日本の秋の風物詩でもある、田舎の軒先に吊るされた「干し柿」。渋柿を乾燥させて甘い干し柿にすることで、秋の味覚を長く味わうことができます。
干し柿は作り方のコツを掴めば、意外にも簡単に作れます。自宅のベランダや室内でも手軽に作れるので、秋の手仕事としておすすめです。
今回は、干し柿を作り始めて1年の私が、祖母から受け継いだ作り方や保存のコツをご紹介します。干し柿を作ってみたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 干し柿はどんな食べ物?
- 干し柿とは
- 干し柿で使う柿は渋柿or甘柿?
- 干し柿作りに最適な時期は?
- 干し柿にできる柿の種類は?
- 干し柿は自宅で作れる?
- 自家製干し柿の魅力と体験談
- 父と始めた楽しい干し柿作り
- 自家製干し柿は美味しさもひとしお
- 自家製干し柿は添加物なしの自然な甘み
- 干し柿は栄養豊富で食べ方もいろいろ楽しめる
- 自宅でできる干し柿の作り方
- 干し柿の材料と道具
- 干し柿作りの手順
- 干し柿の干し方と干す場所
- 美味しい干し柿を作るコツ&裏技
- 干し柿を美味しく保存するコツ
- 常温での干し柿の保存方法
- 冷蔵での干し柿の保存方法
- 冷凍での干し柿の保存方法
- 干し柿作りを楽しめるのはこんな住まい
- 干し柿を干すためのルーフバルコニー付き物件
- 干し柿を干すための専用庭付き物件
- 干し柿を保存しておくためのパントリー付き物件
- 美味しい干し柿を自宅で手作りしよう
干し柿はどんな食べ物?
柿は日本原産の果物で、国果として古くから日本人に親しまれている果物です。秋に収穫した柿を乾燥させて作る干し柿は、欧米などでは見られない日本ならではの食文化です。
干し柿とは
干し柿は秋に収穫した柿の皮を剥いて天日干しにした、日本伝統のドライフルーツです。柿を丸ごと干すことで、外側のしっかりとした食感と、中のねっとり柔らかい食感を楽しめるのが干し柿の特徴です。
干し柿で使う柿は渋柿or甘柿?
干し柿に使う柿の種類は、渋柿です。渋柿は名前のとおり、生ではとても食べられないほどの強い渋味があります。アルコールで渋抜きして食べる方法もありますが、完熟になるまで木で熟すのを待つのはなかなか難しいもの。
渋柿と甘柿の違いは、渋味のもとになるタンニンの性質が異なる点にあります。渋柿のタンニンは水溶性なので、干して不溶性に変化させることで渋味を感じなくなります。また、干して水分が抜けることで糖度が高くなり、味が凝縮されるため、干し柿の甘味は甘柿の約4倍になるそうです。
干し柿作りに最適な時期は?
渋柿の収穫は、10月の中旬から11月の上旬頃に始まります。まだ青い柿や熟しすぎた柿ではなく、程よい固さの柿を使います。
皮を剥いて柿を干すのは、空気が乾燥して気温が下がり始める11月上旬から中旬頃がおすすめ。湿度が高く気温が高い時期に干し始めてしまうと、虫が付いたりカビが発生してしまったりするので注意しなくてはいけません。美味しい干し柿を作るためには、昼と夜の温度差も重要なポイントです。
干し柿にできる柿の種類は?
干し柿にできる渋柿の種類はとても多く、甘柿を含む「柿」品種の数は1,000を超えるほど。干し柿に使う人気の渋柿の品種は、市田柿や平核無柿、甲州百目などです。
市田柿は、長野県で約600年前から栽培されてきた渋柿で、小ぶりなサイズが特徴。平核無柿は、山形・和歌山・新潟・奈良県を中心に広く栽培されている品種で、四角く平たい形が特徴です。
甲州百目は、古くから全国的に分布している品種で、富士山のように先の尖った形をした大きなサイズが特徴となっています。蜂屋柿、富士柿とも呼ばれ、あんぽ柿に使われることが多い品種です。
干し柿は自宅で作れる?
