ港北9:30~24:00、A館6階 ナムコ10:00〜22:00
※一部営業時間の異なる店舗があります。
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横浜市の子育て世帯におすすめエリア(2)横浜市港北区「日吉駅」周辺エリア
次に、東急電鉄および横浜市営地下鉄グリーンラインの日吉駅周辺を紹介します。東急東横線と目黒線に加えて、2023年3月からは新横浜線も開通し、相鉄線と直通運転が開始。新横浜駅に出て東海道新幹線を利用するのが便利になりました。
日吉駅周辺での買い物は、駅直結の”日吉東急アベニュー”が便利です。駅西口の放射線状に整備された町には5つもの商店街があり、食料や日用品など何でもそろいます。東口には慶應義塾大学の日吉キャンパスがあり、学生が多くにぎやかな街です。
日吉駅周辺は、バスの本数が多いところも魅力です。仕事で日吉駅発着のバスを利用する夫によると、駅から少し離れても待たずに乗れるほどの本数があり、渋滞が少なく遅れにくいとのこと。駅から離れた物件を検討する際は、ぜひバス路線を確認してみてください。
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横浜市の子育て世帯におすすめエリア(3)横浜市青葉区「青葉台駅」周辺エリア
最後に紹介するのは、東急田園都市線の青葉台駅周辺エリアです。閑静な住宅地が広がり、教育熱心な家庭が多いとの噂を聞きます。東京方面に出やすく、鉄道にアクセスしやすいエリアです。
駅近くには、青葉区地域子育て支援拠点”ラフール青葉台”があります。0歳から未就学児を主に対象とする子育て広場で、ロープネットを使った室内アスレチックが特徴的です。0歳から安心して過ごせる赤ちゃんコーナーも設けられています。育児に困ったときには、いつでも職員に相談でき、頼もしい施設です。
自然が豊かなところも、青葉台の魅力です。広い雑木林を生かして作られた”こどもの国”では、広大な自然の中でさまざまな遊びを楽しめます。息子を連れて行ったときは、動物と触れ合える牧場と、ミニSL”たいよう号”を特に喜んでいました。気候がよい時期の休日は、広い駐車場が車でいっぱいになる人気スポットです。
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横浜市で充実した子育てライフを楽しもう
横浜市で子育てをする魅力について、住民の目線から紹介してきました。
横浜市での子育ては、レジャーや買い物が大変便利でありながら、自然に親しむこともでき、とても充実しています。少子化の世の中でも子どもの数は多く、わが子にも友だちがたくさんできることが楽しみです。
子育て支援に力を入れており、今後も変化が楽しみな横浜市には、18の行政区があり、どの区・どの駅に住むかによって、利便性や自然の近さといった個性はさまざまです。この記事を参考に、ぜひ住んでみたい街を見つけてみてください。