JR板橋駅(いたばしえき)は、板橋区東部に位置し、JR埼京線で新宿駅や渋谷駅、赤羽方面へ乗り換えなしでアクセスできる便利な駅です。駅周辺には旧中山道随一の宿場町として栄えた板橋宿の名残として、個人商店が並ぶ活気ある商店街があります。また、旧加賀藩下屋敷跡地の一部を活用した「加賀公園」や「板橋こども動物園」など、自然環境にも恵まれたエリアです。板橋駅は、歴史や文化に興味がある方、そして都心に近すぎず遠すぎない落ち着いた暮らしを求める方には、ぜひ知ってほしい街といえます。
板橋駅周辺の基本情報(都道府県内での位置づけ、特徴など)
JR板橋駅は、板橋区の東端に位置しており、板橋区の玄関口となっています。東側は北区、南側は豊島区に接しており、板橋区民のみならず北区や豊島区民も利用する駅となっているのも特徴です。このため、板橋駅周辺では住む場所によって行政サービスが異なり、住まい探しの際は注意が必要となります。なお、この記事では、板橋駅西側エリアにあたる板橋区を取り上げています。
板橋駅西側エリアである板橋地域は、区役所をはじめ官公庁施設、病院などの都市機能が集積し、公共交通も充実しており、行政計画上、重要なエリアとされています。例えば、区の都市づくりの計画では、「都市拠点」に位置づけられています。
しかし、実際に板橋駅を訪れたことのある方ならご存じかもしれませんが、駅周辺は中小の商業施設は多く立地しているものの、人口約58万人を擁する区の玄関口としては、やや機能面での不足を感じる方もいるのではないでしょうか。
そうした側面については、板橋区も課題として捉えており、区の都市づくりの指針には、区の玄関にふさわしい誰もが暮らしやすく活気溢れた安全・安心なまちの形成を図ることが方針として示されています。
次に板橋区と板橋駅西側エリアの人口動態を見ていきます。
板橋駅周辺の人口
上図は、板橋区の町丁別の人口増減率(2020年4月→2025年4月)を示したものです。ご覧のとおりと、区全体で増加傾向であることがみてとれ、板橋駅西側エリアでも増加していることがわかります。
・板橋一丁目〜四丁目人口:
2万3,923人(2020年4月)→2万4,793人(2025年4月)= 870人増
都心に近く交通利便性の高い板橋駅周辺エリアでは、近年、大小さまざまなマンションの建設が進んでいます。区によると、こうした人口増加の傾向は、2040年ごろ(ピーク人口は約61万人)まで続くという予測がされています(※板橋区人口ビジョン(2024年度改定))。
板橋駅周辺の歴史
上図は、旧中山道板橋宿の錦絵です。現在でも板橋駅北側には旧中山道の歴史が随所に残っています。例えば、板橋区の中山道に関係する歴史的な観光スポットとしては、板橋の由来と石神井川に架かる「板橋」や、街道沿いに残る「志村一里塚」、「縁切り榎」などがあります。なお、現在、旧板橋宿があった街道沿いには商店街があり、普段から人通りが絶えず、にぎやかな空間が形成されています。
また、板橋区地域は旧加賀藩とのつながりもあります。現在の加賀一・二丁目、板橋四丁目の全域、板橋一・三丁目の一部は、旧加賀藩下屋敷の敷地で、その面積は約21万8,000坪におよんでいたとされます。この敷地面積は、東京ドームおよそ15個分の広さでであり、屋敷がいかに広大であったかがわかります。現在では、屋敷内庭園の一部が「加賀公園」となっているほか、東京家政大学のキャンパスの一部にもなっています。板橋区では、このようなゆえんから、金沢市と「友好交流都市協定」を締結しています。
板橋駅東口(北区滝野川)には、幕末に活躍した新選組局長の近藤勇の墓が立てられているのはご存じでしょうか。1868年に流山で新政府軍に捕えられた近藤勇は、当時、板橋宿に置かれていた新政府軍の本陣に送られ、その後、平尾一里塚付近に設けられた刑場で斬首処刑されています。
首は京都に送られ、胴体はこの墓がある地に埋葬されたとされます。この墓は、幕末を生き残った新選組隊士・永倉新八が発起人となって1876年につくられ、2003年には北区指定文化財(近藤勇と新選組隊士供養塔)になっています。
板橋駅周辺の住みやすさ
板橋駅周辺の交通利便性
JR板橋駅からは埼京線で新宿駅まで約9分、渋谷駅まで約14分です。埼京線はりんかい線(東京臨海高速鉄道)と相互直通運転を行っているため、お台場方面や新木場駅(JR京葉線)へも乗り換えなしでアクセス可能です。
