大学院への進学を機に、神奈川県から京都市内へと居を移したT.Iさん。そんなT.Iさんは京都に暮らし始めて4年になります。「京都には、特にそれまで縁もなかった」と話すT.Iさんに、京都暮らし最初の地の松ヶ崎、そして現在の住まいのある百万遍エリアの住みやすさとそれぞれの良さについて聞いてみました。
京都移住最初の住まい、松ヶ崎の環境とは
―大学院への進学がきっかけで京都に引っ越してこられたそうですね。
T.Iさん(以下Tさん):「はい。東京の大学では、社会学を専攻していたのですが、研究対象に哲学や文学も含んでいました。そんな中で出合った本の翻訳をしている先生が、京都の大学院にいらして、その方に教えてもらいたいなと思って京都の大学院に進学しました。修学旅行できたくらいで、京都には馴染みが全くなくて、土地のイメージも特になく。ただ、大学の卒業論文で誠光社(書店)の堀部(篤史)さんにインタビューをさせてもらって。その時に聞いた話から、なんかすごいところだと思い、この人の近くにいたいなって思ったことも大学院行きを後押ししました」
―なるほど。京都に来たのは人に会いにという。
Tさん:「そうですね」
―それで住むところはどうのように決められたのでしょうか?
Tさん:「土地勘もなかったので、とにかく学校まで自転車で行ける範囲で探しました。そのときに安かったのが、京都市営地下鉄烏丸線の松ヶ崎駅から徒歩1分くらいの物件。最初はそんな決め方でした」
ー土地勘がないと雰囲気もわからないですよね。
Tさん:「あと建物の名前が“きんこん館”というのもいいなと思って。ただ、決めた時は結構バタバタだったのを覚えています。もともとは別の味のある広めのアパートに決まっていのたんですが、契約寸前で取り壊されるなんて言われてしまって。急遽変更したという」
―遠方でその状況は厳しいですね。そうして住み始めた松ヶ崎はいかがでしたか?
Tさん:「住み心地自体はすごく良かったです。ただ、学生だった僕には松ヶ崎があまりにも住宅街で遊ぶところがなかったなとは思いました。ちょうど来た頃がコロナ禍にハマっていたこともあり、外にどんどん遊びに行く感じでもなかったんですが。大学もほぼオンラインでの授業というのもあり、自宅で勉強というのが多かったです」
―街を見て歩く余裕みたいなことはあまりなさそうですね。商店もその頃だと軒並み休まれていたでしょうし。
Tさん:「僕の印象では、住人の皆さんは割とお金に余裕があるファミリー層が多かったように思います。工芸繊維大学が松ヶ崎からすごく近いので学生もちらほら見かけました。また、近くに宝が池公園がありファミリーが遊びに来ていたりとか、ランニングしている人がいたり、自然が豊かでした。鹿が出ることもありましたよ」
―その松ヶ崎には、結局何年住まれたのでしょう?
Tさん:「松ヶ崎には2020年から2022年までいました」
第2の住まい、京都といえばの学生街・百万遍の住み心地
―その後、百万遍に引越されたわけですね?
Tさん:「はい。コロナ禍といえども、2年も過ぎ、何となくあの辺がこんな感じなど雰囲気がわかってきて。ジャンルをとても付けにくいんですが、喫茶というかバーというか[失われた時間と百年の孤独]を誠光社の堀部さんに紹介してもらって通っていました。他にも、そういった好きで通っていたお店ができていたのですが、そのお店で知り合った不動産会社の方に、左京区に学生の匂いが感じられると言いますか、学校まで自転車で通えて、家賃的にもリーズナブルな場所を紹介してもらったところ百万遍の物件を教えていただきました。そこだと映画館もあれば、書店も近くにあって学生街の雰囲気も十分で。出町柳駅にも近いですし」
―ところで、松ヶ崎と百万遍ですが、ともに普段の生活必需品などの買い物はどうされていましたか? スーパーマーケットなど結構周りに多い地域なのでしょうか?
Tさん:「どちらも買い物に困るということはありませんね。おもしろいのが、松ヶ崎の方はもう潰れてしまったんですが、ローカルスーパーみたいなのがあって、いわゆるよくきくスーパーマーケットではなく、地域にしかないタイプのお店なんですが、そういうのがありました。今住んでいる百万遍近くには、[グレイス田中]というローカルスーパーがあるんですが、そこが僕にとっては生活に欠かせないお店です。声をかけたりしませんが、いつも会うお客さんがいたりして、なんとなく顔見知りになっているところもいいですね」
―人のムードが良いのでしょうか。
Tさん:「学生街なんですが、元々暮らされている方との混ざり合いだったり、外国の方だったりいい意味でのカオスな感じが、僕はとても気に入っています。それに、学生に優しい街ではあると思います。(家賃は)安いし、あとお店の常連さんというか、別に待ち合わせしてるわけじゃないですけど、行ったら絶対誰か知り合いがいるみたいなコミュニティがあるのでわざわざ街中に行くよりも何かもうちょっと楽しく深い付き合いができるというか」
―なるほど。少し話は変わりますが、これまで住まいは学校があったので、そこが基準の一つになっていたと思いますが、それ以外の交通の便利さなどは気になりませんか?
Tさん:「僕の感覚ではありますが、基本は自転車移動で京都はどこでも行けるなと思います。電車の便とかはあんまり気にしてないところはあります。それに百万遍だと、出町柳まで行けば、大阪が職場になったとしても1時間ちょい京阪電車に乗っていけば着きます。しかも出町柳駅は京阪電車の始発駅だから楽ですし、そういうことを考えると、職場は大阪だけど、京都住まいなのも可能になるなとも思います」
松ヶ崎と百万遍を含む左京区は学生に加えてこんな人にもおすすめ
今回お話を伺ったT.Iさんは現在、大学院を卒業し、個人としての活動とともに京都と大阪でも仕事をしています。京阪電車に乗って大阪にも通っているため、実感を持って「京都在住ながら、大阪の職場に通うことは可能」と話してくれました。
また百万遍は、京都屈指の学生街、百万遍の交差点には京都大学があり、北に向かえば、瓜生山に京都芸術大学も。そのため、学生がたくさん住み、就職後も同じく近隣に住み続けるという方が多くいるため、T.Iさんが言うように、コミュニティが生まれやすい環境があるようにも思われます。
家賃相場もワンルームで5.41万円、1Kで5.8万円。叡山電鉄で元田中駅や茶山駅方面にまでいけば、ワンルーム・1K・1DK、5.04万円、4.94万円まで下がり、リーズナブルな地域。T.Iさんの学生に優しいという言葉も納得です。
また、百万遍のある左京区には、岡崎公園一帯に美術館や動物園、ホール、図書館、そして、地下鉄烏丸線北山駅の付近には植物園、京都府立大学などがあります。区内に6つの大学があるという、京都市内屈指の学生街とも言えます。そのため、留学生も多く住んでいるため、国際的な交流にもむいている土地でもあるので、コミュニケーションに興味がある人にもうってつけの土地といえるでしょう。
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◆本記事の担当者
取材・文:松村貴樹