秋～冬に食べたいレンコン料理。栄養たっぷりの旬の味覚を楽しもう

私は、栄養士という仕事柄、普段から食品の栄養価を意識しています。
日常の食卓に積極的に取り入れているのが、旬の食材。旬の食材は作物が育つ適切な時季に収穫されていることもあり、栄養価が高いものが多いのです。

レンコンは、秋～冬に旬を迎えます。保存がきいて調理も簡単ですし、わが家はレンコンが大好き。
そこで今回は、管理栄養士の私がレンコンの栄養を逃さない調理法・おいしい食べ方をお伝えします。

和食の定番野菜レンコンってどんな野菜？

レンコンとはどんな野菜？

レンコンは漢字では「蓮根」と書きます。蓮（ハス）の根と書きますが、食べる部分は蓮の根ではなく、「茎」（根茎こんけいと呼ばれる地下茎）の部分です。
毎年4月ごろから種（たね）レンコンの植え付けをします。夏にはきれいな花が咲き、10月ごろになると収穫が始まります。

レンコンの旬はいつ？

レンコンの旬は秋～冬です。現在一年を通して手に入れることができるレンコンですが、旬のものは一番おいしくて、栄養もたっぷり。また、レンコンは縁起物としてお正月料理に使われることも多く、12月ごろになると出荷量が増えます。
旬のはじめに出回るレンコンは、「新レンコン」としてスーパーに並びます。身がやわらかく味はあっさり、食感は薄切りにすると、シャキシャキ感を味わうことができますよ。水にさらせば生でも食べられるため、サラダに向いています。
冬になると粘りが強くなり、甘みのある味わいになります。

レンコンはビタミンCと食物繊維が豊富！

レンコンはビタミンCをはじめ、カリウムや不溶性食物繊維、タンニンなどの有効成分が豊富に含まれています。

■ビタミンC

レンコンは、ビタミンCが豊富です。意外かもしれませんが、茹でる前のレンコンには、なんとレモン果汁と同じくらいのビタミンCが含まれているのです。

※参考（七訂食品成分表2020より）
レンコン（生）100g中のビタミンC：48mg
レモン果汁100g中のビタミンC：50mg
ビタミンCは抗酸化作用を持ち、体の中でコラーゲンがつくられるときにも必要なビタミンです。ビタミンCの抗酸化作用は、メラニン色素の生成を抑えて日焼け予防や、皮膚の新陳代謝を活発にして肌荒れの防止にも役立ちます。

■不溶性食物繊維

レンコンには、不溶性食物繊維も多く含まれています。不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維で、腸を刺激して、腸の動きを活発にしてくれます。
また、便の量を増やしてくれるので、お通じを促してくれる働きも。腸内環境を改善して、便秘予防にも役立ちますよ。 食物繊維は現在、多くの日本人が不足気味。まずは1日当たりプラス3～4gを目標に、積極的に摂りたいですね。

■カリウム

レンコンにはカリウムも多く含まれています。カリウムは細胞の機能を支えて、生命活動を維持するために必要なミネラルです。とくに野菜や果物、いも類、海藻などに多く含まれています。水に溶ける性質があるので、汁ごと食べられる料理なら、無駄なく摂れますよ。

■タンニン

レンコンを切った後、切り口が褐色になるのはポリフェノールの一種「タンニン」が含まれているからです。タンニンは緑茶にも含まれている成分で、腸の働きを整えてくれますよ。

レンコンの期待できる効能

レンコンは淡白な見た目からは想像できないほど、さまざまな効能が期待できます。

■免疫力強化

レンコンにはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCには強い抗酸化作用があり、免疫力の強化が期待できます。
生命を維持するためになくてはならない酸素は、体に取り込まれるとその一部が「活性酸素」になります。活性酸素は体内に侵入した細菌などを排除する働きをしてくれる一方で、増えすぎると悪さをするのです。
増えすぎるとさまざまな物質と反応して、細胞にダメージを与え、体の老化や病気を引き起こしてしまうことも。
そこで注目されているのが抗酸化作用のあるビタミンCです。ビタミンCの抗酸化作用は、活性酸素が増えるのを抑えてくれます。