軒下や納屋などにたくさんの干し柿が吊るしてある景色を田舎でよく見かけますが、都会でも条件さえ合えば干し柿を作ることは可能です。
柿を干している際に雨が当たってしまうとカビの原因になるので、屋根のあるベランダやバルコニー、室内など、雨が当たらず風通しのよい場所を選びましょう。
自家製干し柿の魅力と体験談
毎年冬が近づくと、田舎の祖母が自宅の庭で採れた柿で干し柿を作っていました。家の軒下にたくさんの柿が吊るしてあった光景が今でも頭に浮かびます。
子どもの頃は干し柿があまり好きではなかった私。さまざまなドライフルーツを食べる機会が増えたことで、干し柿の美味しさが分かるようになりました。今では、一つひとつ丁寧に作られた自家製の干し柿を食べられるということが、とても贅沢で幸せなことだと感じるようになりました。
父と始めた楽しい干し柿作り
数年前から父が干し柿作りを始めていたので、今年から私も勉強のために手伝わせてもらっています。祖母から教わった作り方や味を父が引き継ぎ、それを今度は私が教えてもらっています。
今はまだ祖母の作り方を思い出しながら、分からないところは調べて試行錯誤することが多いです。皮を剥く作業にも苦労しましたが、枝を残して上手く紐に吊るすことの難しさやカビを防ぐための作業など、干し柿を完成させるまでに手間暇がかかっていることを知りました。その一つひとつの作業が干し柿を美味しく仕上げるためのものだと思うと、作る楽しさも倍増します。
庭で作業をしながら父と会話を楽しめる特別な時間は、私にとって干し柿作りのもう1つの魅力でもあります。
自家製干し柿は美味しさもひとしお
実家の庭には柿の木が2本あり、大粒の甲州百目柿と小ぶりの渋柿が採れます。ここ数年、柿の木の剪定を手伝っているうちに、柿の木に愛着が湧くようになり、実った柿の実を美味しく食べてあげたいと思うようになりました。
干し柿を作る工程の楽しさはもちろん、手塩にかけてできあがった干し柿にはますます愛着が湧き、美味しさもひとしおです。
自家製干し柿は添加物なしの自然な甘み
生の甘柿の味以上に、濃厚で甘味が強い干し柿。砂糖を使わない、自然な甘みが魅力です。添加物を使わずに自分で一つひとつ丁寧に作る干し柿は、体に優しく安心です。
干し柿は栄養豊富で食べ方もいろいろ楽しめる
干し柿は、体に嬉しい栄養がたくさん詰まっているところも魅力です。ポリフェノールの一種でもあるタンニンやβカロテン、ビタミンAやカリウム、食物繊維も豊富に含まれています。
そのまま食べるのはもちろん、なますやサラダに入れたり、パウンドケーキに入れたり、クリームチーズを挟んだりと、いろいろな食べ方を楽しめます。
自宅でできる干し柿の作り方
難しいと思われがちな干し柿作りですが、意外と作り方は簡単です。材料をそろえて干す場所を確保できれば、自宅でも手軽に挑戦できるのでぜひチャレンジしてみてください。
干し柿の材料と道具
干し柿を作る際に必要な道具と材料は以下のとおりです。
〈材料〉
・渋柿
〈道具〉
・柿を吊るすための紐(紐は60~70cmくらいにカットしておく。)
・殺菌消毒するための鍋に沸かした熱湯
・包丁またはピーラー
・はさみ
干し柿作りの手順
干し柿を作る手順は以下のとおりシンプルです。
1.干し柿用の渋柿を購入、または収穫する際は、紐が結びやすいように枝の部分をT字に残しておく。
2.柿をきれいに洗ったら、ヘタの少し下の部分からピーラーや包丁で皮を剥く。
3.T字になった枝の部分に紐を結ぶ。(長く連結するよりも、紐1本に対して柿を2個、紐の両端に結ぶと干す際に吊るしやすくなります。)
4.紐に結んだ柿を、鍋で沸かした熱湯に2~5秒ほど浸けて殺菌消毒する。(表面を殺菌消毒するのが目的なので、火の通しすぎには注意。)
5.雨の当たらない、風通しのよい場所に吊るして干す。
6.柿の種類や大きさや天気などにもよりますが、2週間から3週間干せば干し柿が完成します。自分の好みの固さになったら食べ頃です。
干し柿の干し方と干す場所
皮を剥いた柿を紐に結んで殺菌消毒をしたら、順番に干していきましょう。ベランダやバルコニーなら、物干し竿に吊るしていきます。室内に干す場合は、室内用の物干し台やタオル掛けなどに吊るすのもおすすめです。ハンガーに吊るして乾かすなどして、ベランダや室内に出し入れしやすい吊るし方を工夫しましょう。
屋外の場合は、雨が当たらない場所に干すことが最も重要です。屋外、室内ともに日当たりのよさよりも、風通しのよい場所を選ぶことが大切です。
干す際は柿同士がくっつかないよう、ずらして吊るしましょう。風通しがよくなるように、間隔を開けておくのも上手に乾かすポイントです
美味しい干し柿を作るコツ&裏技
