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奈良・生駒へ移住したクリエイター内海重光さんに聞く、都市と田舎の間にある生駒の魅力
奈良・生駒へ移住したクリエイター内海重光さんに聞く、都市と田舎の間にある生駒の魅力

奈良・生駒へ移住したクリエイター内海重光さんに聞く、都市と田舎の間にある生駒の魅力

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岐阜県大垣市出身のクリエイター・内海重光さんは、三重県、愛知県、大阪府、東京都と、これまではお仕事に合わせて住む場所を移してきたと言います。フレックスタイム制やリモートワークなど、自身のライフスタイルに合わせた働き方の選択肢が増えつつある昨今、内海さんは主に南大阪からデザインの仕事を受けながら、現在は奈良県生駒に拠点を構えました。

「もっと働く場所から自由になりたい」と語るクリエイターはなぜ生駒を選び、約3年間どのように暮らしてきたのか、お話を伺いました。

仕事に合わせた暮らしから、もっと自由な暮らしへ

—ウェブ、ロゴ、エディトリアル、プロダクト、といった広い意味でのデザイン分野で活動されていますね。ずっとデザインがメインでやってこられたのですか?

内海さん:「いえ、出身地域周辺の産業としては自動車が強かったので、最初は自動車設計の仕事に就いていました。当時から自分の感性が問われるようなデザインをやりたいとは思っていたんですけど、工業的な設計の方が収入の面で良かったので」

—自動車産業が強かったとのことですが、ご出身は東海地方ですか?

内海さん:「そうです。岐阜県の大垣市出身で20歳までいて、就職を機に三重県に引越しました。三重県での自動車設計の仕事のあとは、より感覚的な仕事がしたくなったので名古屋のライブハウスで働きながら、音楽系のフリーペーパーのデザインなどをするようになりました。その後、もっとしっかりとした仕事としてデザインをやっていきたいと思ったので、大阪の堺市にいる師匠のもとに」

—その方のもとで本格的にデザインを学ばれたんですね。

内海さん:「インテリアのデザインをされていた方だったので、ソファを中心にした家具のインテリアデザインを経験しました。5年ほど働いて、独立したのが30歳くらいですね」

—独立時は堺にお住まいだったのですか?

内海さん:「大阪の九条に住んでいました。まちづくりの事業に関わりながら、もともとやっていた家具の領域でブランディングもやって。スタートアップ事業の外部デザイナーとして、1、2年東京で生活していた時期もありますね。その後、堺に戻って来て、『SAKAINOMA』というまちづくりを兼ねた宿泊施設を立ち上げから3年ほどお手伝いさせてもらって、現在に至ります」

—さまざまな地域に住まれてきたんですね!

内海さん:「そのときそのときで判断しているので自覚はないですが、振り返ってみるとたしかに転々としていますね(笑)」

都市と移住先、奈良県生駒の自然の中で暮らす

内海さんに撮影していただいた近所の道。街灯も少ないため夜は真っ暗で静か。現在は感覚が麻痺してまったく不便を感じない
内海さんに撮影していただいた近所の道。街灯も少ないため夜は真っ暗で静か。現在は感覚が麻痺してまったく不便を感じない

—現在の拠点である、奈良県生駒市に移ったのは何か理由があったのでしょうか?

内海さん:「堺のまちづくりの事業を終えたのが35歳のときだったんですけど、もっともっといろんなことから自由になりたいと思ったんです。いかに自分のペースを守りながら働けるかということに関しては、フリーランスになったとはいえ、まだまだできていないと感じていました。仕事自体は大阪の都市部にあるけれども、生活は自然環境が豊かな場所がいい。都市と田舎の間を取ったときに生駒に落ち着きました。難波に1時間ちょっとで出られるくらいアクセスも悪くないんですよ」

—なるほど!いつ頃引越されたんですか?

内海さん:「2020年のちょうどコロナ禍に入るくらいのタイミングでした。なので自分のライフスタイルを実現したいという思いに、フルリモートワークを許容するような空気が社会に流れ始めたことが重なり、背中を押されたというのもあります」

—自然環境が豊かな場所を探されていたのはどうしてだったんでしょう?

内海さん:「お茶や茶道の精神文化が好きなんです。ご存じのように自然と共にある要素が強い文化なので。とはいえ一方で都市的なカルチャーも好きだったので若い時分は都会にいたかったのですが、30歳も越えたしもういいかなって(笑)」

近所の自然環境。都会では気づきにくい変化にも敏感に。
近所の自然環境。都会では気づきにくい変化にも敏感に。

—いまやられているデザインとお茶文化の組み合わせっておもしろいですね!

内海さん:「もともとは働いていたデザイン事務所が和洋折衷的にソファに和の要素を取り入れていたのを見て、自分の好きな感覚と近いなと思ったのが始まりです。同じ時期にたまたま『へうげもの』というお茶の漫画に出合ったことも大きいです。古田織部という戦国武将が主人公なんですけど、当時の茶道文化が上手に切り取られています。読んでいるうちに、ひょっとすると茶人はクリエイターなんじゃないかと思いました。つまり、空間デザイン、城の設計、物のディレクション、インテリアの感覚など、クリエイターとして必要な要素がとても多く含まれていることに気づいたんです」

—言われてみるとまさしくそうですね!お茶でいうと、近隣の京都も思い浮かびます。

内海さん:「お茶でなにか具体的に実践をするなら京都がいいですよね。でも僕はあくまでも精神文化として尊重している部分が強いので、自然が近く、経済的にも住みやすいということで生駒に決め、事務所兼住居を構えました」

自然からのインスピレーション、生駒でちょうどいい田舎暮らし

生駒山口神社は雨にまつわる神様として皇室からも信仰が寄せられたという
生駒山口神社は雨にまつわる神様として皇室からも信仰が寄せられたという

—生駒って内海さんから見てどのような町でしょうか?

