【干し椎茸の作り方】自宅で自家製の香りと風味を楽しもう

干し椎茸は、和食や中華料理などで使われる香り高い食材です。スーパーで手に入れられて、自宅で簡単に作ることもできます。料理が趣味の私は、よく干し椎茸作りをしていています。自家製の干し椎茸の風味とうま味は格別です。

今回は、初心者でも失敗しない、干し椎茸の作り方をステップごとに紹介します。作り方をマスターし、自宅で本格的な料理を楽しんでみてください。

干し椎茸の基本情報

干し椎茸とは？

干し椎茸は、生の椎茸を乾燥させた食材です。乾燥させることで水分が抜け、風味が強くなり濃厚なうま味が凝縮されます。

独特の風味や栄養価の高さから、干し椎茸はスープや煮込み料理など、さまざまな料理に使われています。水で戻すだけで簡単に使うことができ、長く保存できることから、一般家庭でも幅広く使われているので、一度は見かけたことがあるでしょう。

生椎茸と干し椎茸の違い

同じ食材でも、乾燥させるひと手間で大きな違いが生まれます。ここでは、大きな違いを3つ、ご紹介します。

生椎茸と干し椎茸の違い(1)うま味

干し椎茸は、生の椎茸とは「うま味」が桁違いです。混同されやすいですが、「うま味」と「おいしさ」は別物です。

「おいしさ」は、見た目・香り・食感・音・シチュエーションなど、五感で「おいしい」と感じること。一方でうま味は、甘未・塩味・苦味・酸味と同じように、科学的に根拠のある「基本味」の1つで、しっかりと舌で感じられるものです。うま味は「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」が代表的な成分で、干し椎茸にはグアニル酸が含まれています。

うま味は掛け合わせることで、相乗効果を生み出します。椎茸は、多くの料理で香り豊かな味わいを提供し、料理のおいしさを引き立たせる貴重な食材です。

余談ですが、うま味は日本人によって発見されたものなので、国際的には「UMAMI」という専門用語が正式名称として使われています。

生椎茸と干し椎茸の違い(2)栄養成分

椎茸は、日光に当たることでうま味だけではなく栄養価もアップします。干し椎茸には、食物繊維・ビタミン・カリウムが豊富に含まれており、ビタミンDは生椎茸の約3倍です。

ビタミンDは、紫外線（日光）に当たることによって生成されます。ビタミンDは、骨や歯の健康を促進・維持するために重要な栄養素で、免疫力も上げてくれます。積極的に取り入れたい栄養素の1つです。

生椎茸と干し椎茸の違い(3)賞味期限

生の椎茸は、賞味期限が短く、保存方法も難しいといわれています。生椎茸ならではの柔らかな食感を引き出すには、乾燥することを避けなければいけません。だからといって、湿気や水分が多いと黒ずんですぐに傷んでしまいます。このように、生椎茸は保存方法が意外に難しい食材です。

一方で、干し椎茸は賞味期限も長く、保存性にも優れています。直射日光を避け、風通しのいい場所に保管するなど、正しい保存方法を守れば、1年ほど保存することが可能です。

干し椎茸の手作り体験談

ここでは、実際に干し椎茸作りをした私の体験談を紹介します。

干し椎茸を作り始めたきっかけ

私の趣味がDIYや料理だと知っている実家の母から、梅が旬の季節に「梅をたくさん干せる棚を作って欲しい」とのリクエストを受けたことがありました。そこで私は、100円ショップに出向き、すのことバーベキュー用の網とネットを購入して簡易的な棚を作成。虫やホコリがつかないように、ネットも設置しました。

私の作った棚を気に入った母は、それ以降、いろいろな食材を干して楽しんでいるようでした。ある日、実家で出た椎茸の含め煮がおいしかったので母に尋ねたところ、干し椎茸が自家製だったことが判明したのです。

干し椎茸を自宅で作れることを知った私は、すぐに自分用の棚を新たに作成することに。今では私も自宅でいろいろな野菜やフルーツを干して料理を楽しむようになりました。

手作り干し椎茸の魅力

私が感じる干し椎茸の魅力は「手軽さ」と「おいしさ」です。作り方はとても簡単ですし、自分で作った干し椎茸を料理するのはとても楽しいです。

もちろん、市販の干し椎茸もおいしいですが、自作した材料はどこか特別感があります。1度干し椎茸のおいしさに気づいてしまうと、椎茸を買ったら干さずにはいられなくなってしまうかもしれません。

