お手軽ナンプラーの作り方。おうちで本格エスニック料理を楽しもう

みなさん、普段のお料理にナンプラーを使うことはありますか？

私は3年前にタイ旅行に行ったときに、うまみや辛味、ハーブの香りなどが複雑に合わさったタイ料理に感動しました。それ以来、ナンプラーをはじめとするタイ料理に欠かせない調味料を家に常備。タイカレーやガパオライスなどのエスニック料理は、わが家の定番メニューになりました。

この記事では、ナンプラーとはそもそもどのような調味料か、栄養素やおすすめの使い方、レシピなどを紹介します。ナンプラーをまだ使ったことがない人は、ぜひお料理の参考にしてみてくださいね。

日本でも人気が広がる、ナンプラーとは？

東京から飛行機で約6時間30分、カンボジアとミャンマーのお隣にタイ王国があります。熱帯モンスーン気候で、首都バンコクの年間平均気温は29℃。温かく湿度が高い地域です。

タイの料理には、夏バテ防止や抗菌作用のある香辛料がふんだんに使われています。タイ料理は辛味と塩味、甘味、酸味、旨味が複雑に合わさった味付けが特徴的。

タイを代表するスープである「トムヤムクン」は、フカヒレスープ、ボルシチ、ブイヤベースと並んで「世界三大スープ」といわれています（世界三大スープなのになぜか4つあるそうです）。そんなタイ料理に欠かせないのが、ナンプラーです。

タイの調味料、ナンプラー

ナンプラーは、イワシと塩で作られた発酵調味料です。ナンプラーを日本語に訳すと「水(ナム)と魚(プラー)」という意味になります。

貯蔵容器に塩とイワシを丸ごと入れて、1年ほどかけてじっくりと熟成することで液体が出てきます。最初に取り出す液体部分が、1級品のナンプラー。残りの液体をさらに発酵させて取り出したものは、2級品のナンプラーとして売り出されます。

ナンプラーはタイの家庭には必ずといっていいほど常備され、日本でいう醤油のような存在。ニョクマムという調味料がナンプラーと混同されることがありますが、作り方も味もナンプラーとほぼ同じベトナムの調味料です。

ナンプラーを使ったエスニック料理

ナンプラーは肉料理やサラダ、主食、スープなど、あらゆる料理に使われています。日本でも10年ほど前からおしゃれなカフェやフードトラックのメニューで、タイ料理を見かけるようになりました。

バジルの香りと唐辛子の辛味が絶妙にマッチしたガパオライスや米粉平麺のタイ風焼きそばパッタイ、パパイヤを使ったサラダのソムタムなど。どの料理にも必ずといっていいほどナンプラーが使われていて、タイ料理には欠かせません。

ナンプラーを使ったタイ料理は、一般的なスーパーでも手軽に入手できます。レトルトのグリーンカレーや米粉麺を使ったフォーなどは、びっくりするほど本格的な味です。

日本でナンプラーが購入できる場所

ナンプラーは日本の食品メーカーからも販売されているので、スーパーでも購入できます。日本の食品メーカーが販売しているナンプラーは、200cc前後で500円〜600円が相場となっており、少しお高めです。

輸入食品店では、大きなボトルに入ったタイから輸入したナンプラーが売られています。輸入したナンプラーの価格もメーカーによってピンからキリまでですが、日本のメーカーよりは安くなっています。

まずはスーパーで売っているナンプラーを買ってみて、気に入ったら輸入食品店で大きなボトルを購入するのがおすすめです。

ナンプラーの味や栄養について

透き通った色で、見た目はあっさりしていそうなナンプラー。発酵する過程でイワシのたんぱく質が分解され、グルタミン酸などがナンプラーのうまみとして現れます。見た目よりもコクがあり、深い味わいを楽しめますが、醤油よりも塩気が強めなので使用量には気をつけましょう。

ナンプラーに含まれる栄養とは

ナンプラーは、グルタミン酸のほかにナトリウムやカリウム、鉄分、たんぱく質、カルシウムなど多くの栄養を含んでいます。中でも注目したいのが、EPA(エイコサペンタエン酸)です。

EPAはアジやサバなどの青魚に多く含まれる栄養素で、体内でほとんど作られないため、食事から摂らなくてはいけません。EPAには血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化を予防するといわれています。また、美肌やアンチエイジング効果も期待できるようです。