内海さん:「住んでみると、古い神社やお寺がよく目につきます。中沢新一の『大阪アースダイバー』という本によると、大阪がまだ海だったときに生駒はできていて、当時は神聖な場所だったといいます。実際、山のほうにあるお寺を修業として訪ねる方々も多く住んでいます。とはいえ、大きく見ればすごく特徴があるような町ではないですね(笑)」

—もともと都市的な部分もお好きだったとおっしゃっていましたが、そのあたりは苦にならないですか?

内海さん:「田舎らしく不便なところもありますが、生活をするうえでは苦になりません。堺にいたときはコンビニやスーパーのお弁当で夕食を済ませることも多かったのですが、コンビニが近くにないからこそ、道中のスーパーや無人販売所で野菜を買って来て、家で料理を作ることが基本になりました。それまでは食に気を配りたいと思ってはいてもなかなかできなかったので、苦になるどころかむしろ望んでいたライフスタイルに近づいている実感さえあります」

—自然環境が近いからといってストイックな自給自足などでは決してないんですね。

内海さん:「そうですね。振り切ったというよりも、都市と田舎の間を取ったような町です。都市部に引けを取らないほどクオリティの高いお料理屋さんが山のなかに点在していたりもしますし、最近はスローライフ的な文脈のカフェも増えてきました」

—内海さんのようなクリエイターも近くに住んでいますか?

内海さん:「ほとんどいないと思います。ご近所さんもご高齢のお父さん、お母さんがほとんどです。僕自身は丘のうえにある住宅群に住んでいるんですけど、地の人よりも外から来た人のほうが多い印象です。産業として活発なのは農業くらいですが、近所に野菜の無人販売所があってだいぶ助けられています(笑)」

市場に流通させられないB品とはいえ、充分美味しく、新鮮で安い野菜が並ぶ
市場に流通させられないB品とはいえ、充分美味しく、新鮮で安い野菜が並ぶ

—引越してきたからこそご自身の活動に生きている部分はありますか?

内海さん:「都市で生活していたころは目的地への移動しかなかったのが、こっちに来てからは散歩という曖昧な時間を過ごすことが増えました。自然から受け取るインスピレーションは、直接的ではないかもしれないですけど、デザインに生きていると思います」

—散歩でよく行かれる場所、お気に入りのスポットなどありますか?

信貴山は聖徳太子ゆかりの山。朝護孫子寺は商売繁盛、金運アップの御利益があるとも!
信貴山は聖徳太子ゆかりの山。朝護孫子寺は商売繁盛、金運アップの御利益があるとも!

内海さん:「信貴山朝護孫子寺ですね。大きな虎の張り子が有名ですが、敷地を歩くだけでもとても気持ちがいいです。徒歩圏内ではないので少しだけ電車に乗りますが、リフレッシュしたいときに散歩だと思ってよく行きます。それとまたお寺になりますが、千光寺にも行きますね」

—お話を伺っていると、生駒はゆっくりと身を落ち着けるのにちょうどいい場所のように感じます。

内海さん:「のんびりしていますし、静かですし、よいところです。でも僕は場所を自由に選びながら働く人たちの旗振り役にもなれればいいとも思っているんです」

—ということは、生駒は暫定的な拠点であって、もしかしたらすぐに別の場所に暮らしていることもあり得るということですか?

内海さん:「よくわかりましたね(笑)。少し前は神奈川の海が近いエリアもいいなとか考えたりしていました。なので関西圏というこだわりもありません」

—次のエリアを考えるときの基準などがあれば教えてください。

内海さん:「そのときに求めている感覚ですかね」

—最後に、生駒での今後の展望を教えてください。

内海さん:「堺にいるときから、仕事ではなくもっと自己表現をしたいと思ってきたので、今以上にやっていきたいと思っています。自宅にある和室で抹茶のイベントを企画するのもいいなと。より地域的な話で言うと、2ヶ月ほど前から『レンタルうちー』というサービスを始めました。『レンタルなんもしない人』からアイデアをいただいたのですが、僕にできる範囲で何でも手伝います、というサービスです。これまでにパソコンやカメラについて相談がありました。仕事が少ないということを踏まえて田舎に居続ける工夫ですね」

都市へのアクセスと静かな暮らしの両方が実現する、奈良・生駒

今回お話を伺った内海重光さんは「ナツメデザイン」を屋号に掲げ、生駒にある自宅兼事務所で、お茶の精神文化を取り入れたデザインの活動をされています。

生活圏の生駒では豊かな自然環境を近くに感じながら、ご自身の価値観に合ったのんびりとした暮らしを送り、あえて都市的なリズムに身をさらすために大阪まで出向くこともあるそうです。ご自宅は生駒郡ですが、大阪に出向く時に便利なのが生駒市にある生駒駅。
生駒駅は近鉄奈良線、近鉄けいはんな線、近鉄生駒線の3路線が通り、特に大阪ミナミへのアクセスは良好、京都までも1時間の距離です。平均家賃は4.19万円とお手頃。内海さんも堺市でのアパートと同じくらいの家賃で一軒家を借りています。少し都会生活から距離を取りたい方におすすめです。

◆本記事の担当者 取材・文:石川宝

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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