■高血圧の予防

レンコンに含まれるカリウムは、高血圧の予防も期待できます。 ナトリウムが高血圧と関係しているのはよく知られていますが、余分なナトリウムを体外に排出してくれるのがカリウムです。カリウムを多く摂取することは、高血圧の予防につながります。

■便秘改善

レンコンには食物繊維も多く含まれています。便秘の原因の一つに、便の材料になる食物繊維や水分不足が考えられます。便秘の改善には、食物繊維は1日20gを目安に、レンコンなどのさまざまな食材を 組み合わせて食べるのがコツです。

参考書籍：
「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子・寺本あい監修 西東社
「栄養素の通になる第4版」上西一弘著 女子栄養大学出版部

参考サイト：
厚生労働省e-ヘルスネット （https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html）

レンコンの魅力と調理のポイント

今ではレンコンが好きな私ですが、料理が苦手な母のもとで育った私は、レンコンをあまり食べる機会がありませんでした。
管理栄養士として社員食堂で働くようになり、シャキシャキ感のあるレンコンサラダの存在を知ってから、レンコンの魅力を知り、好きになりました。
ここではレンコンの魅力と栄養を逃さない食べ方をご紹介します。

レンコンの大きな特徴は、切り方によって食感が変わることです。味も淡白なので、さまざまな料理に使えるのがレンコンの一番の魅力ですね！

レンコン調理ポイント1：シャキシャキさせるには

レンコンは薄くスライスすると、シャキシャキ感が出ます。おせち料理の定番料理「酢レンコン」、和風テイストのレンコンサラダなどにすると、シャキシャキ感を味わえます。

レンコン調理ポイント2：ホクホクさせるには

レンコンのホクホク感を味わいときは、乱切りがおすすめです。筑前煮やおでんなどの煮物、5mm厚さくらいに切ったレンコンのはさみ揚げなどにすると、ホクホク感を味わえます。

レンコン調理ポイント3：すりおろして食べる

実はレンコンには、すりおろして食べる方法もあります。
レンコンをすりおろして油で揚げると、精進レンコンだんごに、山芋の代わりとしてすりおろしてお好み焼きにも。
また、レンコンは歯ざわりがよく、特有の粘質物が含まれていますが、これをやわらげたいときは酢を加えて煮るとよいですよ。
レンコンはアクが強く、切り口が空気に触れると黒ずんでしまうため、切ったらすぐ酢水に浸しましょう。

レンコンの保存方法と選び方

レンコンの保存方法と選び方を紹介します。よりおいしく食べるために、ぜひ参考にしてください。

■選び方
レンコンは断面が白く、変色していないものが新しいものです。節（ふし）と節の間が長く、ゆがんでいないつやつやしているのがいいレンコンです。
表面に傷や色むらがなく、ふっくらとして重みがあるものを選びましょう。カットされたものは穴の中が黒くなっていないかを確認し、穴のサイズがそろったもの、断面が白いものがよいレンコンとされています。

■保存方法
レンコンは乾燥させないようにします。
そもそもレンコンは、田んぼの中の湿った状態で育つ野菜です。保存するときも同じ環境にしてあげると、比較的長く保存できます。
カットされたものは、ラップでしっかり包んで冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。土が付いているものは、ぬらしたキッチンペーパーか新聞紙に包み、ビニール袋に入れて野菜室で保存してください。

栄養を逃さないレンコンレシピを4つ紹介

ここでは、栄養を逃さないレンコンレシピを4つご紹介します。レンコンは焼く、和える、煮る、揚げるなどさまざまな調理法で楽しめます。
どれも簡単に作れるので、ぜひおうちごはんやお弁当のおかずとして取り入れてみてくださいね。

■レンコンのはさみ焼き

レンコンの栄養を逃さず、レンコン特有の歯応えを思いっきり楽しめる食べ方の一つが、レンコンのはさみ焼きです。レンコンは焼くことで、水溶性ビタミンが壊れるのを防げますよ。

【レンコンのはさみ焼きの材料】4人分
・レンコン 150g
・酢 適宜
・小麦粉 適宜
・サラダ油 適宜
・豚ひき肉 200g
・長ねぎ（白い部分） 10cm
・梅肉 大さじ1
・片栗粉 大さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・酒 小さじ1

