近年、自宅で過ごす時間が多くなり、自宅で発する音や外からの音に敏感になっている方もいるのではないでしょうか。
音とは、空気や物体の振動によって伝わり感じとれるものです。音の感じ方は人それぞれ違いがあります。人によって音の感じ方が異なるからこそ、自分に合った対策をして快適な生活をしていきたいものです。
そこで今回は、実際に賃貸マンションで愛犬とともに暮らし、楽器演奏が趣味の私が行った防音対策を、実例とともにご紹介します。試してみて分かった注意点もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
防音対策のコツは防音の種類の理解
防音対策しようと思ったときに大切なのは、防音の種類を知ることです。防音には”遮音”・”吸音”・”防振”の3種類があります。どのような場所でどういった音を防ぎたいのかを踏まえたうえで、それぞれの特徴を生かした 防音材を使うことにより、効果的な防音対策ができます。
防音対策のコツ(1)遮音とは?
“遮音”とは、空気中に伝わってくる音を跳ね返すことで音を遮断して、音が外に漏れないようにする方法です。外からの音も聞こえにくくします。遮音性が高いと音漏れが少なくなる半面、室内では跳ね返った音が反響し、音が聞き取りにくくなる場合もあるため注意が必要です。
遮音材としてよく使われるのは、ゴムマット、高密度プラスチック素材、高比重樹脂などから作られた遮音シートで、鉄板・コンクリート・石膏なども使われます。
外への音漏れには”遮音材”が有効ですが、そのぶん中で響いてしまいます。室内の音を外に漏らさずに反響も防ぐには、”吸音材”と組み合わせましょう。
防音対策のコツ(2)吸音とは?
“吸音”とは、音を吸収することで音の反射を防いで音が外に漏れることを防いだり、音の反響を抑えたりする方法です。小さな穴がたくさんある素材に音を取り込み、吸収させます。音の反響が少なくなる半面、外から聞こえてくる音を防ぐことには向いていません。
吸音材としてよく使われるのは、グラスウール・ロックウール・ウレタンフォームなどです。
防音対策のコツ(3)防振とは?
“防振”とは、振動を吸収して振動の伝わり具合を小さくする方法です。振動することでそこに触れている物から音が伝わるのを防ぎます。
防振材としてよく使われるのは、バネやゴムなどの弾性体やシリコン、ウレタンなどです。
【実例】賃貸マンションに自分で設置した防音対策
自分で防音対策をしたきっかけ
わが家が物件探しをした際の絶対条件は、ペットが飼えて、楽器が演奏できる物件であることです。譲れないポイントが多く、物件探しには苦労しました。最終的によいオーナーさんとの出会いがあり、ペット可物件に入居できることになりました。そのマンション自体は楽器可とうたっていませんが、オーナーさんに楽器の音の大きさを聞いてもらい、入居を許可してもらったのです。
しかし、できる限り防音対策はしておこうと自分でできる防音対策を施しました。わが家の防音対策のポイントは、”犬の鳴き声”と”犬が走り回る音”、”管楽器の音”をいかに外に漏らさないかです。
リビングの防音対策
夜寝るとき以外は、愛犬がほぼリビングにいます。遊ぶ・走り回る・ご飯を食べる・飼い主とたわむれるなど、日々のびのびと過ごしているので、リビングには犬のための対策が必須でした。
リビングの床
内見のときに、今までの家より広くなって嬉しくなったのか、とにかく愛犬が走り回っていました。これは、ひょっとしたら下の階に響いてしまうかもしれないと心配に。ペット可物件とはいえフローリングは響きますし、愛犬の足腰のことも考え、床をなんとかしようと思いました。
そこで採用したのが遮音シートと防音タイルカーペットの2種類です。本当は、念には念を入れて足音が絶対に響かないよう、遮音シートよりも防振マットにしたかったのですが、防振マットをリビング一面に敷くのは予算の関係で断念。その代わりに、タイルカーペットは機能が高いものを選びました。
まずは床一面に遮音シートを敷き、その上に防音タイルカーペットを敷き詰めました。防音タイルカーペットはペットに優しく、爪に絡まりにくい消臭タイプ、かつ愛犬が汚してしまっても問題ないよう洗えるタイプを選択。肝心の足音は、フローリングのときに気になった音が、個人的にはほとんど気にならなくなりました。
リビングの壁
わが家では、引越しをするならすっきりとした暮らしがしたいと、リビングにはなるべく物を置かないように、ダイニングテーブルとソファ、チェストのみを設置しました。物が少ないからなのか、愛犬の鳴き声がよく響きます。