また、JR板橋駅から北へ徒歩約5分の位置に都営三田線・新板橋駅があり、大手町(東京駅)方面へのアクセスにも優れています。さらに、板橋駅からは若干離れますが、東武東上線・下板橋駅も利用可能です。
<板橋駅から主要駅へのアクセス時間>
・新宿駅:約 9分
・渋谷駅:約14分
・東京テレポート駅(お台場):約34分
・大手町駅:約16分 ※都営三田線新板橋駅からの所要時間
板橋駅周辺の買い物・飲食店事情
板橋駅周辺には、JR板橋東口ビルや板橋ビュークロッシング、仲宿商店街(旧中山道板橋宿)をはじめ、スーパーやドラッグストアなど、日常生活に欠かすことのできない食料品・日用品の買い物環境が充実しています。特に、旧中山道沿いの仲宿商店街・板橋宿不動通り商店街には、ゲートから石神井川に架かる板橋まで約1kmにわたって商店が立ち並んでおり、歩くだけでも楽しいと感じるはずです。
一方で、板橋駅周辺には大型商業施設が少なく、それが“板橋らしさ”の維持につながってきたともいえます。ただ、新たに住まいを探す方の中には、「駅近に大型商業施設がほしい」と考える方もいるかもしれません。そうした方にとっては朗報かも知れません。板橋駅西側エリアでは、2027年度に、JR東日本や野村不動産、板橋区が推進する「板橋口地区第一種市街地再開発事業」が完了する予定となっています。この再開発事業では商業施設もできる予定で、商業施設の運営をJR東日本グループの「アトレ」が担うことが予定されています。
板橋駅周辺の自然環境
板橋区の自然環境は恵まれており、緑被率(樹木被覆地+草地+農地+屋上緑化の割合)は23区内でも上位(上から8番目。※出典:緑の基本計画「いたばしグリーンプラン2025」)に位置しています。
また、板橋区では、都市緑地法に基づく「いたばしグリーンプラン2025」において、今後も緑被率や公園率、身近な緑に関する区民満足度の向上を図ることが目標として掲げられています。このため、板橋区では、これまで以上に自然環境が改善されていくと考えられます。
一方、JR板橋駅前に視点を向けると、駅西側には都市機能が集積していることもあり、自然環境は比較的少ない傾向にあるといえます。将来的には駅前広場のリニューアルが計画されており、緑豊かな広場に変化することが予定されていますので、緑地が不足していると言わざるを得なかった板橋駅西側も、緑豊かな憩いの空間へと変わっていくものと思います。
駅から少し離れますが、仲宿商店街から少し北側へ向かうと、「板橋こども動物園」があります。このこども動物園は歴史が古く、1975年に設立されており50年以上、地域の方々から親しまれています。
2020年には、リニューアル工事が行われ、従来の設備に加えて、キッズルームやおむつ交換スペースなど、子育て世代には便利な設備が追加されています。私が訪れたときは休園日だったため、ポニーを見ることが叶いませんでしたが、営業日であれば、3歳から小学6年生を対象にポニー引馬などを体験することができますので、板橋駅周辺エリアに居住する子育て世代には貴重な施設の一つといえます。
<板橋こども動物園(東板橋公園内)>
・開園時間:10:00〜16:30(季節によって開園時間が異なります)
板橋駅周辺の公共施設
冒頭でもお伝えしましたが、板橋駅西側には、「板橋区役所」や「板橋消防署」、「板橋郵便局」など多くの公共施設が立地しています。頻繁に利用する機会は少ないとは思いますが、いざ利用しなければならない状況となった際に、近くに公共施設が集まっていると便利です。
<板橋駅周辺における公共施設等>
・板橋区役所
・板橋警察署
・板橋消防署
・東板橋図書館
・東京法務局板橋出張所
・板橋年金事務所
・滝野川警察署板橋駅東口交番
板橋駅周辺の治安・ハザード
板橋駅周辺の地域(板橋一〜四丁目)の刑法犯認知件数は2024年統計では169件でした。この169件では、板橋区全体の約4.9%(区全体は3,420件)を占めます。
上図の町丁別の認知件数をご覧いただくと、板橋駅西側エリアでは、青・緑色、一部で橙色の部分が占めており、比較的犯罪認知件数が少ないことが見て取れます。
