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大阪・堺「サカイノマプロジェクト」とは? ひと・もの・情報が交わる、一歩踏み込んだローカルライフ
大阪・堺「サカイノマプロジェクト」とは? ひと・もの・情報が交わる、一歩踏み込んだローカルライフ

大阪・堺「サカイノマプロジェクト」とは? ひと・もの・情報が交わる、一歩踏み込んだローカルライフ

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地元民の足である“チンチン電車”こと阪堺電車・大小路駅の目の前、南海本線・堺駅から徒歩10分の距離に立地する「SAKAINOMA cafe&hotel熊」。観光にうってつけのホテル、地域民にも開放された憩いの場としてのカフェ。ふたつの顔を持った同スポットは、街を掘り下げ、発信する「サカイノマプロジェクト」の拠点のひとつです。
2016年から始まった同プロジェクトのマネージャー・間宮 菜々子さんに、堺の街についてお話を伺いました。

「サカイノマプロジェクト」のプロジェクトマネージャー 間宮 菜々子さん
「サカイノマプロジェクト」のプロジェクトマネージャー 間宮 菜々子さん

3つの“間”から街を活性化させるプロジェクト

―堺の街をより楽しむための「サカイノマプロジェクト」が始まった経緯について教えてください。

間宮さん:「堺は歴史好きのひとが反応してくれるような魅力のある街なんですけど、それ以外にも面白いところがいっぱいあります。でも如何せんニッチで濃いんです(笑)。掘り起こして発信しないと良さが伝わらない。だからこそ地元民とクリエイターの目線で発信を行ない、もっと街を動かしていこうということで始まりました」

―具体的には何から始めたんですか?

間宮さん:「カメラマンとデザイナーが同じチームで動いているので、ウェブメディアを作ることから始めました。でもそれだけだと訴求力もないし、このプロジェクトを持続してやっていく資金を集めるのにも限界がある。それに、いつも飲み屋さんで打ち合わせするのもなんだかなって(笑)。そこで拠点を探し始めました」

―このプロジェクトでは、空間、時間、行間という3つの“間”に焦点を当てられていて、空間=ホテル、時間=カフェということですね。

建物、食、交通!街の歴史が凝縮された場所

ホテルの客室には静謐な時間が流れる
ホテルの客室には静謐な時間が流れる

間宮さん:「もともとはホテルやカフェという構想はありませんでした。でも当時ちょうどインバウンドで外国の方がすごく来ていたのでビジネスとして成立すると考えて宿泊施設を、加えて、地域のひとが集まって時間を過ごす場所としてカフェを始めました」

―古民家を改装されたとのことですが、古民家であることにこだわりがあったんですか?

間宮さん:「空襲で焼けていなければ京都に類する街並みが残っていたと言われるくらい、堺は歴史の深い街なんです。実際、ここより少し北のエリアには古民家が多く、行政も『古民家再生プロジェクト』をやっていました。でもどこかパッとしない。そこで、自分たちでリノベーションしてひとが集まることを証明したいと思い、古民家にこだわりました」

―ここからは目の前をチンチン電車が走る気持ちのいい光景を見られますね。

間宮さん:「この場所に拠点を決めた理由のひとつです。チンチン電車は昔から地元民の足として活躍していて、天王寺まで繋がってるので市内に行くのにも重宝しています」

―チンチン電車を眺めながらいただける、カフェのメニューについて教えてください。

ランチプレートはメインを魚のグリル・チキン南蛮・ハンバーグから選べる仕様
ランチプレートはメインを魚のグリル・チキン南蛮・ハンバーグから選べる仕様
シナモンカステラとアイスクリームの相性は言わずもがな
シナモンカステラとアイスクリームの相性は言わずもがな

間宮さん:「カフェのコンセプトは『堺の歴史や文化を感じられること』。堺は南蛮貿易でスパイスが盛んに入ってきていた地域です。そんなこの地域ならではのものをお出ししたかったので、堺名物のシナモンカステラや肉桂餅(ニッキモチ)を特別に仕入れさせてもらっています。食事のメニューは和洋折衷で、食材やパンはできるだけ地元のものを使うようにしていますね」

―お客さんはどんな方が多いですか?

