鮮やかな色調と、ふんわり優しいタッチが魅力のパステル画。専門教室もあり、大人の趣味として始める方も増えています。
私は2014年頃から2年ほど、パステル画教室に通っている時期がありました。子育て中の今は教室に通うことが難しくなりましたが、自宅でも簡単にできるので、大人の趣味としておすすめしたいアートです。
好きな絵を描くことで仕上がりの満足感だけでなく、集中して色を塗る時間に癒しも感じられるため、ストレス解消の効果も期待できます。
今回は、画用紙などの紙に手軽に描けるソフトパステルやハードパステルを使用したパステル画の始め方、描き方についてご紹介します。パステル画に興味がある、自宅でパステル画を描いてみたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
パステルってどんなもの?
絵具やクレヨンとは違う、パステルの特徴
パステルとは、乾燥した顔料(粉末)を粘着剤で固めた画材です。色鮮やかなパステルをカッターナイフやぼかし網で削って粉末状にしたものを、コットンや手で塗ることで、柔らかなタッチの絵を描くことができます。
筆を使わないという点ではクレヨンとも似ていますが、油分が多くテカテカした色合いのクレヨンに比べて、パステルで描くとふんわり優しい絵に仕上がります。また、パステルは絵の具のように混色することはできませんが、色を重ねることで美しいグラデーションも描けますよ。
パステル画を描くために必要な材料は、自宅にあるものや身近に手に入るものも多く、自宅で手軽に始められるアートのひとつです。
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「パステル」は大きく分けて4種類
パステルは大きく分けて4つに分類されます。それぞれのパステルの見た目は似ていますが、実際に描いてみると、硬さや発色などの特徴がそれぞれ異なります。
①ソフトパステル
ソフトパステルは、少ない粘着剤で顔料を固めた柔らかいパステルです。伸びがよく鮮明に発色するので、広い面をムラなく塗るのに向いています。強い力で握ったり叩いたりすると砕けやすく、少し繊細です。
②ハードパステル
ハードパステルは、程よく硬く比較的割れにくいのが特徴。ソフトパステルより安価で初心者でも扱いやすく、小さいお子さんが描くときにもおすすめできます。
また、ハードパステルはクロッキーなど素早い描画をする際にも使われており、細かい絵を描きたい時にも適しています。
③オイルパステル
オイルパステルは油性パステル、軟質のクレヨン類にも分類されます。ワックスと油分を多く含んだパステルなので、油絵のようなぼってりとした深みのある仕上がりが特徴。黒板のような濃い色の上に乗せると美しく発色し、お店のメニューボードなどのチョークアートにも使われています。
他のパステルよりも定着力があり、粉が舞うことがありません。
④パンパステル
パンパステルは、スティックタイプではなく、絵具のように色を調整できるように考案された新しい画材。粉っぽさのないドライタイプの色材で、高品質な顔料と最低限の固着剤と添加剤で作られており、他のパステルに比べて高価な画材です。
発色と伸びの良さを生かした表現や、美しいグラデーション表現にも適しています。
パステル画の活用方法
街中では飲食店などのお店のメニューボードや、インテリアとして飾られていることも多いパステル画。描いたパステル画は自宅に飾ったり、ポストカードサイズの紙に描いて手紙やプレゼントにしたりするのがおすすめです。
私も、友人の誕生日や同僚へのプレゼントで、その人をイメージしたパステル画を描いていました。他にも、季節ごとに絵を描いて飾ったり、旅先の思い出を描いてみたり…ぜひあなたに合ったパステル画を描くことを楽しんでみてください。
パステル画を始める準備
必要な道具
パステル画を始めるにあたり、まずは必要な道具を紹介します。
・パステル
・画用紙
・消しゴム
・練り消しゴム
・メイク用ブラシ
・カッティングマット
・パステルを削る道具(ぼかし網、茶こし、カッター等)
・パステルをぼかすもの(布やコットン等)
