デコパージュと聞いて、なじみのない方もいるのではないでしょうか。
好きな家具などに紙を切って貼るだけの簡単な工程で、世界に一つだけの作品をつくれるのがデコパージュです。人それぞれ選ぶ装飾素材や紙が異なるため、個性が出るのも魅力です。
今まで約900名の受講生を教えてきたデコパージュ講師の私が、おうち時間がワクワクするような、デコパージュをつくる楽しみ、使う楽しみ、飾る楽しみをご紹介します。初めての方でも気軽に始められるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- デコパージュの基本情報
- デコパージュとは?
- デコパージュの起源
- デコパージュの材料
- デコパージュ作品例
- 私のデコパージュ体験談
- 美しいものに魅かれた幼少期
- デコパージュを始めたきっかけはプレゼントされた石鹸
- デコパージュの講師に
- デコパージュの魅力
- デコパージュの魅力(1)手軽さ
- デコパージュの魅力(2)四季を愉しむ
- デコパージュ作品を実際につくってみよう!
- デコパージュに必要な道具
- 基本のつくり方(無地の巾着袋)
- 応用作品(ガラスキャニスターのキャップ)
- デコパージュのある暮らし
- (1)出窓やカウンターキッチンなどを活用
- (2)好きなものに囲まれた居心地のいい空間
- (3)ワークスペース付き物件
- デコパージュで彩りのある暮らし
デコパージュの基本情報
デコパージュとは?
デコパージュは、紙に描かれたモチーフを切り取り、無地の家具や小物などに貼りつけて装飾を愉しむヨーロッパ発祥の手工芸です。
貼り付けたペーパーナプキンをグルー(糊)などで塗り、乾燥後ニスでコーティングして仕上げることで擦れても傷まないようにするのが特徴の一つになっています。お気に入りの柄や絵がプリントされた紙を使用することができるので、オリジナルのレイアウトでアイテムをつくることができます。
デコパージュの起源
デコパージュ(Découpage)は、フランス語で切り抜く、切り裂くことを意味するデクーペ(Découper)を語源とする言葉で、起源については諸説あります。
17世紀ごろに日本を中心とした東洋の漆や蒔絵などの工芸品が西洋に渡り、上級貴族の間で愉しまれてきました。しかし、制作に多大な労力を要するため、大変高価であったうえに、需要に対して供給が追いついていなかったのです。そこでヴェネチアの家具職人が代案として、描かれた絵を切り貼りし、模倣して作品にしたのが始まりといわれています。
貴族社会でも、夫の留守中にポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットなどの貴婦人たちも、サロンで制作を愉しんだそうです。20世紀に入りアメリカに渡ったデコパージュは、印刷技術の向上や溶剤の開発などにより近代化され、日本でも多くの人が手軽にできるクラフトとして制作を愉しんでいます。
デコパージュの材料
デコパージュの基本となる材料をご紹介します。
【モチーフとなるペーパー】
・ペーパーナプキン
・アートプリント
・デコパージュペーパー
・ライスペーパー
・転写シートなどのモチーフ など
【貼りつけるもの】
・石鹸
・布
・木材
・陶器
・プラスチック
・金属
・ガラス など
このように、多様なものに貼りつけて装飾を愉しみます。
デコパージュ作品例
デコパージュの作品となるものは、テーブルウェア、フラワーベース、お掃除グッズ、ジュートバッグ、貝合わせ、イースターエッグ、クリスマスグッズなどがあります。身の回りにあるものを好きにアレンジすることが可能です。
私のデコパージュ体験談
美しいものに魅かれた幼少期
私は、物心がついたときから美しいものが好きでした。スパンコールなどが装飾されたキラキラしたサンダルが欲しくて駄々をこねたり、祖母からもらったみたこともないデザインの外国の缶が気に入り、その缶の中にコツコツ集めたリボンやレースを大事に入れて持ち歩いたりしていたのです。
ペーパーアイテムも大好きで、きれいな柄のラッピングペーパーや便せん、シールも集めていました。お花もよく母が活けていたのでお花屋さんに憧れ、小学生のころはクロスステッチにも夢中でした。
デコパージュを始めたきっかけはプレゼントされた石鹸
ある日、プレゼントでデコパージュ石鹸をもらい、その美しさに感動したのを覚えています。まるで絵を描いたかのような美しい絵柄はペーパーナプキンを切って貼りつけたものだと知り、つくってみようと思い立ったのがきっかけです。
紙は水分を含むと伸びる特性があるため、極薄のペーパーナプキンはすぐにシワが寄ったり破けたりしてしまい、最初はなかなかうまくいきませんでした。しかし、何個もつくっているうちにコツをつかみ、きれいにつくれるようになったのです。
デコパージュ石鹸は、実際に使うと下から減っていき、最後の方まで絵柄が残ります。最初はそれにも驚きました。デコパージュする面積が小さい石鹸に対してどのようにレイアウトするか、同じペーパーを使っても制作者が変わるとそれぞれ個性が表れます。
デコパージュ初心者の方は、まず石鹸からつくってみるのがおすすめです。
