雪解けが始まった頃、道端に咲くふきのとうに私は春の訪れを感じます。ふきのとうは、春の訪れを教えてくれるだけでなく、食卓に春の色を加えてくれる春の山菜です。
都会の道端ではなかなか見ることのできないふきのとうですが、長野県の山の麓で生まれ育った私にとっては身近でなじみの深い食材のひとつでもあります。小学校の帰り道のような何気ない場所でも、ふきのとうが採れるのが当たり前な環境でした。
幼少期は栄養など考えたこともありませんでしたが、大人になった今、ふきのとうの栄養価の高さや独特な苦みに魅力を感じるようになりました。毎年旬の時期が訪れると食卓に必ず並ぶ、わが家の春の定番食材でもあります。
今回の記事では、魅力あふれる春の山菜ふきのとうの栄養価や魅力を、おすすめのレシピとともにご紹介します。
ふきのとうとは?
春先の山菜として有名はふきのとうは食用としても人気の「ふき」の花茎にあたる部位で、雪解けとともに顔を出します。河川敷や道端、山など水気が多く風当たりの少ない場所で見つけることができ、日本全国に生育しています。
ふきのとうは日本だけでなく、ヨーロッパ地方を中心に海外でも見ることのできる山菜のひとつでもあります。
ふきのとうの旬の時期
雪解けとともに顔を出し始めるふきのとうは、地域によって収穫できる時期が異なります。一般的に2~3月頃からよく見られるようになり、山間部の寒い地域では4~5月頃に収穫できることが多いです。私の地元でもある長野県では、5月頃に芽を出していました。
ふきのとうの栄養素
春が旬のふきのとう。美味しいだけでなく、体にうれしい栄養素も豊富に含まれています。
むくみ改善効果のあるカリウムが豊富
カリウムには塩分を排出する作用があり、むくみの改善や高血圧予防といった効果が期待できます。普段、インスタント食品やコンビニ弁当といった食事が多い方は塩分をとりすぎている可能性が。カリウムを豊富に含むふきのとうを食事に取り入れて、余分な塩分の排出や体内のデトックスを促しましょう。
不足しがちなビタミン類が豊富 ふきのとうには、ビタミンKやビタミンE、葉酸といったビタミン類も豊富に含まれています。ビタミン類というのは体内で生成できるものは少なく、食材から摂取して補う必要があります。特に葉酸は意識して摂取しないと不足しがちに。旬の食材で美味しく取り入れられるのはうれしいですよね。
ビタミン類は肌のバリア機能にも影響する栄養素のため、美肌を目指したい方にもふきのとうはおすすめです。
抗酸化作用が期待できるアルカロイドとケンフェノールが豊富
アルカロイドとケンフェロールは、抗酸化作用や抗アレルギー等の効果も期待できるとされるポリフェノールの一種です。
また、アルカロイドには肝機能を高め新陳代謝を促す効果があり、ケンフェロールには発がん性物質の抑制やウイルス性の病気を予防する効果もあるとされています。ふきのとうの特徴である「苦み成分」でもあるこの2つの栄養素ですが、体の健康のためにはぜひ摂取していただきたい成分になります。
便秘予防になる食物繊維が豊富
ふきのとうには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維という2種類の食物繊維が含まれますが、特に水溶性植物繊維が豊富。
この成分は水分吸収しやすく、体内でゼリー状になって胃腸内を移動します。その際、老廃物などを一緒に吸収し体外へ排出してくれるため、便秘解消に効果的とされています。
ふきのとうの採り方
つぼみが開きかけのものが一番美味しく、開き切ってしまっているものは苦みが強すぎるので食用に適していません。
地下茎には毒が含まれているため、根は残すようにして、ひねり取るように手で収穫をします。手で取りにくい場合ははさみやカッターでカットして収穫します。地上に見えている芽の部分のみを収穫するようにしましょう。
ふきのとうの美味しい食べ方
体にいい栄養成分が豊富に含まれているふきのとうですが、食べ方や食べる量を間違えると健康を害する危険もあるので、注意しなくてはいけません。
ふきのとうを食べるときの注意点
(1)アク抜きをしてから食べましょう
旬を感じることができ、美味しいふきのとうですが、実は「ペタシテニン」という毒性のあるアクが含まれています。かなりの苦みを感じる成分のため、ふきのとうを生で食べることは避け、必ずアク抜きを行ってから調理しましょう。
また、ペタシテニンは根の部分に多く含まれているため、収穫する際は土から出ている芽の部分のみを刈り取ることをおすすめします。
(2)一度に大量に食べないようにしましょう
先ほどご紹介したペタシテニンは、ピロリジジンアルカロイド類という天然毒の一種。えぐみや苦みがとても強く、大量に食べると危険とされています。肝毒性が強いため、大量摂取は肝癌や肝臓の病気を引き起こす危険性があるとされているため注意しましょう。
ふきのとうの下処理方法
【ふきのとうのアク抜き方法】
(1)鍋に湯を沸かし、ひとつまみの塩を入れる。
(2)沸騰したらふきのとうを入れて、蓋をして2~3分茹でる。
(3)ざるにあげ、すぐに冷水で冷やす。すぐに冷やさなければ変色してしまうため、この工程は素早く行いましょう。
ふきのとうの保存方法