・お掃除グッズ(ウエットティッシュ、キッチンペーパー等)
・デッサン用の筆記用具(鉛筆、定規、マスキングテープ等)
・定着剤(フィキサチーフスプレー)
お掃除グッズや文房具など、既に自宅にあるものが使えます。パステルと画用紙、練り消しゴム、定着剤は購入する必要がありますが、他のものは代用したり、100円ショップで探したりするなど、まずは安価に購入できるもので取りそろえてもいいでしょう。
パステル画に使用する紙は、凹凸があって、しっかりとした厚みがある画用紙やタント紙がおすすめです。また、白い画用紙だけでなく、黒やグレーの画用紙に描くとメリハリのある絵になります。
パステルで色を塗った部分の修正や調整に必要なのが、練り消しゴム。形を自由に変えられて、紙を汚したり痛めたりしにくいため、デッサン用に適しています。
描いたパステル画を定着させるために必要なのが、フィキサチーフというスプレータイプの定着剤。こちらは画材屋や通販サイトで購入できます。パステル画を綺麗なまま保管するためにも、必ず用意しておきましょう。
パステルの色選び
まずはソフトパステルかハードパステルを用意しましょう。パステルは重ね塗りで色を表現できますが、絵の具と比べて混色が難しいため、ある程度の色数をそろえておくことが理想です。
しかし最初から200色以上のセットを購入するのは、費用もかかり、パステル画を始めるハードルが高くなってしまいますよね。色の数が多いほど表現の幅は広がりますが、最初は12色〜36色ほどでも十分にパステル画を楽しめます。
費用としては、12色〜36色のパステルであればだいたい1,000円〜3,000円程で販売されています。
安全性をチェックしよう
さまざまな素材で作られているパステルの中には、人体に有害なものが含まれていることがあります。粉末状にしたパステルを吸い込んで、体内に入ってしまう危険性もあるので、画材の安全性には注意が必要です。
そこで、画材の安全性を見分けるマークとして「APマーク」と「CEマーク」という2種類のマークを知っておきましょう。
・APマーク
APマークは、ACMI(米国画材・工芸材料協会)により定められた評価基準に適合した、人体に対して害のない製品に付与されるマーク。
・CEマーク
CEマークは、安全や健康を保護する安全規格に合致した製品に付与されるマーク。こちらは主にヨーロッパを中心に使用されているマークで、子ども用にも利用できる製品に表示されています。
パステルを購入する際は、これら2つのマークを意識して、安全なものを選んでいきましょう。
パステル画の描き方・テクニック
描き方の手順
ソフトパステル・ハードパステルを使った、パステル画の基本的な描き方を紹介します。まずは難しいテクニックを使わずに、簡単な絵を描いていきましょう。
1. カッティングボードに紙をセットし、ずれないようにテープで止める。
2. カッターやぼかし網を使い、紙の上でパステルを削り落とす。
3. 指やコットンを使用し、パステルを紙にこすり付ける。
4. コットンや指の腹でぐるぐると円を描くように描く。
5. 紙の上に浮いている粉をブラシではく。
6. 2~5の手順を繰り返して、色を重ねていく。
7. 消しゴムや練り消しゴムではみ出ている部分を修正したり、形を整えたりする。
8.パステル画にフィキサチーフをかけて、パステルを定着させる。
パステルを指で擦るのとコットンで擦るのでは、紙への色のつき方に違いが出てきます。いらない紙に試し描きで違いを見て、お好みの方法で描いていきましょう。
今回は描く紙の上にパステルを削り落とす方法をご紹介しましたが、別容器にパステルを削り落とし、指やコットンにつけて紙に着色する方法もあります。
描く上でのテクニック
・型紙やマスキングテープを使うとくっきり
パステルアートは、フリーハンドで描く方法と型紙を使って描く方法があります。ふんわり柔らかな印象にしたい時はフリーハンド。輪郭のはっきりとした絵を描きたい時は、型紙やマスキングテープを使うのがおすすめです。
