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衣食住を通した暮らしのヒントを提案する、奈良県橿原市今井町のカフェ&ギャラリー「暮らしの隙間 galley cafe」
衣食住を通した暮らしのヒントを提案する、奈良県橿原市今井町のカフェ&ギャラリー「暮らしの隙間 galley cafe」

衣食住を通した暮らしのヒントを提案する、奈良県橿原市今井町のカフェ&ギャラリー「暮らしの隙間 galley cafe」

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奈良県橿原市にある今井町は、白壁の古民家がずらりと立ち並び、江戸時代の雰囲気が色濃く残る街です。そんな街にお店を構えるのは、衣食住をメインにより楽しい暮らしを提案してくれる「暮らしの隙間 galley cafe」。今回は、店の運営に携わる中谷文香さんと西井勝哉さんに、店舗オープンから約2年が経った今の店づくりと今井町との関わりについて話を伺いました。

愛着をもって大切に着続けてもらえるような服づくりを目指して

店内には、中谷さんがデザインしたcasanariiの洋服や、セレクトされた器、カトラリーなどが並ぶ
店内には、中谷さんがデザインしたcasanariiの洋服や、セレクトされた器、カトラリーなどが並ぶ

―「暮らしの隙間 galley cafe」をオープンした経緯を教えてください。
中谷さん:店舗のオープンは2023年6月2日です。もともとアパレル業界でデザイナーとして働いていたんですが、大量生産の服を作り続けて、消費されている感覚が悲しくて…。洋服を長く、大切に着てもらえるようなアパレルブランドを作りたいと思い、オンラインショップを立ち上げました。実店舗オープン前の1年くらいオンラインショップを運営していたんですが、実際に洋服を着用してもらったり、商品を手に取ってもらったり、お客さまと直接お話しできる場所ができないかなと思いはじめて。そんな時に、たまたまこの古民家に出合い、「暮らしの隙間 galley cafe」をオープンさせることになりました。

―物件はどんな条件で探されたのでしょうか。
中谷さん:
当初は、奈良市内や明日香村など奈良県内を幅広く探していたんですが、店の広さや雰囲気を見てもピンとくる物件がなかなかなくて。 西井さん:そんな時、今井町で物件を見て回るまち歩きがあることを知りました。
中谷さん:移住する人や、お店を開くために物件を探している人向けのまち歩きで、それに参加してたまたまこの物件に出合ったんです。この建物は、おそらく築100年以上が経っているんですけど、古き良きといった雰囲気も魅力に感じたし、今井町の街並み全体もすてきで、こういう街がこれからも残ってほしいなと思いました。それに、私たちが提案しているアイテムは和のものより洋風のデザインが多いんですけど、この建物でなら、和モダンとしても提案できるし、提案する洋物とも相性がいいと思って。いろいろな要素が相まってこの物件に決めました!

―すてきな出合いですね。内装は、リノベーションされたのでしょうか。
西井さん:
はい。1階の壁は自分たちで塗って、2階は吹抜けをそのまま利用しました。 中谷さん:あとはキッチン周りの壁も塗りました。彼がDIYをできる人だったので、私のイメージを伝えて作ってもらいました。
―とてもすてきな空間ですね。実際お店を始めてみていかがですか。予想していたよりも大変だったことがあれば教えてください。

中谷さん:一つは、一点物の洋服ブランド・casanariiの存在やコンセプトを知ってもらうには時間がかかるということ。そしてもう一つは、今井町の街自体も観光地化されているわけではなく、この街に暮らしている方もいらっしゃるので、暮らしと商売のバランスが難しいということです。

一時、お店の方向性に悩む時期もありましたが、2024年の6月からカフェに力を入れ始めました。自分が小麦と乳製品が食べられないので、地元の自然栽培で作られたお米の米粉などの食材を使ったグルテンフリーのスイーツを提供しようと考えました。カフェを始めてから多くのお客さんが来てくださるようになり、そこから食をメインに、洋服や雑貨を見ていただこうと考えるようになりました。

―カフェを入り口にお店に来てもらうということですね。
中谷さん:
そうですね。 西井さん:とにかく住んでいる人たちとのバランスが難しいよね。商売している人は、もっと多くの観光客に来てもらいたいし。
中谷さん:一方で、住んでいる人にとっては、静かに暮らしたいという思いもあって、街としてどのように活性化していくかは今後の課題ですね。