椎茸を干すと、乾燥して小さくなっていく過程を観察することができます。日に日に変化していくので、観察していてとても面白いです。味もおいしく、目でも楽しくて、どこか中毒性のあるのが干し椎茸です。

干し椎茸の作り方

干し椎茸は、作業工程や準備する道具も少ないため、ポイントさえしっかり押さえておけば誰でも簡単に作ることができます。

干し椎茸の作り方(1)椎茸の汚れを取る

まず、椎茸の表面についている汚れをキッチンペーパーなどで拭き取ります。汚れを取るときのポイントは、「水で洗わないこと」です。きのこの栄養素は水溶性のため、水で洗ってしまうと風味が落ち栄養素が流れ出てしまうほか、腐りやすくなるので注意してください。

泥などの汚れがひどい場合は、キッチンペーパーを湿らせてから拭くときれいに落ちます。

干し椎茸の作り方(2)石づきを取る

椎茸の石づき（軸の先端）を切り落とします。丸ごと干す場合は、仕込みはこれで完了です。軸はそのままでも問題ありませんが、軸を外しておけば戻すときの時間が短縮できます。

スライスした干し椎茸を作りたい場合は、5～6ミリほどの薄切りにします。水分が抜けると薄くなるので、薄くしすぎないように注意してください。スライスの方が失敗しにくいので、初めての方はスライスがおすすめです。

干し椎茸の作り方(3)天日干しする

準備ができた椎茸を、ザルやネットに椎茸同士が重ならないように並べて、天日干しをするだけです。日光がよく当たり、風通しのいい場所で干しましょう。

干す期間は、丸ごとの場合は4日～1週間程度、スライスの場合は2～4日程度が目安です。様子を見ながら、ときどきひっくり返してあげましょう。

天気が悪い日や湿度の高い日が続くと、乾燥するのに時間がかかります。うまく乾かないと、カビが発生してしまう原因になってしまうため、天気には注意しましょう。湿気が少なく、空気が乾燥している冬の方が失敗は少ないかもしれません。

椎茸が乾燥してくると中の水分が飛んで軽くなるので、風で飛ばされやすくなります。ネットなどを持っていない場合、日当たりがよければ、室内で干すことも可能です。ネットは100円ショップなどでも販売しているので、購入を検討してもいいかもしれません。

干し椎茸の保存と戻し方のポイント

手作りの干し椎茸と、市販の干し椎茸の保存方法や戻し方に大きな違いはありません。少し違うのは、保存期間です。

干し椎茸の保存方法

密閉できる袋や瓶に入れ、直射日光の当たらない風通しのいい場所で保管しましょう。乾燥剤を一緒に入れると効果的です。

1度水に戻したけれど使い切れなかった場合は、冷凍保存をしましょう。冷凍しておくと風味が落ちないので、解凍してそのまま使用できます。

干し椎茸の保存期間

手作りの干し椎茸は、市販の干し椎茸に比べると保存期間は短いです。市販の干し椎茸は、特殊な乾燥方法のため、長期保存できます。

手作りは天日干しをしているだけなので、密閉保存していても徐々に黒ずんできます。2～3ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。

干し椎茸の戻し方のポイント

干し椎茸を戻す際は、時間をかけてじっくり戻すのが基本です。水分を含むと膨れるので、大きめの容器で戻すようにしましょう。

椎茸が浸かるほどの冷水を入れ、落としラップをして一晩かけて冷蔵庫でじっくりと戻します。戻し汁にはうま味がたっぷりと凝縮されているので、捨てずに料理に活用してみてください。

ポイントは、「冷水」で戻すこと。なぜ冷水かというと、効率よくうま味を引き出すのに適した温度だからです。軸を外すと中心から水分を吸収しやすくなります。短時間でふっくらした状態に戻したいときに、ぜひ実践してみてください。

おすすめは「冷水でじっくり」戻す方法ですが、すぐに使用したい場合は時短する方法があります。1つ目は、ぬるま湯に漬ける方法です。冷水で戻すときと同じ手順でお湯をかけ、常温に置いておけば2～3時間で戻ります。