ただしナンプラーは塩気が強いため、塩分量には注意が必要です。塩分量はメーカーによって差が大きく、ナンプラー大さじ1杯分あたり、塩分量が2g後半〜4g台のものまであります。ナンプラーを買うときには、成分表示を確認して塩分の少ないものを選び、料理の際はナンプラーを入れる量に気をつけましょう。

ナンプラーのにおいは？

「ナンプラーはくさい」という印象がある方もいらっしゃるのはないでしょうか。イカの干物と醤油が合わさったような磯の香りがしますが、私はナンプラーが好きなので、くさいと思ったことはありません。

しかし、発酵調味料が持つ独特なにおいを苦手に感じる人は少なくないようです。「ナンプラーのにおいが苦手」という人は、ぜひ加熱してから使ってみてください。

加熱することでナンプラー特有のにおいが飛び、くさみをほとんど感じなくなります。わが家では、ナンプラーのにおいが苦手な子どもたちも、焼き料理や炒め物に入れると「おいしい」と食べてくれます。

ナンプラーはどんな味がする？

ナンプラーの味を一言でいい表すのは、難しいです。醤油ほど濃厚ではないけれど、しっかりうまみがあります。塩気も、醤油よりハッキリとがった感じです。

魚介のエキスがギュッと凝縮されたような風味はしますが、生臭くはありません｡味は醤油とはまったく別ものですが、醤油と同じように幅広い料理に合うため、さまざまな料理で活躍します。

簡単なナンプラーの作り方

冒頭で説明したとおり、ナンプラーの原材料はイワシと塩なので、保存ビンを使えば家でも簡単に作れます。ただし、1年以上も冷蔵庫に保管しなくてはいけないうえ、発酵した魚を濾（こ）す作業は見た目で抵抗を感じる人も多いです。

そこで今回は、簡単なナンプラー風の調味料の作り方を紹介します。

ナンプラー風調味料のレシピ

【材料】
薄口醤油　大さじ1
アンチョビ　10g

【作り方】

1.アンチョビを細かく刻む
2.薄口醤油と刻んだアンチョビをボウルに入れて混ぜ合わせる
3.冷蔵庫に入れて10分ほど味をなじませる
4.こし器で3を濾す

アンチョビは、カタクチイワシを塩漬けにして作られます。醤油は大豆を発酵させた調味料なので、アンチョビと薄口醤油を合わせることで、魚を発酵させたナンプラーと似た風味に。

アンチョビペーストがあれば、固形のアンチョビよりも手軽にナンプラー風の調味料を作れます。ナンプラーよりも風味は劣りますが、加熱して料理に使えば代用品として役立ちます。

ナンプラーの保存方法と使い方

市販のナンプラーは、開封前であれば常温の冷暗所で保存できます。短期間であれば開封後も常温で保存可能です。

タイでは「クルアン・プルン」と呼ばれる食卓調味料セットとして、レストランなどでも常温でテーブルに置かれています。タイでは食卓で料理に調味料をかけて、それぞれが好みの味に仕上げるのが一般的です。クルアン・プルンは、粉唐辛子とココナッツシュガー、プリック・ナムソム(唐辛子入りのお酢)、ナンプラーの4点セット。

ナンプラーに唐辛子(プリック)を入れた「プリックナンプラー」が置かれていることもあります。クルアン・プルンは、ガパオライスやカオマンガイ、茹でた野菜など、どんな料理にも使えます。

常温で保管できるナンプラーですが、醤油と同じくおいしさを保つためには冷蔵庫での保管がおすすめです。

ナンプラーを使ったおすすめ料理

ナンプラーの魅力をたっぷりお伝えしたところで、ナンプラーを使ったおすすめの料理を3つ紹介します。

エスニックチャーハンの作り方・レシピ

【材料】　（２～3人分）
ごはん　お茶碗山盛り2杯
長ネギ　1/4本
パプリカ　1/4個
むきえび　100g
卵　1個
酒　大さじ1
塩　少々
コショウ　少々
ナンプラー　大さじ1
サラダ油　大さじ1
パクチー　適量