そこで、リビングの壁に吸音パネルを貼りました。粘着テープを剥がして貼るだけの設置が簡単なタイプを選び、壁全面ではなく部分的に貼ることで壁のアクセントになり、インテリアとしても気に入っています。ただ、粘着タイプの吸音パネルは、お部屋の退去時、原状回復工事の際に壁紙を傷める可能性があります。DIY前に大家さんに事前に相談してみるといいでしょう。
肝心の効果は、あくまでも私の体感ですが、3分の2程度は音の反響が減ったように感じています。
ベッドルームの防音対策
わが家の愛犬は、ベッドルームで私と一緒に寝ています。引越し前はローベッドでしたが、引越しを機に脚付きベッドに変えました。そのため、ベッドへの乗り降りの音や愛犬の足腰への負担も気になるようになりました。
ベッドルームの床
対策として、防振マットと防音カーペットを敷きました。防振マットは、遮音シートより厚みがあって振動を吸収してくれるものです。防音カーペットは一枚敷きのもので、こちらも普通のカーペットより厚みがあるタイプにしました。
マットとカーペットの柔らかさが出るので、愛犬の足腰への負担もフローリングよりは軽減したように感じています。
仕事部屋(楽器演奏部屋)の防音対策
私は仕事上、自宅でのオンラインミーティングも多いこと、また趣味で楽器も演奏したいことから、引越しを機に1SLDKの間取りの内、S(サービスルーム)を仕事部屋(兼楽器演奏部屋)にしました。部屋のオーナーさんから楽器の使用OKは出ているのですが、念には念を入れて、楽器用の防音対策もしています。
仕事部屋(楽器演奏部屋)の床
私は楽器を演奏するときに、足でトントンとカウントをとる癖があり、下の階に響いてしまうことを心配していました。また、楽器の音を吸収する効果や万が一楽器を倒したときの衝撃音も大きいため、ベッドルームと同じく防振マットと防音カーペットを敷きました。
カウントするくらいの音はほとんど響きませんし、絨毯が柔らかいので、立っていても足が疲れにくいという利点もあります。
仕事部屋(楽器演奏部屋)の壁
マンションの間取り上、隣のお宅と接している壁一面に防音壁を設置しました。遮音、吸音両方の効果があるものです。釘などを使わないはめ込み式のものにしたので、賃貸でも壁を傷つけることなく簡単に設置できました。
私が個人的に感じる効果としては、楽器のミュートをつけて消音しながら吹いているものの、防音対策のおかげか、今まで音に対してのトラブルは発生していません。部屋に入ってきた愛犬が吠えることもありますが、しっかり防音してくれています。
防音対策すればよかったと思うもの
引越しをした当時は、壁と床の対策をすることしか頭にありませんでした。リサーチが不足していたのは否めません。引越しから半年が経った今、ほかにも対策していればよかったと思うものが出てきたので、ご紹介します。
遮音カーテン
当時、カーテンは遮光性能とデザインで決めていました。防音性のあるカーテンの存在を知らなかったのです。
自宅周辺に大学病院があるので、頻繁に救急車のサイレンが鳴ります。愛犬はサイレンによく反応するため、窓からの音が軽減されれば、サイレンが鳴るたびに反応することも減るかもしれません。窓からの音は盲点でした。
隙間テープ
仕事部屋(兼楽器演奏部屋)のドアの隙間に、防音の隙間テープを貼ってもよかったかなと思います。こちらはあくまでサポートの位置づけですが、仕事でオンラインミーティングをするときや楽器を吹くときなど、ドアの隙間からの音漏れを減らせればさらに静かな環境になるからです。
遮音カーテンも隙間テープもプラスアルファの対策として、今からでもやろうと思えばすぐにできる手軽な対策です。
自分で防音対策してみて分かった注意点
今回初めて自分で防音対策をしてみて、失敗もありました。その経験をもとに、皆さんに注意点をお伝えします。
サイズは面倒くさがらず正確に測ろう
私が発注した仕事部屋の防音壁はセミオーダーのため、事前に細かくサイズを指定しており、壁にぴったりのものが作られて納品されました。しかし、ぴったりはまるはずの防音壁がはまらなかったのです。サイズを間違えたと一瞬パニックになりましたが、床に敷いている防音マットとカーペットの厚み部分を考慮していなかったせいでした。
マット類は厚みにして合計2cmで、その差があるだけではまらないのです。結局、防振マットを防音壁の厚み分をカットして、カーペットはかなり強引に挟み込むようにしてはめ込みました。
