キムチはそのまま食べても美味しく、ご飯のおともにもおつまみにも最適。食卓には欠かせない、という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も子どもの頃からキムチが大好きで、ご飯だけでなく納豆や冷奴にのせたり、キムチ鍋やキムチチャーハン、冷麺などといったキムチ味の料理もよく作ったりします。
市販のキムチを購入するだけでなく、現在は自宅でキムチを手作りすることもあります。以前、韓国出身の方と仕事をした際に、作り方を教えていただいたことがきっかけでした。
手作りキムチは、好みで材料を変えたり、大量に作ることができたり、キムチ好きにはメリットがたくさんあります。
ぜひ、今年はおうちで本格キムチづくりにチャレンジしてみませんか? キムチの作り方はちょっと難しそうに思えますが、材料を混ぜて、合わせて漬け込むだけなので、意外と簡単にできるんです。
今回は、おうちで作れる本格キムチの作り方とアレンジレシピをご紹介しましょう。
キムチを手作りする魅力! 韓国の国民食を楽しもう
韓国では各家庭でキムチを作る?
朝鮮半島では11〜12月頃に『キムジャン』という、皆でキムチを漬ける一大行事があります。近所の人たちや親戚などで集まって、家々をまわり、その冬に家族が食べる分の大量のキムチを皆で漬けるのです。韓国では、キムチは野菜が少なくなる冬季の大切な栄養源。
家庭で開かれる食事会では、おもてなしは大量のキムチ! そのくらい韓国の食卓には欠かせない大切な食べ物です。また、キムチに使われる食材は白菜だけではなく、大根やきゅうりなど数十種類あります。日本の浅漬けのような「水キムチ」という辛くない種類もありますよ。
古くから行われているキムジャンは、キムチを漬けながら世間話をしたり、各自漬けたキムチを食べ比べたりとコミュニケーションの場としても大切にされてきました。
現代では、生活スタイルの変化から、大量に漬けずに少人数の家族に合わせて小分けして漬けたり、買って食べたりする人もいます。家族の形態や生活様式の変化により、伝統的な習慣もだんだんと変化してきているのだと思います。
私は韓国出身の方と仕事をしていた経験があるのですが、よく韓国の家庭料理の話を聞いていました。自家製のキムチを分けていただいたときには、「これが本場の味…!」と感動したことを覚えています。手作りのキムチには各家庭の味があり、発酵・熟成していく味の変化も楽しいものです。
キムチを家庭で作るメリット
キムチは栄養豊富で、キムチに含まれるビタミンやアミノ酸、食物繊維、そして良質な乳酸菌は私たちの元気な生活をサポートしてくれます。特にキムチに含まれる乳酸菌は腸内環境を整え、免疫力を上げたりコレステロール値を下げたりする効果や、ダイエット効果が期待できます。
手作りのキムチには、乳酸発酵による乳酸菌が多く含まれています。逆に市販のものは発酵が進み過ぎるのを防ぐため、大量生産をするため、といった理由から乳酸菌が少ないものも。健康目的でキムチを食べるなら、私個人としては手作りをおすすめします。
キムチ作りの材料を集めるのは大変ですが、キムチヤンニョム(キムチ漬けの素)さえ作れば、白菜を買ってくるだけで何回でもキムチを漬けることができます。市販のキムチは買うと意外と高いですし、辛過ぎたり甘過ぎたりとなかなか好みの味に出合えなかったりしますが、自宅で漬けるキムチはだんだん自分の好みの味に近づけていくことができます。
何より、自分でおいしいキムチが作れたときの喜びは格別です!
