都心をはじめ全国で増えているコインランドリー。店舗数はこの20年でおよそ2倍になっているんだとか。 中でもランドリーカフェは、コインランドリーの進化系として注目されています。ラグビーのまちで知られる東大阪にも、2019年にランドリーカフェが誕生しました。「珈琲とコインランドリーのお店。ハレ」は、近鉄 瓢箪山駅から徒歩約15分。築50年の建設会社の社員寮だった4階建てのビルを再生し、「サマービル」と名付けられたそのビルは、1階がカフェとコインランドリー、2階がイベントもできるレンタルスタジオ、3階がシェアハウスと、さまざまな表情をもつ場所に生まれ変わりました。どのような人が訪れ、地域の中でどんな役割を担っているのか、店長の田中さんにお店ができた経緯とともに伺いました。
つっかけでも来られる親しみやすい、おしゃれな地域の憩いの場
―お店を始めるにあたって、築50年の社員寮だったビルを再生することになった経緯を教えてください。
田中くるみさん(以下、田中さん):「サマービルはオーナーの大和の祖父が建てたビルで、社員寮の後はレンタルビデオ店として活用されていたんです。ところが、レンタルビデオ店が閉店した後、しばらく空きテナントになっていたみたいで。大和はアメリカの大学に進学し、アメリカと東京で働いていたのですが、地元に帰ってくることになって、ビルの管理をしていた大和のお父さんから、“このビルを地域の人が集まる開けた場所してほしい”とお願いされたのがきっかけで、お店を開く構想を考え始めたそうです」
―カフェとコインランドリーにしたのはどうしてですか?
田中さん:「社員寮を活用するために、シェアハウスにすることを決めたのですが、昔の古い社員寮なので部屋の中に洗濯機を置くスペースや洗濯を干すスペースがなく、1階にコインランドリーがあったら便利だという話になって。ちょうどその時に大和が東京でランドリーカフェを見つけたんです。そのお店の人に話を聞かせてもらって、参考にしながらここでもやってみようということになりました」
―地元の人の反応はどうでしたか。
田中さん:「コインランドリーはおじいちゃんおばあちゃんがけっこう来てくれますね。『ハレ』はスタッフがいるので操作がわからなくても使い方を聞けるのがいいみたいです」
―東大阪は下町感が強く、若者が集うカフェが少ないように思うのですが、どんな方が来られますか?
田中さん:「若い方からお年寄りまで、お客さんの世代がバラバラでおもしろいです。カフェで勉強をしている学生さんがいたり、子連れのママさんだったり、おじいちゃんおばあちゃんも。あとは花園ラグビー場をホームにするラグビーチーム『花園近鉄ライナーズ』の選手もよく来てくれます。店内は広く、席と席の間隔もゆったりしているので、のんびりできるのがいいみたいです」
―おしゃれな空間なので、年配の方から入りにくいと言われないですか?
田中さん:「それはないですね。おしゃれではあるけれど手づくり感や温かみのある空間なので、普段は一人で来るおじいちゃんおばちゃんが娘さんを連れて来てくれることもあります。常連さんが家族を連れて来てくれるのを見るとほっこりしますね」
人生で想像もしていなかった関西への移住
―カフェの雰囲気はどこかのお店をヒントにしたんですか?
田中さん:「東京でインテリアの会社に勤めていた大和自ら手がけました。もともと空間を考えるのが好きで、アメリカに住んでいた時に訪れたいろんなカフェを参考にしています。家具は東大阪の家具メーカーさんが作っているテーブルや、東大阪のアンティークショップで見つけた椅子、近所のおじいちゃんが持ってきてくれた古い家具など、あちこちから集めてきています」
―家具に統一感があるのは、「東大阪」という共通点があるからかもしれないですね! ところで、田中さんと大和さんはどういうご関係なのですか?
田中さん:「東京のインテリアショップで一緒に働いていた同僚で、大和が地元に帰ってカフェをやるというので誘ってもらい、東大阪にやってきました」
―東大阪にまったく縁はないんですね。
田中さん:「縁どころか、出身は青森なので人生で自分が関西に住むなんて思ってもいませんでした! 関西はノリが合わないし、住むのは絶対に無理と思っていましたが、意外と馴染んじゃいましたね(笑)」
―実際に移住してみて、東大阪はどうですか?
田中さん:「東大阪に来てすぐは、お客さんもみんなすごくしゃべるなって思いましたけど、逆にそれがありがたく感じるようになって。おじいちゃんおばあちゃんも話しかけてくれて、そのおかげでなじむことができたんだと思います」
―誘われてから移住を決断するのにどれくらいかかりましたか?