防振マットをカットして防音壁をはめ込んだため、結果としてはよかったのですが、高価な防音対策グッズもあるため、購入前に床や壁のサイズは正確に測ることをおすすめします。防音壁を設置するときは、床に敷くものの厚さも考慮してサイズを出してくださいね。
大体のサイズと予備で購入したタイルカーペットは、予備分が多く余ってしまい、置き場に困りました。やはり正確にサイズを測って、必要十分な数量で購入することをおすすめします。
防音グッズは意外に重い
防音グッズは意外に重く、とくに重かったのが防振マットです。素材がゴム製で厚みもあるので、非常に重く感じました。広範囲を防音対策する場合、それなりの大きさや量が必要となり、そのぶんの重さも増します。
防音対策としてこれらの資材を扱う際には、対策を始める前に爪を短く切っておくことが大切です。私も実際に対策をしている途中で爪が折れてしまいましたので、爪を切ったうえで軍手などを使うことをおすすめします。
床のサイズに合わせてカットする必要がありますので、丈夫なカッターが必要です。私は文房具用の細いカッターしか準備しておらず、時間がかかり、刃が折れて危険な思いをしました。結局、大きめのカッターを買いに走るはめになりました。
納品スケジュールの調整は必須
引越しのタイミングで防音対策をする方向けになりますが、防音グッズは早めに手配しましょう。できれば引越しの荷物を搬入する前に防音対策ができあがっているのが理想です。
私はすべての部屋の床に対策をしたかったので、荷物が運ばれる前に対策を終わらせる必要がありました。遮音シート、タイルカーペットは事前に届いたのですが、一番下に敷きたい防振マットが搬入前日まで来なかったため急ピッチで床を整えました。
引越しのタイミングでの対策でない場合も、部屋の幅を大きくとって行う対策のため、作業したい日には届くように納品スケジュールを調整して発注することをおすすめします。
本格的な防音対策の住まい
私のように、ペットと楽器という防音対策が必要な人もいれば、在宅ワークで静かな環境を求めている方、元気なお子さんとのびのび暮らしたい方など、防音対策をしたい理由もさまざま。今のお住まいでの防音対策が難しい、または自分でできる自信がない方は、思い切って引越しをしてみるのもいいかもしれません。
DIYが可能な物件
DIYが好きな方や費用を少しでも抑えたい方は、DIYが可能な物件はいかがでしょうか。私は今回自分で対策してみて、自分でもできるものなんだと思いました。失敗した部分もありましたが、それもまた楽しいものです。
なんといっても、自分好みにカスタマイズできるところが魅力です。ただし、DIY可能物件でも、大がかりな対策となる場合は、不動産会社やオーナーさんに確認をするようにしましょう。
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楽器相談可物件
楽器相談可物件もおすすめです。楽器相談可物件は、そもそも防音性能が高い物件が多いので、音楽を楽しみたい方以外にも、夜勤などのシフトで働いている方、音に敏感な方などにも向いています。気密性も高い場合も多いので、音の悩みが減るだけでなく、冷暖房の効果が感じやすいのも嬉しいポイントです。
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防音性能を重視した物件
周囲の音に煩わされたくない方や、自分の出す音を気にされる方は、鉄筋コンクリート造の物件がおすすめです。建物の構造が鉄筋とコンクリートでできているので、気密性が高く遮音性にも優れています。また、二重サッシの物件も外からの音に対して防音性が高いのでおすすめです。
防音対策は意外に自分でできる
私はDIYの心得がない素人ですが、今回自分で防音対策をやってみて、意外に自分でも対策できると感じました。
私が防音対策に使用したもの
・防振マット
・遮音シート
・防音カーペット、タイルカーペット
・防音壁
・吸音パネル
どれくらいの防音対策をしたいかにもよりますが、ドアや窓に隙間テープを貼る、防音カーテンを取り付ける、防音カーペットを敷くだけでも防音対策は可能です。本格的な防音壁の設置もできました。
防音壁の設置は1人では難しいので、大人2人で行うとスムーズです。床の対策に関しては、1人での設置も可能でした。
私は、自分で防音対策をしてみて、日常で発する音へのストレスが軽減し、隣人や外からの音に悩まされることもなくなり、快適な生活が送れるようになりました。自分に合った対策をして、おうち時間を楽しみましょう。