間宮さん:「地域のひとがすごくよく集まるというわけではなく、どちらかというと堺の外から来られるお客さんのほうが多いです。でも堺の内と外を結びつけるという目的には適っているのかなと」

地元民だからこそ知る、堺の“行間”

紙媒体も多く発行。いずれも魅力的な街の情報が並ぶ
紙媒体も多く発行。いずれも魅力的な街の情報が並ぶ

―ウェブサイトを拝見しましたが、デザインもライティングもとてもクオリティが高いですよね。この部分が“行間”ということになると。

間宮さん:「ありがとうございます!行間は目に見えないからこそ自分たちの足を使っています。褒めていただきましたが、このウェブサイトは名のあるチームにお願いしているわけではなく、堺のなかのネットワークで作っているんですよ。私自身、堺のなかにこんなにクオリティの高い仕事ができるひとたちがいることに驚きました(笑)」

―そうなんですね!ローカルな仕事人が多くいらっしゃると。間宮さんは堺のご出身ですか?

間宮さん:「そうです。高校まで堺にいて、滋賀の大学を卒業してからはそのまま7年間ほど東京で過ごしました」

―7年間離れていたからこそ再発見した堺の魅力などありますか?

間宮さん:「高校までしかいなかったので、正直なところ当時は街について自覚的ではありませんでした。東京から帰って来てから『こんなに良い街やったんや』って新発見することのほうが多いですね」

―ウェブサイトでも発信していると思いますが、印象的だったスポットなど改めて教えてください。

間宮さん:「印象的だったのは、幼い頃から当たり前だと思っていたお店が、実は地元民にもあまり知られていないということでした。堺は包丁や和菓子で有名なのですが、例えば包丁作り体験ができる『和田商店』さん、江戸時代から続いている和菓子屋の『かん袋』さんなどです。あとは堺にあるのが不思議なくらいかっこいいという意味で印象的なのは、インテリアショップ『藤谷商店』さん。ぜひ行ってみてほしいです」

―いま挙げていただいたお店もそうですし、歩いているとあまりチェーン店を見かけませんね。

間宮さん:「特にチンチン電車沿いはチェーン店がほぼなくて、個性的で面白い個人店ばかりです。それは地元民の気風が関係しているのかなと思っています。お店を選ぶときに“ひと”で選ぶというか。店主さんに会いたい、応援したいって」

―とても人間的で素敵ですね。コミュニティ意識が強くあるということでしょうか?

間宮さん:「そうかもしれないです。逆にいわゆるよそ者が新しくお店を始めるのはハードルが高いかも。地元民の私でさえも最初は信用してもらえていなかったと思います(笑)。でも時間をかけた分だけ距離は縮まりますし、一度仲良くなったらとても親切に色々なことを手伝ってくれます。堺に限らずどこでもそうだと思いますが」

―プロジェクトは7年間継続されていますが、その間に街に変化はありましたか?

間宮さん:「堺市からの依頼で私たちは『乙姫の休日。』、『エビスジマ コテ リビエール』の2つのイベントを企画しましたが、このように街の中でマーケットイベントができて、ひとを集められるようになったのは大きな変化だと思います。コロナも落ち着いてきましたし、徐々に楽しい場所づくりはやりやすいムードになっていますよ!」

◆今回取材したお店
「SAKAINOMA cafe熊」
住所:大阪府堺市堺区熊野町西1丁1-23
電話:072-275-7060
営業時間:8:00-17:00
定休日:水・木
Instagram:@sakainoma
HP:https://sakainoma.jp

歴史文化はもちろん、ローカルでディープな暮らしを楽しもう

「SAKAINOMA 熊」の最寄り駅は、大阪で唯一の路面電車、阪堺電気軌道阪堺線・大小路駅。のんびりと風情のある車両は、恵美須町―我孫子道間と天王寺駅前―浜寺駅前間のふたつの路線を進みます。大小路駅からは天王寺まで乗り換えなし、新今宮駅までも一回の乗り換え。南海線までも徒歩圏内なので、なんばまでも出やすい好立地です。
周辺には百舌鳥古墳群などの歴史文化、伝統的地域産業のお茶やお線香などのお店が並びます。平均家賃は6.22万円。間宮さんが教えてくれたように、地域住民のコミュニティ意識が強いので、自分からどんどん街に入り込んでいきたい方におすすめのエリアです。

取材・文 石川宝 写真 沖本明

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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