実際に自宅でキムチを作ってみよう
自宅で手作りキムチに挑戦してみましょう。キムチ作りに必要なものや作り方を解説します。
キムチ作りに必要な道具
キムチを自宅で漬けるときに必要な道具をご紹介します。
・包丁
・まな板
・スライサー(千切りにできるもの)
・おろし金
・ざる
・ボウル
・小鍋
・木べら
・泡立て器
・漬物器(できればでいい)
・密封できるビニール袋
・保存容器(できれば密閉容器)
・ビニール手袋
・重石(水を入れたペットボトルなどでも代用可)
材料選びのポイント
キムチの材料はスーパーなどで購入可能ですが、旨味と熟成に不可欠なアミ(アミエビという桜エビより小さなエビ)の塩辛は売っているところが少ないです。韓国食材の充実したスーパーでは、アミの塩辛の他、唐辛子の種類も多いので便利ですが、無ければ通販で購入するのもおすすめ。
また、唐辛子は、挽き方の違いで粉末・中粗・粗挽きなどの種類があります。粉末は色と辛味を、中粗は辛味と甘味を、粗挽きは香りと辛味を出します。韓国や中国産の唐辛子は、日本での一味や七味唐辛子と違って辛いだけではなく、甘味も備えた品種もありますので、唐辛子選びはよく吟味しましょう。
では、実際にキムチを作ってみましょう。まずは、定番の白菜キムチの作り方をご説明します。
材料(2~3人分)
・白菜 1/2株
・塩 白菜の重量の5%(下漬け用)
・大根 150g
・細ネギ 1/2束
・三つ葉 1/2束
・塩 小さじ1(本漬け用)
☆調味料(ヤンニョム用)
・煮干し 30g
・昆布 10センチ
・水 2カップ
・白玉粉 大さじ1
・はちみつ 大さじ1
・中挽き唐辛子 30g
・細挽き(粉末)唐辛子 10〜20g
・アミの塩辛 60g
・りんご 1/2個
・おろしニンニク 大さじ1
・おろし生姜 大さじ1
・白ゴマ 大さじ1
作り方
白菜の下漬け
1. 白菜は根本に切り込みをいれ、半分に手で割く。時間があれば、ざるにのせて日なたにおき、3〜4時間干す。
2. 1.をよく洗い、水気を切ったら、葉の一枚一枚の隙間に塩を振ってまぶす。根本の厚い方は多め、葉先の方は薄めにして、全体に行き渡ったら、大きめのボウルや漬物器にいれ、重石をして、7〜8時間常温で漬ける。(気温が高くならない場所に置いておく)途中で水が出てきたら、上下を入れ替える。
3. 下漬けが終わった白菜をさっと洗う。味見して、しょっぱ過ぎたら、さらにもう一度洗う。ざるにあげて、水気を切る。
ヤンニョム作り
1. 小鍋に水、煮干し(頭とはらわたを取る)、昆布を入れて1時間くらい漬けておき、中火にかけて沸かす。煮たったら、昆布を取り除き、火を弱め、アクを引きながら10分くらい煮出す。
2. 1.をざるで濾し、小鍋に戻す。小さいボウルに白玉粉と1.のだし少々をいれて泡立て器で混ぜ、だまにならないように溶かしたら、小鍋にいれてよく混ぜる。火をつけて、焦げないよう木べらでかき混ぜながら沸くまで練り、火を止めて冷ます。(このキムチ糊を入れることによって、発酵を促し、つなぎのような役割をするので味がまとまりやすくなる)
3. 2.をボウルに移して、細かく刻んだアミの塩辛、すりおろしたりんご、☆ヤンニョムの材料の残りを合わせてよく混ぜる。
本漬け
1. 大根をスライサーで千切りにして、塩をふり、さっと混ぜる。15分くらいおき、出てきた水気を切る。細ネギと三つ葉は3センチのざく切りにする。
2. 1.とヤンニョムを混ぜ合わせる。
3. 下漬けした白菜の水気を絞り、ボウルなどにいれ、葉の間にまんべんなく2.をすりこむ(素手に染みるので、ビニール手袋をする)。密封できるビニール袋などにいれ、白菜の表面にも残りのヤンニョムを塗り、空気を抜いて口を閉じる。そのまま常温で2~3時間おき、袋ごと保存容器にいれ、冷暗所か冷蔵庫のチルド室などにいれて熟成させる。
ポイント
一晩から2~3日後は浅漬けとして食べられます。漬けたてはパリパリとした食感と刺激的な辛さが楽しめますよ。
だんだん熟成が進み、まろやかな旨味が出てきます。2週間以上経つと、発酵が進んで酸味も出てきます。そのまま食べて酸っぱくて食べづらいときは、炒め物や煮物にしてみてはいかがでしょうか。なお、保存する場所の温度が高いと発酵の速度が早く、冷蔵庫など温度の低い場所ではゆっくり発酵します。