デコパージュの講師に
すっかりデコパージュにハマり、つくったものを友人にプレゼントするようになると、あるとき友人から「つくり方を教えてほしい」といわれました。趣味としてしか考えていなかった当時、デコパージュを人に教えることが仕事になると気付いたのが、アトリエを開講するきっかけになりました。しかし、その時点ではまだまだ経験が浅かったので、さまざまな素材やデザインに対応できるよう複数のデコパージュ資格を取得し、経験を積んでから講師として活動を開始したのです。
近年では、テレビなどでもデコパージュの魅力について取り上げられたこともあり受講者が増え、多くの生徒さんにデコパージュを教えてきました。レッスンしていて重要なのは講師の提案力です。デコパージュは、紙を切って貼るというシンプルさゆえに何でもありのアートといえます。
デコパージュを始めたばかりの生徒さんは、ご自分の選んだ柄がどのように作品として仕上がるのか想像がつきません。「つくってはみたものの、仕上がってみたらイメージと違った」という状態にならないよう、その方の好みを引き出して、選んだ柄をどのようにアレンジしたら素敵になるのか、いくつかの候補を挙げて提案していきます。自分でつくった完成品を見た生徒さんから「想像以上に素敵」と言われたときは、講師冥利に尽きます。
デコパージュの魅力
デコパージュの魅力(1)手軽さ
デコパージュの魅力は、何といってもその手軽さです。絵が上手に描けなくても、素敵な柄が描かれたペーパーさえあれば切って貼ればよいので、「私にもできる」と夢中になりました。
そして私が魅了されたもう一つの理由は、身近なものにデコパージュできることです。心地よく暮らすには、お気に入りの空間をつくることが大切だと思います。お金をかけなくても、さり気なく自分好みのデコパージュ作品を部屋に飾ることで、お気に入りの空間に変わるのです。インテリアだけでなく、バッグやアクセサリーもつくれます。
小さなお子さまや高齢の方(今まで受講された方の最高齢は98歳)でもつくれる簡単な作品や、難しいテクニックが必要となる作品まで、実は奥深い点もぜひ知っていただきたいところです。
娘には2歳からハサミを持たせていたので、小学校の自由研究でデコパージュ作品をつくったこともありました。ハサミを持ってモチーフをカットしている私をみていたからか、ピザ好きの娘はピザ屋さんのチラシをきれいにくり抜き、ピザを並べて遊んだりもしていました。私の誕生日には、デコパージュしたカードでメッセージを書いてくれます。
デコパージュの魅力(2)四季を愉しむ
日本には美しい四季があります。もともと季節に合わせて雑貨やお花を部屋に飾るのが好きだったので、デコパージュは私に打ってつけの趣味でした。季節の室礼(しつらい)や歳時記にまつわる作品などもつくれ、一年中テーマに困ることはありません。四季に合ったちょっとした小物を飾るだけでも、子どもの情操教育にもつながります。
私のアトリエでは、お正月・お雛さま・イースターエッグ・兜・七夕・ハロウィン・クリスマスなど、和洋折衷さまざまな作品づくりを愉しんでいただいています。
デコパージュ作品を実際につくってみよう!
デコパージュに必要な道具
最低限必要な道具と材料をご紹介します。
〈道具〉
・ナイロン平筆
・ウェットティッシュ
・ハサミ
〈材料〉
・装飾素材(デコパージュしたいもの)
・ペーパーナプキン
・グルー(糊)
・ニス
※ニスは水性のものを使用するようにしましょう。
初めてデコパージュをつくる方は、100円ショップなどで販売されている商品でそろえてみてもよいでしょう。ただ、ペーパーナプキンを選ぶ際、100ショップなどの商品は、溶剤で印刷がにじむことがまれにあります。紙の素材も厚かったり硬かったりするため、ネットやデパートの食器売り場などで購入できるヨーロッパ製3枚重ねのペーパーナプキンがおすすめです。
店舗によって取扱いが異なりますので、お近くの店舗でチェックしてみてください。
基本のつくり方(無地の巾着袋)
実際につくり方をご説明します。今回は100円ショップの巾着袋にデコパージュをしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【用意するもの】
・巾着袋(綿100%や麻素材など天然素材が貼りやすい)
・ナイロン平筆
・ウェットティッシュ
・ハサミ
・ペーパーナプキン(ヨーロッパ製の3枚重ねのもの)
・グルー(糊)マット仕上げのもの
【作り方】
1、 ペーパーナプキンの貼りたいモチーフ部分を丁寧にカットする
今回のようにペーパーナプキンを貼るアイテムの下地が白や薄い色であれば、カットするモチーフの周りが多少白く残っていても気になりません。
2、 カットしたペーパーナプキン一枚目のみをはがす
※3枚重ねのペーパーナプキンを使用しない場合は、カットしたモチーフをそのまま使用して問題ありません。
3、巾着袋本体のモチーフを貼る部分にのみ平筆を使ってグルー(糊)を塗る
4、ウェットティッシュを使って、巾着袋本体にペーパーを密着させるようにしっかりと押さえる
5、乾いたら平筆でペーパーを貼った部分にグルーを塗って完成!
