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第3回「豊中」駅散策 ~ 阪急宝塚線・箕面線をスズキナオが降りて歩いて飲んでみる
第3回「豊中」駅散策 ~ 阪急宝塚線・箕面線をスズキナオが降りて歩いて飲んでみる

第3回「豊中」駅散策 ~ 阪急宝塚線・箕面線をスズキナオが降りて歩いて飲んでみる

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駅を軸に、ライターのスズキナオさんと街をぶらぶらと散策して、気になるお店に立ち寄ってみる連載企画「スズキナオが降りて歩いて飲んでみる」 。大阪環状線から続くこのコーナーも通算22回目となりました。今回は、北摂でも人気だと聞く豊中市にある豊中駅。ここから歩いてみることにします。とは言いながらもナオさんにとってあまりなじみのない駅。どうなることやら。

スズキナオさんによる人気連載が書籍化! 加筆修正を大幅に行ない、「大阪環状線」1周の降りて歩いて飲んでみるが楽しめます。

駅前に商業施設や銀行が集中する大きな住宅街

駅の南改札口を出た辺りは休憩できそうなベンチもある広場になっていて、そこから続く歩道の一つがショッピングビル「エトレとよなか」に直結しています。それ以外にも周囲にビルが目立ち、銀行も集中していて「大きな駅だなー」と感じました。

しかし、散策をスタートして駅前エリアを離れると、すぐに閑静な住宅街が広がります。この連載では、街の雰囲気を感じながら歩き、途中でどこかのお店に立ち寄ってお酒を飲んだり何か食べたりして、そしてまた散策を再開し、という流れが恒例になっているのですが、住宅街を歩けど歩けど、寄り道できそうなスポットはなかなか見つかりません。

駅の南東側をある程度歩いたところで今度は西へ西へと進み、駅の西側を流れる千里川へ行き着きました。ここまで来ると隣の蛍池駅へもそう遠くない距離のようです。

千里川に架かる千里川橋。橋の途中には、像が
千里川に架かる千里川橋。橋の途中には、像が

川沿いのエリアはさらに一段と静かな雰囲気で、車通りも多くなく、小学生や中学生らしき子どもたちが元気に行き交っているのが印象的でした。

再び駅の南東へと歩く

引き続き、立ち寄りスポットを探しながら駅周辺を歩きます。歩き回っていると、豊中駅は駅周辺に生活に便利な施設がギュッと集中していて、それ以外の広範囲は住宅街、という感じの街であることがわかってきます。

改めて駅から国道176号線沿いを南東へ歩きます。豊中郵便局の大きな建物がや野球場のある大門公園が見え、国道を左折し、各種の生活相談を受け付けている公共施設である「豊中市立生活情報センターくらしかん」などを通りかかりました。

豊中市立生活情報センター くらしかん。さまざまな活動、そして、その活動に参加するための情報が並んでいる
豊中市立生活情報センター くらしかん。さまざまな活動、そして、その活動に参加するための情報が並んでいる

「軽く一杯飲める店は、なさそうだな……」と少し諦め気分でいたのですが、国道176号線沿いの「如月」という店に明かりが灯っているのを発見し、入ってみることにしました。

店の奥へとカウンターが続く落ち着いた雰囲気のお店で、10人ほど入ると満席という感じでしょうか。短冊メニューなどはなく、店主の手料理がのった大皿がカウンターに並ぶ、いわゆるおばんざいスタイルのお店です。

「安いしうまいし、ママはおもろい! ここはいい店やで!」という先客の常連さんの言葉にホッとしつつ、生ビールで喉の渇きを癒やしました。オープンから11年目になるというこのお店の店主は、豊中育ちだそう。声をかけてくれた常連さんも、生まれも育ちもこの近所だということでした。

タコの酢の物
タコの酢の物
ポテトサラダ
ポテトサラダ

タコの酢の物とポテトサラダをいただきつつ、お二人に豊中駅周辺の街についてお話を伺うことができました。お二人とも、「豊中は暮らしやすい街」と口をそろえます。「阪急電車もあるし、伊丹空港も近いし、高速道路にも乗りやすいし、単身赴任の人が大阪に来るなら江坂か豊中かって言いますね」と店主。「そうそう。単身赴任で豊中に来た人が『こんなええとこない』ってゆうてたもんな。あと、大阪市内からこっちに移ってきた人が子育てすんのにええって言うわ。ここら辺は隣近所がお互い知ってるゆう感じがまだあるから」と常連さん。