辛味増しに粉末唐辛子を増やし過ぎると、食感が悪くなります。辛味を足したいときは唐辛子の輪切りなどを一緒に漬け込むと辛くなります。また、辛味が苦手だからと唐辛子を減らし過ぎると傷みやすくなるので、甘味のある品種の唐辛子を使ったり、色味が足りないときはパプリカパウダーで色を出したりと工夫してみてくださいね。
簡単! 即席キムチの作り方
キムチの漬け方も、家庭の数だけ違いがあります。もっと簡単に手作りキムチを楽しみたいという方向けに、即席キムチの作り方をご紹介します。
定番キムチとの違いは
・あらかじめカットした白菜を使うため少量から作れること
・イカの塩辛を使用すること
です。
材料
・白菜 1/4株
・イカの塩辛 100g
・りんご 1/4個
・塩 白菜の重量の5%
☆調味料(ヤンニョム用)
・水 150cc
・昆布 1枚(15センチ)
・粉唐辛子 大さじ3
・中唐辛子 大さじ1と1/2
・粗唐辛子 大さじ1と1/2
・おろしニンニク 大さじ1
・おろし生姜 大さじ1
・アミの塩辛 小さじ2
・砂糖 小さじ2
作り方
1. 白菜をざく切りにして、よく洗う。水気を切り、塩を白菜にまんべんなく振り、ボウルなどに入れてラップをし、重石(水を入れたボウルなどでも可)をのせ、1時間常温で置く。途中、水が出てきたら、上下を返して漬ける。
2. 昆布を水に漬けておく。1時間くらい置いておき、火にかけて沸いたら火を止め、そのまま冷まして出汁を引き出す。昆布を取り出して、細切りにする。
3. 1.の白菜がしんなりしたら、さっと洗い、ざるにあげる。味見をして、しょっぱ過ぎたら少し洗って塩気を落とし、味が薄いようなら少しだけ塩を振る。ギュッと握って水気をよく絞る。
4. イカの塩辛を細かく刻み、りんごをすりおろす。冷めた2.の昆布出汁に☆の調味料、イカの塩辛、りんご、刻んだ昆布を加えて混ぜる。
5. 3.の白菜の一枚一枚の葉の間に行き渡るようにまんべんなく混ぜ、ジッパー付きビニール袋などに空気を抜いて密封して、常温に2〜3時間おき、袋のまま保存容器にいれ、冷暗所や冷蔵庫で保存する。すぐに食べられるが、一晩以上おいた方が味が馴染む。
手作りならではのアレンジキムチ
せっかく手作りするなら、少し変わった食材を使ったキムチに挑戦してみてはいかがでしょうか。私が実際に作ってみたおすすめの野菜をご紹介します。
・トマト
市販ではなかなか見かけませんが、トマトとキムチの組み合わせはぴったりです。水洗いしたトマトを丸ごとキムチと一緒に漬けます。そのままでも美味しいですが、冷麺やそうめんにトッピングするとさらに楽しめますよ。
・らっきょう
らっきょうは酢漬けにされているものは見かけますが、生のらっきょうはキムチにもピッタリの野菜です! サクサクとした食感とピリ辛のキムチが絡み食が進みます。わが家では、晩酌のおつまみとしてらっきょうキムチが大人気です。
手作りキムチを作るのに適した住まい
自宅でキムチ作りをするには、作業しやすいキッチンや保存に適したパントリーがあると便利です。そして、キムチの匂い対策に換気設備が整っていると嬉しいですよね。
パントリーがある住まい
パントリーとは、キッチンの横などに設置されている小部屋のような収納スペースです。
使わない調理器具や食料品をストックしておくのに便利なスペースです。もし、キッチンにパントリーがついていたら、ごちゃごちゃとしがちな調理器具や食器類、買い置き食材がきれいに収納できますよね。
さらに、たいてい冷暗所となっており、キムチなど保存食や味噌などの発酵食品を保管するのにもちょうどいいのです。パントリーのある家に住めたら、料理も一層やる気が出そうですね。
換気設備の整った住まい
いくら密封しても漏れ出すキムチの匂い…もしずっと部屋の中にこもっていたら不快ですよね。料理をしているときに発生する煙や匂いを瞬時に外に出してくれる換気設備は、家選びでもとても大事です。
換気が悪く、家での食事や料理の匂いがずっと残るようだと、服や家具にも臭いがつきがち。さらに湿気の多い季節や暖房を使う季節には、換気が悪いと服が傷んだり、カビが生えたり、健康を害したりと何かと困ります。
キッチンに窓があり、さらに換気扇が強力かつ音が静かなのが望ましいです。万が一匂いがこもりそうでも、窓を開けたら風がうまく通るなど、住まいの全体的な換気設備のチェックをしておくと快適な暮らしにつながるでしょう。