【レンコンのはさみ焼きの作り方】所要時間：約30分
① レンコンは皮をむいて、4～5mm厚さの薄切りにする（1人分4枚で16枚になればベター）。
ボウルに酢水を入れ、レンコンを5分程度浸してアクを取る。
② ペーパータオルで①のレンコンの水気を拭き取る。
③ 長ねぎはみじん切りにする。ボウルに豚ひき肉・長ねぎ・梅肉・片栗粉・しょうゆ・酒を入れて、混ぜ合わせる。
④ レンコンを2枚1組にして、③を8等分にしてはさむ。
⑤ ④に小麦粉を薄くまぶし、余分な小麦粉は落とす。
⑥ フライパンにサラダ油を熱して中火でこんがりと両面を焼く。中のひき肉にもしっかり火が通るようにする
（フタをして蒸し焼きにすると火が通りやすい。）ひき肉に火が通れば出来上がり！

【レンコンのはさみ焼きのポイント】
・レンコンにひき肉をはさむときは、レンコンの穴からひき肉が出てくるくらい、しっかりとくっつけるようにする。
・レンコンの厚さをそろえると、均一に火が通ります。

■レンコンサラダ

レンコンのシャキシャキ感を味わいたいなら、サラダにするのがおすすめ。レンコン自体は淡白な味なので、ほかの食材とも合わせやすいです。今回は和風テイストでひじきを入れてみました。

【レンコンサラダの材料】2人分
・レンコン 60g
・芽ひじき（乾燥） 2g
・きゅうり 1/3本（30g）
・人参 1/4本(25g)
・ロースハム 2枚（20g）

【レンコンサラダの調味料】
・マヨネーズ 大さじ1
・無糖ヨーグルト 大さじ1
・しょうゆ 小さじ1/2
・すり白ごま 小さじ2
・塩こしょう 適宜

【レンコンサラダの作り方】
所要時間：約10分（ひじきの戻し時間は除く）
① レンコンは皮をむいて薄くいちょう切りにする。ボウルに酢水を入れ、5分ほどレンコンを浸しておく。
② 芽ひじきは水で戻す。人参は千切りにする。ひじきと人参を①のレンコンと一緒にさっと茹でる。
③ きゅうりは千切り、ロースハムも半分に切って千切りにする。
④ 調味料を混ぜ合わせ、②と③を和える。

【レンコンのサラダのポイント】
・レンコンサラダの具材は、コーンやかにかまぼこなどを入れてもおいしく出来上がります。
・マヨネーズ：ヨーグルト＝1：1にすると、カロリー控えめであっさりとした仕上がりになります。

■レンコンのおかか煮

【レンコンのおかか煮の材料】2人分
・レンコン 250g
・だし汁 1/2カップ（100ml）
・かつお節 5g

【調味料】
・酒 大さじ1
・みりん 大さじ2
・砂糖 大さじ1/2
・しょうゆ 大さじ2

【レンコンのおかか煮の作り方】所要時間：約25分
① レンコンは皮をむいて、幅1cmの半月切りまたはいちょう切りにする。
② 鍋にだし汁とレンコンを入れて中火にかける。
③ 煮立ったら調味料を入れ、混ぜながら煮る（汁気がなくなるまで煮る）。
④ 仕上げにかつお節を全体にまぶす。

■レンコンチップス

レンコンチップスは市販のものもありますが、自宅でも簡単に作れます。ここでは揚げ焼きにして、油の使用量を少なくしています。手作りだとアツアツを食べられますよ。

【レンコンチップスの材料】2人分
・レンコン 100g
・小麦粉 20g
・カレー粉 4g
・塩 1g
・サラダ油 適宜

【レンコンチップスの作り方】所要時間：約20分
① ビニール袋に小麦粉・カレー粉・塩を入れ、混ぜておく。
② レンコンはできるだけ薄く輪切りにスライスして、酢水に5分さらす。キッチンペーパーでしっかり水分を拭き取る。
③ ①に②のレンコンを入れ、衣を薄くつける。
④ フライパンに多めのサラダ油を入れ、両面をじっくりと揚げ焼きする。
⑤ 揚げ焼きしたレンコンは、キッチンペーパーの上に並べて油を切る。