田中さん:「半年くらいは悩みましたね。悩んでいる間に大和から遊びにおいでと誘われて、東大阪を案内してもらっているうちに、気づいたら巻き込まれていました(笑)」
―大和さんにとって田中さんの存在は影響が大きかったんですね。
田中さん:「私と大和は東京の会社で部署は違うけれど同じマネージャー職だったので話すことはあったのですが、性格も真逆ですし、プライベートで遊ぶことは一度もなくて。こっちに来て一緒に働きだしてから、こんな人だったんだと知ることもたくさんありました」
―そうなんですね! てっきり公私ともに仲がよかったのかと!
田中さん:「東大阪に来て最初の1年は喧嘩ばかりでしたね(笑)。でも、お互い心地いいと思うものや、目指したいお店が同じだったので、ここまで一緒にやってこれたのだと思います」
地域や人との関係性を生かしたさまざまなイベントも
―「ハレ」ではマルシェや音楽イベントなども開催しているんですよね。
田中さん:「マルシェに関しては地元のママさんが主催されているので、場所をお貸ししているんです。音楽イベントは、知り合いに音楽が好きな子がいて、夜の営業をしていなかったときに弾き語りのイベントをやっていました。今はその子が海外赴任になったのでやっていないんですけど、ほかにもシェアハウスに住んでいた子が土日の朝に英語で朝活をやるなど、いろんなイベントを不定期でやってきましたね」
―イベントやワークショップの場所として提供することも積極的にやっていきたいんですか?
田中さん:「『ハレ』はさまざまな出会いや体験ができる場所にしたいので、地元の方にさまざまな使い方をしてほしいです。空間を生かす意味でも、使っていただけるのはありがたいですね」
みんなが気持ちよく過ごせるために最小限のルールを考える
―田中さんがお店を運営するうえで、大切にしていることは?
田中さん:「みんなに気持ちよく過ごしてほしいので、何をルールにしたらお客さんが心地いいか、何をルールにしなかったらお客さんが過ごしやすいかを、その都度スタッフと考えています」
―例えば、どんなルールを決められたんですか?
田中さん:「わんちゃん連れのお客さんも来られるけれど、座っていただけるのは窓側の席だけにしています。アレルギーの方や食事中は気になるという方もいらっしゃるので、どちらも気持ちよく過ごせるバランスをうまくとっていけるよう、スタッフみんなで考えました」
―気持ちよく過ごせるためにルールは必要ですが、あれもこれもルールにしてしまうと窮屈になってしまうこともあるので、バランスが難しいですよね。
田中さん:「同じ趣味趣向の人が集まるのではなくて、若い人、外国の人、おじいちゃんおばあちゃん、多様な人が一緒の空間にいながら気持ちいいと思ってもらいたいので、ルールはあまり決めたくなくて。それはスタッフに対しても同じ気持ちですね。みんなが楽しく働き続けられる環境と、いつ来てもお客さんが気持ちいいと思える空間を維持していきたいです」
◆今回取材したお店
「珈琲とコインランドリーのお店。ハレ」
住所:大阪府東大阪市鷹殿町19-2 大倉ビル1F
電話:072-920-7115
営業時間:モーニング8:30〜10:30、カフェ10:30〜18:30(月・水・木 ~19:00、金・土・日 〜22:00)、ランドリー24時間・無休
定休日:火曜日(ランドリーは不定休※メンテナンス休あり)
自然と下町が心を養う・瓢箪山駅
近鉄奈良線の瓢箪山駅は、近鉄大阪難波駅まで準急で約20分と通勤や通学の利便性がいい立地。東大阪市の中でも比較的静かなエリアで、山が近く自然を感じられるのも魅力です。駅前には下町の風情が残る商店街があり、スーパーも点在しているので、日々の買い物はいろいろな選択肢があります。医療面では小規模から大規模な病院までそろっているのも安心です。
平均家賃相場は4.3万円と、家賃を抑えたい方にもおすすめ。今回紹介した「珈琲とコインランドリーのお店。ハレ」はもちろん、サマービルの裏側には同じオーナーが営む玄米ご飯と重ね煮野菜中心のプレートが味わえるランチのお店「風 香(ふうか)」もあり、新しいお店が日々の生活に彩りを与えてくれそうです。
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◆本記事の担当者
取材・文:西川有紀 写真:米田真也