作業しやすいキッチン
おうちでキムチ作りなどの保存食を作るときには、作業しやすい広いスペースが取れることが理想です。自宅で料理を楽しみたい人は、作業台が広く取れる、作業スペースとしてのテーブルが置く場所がある、などの点をチェックしたいですね。
手作りキムチが引き立つ料理のレシピ
それでは最後に、料理が楽しみやすいキッチンで、自家製キムチを生かしたキムチが引き立つレシピをご紹介します。
茹で豚キムチ添えの作り方・レシピ
韓国では、キムジャンのときの定番食事があります。茹でた豚バラ肉を浅漬けキムチと共にレタスに巻いて食べる、ポッサムという料理です。
材料(2人分)
・豚バラ肉(ブロック) 300g
・サニーレタス 1玉
・大葉やえごまの葉 10枚
・キムチ お好みで
・サムジャン(市販の韓国味噌) お好みで
・塩 少々
☆蒸し煮用
・水 1カップ
・酒 1/2カップ
・塩 小さじ1
・ネギの青いところ 1本分
・ニンニク(スライス) 1かけ分
・生姜(スライス) 1かけ分
作り方
1. 豚バラ肉に塩をすりこむ。鍋に☆蒸し煮用の材料をいれ、豚肉をいれて、強火にかける。沸いたらアクを引いてふたをして、弱火にして、30分くらい茹でる。火を止めてふたをずらし、そのまま冷ます。
2. 触れるくらいまで冷めたら、豚肉を取り出して1センチくらいの幅にスライスして皿に盛る。サニーレタスと大葉、えごまの葉を洗って皿に盛る。キムチは食べやすい大きさに切る。
3. 食卓で各自レタスや大葉、えごまの葉に豚肉とキムチなどを乗せて包み、サムジャンをつけて食べる。
マグロアボカドキムチあえのレシピ・作り方
前菜の定番マグロとアボカドに、キムチを入れました。お好みでさらにクリームチーズや納豆を混ぜてもいいですし、マグロをサーモンに変えても美味しいですよ! ご飯に乗せて丼にしても、おつまみでも合います。
材料(2人分)
・マグロ 100g
・アボカド 1個
・キムチ 100g
・卵黄 1個
・醤油 大さじ1
・ごま油 少々
・白ごま 少々
・韓国のり 1パック
作り方
1. マグロは1センチ角に切る。アボカドは種と皮を取り、マグロと同じくらいに角切りにする。キムチは食べやすく切る。
2. ボウルにマグロとアボカドをいれ、醤油であえて下味をつける。キムチとごま油も加え、混ぜ合わせる。
3. 器に盛り、卵黄を乗せ、白ゴマを振る。
4. 韓国のりに包みながら食べる。
キムチ肉じゃがのレシピ・作り方
おふくろの味の定番の肉じゃがは、キムチとも相性バッチリ! キムチは熟成が進むと酸味が出ますが、炒めたり煮込んだりすることで独特の深い味わいが出ます。
材料(2人分)
・じゃがいも 2個
・人参 1/3本
・玉ねぎ 1/2個
・牛肉こま切れ(豚肉でもいい) 150g
・キムチ 100g
・サラダ油(ゴマ油でも可) 大さじ2
・水 2カップ
・顆粒和風だしの素 小さじ2
☆調味料
・酒 50cc
・みりん 50cc
・醤油 50cc
・砂糖 大さじ1
作り方
1. じゃがいも、人参は一口大に切る。玉ねぎは櫛形切りにする。キムチはザク切りにする。
2. 鍋に油をいれ、肉を炒める。色が変わったら、1の野菜、キムチを入れて炒める。
3. 2.の鍋に水、顆粒だしの素を入れて、強火で沸かす。アクを引き、弱火にして、じゃがいもに火が通るまでコトコト煮る。
4. じゃがいもに火が通ったら、☆調味料を入れて、落とし蓋をして、さらに10分くらい煮込む。
一晩置くと、さらに味が馴染んで美味しいですよ!
おうちで楽しくキムチ作りをしてみましょう
今回は、自宅で漬けるキムチのレシピについてご紹介しました。
キムチはそのまま食べるだけでなく、おかずに、鍋にと重宝します。市販のものを買うと意外と高いものの、自分で漬ければ健康にもいいし、味の調節も可能! 張り切って漬けたキムチは上記のレシピを参考に、色んな料理にも活用して楽しんでください。思わぬところで、新しい美味しさに出合えるかもしれません。
また設備の整った住まいなら、発酵・熟成時の匂いや収納場所に困ることもありません。キムチ作りが快適にできるだけでなく、他にもメリットがたくさんあります。
設備の充実した住まいで、発酵食や保存食を作る楽しみを見つけてみませんか? ぜひ今回の内容を参考にして、手作りキムチにチャレンジしてみてくださいね!