2つ目は、電子レンジを使って戻す方法です。耐熱ボウルに椎茸と水を入れ、ラップをして600Wで約2～3分温めます。冷めたらそのまま使えるので、急いでいるときには便利です。

ただし、短時間で戻すとうま味が減りやすく、苦味やえぐみが出てしまうこともあるので、可能な限り冷水でじっくり戻すことをおすすめします。

干し椎茸のアレンジレシピ

ここでは、干し椎茸を使ったレシピを紹介します。さまざまな料理で活躍してくれるので、アレンジして楽しんでください。

定番！干し椎茸の含め煮

干し椎茸を使った定番レシピです。含め煮をベースに、ちらし寿司や煮物などいろいろな料理にアレンジできます。

【材料】
・干し椎茸 8枚
・椎茸の戻し汁 100ml
・酒 大さじ2
・醤油 大さじ2
・砂糖 大さじ2

【作り方】
(1)先ほど紹介した方法で干し椎茸を戻します。
(2)干し椎茸が戻ったら、鍋に戻し汁酒を入れてひと煮立ちさせます。
(3)砂糖と醤油を加え煮詰めて完成です。

お好みの具材と干し椎茸の炊き込みご飯

干し椎茸の戻し汁を使い、出汁の風味が効いた炊き込みご飯のレシピをご紹介します。今回私は、鶏ひき肉と人参を入れてみました。お揚げやゴボウなど、お好きな具材を入れてアレンジしてみてください。

【材料（2合分）】
・米 2合
・干し椎茸 3枚分
・お好みの具材 お好みの量
・椎茸の戻し汁 2合分
・酒 大さじ3
・醤油 大さじ2
・みりん 大さじ2

【作り方】
(1)炊飯器に研いだ米と干し椎茸、お好みの具材・調味料を入れます。
(2)2合のメモリまで戻し汁を入れて炊飯したら完成です。

干し椎茸の出汁が香る茶碗蒸し

続いて、蒸し器がなくてもフライパンでできる、ぷるぷる茶碗蒸しのレシピを紹介します。ポイントは弱火と余熱でゆっくり火を入れるところです。

【材料（3人前）】
・卵 2個
・干し椎茸 1枚
・干し椎茸の戻し汁 300ml
・本だし 小さじ2
・薄口醤油 小さじ1
・みりん 小さじ1
・お好みの具材 鶏肉・銀杏・海老など

【作り方】
(1)卵を溶いて調味料と戻し汁をよく混ぜましょう。
(2)卵液を濾します。濾さなくても作れますが、濾すことで口当たりがまろやかになります。
(3)器に具材を入れて、卵液を流し入れましょう。
(4)器にアルミホイルで蓋をして、水を3cmほど張ったフライパン（もしくは鍋）に並べてください。
(5)フライパン（鍋）に蓋をして強火で加熱します。
(6)沸騰したら弱火で10分、その後火を消して余熱で10分温めて完成です。

干し椎茸作りを楽しみたい方にはこんな住まいがおすすめ

干し椎茸を作るには、十分な日光と風が必須条件です。ここからは、干し椎茸を作るのに適した住まいを紹介します。

日当たりのいい「バルコニー付き」の物件

干し椎茸を作るのに欠かせないのが日光です。日当たりのいい、バルコニー付きの物件がおすすめです。野菜ネットなどを使えば、物干し竿に吊るして干すことができます。

スペースの広い「ルーフバルコニー付き」の物件

ルーフバルコニーは屋根がないため、干し椎茸を作るのに適した環境です。日当たりがよく、開放的な空間で干し椎茸作りを楽しめそうです。

十分な広さの「専用庭付き」の物件

専用庭付きの物件は、干し椎茸を作っても十分なスペースがあります。同時にほかの野菜やフルーツを干したり、ガーデニングを楽しめたり趣味を満喫できます。

干し椎茸を作って自宅で本格的な味わいを楽しもう！

干し椎茸は、自宅で簡単に作ることができます。少し手間を加えるだけで、うま味や栄養素がアップしたり、長く保存できたりとメリットもたくさんあります。

一度手作りしてみると、風味と深い味わいに感動することでしょう。香り高い味わいは、新たな食の楽しみを紡ぎます。今回の記事を参考にぜひ、干し椎茸作りに挑戦してみてくださいね。