また、犯罪の種別としては、認知件数が多い順に、「自転車窃盗」55件、「万引き」29件、「詐欺」11件となっています。このような傾向は、区全体で見ても同様の傾向にあります。
駅前という商業施設や人が集積している地域特性上、犯罪が起きやすい傾向にはありますが、板橋区では、青色回転灯を装備したパトロールカーを用いたパトロールを365日行うなど、防犯対策に力を入れています。なお、区による防犯の取り組みは次の公式サイトからご覧いただくことができます。
一方、防災面で見ると、駅周辺エリアは河川洪水被害は少ないのが特徴ですが、大雨による内水氾濫(下水道や排水路への許容量を超える雨水を処理しきれずに、市街地内に溢れ出すこと)の恐れのある地域が多く存在します。
このため、住まいを探す際にはハザードマップを確認し、半地下や1階部分に居住する場合には、速やかに避難するための対策を立てておく必要があります。
河川洪水・内水氾濫に対する災害ハザードエリアは、板橋区が公開しているハザードマップ情報、または国が公表している不動産情報ライブラリがありますので、いずれかで災害ハザードリスクを把握することをおすすめします。
板橋駅周辺の病院事情
板橋駅西側エリアには、二次救急医療機関である帝京大学医学部附属病院(板橋区加賀二丁目)をはじめ、産科を備えた荘病院など、地域医療を支える医療機関が充実しています。また、板橋区には、23区北部エリアの三次救急医療(救命治療)を担う、日本大学医学部附属板橋病院(東京都こども救命センター指定施設)が立地しており、子育て世代には生活する上での安心材料になるかと思います。
板橋駅周辺の子育て環境
板橋区は、「共働き子育てしやすい街ランキング2024」で全国3位、都内1位であることを公表しています。評価された主な施策は、「隠れ待機児童」数の減少や、区立保育所での紙おむつの定額制サービスの導入、区立の学童保育で夏休みなどの長期休養中における昼食提供などがあるといいます。
※「共働き子育てしやすい街ランキング」:日本経済新聞社と日経BP『日経xwoman(クロスウーマン)』が、全国155自治体を対象に「自治体の子育て支援制度に関する調査」を行い、調査結果を点数化したうえで、「共働き子育てしやすい街ランキング2024」としてまとめたもの
このような結果は、板橋駅周辺のみならず、区全体で子育て世代が安心して暮らせる環境が整っていることを示しているといえます。妊娠・出産から就学前、さらには小学校以降の放課後サポートまで、ライフステージごとに支援が行き届いているため、共働き家庭にとっても心強いといえます。なお、区の子育て支援に関する情報は、区が運営する公式サイトに詳しく掲載されていますので、子育て中の方やこれから予定している方はぜひご覧になってみてください。
板橋駅周辺の家賃相場
<板橋駅の家賃相場>
・ワンルーム:7.97万円
・1LDK:16.12万円
・2LDK:22.78万円
・3LDK:31.85万円
<十条駅の家賃相場>※隣駅
・ワンルーム:7.17万円
・1LDK:16.56万円
・2LDK:22.91万円
・3LDK:32.99万円
板橋駅の市街地再開発事情
現在、板橋駅西側エリアでは、市街地再開発事業と駅前広場のリニューアルが進行中です。これにより、駅前の商業環境がより充実することに加えて、駅前広場が滞在したくなるような空間に生まれ変わる予定です。
板橋駅周辺の魅力まとめ
今回は、板橋区の東端に位置し、“区の玄関口”としての機能を担う「JR板橋駅」周辺の住みやすさについてご紹介しました。繰り返しになりますが、板橋駅周辺は自然環境に恵まれており、日常的な買い物環境も充実しています。子育て世代はもちろんのこと、単身者や高齢世帯にとっても、快適な暮らしが期待できるエリアといえます。
また、板橋駅からは新宿駅や東京駅へのアクセスに優れており、「落ち着いた環境で暮らしながら、都心との行き来もしやすい場所を探している」という方には、特にマッチする立地といえます。
最後に、今後、板橋駅西口エリアでは市街地再開発が起点となって、マンション供給や商業環境の整備がさらに進むことが予想され、駅前の姿はこれまで以上に変化していくことになると考えられます。都内の中においても、今後が楽しみの街の一つとして、暮らしの質を大切にしながらも将来性を重視したい方にとって、今こそ注目すべきエリアの一つといえそうです。