生活に便利な街であり、静かで落ち着いた雰囲気もある豊中駅周辺の魅力を、お二人の話で改めて感じることができました。豊中駅周辺の変遷についても伺いました。昔は駅周辺に今ほど住宅が多くなく、個人商店がたくさんあったそうです。

「商店街にも商店がいっぱいあってんけど、どこもお店の人が高齢になって商売をやめて、そこにマンションが増えてきたね。昔は市場もあって、おもろいおっさんいっぱいおったけどな。商店街のおっさん、おばちゃんが『こっち来てなんか食べー!』って言ってくれたりな」と教えてくれた常連さんは、この「如月」のすぐ近くの「蝶六」という定食屋のオーナーだそう。90歳と85歳の姉妹が日替わり定食のみを提供している名物店だそうで、また機会を改めてぜひ伺おうと思いました。

昼間はあまり目立ちませんが、赤提灯が灯れば夜の始まり
昼間はあまり目立ちませんが、赤提灯が灯れば夜の始まり

夜の駅前はお勤め帰りの人でにぎやかに

外に出るとすっかり日が落ちていました。豊中駅へ戻ると、先ほどは立ち寄れそうなお店が見つからないと感じた駅前にもあちこちに明かりが灯り、なかなかににぎやかな雰囲気です。お勤め帰りだと思われる人々の姿も見え、駅前は夕方以降にこそ活気づくのかもしれないなと思いました。

駅の北側にある商店街「豊中一番街」も、日中に歩いた時はそれほど開いているお店がないように見えたのですが、いくつものお店が営業しており、おしゃれな雰囲気のバルや小料理屋なども見え、明るい時間とはまた違った印象でした。

商店街の先へと歩き、私が目指したのは「はる久」という居酒屋です。先ほど「如月」の店主と常連さんに「豊中で一番くらいに古い店」とおすすめしていただいたのでした。ちなみに、常連さんが若い頃、初めてお酒を飲んだ店がその「はる久」だったそう。

「はる久」は逆L字のカウンターが奥へ延びる店で、名物は一年中食べられるという「おでん」とのこと。大根、じゃがいも、玉子をいただくと、あっさりしながらも旨味のふくよかなお出汁がしっかり染みて、すごく好みの味でした。

特にごろっと大ぶりのじゃがいものホクホクした食感たるや、絶品です。一つでおなかがいっぱいになってしまいそうな大きさですが、それでも悔いはありません。聞けば創業55年になるという老舗で、地元の方らしきお客さんでほぼ満席状態でした。

冬の定番、おでんは1種からオーダー可
冬の定番、おでんは1種からオーダー可
厚めのハムカツは食べ応え抜群
厚めのハムカツは食べ応え抜群

生ビールとチューハイを飲み、年季を感じる空間に身を置いていると、豊中の歴史に少しだけ触れることができたような気持ちになってきます。お店の方が気さくで優しく、ゆったりとした気分で居られる素晴らしいお店でした。

店を出て駅の改札へと向かうと、仕事帰りの人の波とすれ違います。おうちに戻る前にどこかで一杯やっていく人もいるんだろうか。おすすめの店があったら聞いてみたいなと、そんなことを思いながら歩きました。

開けた駅前から5分ほど歩くだけで住宅街へと入り、便利さと静けさが程よいバランスで共存する豊中駅周辺。一戸建て住宅が多い中、アパートやマンションも点在、一人暮らしや夫婦にとっても暮らしやすそうです。LIFULL HOME'Sによると、家賃相場はワンルームで7.25万円、1Kが6万円、2Kが7.1.万円、2DKで7.13万円。単身者にとっては、広めの住まいでも案外経済的かもしれません。

スズキナオ東京生まれ大阪在住のフリーライター

酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。週刊誌をはじめとする連載やデイリーポータルZなどのメディアにて活躍。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと(スタンド・ブックス)』、パリッコとの共著に『"よむ"お酒(イーストプレス)』『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門(エレキングブックス)』『酒の穴(シカク出版)』などがある。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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