【レンコンチップスのポイント】
・レンコンは薄く切ると、パリッとした食感になります。
・レンコンは低温でじっくり揚げ焼きしましょう。高温だと焦げてしまいます。

レンコンの豆知識

食材について知っておくと、調理をする際などに役立ちます。ここでは、レンコンの豆知識を紹介します。

Q.レンコンはなぜ穴が開いているの？

酸素を取り入れるためです。
レンコンの穴は呼吸するための通気口になっています。レンコンが育つ田んぼの水底にある泥の中は、酸素が少ない状態。そのため、レンコンの中に穴を開けて、水中の空気が地下まで通じるようになっています。

Q.レンコンの穴の数は決まっているの？

レンコンの穴の数は品種によって多少違いがありますが、約10個です。まわりに9個、中心に1個、合計10個の大きな穴が開いています。
レンコンの穴は見通しがきくとして、お正月のおせち料理に欠かせない食材です。

Q.泥付きレンコンのワケは？

採りたての「泥付きレンコン」は新鮮さを保つために、あえて泥を付けたまま出荷することで日持ちをよくしています。

Q.日本ではレンコンはいつから食べられている？

もともと、レンコンは中国から渡来した野菜です。レンコンを食用としているのは日本、中国など少数の国々だけです。
日本での蓮（ハス）の歴史は古く、鎌倉時代の仏教の伝来とともに、地下茎（レンコン）が肥大する蓮が導入されました。その後、明治時代になってからは経済栽培に向く品種が中国から新たに導入され、本格的なレンコン栽培が始まりました。

Q.レンコンの産地は？

レンコンの日本一の産地は茨城県です。全国の令和元年のレンコン収穫量は、5万2,700t。そのうち茨城で生産されたレンコンは2万6,400tで、全国のレンコンの約半分は茨城産となっています (令和元年農林水産省調べ) 。
そのほかの主な産地は佐賀県、徳島県、愛知県、石川県、山口県などです。

参考サイト：
茨城をたべよう「レンコン特集」 （https://www.ibaraki-shokusai.net/season/season_renkon）
JAグループ福岡「レンコンの穴 何で開いているの？」 （http://www.ja-gp-fukuoka.jp/education/akiba-hakase/002/index.html）

参考書籍：
「そだててあそぼう レンコン（ハス）の絵本」尾崎行生編集 社団法人 農山漁村文化協会

栄養豊富なレンコンを楽しめる住まい

レンコンをはじめ、旬の食材を日常的においしく楽しむなら、キッチン空間にはこだわりたいものです。

3口コンロがあるキッチンが充実した物件

3口コンロ付きの広いキッチンがある物件だと、レンコン料理をより楽しみやすいです。サラダや煮物、焼き物と、いろいろな調理法で同時進行できます。
レンコン料理は、多めに作って常備菜にしておくのもおすすめ。大きな冷蔵庫だと作り置きして保存しておけます。忙しくて野菜を食べる時間がなかったときでも、作っておくとすぐに食べられますよね。

レンコンの産地の物件

レンコンの産地の物件に住むと、新鮮なレンコンを手に入れやすいです。
レンコンは初夏になると、きれいなピンクの花を咲かせます。蓮（ハス）の花を観賞できるエリアもよいですね。
この時季になると、象鼻杯（ぞうびはい）というイベントを行うところもあります。象鼻杯は蓮の葉を使ってお酒を飲む方法で、蓮の葉にお酒を入れて、葉の中心に小さな穴を開けて茎からお酒を飲みます。料理以外に別の楽しみ方ができるのもレンコンの魅力ですね。

健康の味方、レンコンを食べて元気に過ごそう

今回は、秋から冬にかけて旬のレンコンについてご紹介しました。
レンコンは、店頭ではひっそりと並べられていたり、見た目が淡白だったりしますが、実は栄養がギュッとつまった野菜です。
切り方や調理法を変えるだけで、さまざまな楽しみ方ができるのがレンコンの魅力。旬のレンコンをおいしく食べて、笑顔で過ごせるヒントになればうれしいです。