【作り方】
1. むきえびに酒と塩コショウをふって下味をつけておく
2. 長ネギとパプリカはみじん切りにする
3. 弱火〜中火で熱したフライパンにサラダ油をひき炒り卵を作って取り出しておく
4. 卵を取り出したフライパンでむきえびを焼いて取り出す
5. フライパンで長ネギを炒めたらパプリカも加える
6. 長ネギとパプリカに火が通ったら、取り出しておいたえびと卵、ごはんを入れる
7. 炒め合わせたらナンプラーを鍋肌から回し入れ、コショウを少々かけてさっと炒める
8. お好みで刻んだパクチーをトッピングしたらできあがり

タイ風チキンの作り方・レシピ

【材料】（２～3人分）
鳥もも肉　400g
にんにく 1片
ナンプラー　大さじ2
オイスターソース　大さじ1
はちみつ　大さじ1
酒　大さじ1
コショウ　少々
サラダ油　適量

【作り方】
1. にんにくをすりおろす
2. 鳥もも肉をひとくち大に切る
3. すべての調味料とすりおろしたにんにくをボウルに入れて混ぜ合わせる
4. ボウルに鳥もも肉を入れて調味料をもみ込み、1時間〜半日ほど漬け込む
5. 熱したフライパンにサラダ油を少々ひいて、鳥もも肉の皮面から焼く
6. 皮面に焼き色がついたらひっくり返してもう片面も焼く
7. 肉の中まで火が通ったら完成
8. お好みで刻んだパクチーをトッピングしたらできあがり

【POINT】
パクチーの根っこがあれば、3.で一緒に漬け込むとよりおいしくなります。

ナンプラースープの作り方・レシピ

【材料】（２人分）
絹豆腐　1/2丁
小ネギ　適量
ショウガ　適量
パクチー　適量
水　280cc
鶏がらスープのもと　小さじ1強
酒　大さじ1
ナンプラー　小さじ1
塩　小さじ1/4杯
コショウ　少々

【作り方】
1. 小ネギは小口切り、ショウガは千切り、パクチーは3cmくらいの長さに切る
2. 鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら調味料をすべて加える
3. 絹豆腐はひとくち大に切って鍋に加える
4. 小ネギとショウガを加えて1〜2分したら火を止める
5. スープを器によそいパクチーをトッピングしたら完成

【POINT】
スープにフォー(米粉の麺)や鶏肉、トマトを入れてもおいしくいただけます

料理をとことん楽しめるキッチン

「キッチンがせまくて使いづらい」「料理を思う存分楽しみたい」という人は、大きなキッチンがあるお家を探してみてはいかがでしょうか？

家を選ぶときには、以下のポイントをチェックしてみてください。

作業スペースが広く取れるキッチン

まず、作業できるスペースの広さを確認しましょう。キッチンの形や調理台の大きさ、また補助テーブルなどを置けるスペースがあるかもポイントです。

タイ料理は薬味やハーブをたくさん使うので、キッチンの脇に補助テーブルやシェルフを置くのがおすすめ。切った食材を補助テーブルに置けば、調理スペースでの作業がしやすくなります。レンジや調理器具をしっかり収納するスペースがあれば、調理台を広く使えてより快適に料理を楽しめるでしょう。

キッチン台が平行して並んでいる「Ⅱ型キッチン」なら、補助テーブルを用意しなくても十分な作業スペースと収納スペースが備わっています。

材料を保管するパントリーがあると便利

料理好きな人は、ストックしてある調味料や食材が多く、収納に困ることがあるのではないでしょうか？

パントリー(食品の収納スペース)つきのお家なら、かさばるペットボトルや粉類もすっきり収納。1ヶ所に収納することで、在庫チェックもしやすくなります。食品をパントリーにしまうことで生活感も隠せるので、急な来客でも安心です。

自家製ナンプラーでエスニック料理を楽しもう

タイの調味料であるナンプラーは、イワシを発酵させて作られる魚醤です。香りにクセがあるといわれることが多いですが、加熱することで食べやすくなります。

「やっぱりあのにおいは苦手」という人は、アンチョビと醤油で作る自家製ナンプラーがおすすめ。ナンプラーのような香りはしないけれど、似たような旨味を感じられます。ナンプラーの代わりに自家製ナンプラーを使って、ご自宅でエスニック料理に挑戦してみてくださいね。