また、マスキングテープは色が変わる境目部分をはっきりさせたいときにも便利。それぞれの色が混ざらないように、マスキングテープで保護しながら描くことで色の境目が綺麗に仕上がります。海と空の境目を描きたいときなどにも、よく使われる手法です。
・色を変えるたびごとに、指や道具をきれいにする
パステルを塗る指やコットンが汚れていると、色が濁ったりくすんだ色に見えたりしてしまいます。
パステルをきれいに発色させるために、色を変えるたびに指をウエットティッシュなどで拭いたり、コットンならきれいな面を使ったりするようにしましょう。そうすることで、色が混ざって濁ることなく、きれいに発色します。
・グラデーションの濃淡は大袈裟に
パステルを使うのに慣れてきたら、光やグラデーションを意識して、立体感のある絵を描いてみましょう。
グラデーションの色の濃淡は少し大袈裟なくらいでOK。まずはボールやりんごなど、球体のものを描いて練習するのがおすすめです。光が当たっている部分は明るく、地面に触れている部分は暗くなっているのを観察しながら描いていきましょう。
・練り消しゴムでハイライトを入れる
練り消しゴムは色の調整や描画の修正だけでなく、光を表現するハイライトとして使うこともできます。練り消しゴムを絵の上でちょんちょんと押さえてみたり、スーッと滑らせてみたりすると、太陽の光や、そよ風を感じられる絵に仕上がります。
パステル画をきれいに長く保存するために
・画材を定着させる
描き終わったパステル画には、フィキサチーフという定着剤をつけてコーディングする必要があります。
しかし、完璧に定着させることはできないため、触ると粉が落ちてしまったり、色がのびて薄くなってしまったりすることがあります。直接触らないように、ビニール製の袋や、複数の作品を保管するためのクリアファイルなどを用意しておくといいでしょう。
・直射日光を避けて保管する
パステル画は紫外線に弱い画材です。直射日光の当たる場所に置いておくと、日に焼けてパステルの色が変わってきてしまいます。
なるべく直射日光の当たらない日陰に保管するか、壁に飾る際などはUVカット仕様のアクリルフレームを使用することで、綺麗な状態を保てます。
パステル画を楽しめる住まい
趣味部屋や書斎がある
パステル画を楽しめる住まいとしておすすめなのが、趣味部屋や書斎のある物件。
パステル画に限らず、アートを趣味として楽しみたいとき、どうしても増えてしまうのが作品や画材。趣味部屋や書斎を作ることで、スペースを気にせずに思う存分アートを楽しめます。
画材や作品を目に見える位置に配置して、お気に入りの空間を作ってみてはいかがでしょうか。
小物を飾りやすい
パステルと小物を組み合わせて、季節やイベントごとにディスプレイを変えるのも楽しみの一つ。出窓やカウンターなど、小物を飾りやすいスペースが確保された物件もおすすめです。
来客があったとき、目に見える場所にパステル画が飾ってあることで、会話も弾みそうですね。
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DIYできる物件
インテリアにこだわって存分にアート作品を取り入れたいのであれば、DIY可能な物件が向いています。自分の好きな壁紙や床材でお好みの空間にDIYすれば、アート作品との相性も高まりそうです。
また、パステル画を描きやすいように壁に棚を取り付けて画材置き場にするなど、使い勝手のいい空間を自由に作れる点も魅力です。
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パステル画で、手軽にアートを始めませんか?
私はパステル画の教室に通っていた頃、単純に絵を描くことを楽しんでいたのはもちろん、集中して色を塗るという時間に癒やしを感じてしまいました。
忙しい毎日の中で何かに没頭する時間は、意図的に作らないとできない貴重な時間。うまく描こうとせずに、ただ思うままに色を塗るだけでも、頭の中がすっきりする感覚を得られます。
アートの中でも手軽に始められて、色表現の幅が広く、奥が深いパステル画。おうちで楽しめる趣味の一つとして、パステル画を始めてみてはいかがでしょうか。