注意
・グルー(糊)やニスを塗ったあとはしっかりと乾かしましょう。
・グルー(糊)やニスが付いた筆は硬くなるので、その都度洗いましょう
デコパージュは、貼り付けたペーパーナプキンをグルーなどの溶剤を塗り、乾燥後ニス(今回はグルー)で仕上げるのが基本です。仕上げのニスもグロス・サテン・マットなどがあり、メーカーによってテクスチャーや仕上がりの質感も異なります。ニスを塗ることにより、仕上がりの美しさだけではなく耐久性も高めます。
今回白地のペーパーナプキンを使用しましたが、ベースの色が白いペーパーだとカット面が目立ちにくいので初心者の方にはおすすめです。反対に、ベースのカラーが濃いと貼ったときのシワが目立つため難易度は上がってきます。
ペーパーをカットする際はハサミやカッターのほか、カット面が目立たないようにちぎって使用することもあります。ペーパー1枚を全面に貼る、モチーフをパーツごとにカットしアレンジする、別のペーパーと組み合わせるなど手法はさまざまです。
好みのペーパーを見つけ、それをどんな風にデコパージュをするか、考えるだけでワクワクしませんか?
応用作品(ガラスキャニスターのキャップ)
ガラスキャニスターのキャップにデコパージュした応用作品をご紹介します。
用意する道具は基本的に変わりませんが、キャップの中央に貼ったモチーフを切る際に細かくハサミを入れていく必要があります。ハサミで細かいモチーフをカットできるようになってから挑戦してみてくださいね。
【応用作品で追加した道具】
・アクリル絵の具
【作り方】
1、キャップ表面にアクリル絵の具を真っ白になるまで数回塗る(もとから白いキャップの場合は省いてもいいが、薄い色の絵の具を塗るとペーパーのカット面が目立たずなじみがよい)
2、ペーパーナプキンをカットする
3、キャップのトップにグルー(糊)を塗る
4、2でカットしたモチーフをピンセットでキャップトップに素早く置き、ウェットティッシュで中央から放射状にしっかり押さえながら貼る
5、キャップサイドにもグルー(糊)を塗り、2でカットしたラインを少しずつ丁寧に貼り、ウェットティッシュでキャップサイドに密着するよう押さえる。接続部分は重ならないようにする。
6、4・5が乾いたらキャップの表面全体(ペイントし、ペーパーを貼った部分) に平筆でグルー(糊)を塗って表面をコーティングする
7、6が乾いたらニスを数回塗って完成!
デコパージュのある暮らし
(1)出窓やカウンターキッチンなどを活用
私のアトリエでは、それぞれの暮らしやインテリアになじむ洗練されたデコパージュをご提案しています。
大きな模様替えをしなくても、よく目に触れる出窓やカウンターキッチンに作品を飾ることで、簡単に気分転換をすることが可能です。部屋のアクセントにもなるので、空間がおしゃれになります。
作品を飾りやすい住まいを探してみよう
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(2)好きなものに囲まれた居心地のいい空間
当たり前のことですが、居心地がいいと感じる空間は人それぞれ違います。どのような家や部屋でも、自分で居心地がいいと感じることが大切です。
私の場合は、写真立てや鏡にデコパージュした作品を壁に飾り、自分がつくった作品に囲まれた空間にしています。自分がつくった作品に娘が描いた絵や作品を飾ることで、子どもも喜んでくれました。数十年経っても、夫婦そして子どもにとって心から安らげる空間であってほしいと思います。
ディスプレイ収納が行える住まいを探してみよう
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(3)ワークスペース付き物件
私は、材料の保管のために6畳ほどの1部屋を使用しています。家を購入した当時は子ども部屋にする予定でしたが、急遽変更しました。デコパージュにハマることが分かっていれば、家選びも変わっていたかもしれません。
デコパージュは、多くの道具が必要なわけではありませんが、つくった作品や道具を置いておくワークスペースがあると、置く場所に困ることなく愉しめるのではないでしょうか。
部屋数を増やさずに、リビングにワークスペースを設けるのもよいと思います。その場合は、収納スペースやテーブル以外に小さくても作業台になるようなものがあると、ちょっとしたものも置けるので便利です。
デコパージュで彩りのある暮らし
今回はデコパージュの魅力をお伝えしてきました。デコパージュは紙を切って貼るだけでアート作品が無限につくれ、誰もがアーティストになれる表現活動です。
デコパージュはすでにある素材にペーパーを貼って制作するので、使い古したものや気に入らない柄で使われずゴミになってしまいそうなものもリメイクできます。無駄なものを買わずつくらず、でも素敵なものに囲まれて暮らしたいという方はぜひデコパージュに挑戦してみてください。
お友達を思わず招きたくなるような”デコパージュで彩りのある暮らし”をはじめてみませんか?