アク抜きをしたふきのとうは、水気をしっかり拭き取ったら冷凍保存できます。しっかり水気を取っておくと、冷凍後も1つずつ取ることができるので、とても便利です。アク抜き前のふきのとうは冷暗所、または冷蔵庫で保管しておき、早めに食べるようにしましょう。
ふきのとうの調理方法
ふきのとうはアクが強い山菜のため、生食ができません。必ず加熱をしてから食べましょう。
天ぷらなどはアク抜きをしないまま調理できますが、しっかり中まで火を通してから食べるように注意してください。
絶品ふきのとうレシピ
ここでは、簡単で美味しくふきのとうを食べることのできるレシピをご紹介します。
ふきのとうレシピ(1)餃子の皮でふきのとうピザ
ふきのとうのほろ苦さと濃厚チーズがマッチした大人レシピです。にんにくを加えることでふきのとうの独特な香りや苦みが緩和され、苦手な方も食べやすくなっています。七味唐辛子がピリッとしたアクセントになり、お酒がすすむ一品です。
<材料>(2~3人前)
・ふきのとう 10個
・オリーブオイル 大1
・白味噌 大2
・すりおろしにんにく 小1
・砂糖 大1
・マヨネーズ 大1
・七味唐辛子 少々
・チーズ 適量
・餃子の皮 10枚
<作り方>
(1)ふきのとうを茹で、水気をしっかり取り、みじん切りにする。
(2)フライパンにオリーブオイルを入れ、にんにくを炒め香りが出てきたら(1)を加えさらに炒める。
(3)しんなりしてきたら白味噌、砂糖を加え2分ほど炒める。
(4)餃子の皮にマヨネーズを塗り、(3)を乗せ、チーズをかけてオーブントースターで焼く。
(5)七味唐辛子をふりかける。
ふきのとうレシピ(2)ふきのとうの肉巻き
豚肉の甘みある脂がふきのとうの味を引き立ててくれる、ごはんに合う一品です。甘みのある照り焼きだれがふきのとうの苦みを和らげ、子どもも食べやすいレシピです。
<材料>(2人前)
・ふきのとう 10個
・豚バラ肉 10枚
・塩コショウ 少々
・片栗粉 適量
【たれ】
・醤油 大2
・砂糖 大1
・みりん 大2
・酒 大1
<作り方>
(1)ふきのとうは外側の硬い皮を剥き、きれいに洗っておく。
(2)豚バラ肉に塩コショウを振り、(1)に巻いていく。
(3)(2)に片栗粉をまぶし、熱したフライパンで焼く。
(4)(3)に調味料をすべて加え、とろみがつくまで煮詰める。
ふきのとうレシピ(3)香ばしいふき味噌焼きおにぎり
こんがり焼けた味噌が香ばしく、おやつやお花見のお供にもぴったりのレシピです。
<材料>(2~3人前)
・ふきのとう 10個
・味噌 大4
・みりん 大2
・砂糖 大1
・酒 大2
・サラダ油 適量
・ごはん2合
<作り方>
(1)ふきのとうをきれいに洗い、茹でる。
(2)(1)をみじん切りにする。
(3)サラダ油をひいたフライパンで(2)を炒め、しんなりしてきたら酒を加える。
(4)(3)に残りの調味料を加え、水分がなくなるまで煮詰める。
(5)にぎった白飯おにぎりに(4)を乗せ、トースターで焼き目が付くまで焼く。
ふきのとうを楽しむ住まい
ふきのとうは春の訪れを教えてくれ、食卓を春色に彩ってくれます。ふきのとうをはじめ、旬の山菜を楽しむことのできる暮らしは、日本の四季の移り変わりを存分に味わい、暮らしを豊かにしてくれます。
山や川が身近にあるエリア
ふきのとうは全国で収穫できるため、どの地域でも新鮮な旬の食材を楽しめる山菜です。ふきのとうがよく育つ場所は、水気が多く風当たりの少ない場所。山や川が近くにある住まいならばふきのとうの収穫に期待できるかもしれません。
なかなか採れない珍しい山菜とは違って、多くの地域で昔からよく採れるところも、ふきのとうの魅力のひとつです。
家庭菜園を楽しめる住まい
採れたての新鮮なふきのとうは、田舎でしか楽しめないイメージがあるかもしれません。しかし実際は、自宅でも簡単に育てられます。
2~3月頃になると、「ふき」の栽培キットをホームセンターやネットで購入することが可能です。ふきのとうの栽培は比較的簡単なので、春になって芽が出てきたら収穫し、自宅で採れたてを味わえます。プランター1つで栽培できます。
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広々としたキッチンが魅力的な住まい
住まいの中で毎日の暮らしを快適に、豊かにしてくれるキッチン空間は料理をする上では欠かせません。ふきのとうなどの山菜は収穫してから、洗ったり下処理をしたりするなどの手間がかかるため、シンクが広いと作業がしやすいです。
作業台の広さも重要なポイントとなりますので、住まい選びの際にしっかりと確認しておきましょう。
春の味覚、ふきのとうを味わおう
独特な香りと苦みがくせになるふきのとうは、春にしか味わうことのできない貴重な山菜です。和・洋どちらの料理にもよく合うため、山菜初心者の方にも扱いやすい食材です。
寒い冬を乗り切った後に芽を出すふきのとうは、口いっぱいに春の訪れを感じさせてくれます。今回紹介したレシピは、どれも簡単に作れるレシピばかりです。山菜が苦手な方でも美味しく食べられるようなレシピになっていますので、ぜひご家庭で春の味覚を味わってみてくださいね。