干し柿のカビを防ぐコツ
干し柿作りで失敗する一番の原因はカビの発生です。気温があまり下がらなかった、風通しが悪かったなどの理由で、カビが発生してしまうので気温や風通しには十分注意してください。
カビを発生させないための対策として、定期的に焼酎や高濃度のアルコールをスプレーで吹きかけるのがおすすめです。
干し柿を一つひとつ丁寧に揉む
吊るしてから1週間ほど経つと柿の外皮が乾燥してくるので、毎日一回手で優しく揉みましょう。そうすることで、柿をムラなく乾燥できるほか、渋味が早く抜けて甘くなります。
このひと手間が、柔らかく美味しい干し柿に仕上げるコツです。柿を揉む際は、ビニール手袋をして衛生的に作業するようにしましょう。
干し柿の乾燥を温風ヒーターで時短
干し柿を干すときの重要ポイントとして挙げられる“風通しのよさ”ですが、雨の日が続いて思うように乾燥が進まない場合や室内に干す場合は、温風ヒーターや扇風機の力を借りるのもおすすめです。こうしたツールを使うことで、皮を剥いたばかりの柿の表面を早く乾かすことができます。
ベランダなど、屋外に干した場合などでも扇風機の風を当てて風の流れを作ることで、カビの発生を抑え、早く乾燥させることが可能です。
干し柿を美味しく保存するコツ
完成した干し柿は、生の柿よりも長期保存でき、長い間美味しく食べられるところが魅力です。保存したい期間によって、いくつか保存方法があるのでご紹介します。
常温での干し柿の保存方法
干し柿を常温保存する場合の保存期間は3日程度です。キッチンペーパーや新聞紙に包むなどして湿気を吸い取り、ダンボールや紙袋、カゴなどに入れて保存しましょう。
保管場所はパントリーなど、直射日光の当たらない風通しのよい場所が適しています。常温で保存したい場合は、干し柿をしっかり乾燥させて水分量を少なくしておくことがポイントです。
冷蔵での干し柿の保存方法
中が柔らかくトロリとした食感の干し柿は常温保存には不向きなので、冷蔵や冷凍保存がおすすめです。冷蔵庫で保存する場合は、一つひとつラップに包み、ジッパー付の袋に入れて保存するなどして密閉すると、約1ヶ月保存できます。
冷凍での干し柿の保存方法
たくさんの干し柿を作った場合や、長い間干し柿を味わいたいという場合は、冷凍保存がおすすめです。あんぽ柿のように半生状態の干し柿も、冷凍保存なら長期間美味しく食べられます。
干し柿は冷凍してもカチカチに凍らないので冷凍庫から出してすぐに食べられるので便利です。わが家では、冷凍庫から出してそのままカットした干し柿をヨーグルトに混ぜて食べています。
干し柿作りを楽しめるのはこんな住まい
干し柿作りは、日当たりや風通しのよさが重要なポイントです。また、干し柿が完成したら、美味しさをキープできる場所に保管しておくことも大切です。
ここからは、干し柿作りを楽しめる住まいとはどういった物件なのか、詳しくご紹介します。
干し柿を干すためのルーフバルコニー付き物件
ルーフバルコニーなら日当たりや風通しが十分あるので、干し柿作りも失敗することなく作れるでしょう。
ルーフバルコニーで干し柿を作る場合、物干し台を使って柿を干すのがおすすめです。物干し台を使えば、バルコニーの日当たりのよい場所や風通しのよい場所に簡単に移動させることができます。スペースが広く、一度にたくさんの干し柿を作れるのも嬉しいですね。
干し柿を干すための専用庭付き物件
専用庭付き物件も、日当たりや風通しを確保できるため、干し柿作りに適した住まいといえます。干し柿を作る場合、軒下などに柿を干すのがおすすめ。雨が当たらず、風通しのよい場所に吊るすようにすれば、干し柿作りが成功しやすいです。
庭の好きな場所に物干し台を置いて、柿を干すこともできます。日当たりや風通し、天候などを見ながら、干す場所を調整しましょう。
干し柿を保存しておくためのパントリー付き物件
干し柿が完成したら、長い間美味しく味わえるように保存することも大切です。パントリー付きの物件なら、湿度に弱い干し柿を美味しく保存できます。
保存するときは、キッチンペーパーや新聞紙に包んでダンボールに入れる、または保存バッグに入れて保管しておきましょう。水分量の多い干し柿の場合、カビの発生に注意しながら保存することが大切です。
美味しい干し柿を自宅で手作りしよう
材料さえそろえば、意外にも簡単に手作りできる干し柿。自宅のベランダや室内でも手軽に作れるので、挑戦しやすいです。
日々変化する柿の姿を見守りながら、丁寧に作る干し柿には愛着が湧くばかり。手塩にかけて作った自家製干し柿の味は格別です。
今回ご紹介した作り方や保存方法を参考に、ぜひ美味しい干し柿を自宅で手作りしてみてください。