今井町の街の変化

―なるほど。この辺りはお店よりも住居が多かったのでしょうか。
西井さん:
お店もあったみたいですよ。昔は今井町内に、食材を買うお店も病院もあって、ある程度街で完結できていたようです。でも、街の発展に伴って、今井町の外にも店が増えて、町内だけでお金を使うことが少なくなってしまったんです。 中谷さん:お店ができることで若い人が来てくださるのもありがたいし、なかには移住したいって考えている方もいらっしゃいますね。お店に来て内装を見て「こういう風に自由に改装できるのはいいよね」って参考にしてくれる方もいるんです。そういうきっかけになるお店でありたいとも思います。
西井さん:今井町は、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているので、外観に一定のルールがあって大きく触れないんですけど、内装は自由なんです。

中谷さん:この辺りにはカフェが何軒もありますけど、それぞれ店内の雰囲気が違います。街自体は統一感があるんですけど、店の中は個性が光るような工夫がされていて、そういう点も今井町のおもしろいところだと思います。

西井さん:新しい人が入って来ないことには、街がなくなってしまいます。できる限り、この街に住むことへのハードルが下がってほしいなあ。

中谷さん:今井町に賃貸物件はほとんどないだろうから、住むハードルは高いよね。

西井さん:借りられないし、借りたら高い。買ったりしたら内装とかを自分でやらないといけないから、大変だしね。僕の実家は今井町にあるんですが、当たり前だけど親世代もだいぶ年を取ってきているからね。孫の世代が町外に出ていったらどうなっていくんやろう、って思います。

―こんなにすてきな街を知っている人がどれだけいるのか、というところもあるのでしょうか。

ストーブの前で仲良く談笑する二人
ストーブの前で仲良く談笑する二人

中谷さん:確かに、私は奈良市外に住んでいて、今井町の存在をずっと知らなくて。彼の地元が今井町だと知って、初めてこんなすてきなところがあることを知りました。ここは、街というより各お店にファンがいる感じなのかなと思います。

―今井町が今後、どんな街になったらうれしいですか。
西井さん:
こういう物販のお店が少ないからね。 中谷さん:私たちのお店を含め 3店舗ぐらいかな。だから、そういうお店がもっと増えてもいいのにと思います。
西井さん:あとは宿ができてほしいな。

中谷さん:一日中今井町にいるってなると、見るところが少ないもんね。

西井さん:今来てくれているお客さんは、今井町外に宿を取って、そこからちらっと今井町に来るみたいな感じが多いけど、宿があれば、今井町に泊まって、ここを起点にいろいろなところに行ってもらえるよね。

中谷さん:それが理想だよね。

洋服や器に触れて、よりよい暮らしをイメージして

―少し話を変えて、店頭にあるアイテムについて教えていただけますか。
中谷さん:
casanarii というブランドは、シャツとパンツ、ベスト、ジャケットの4種類でセミオーダーできる洋服ブランドです。サイズ展開もありジェンダーレスに着ていただけるアイテムになっています。⼩さい順に 1 から 3 までサイズ展開があるんですけど、男性でも細⾝の⽅だったら 1 とか 2 とかでも着ていただけるし、 ⼥性で⾝⻑が⾼い⽅だったら、⼤きめのサイズを着られてもいいですね。こんな⾵にジェンダーレスで⾃分のサイズに合ったものを選んでいただくようにしています。⻑く⼤切に来てもらうためには、服に愛着を持ってもらうことが重要なので、⾃分の好みでカスタマイズができるようセミオーダー制を採⽤しました。シャツだったら襟やポケットの形、ボタンの種類や染め⽅を選べて、オリジナルの⼀点物の洋服を作ることができます。また、オリジナルデザインの既製品の1点モノの洋服を販売しているのでその場ですぐ購入することもできる洋服もあります。 ―アイテム数を絞ったのにはなにか理由があるのでしょうか。
中谷さん:
やっぱりはじめは、シャツを選ばれる方が多かったんです。種類がありすぎると悩まれる方もいるので、最初はシャツにしてもらって、次作るときには他のバリエーションにも挑戦してもらえるようにしました。

ボタンの種類は15種類から選べる
ボタンの種類は15種類から選べる

―染めはどこかにお願いされているんですか。
中谷さん:
京都の草⽊染め屋さんで染めてもらっています。また、インディゴ染めに関しては、Indigo Classic さんという奈良の職⼈さんにお願いしていて。その⽅は藍から育てていて、⾃分で染料を作っていらっしゃるんです。染めてから⾊が薄くなったり、そういった変化も楽しんでいただきたいです。

中谷さん:実は今年の春頃に新シリーズとして、 デニム素材を使ったパンツとジャケットを作ろうとしています。 あと、シャツのシリーズからも既にインディゴで染められているヨーロッパのリネンで作ったものを、新たに 4 ⽉の半ばに販売開始予定です。

―レジ前に展示スペースがありますが、どのくらいの周期でアイテムは入れ替わるのでしょうか。
中谷さん:
常設展もあるんですが、企画展は1ヶ月ぐらいのペースでラインアップを変えています。季節に合わせたり、その時期に出展可能な作家さんの作品を集めているっていう感じです。基本2人か3人ぐらいの方にお願いしています。 ―作家さんはどうやって探されているんですか。
中谷さん:
そうですね。イベントに行って直接声かけることもありますし、最近はインスタグラムなどのSNSからお声がけさせていただくことが多いですね。お店の雰囲気とか世界観にあった方をセレクトさせていただいています。 ―ではカフェメニューについても教えてください。
中谷さん:
ここではオリジナルのタルトや紅茶を楽しんでいただけます。すべて店内で作っていて タルト⽣地には⽶粉を使用しています。クリームには乳製品などを使用しないヴィーガンのクリームを使って、上にフルーツをのせてお作りしています。

甘さ控えめのブルーベリータルト(650円)とさっぱりとした飲み口のオリジナルブレンドティー(650円)
甘さ控えめのブルーベリータルト(650円)とさっぱりとした飲み口のオリジナルブレンドティー(650円)

―最後に今後の店づくりの計画について教えてください。
中谷さん:
まだ計画中ですが、できたら 2 階をつくって、カフェスペースかイベントスペースを増やしたいです。

西井さん:今2階はないんですけど、夏頃にはロフトみたいな感じでイートインスペースを作りたいです。お客さんがいない時は、ぼんやり2階を見ながら構想を考えています。

中谷さん:ランチやカフェを目掛けて来ていただいて、空間も一緒に楽しみつつ暮らしを見つめてもらえるのが理想です。すでにイートイン席は3〜5席ぐらいあるんですが、もうちょっとスペースは広い方がいいなあと思っています。

西井さん:近辺にヴィーガンとグルテンフリーのメニューを提供しているお店が少ないので、そこもお店を選んでもらえるポイントにしたいよね。

中谷さん:そうだね。選んでもらえるようになりたいよね。

―ありがとうございます。楽しみにしております!

由緒ある橿原市今井町の今後の課題

今回取材をさせていただいた「暮らしの隙間 galley cafe」がある今井町は、近鉄橿原線の八木西口駅から徒歩9分のところに位置しています。東西に約600m、南北に310m、面積17.4ヘクタールの地区の中には約760戸の建物があり、うち約500件の伝統的建造物が現在も残されています。それらの街並みは「重要伝統的建造物群保存地区」に登録されており、風情ある街並みが魅力です。ただ、物件情報がオープンになっていなかったり、賃貸物件が少なかったりするほか、街自体の知名度が決して高くはないこともあり、訪れる人がいても、「住む」ことにはなかなか結びつかないのが現状のようです。
今後の課題としては、現在も橿原市や旅行会社が開催している「まち歩き」の頻度を増やしたり、お店を増やしたり、今井町に来てもらうきっかけづくりを積極的に行うことが必要だと感じました。

◆今回取材したお店
店名:「暮らしの隙間 galley cafe」
住所:橿原市今井町4-4-12
営業時間:11:00〜17:00
定休日:月〜木
インスタグラム:@kurashinosukima_official
オンラインショップ:https://kurashino-sukima.stores.jp/

暮らしの隙間 galley cafe 日本、奈良県橿原市今井町4−4−12
暮らしの隙間 galley cafe 〒634-0812 日本、奈良県橿原市今井町4−4−12
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取材・文/葭谷うらら(インセクツ) 撮影/三宅愛子

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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