「よもぎ」は、昔からなじみのある薬草のひとつです。草餅をはじめとした和菓子によく用いられますが、それだけではありません。近年ではよもぎの栄養価の高さも注目されており、アンチエイジングや健康への効果が期待される食材でもあります。
よもぎ自体は私たちの身近にあるものなので、知っている方は多いかもしれません。ただ、実際に調理したことがあるという方は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、管理栄養士の私が、よもぎの魅力や美味しく食べられるレシピを紹介します。よもぎは春が旬ですので、これからの季節に楽しんでもらいたい食材です。
栄養満点なよもぎの魅力
道端で見かけることも多いよもぎは、昔から万能薬として利用されています。別名「ハーブの女王」とも呼ばれており、世界中で愛される春の薬草のひとつです。
もちろん食べることもできますが、煎じて肌に塗ったり、最近注目を集めるよもぎ蒸しで利用したりするなど、よもぎにはさまざまな用途があります。
よもぎの旬は?
よもぎの旬は、3月から5月頃です。多年草のため、前年から冬を越している固い葉もあります。料理やお菓子作りには、春に咲く新芽の柔らかい部分を摘み取って使うのが一般的です。
生のよもぎを手に入れるには、道端で摘んだり地元の直売所やネットで購入するという方法があります。ただ、どうしても生のよもぎが手に入らなかった場合は、粉末状のよもぎもあります。こちらは時期に限らずスーパーなどで販売されているので探してみてもよいでしょう。
よもぎの栄養素とは
よもぎには多くの栄養素が含まれています。とくに食物繊維・カリウム・ビタミンK・カロテン・クロロフィルが豊富です。食物繊維にいたっては、ほうれん草の約3倍も含まれています。不足しがちな栄養素を手軽にとることができるのはうれしいですよね。
また、むくみ解消の効果が期待できるとされるカリウムですが、普段の食事で摂取している量では足りないことも多いのです。外出自粛が続く中、運動不足によるむくみも気になりますよね。よもぎ料理で楽しみながらむくみケアをするのもおすすめです。
よもぎの効果とは
よもぎは春を感じる爽やかですっきりした香りが特徴です。この香りには、リラックス効果や安眠作用があるといわれており、アロマとしても楽しむことができます。
また、よもぎに含まれる食物繊維には、腸内にたまった有害物質や余分な老廃物の排出を促す整腸作用があります。この作用は便秘の解消にも効果があるとされています。さらに、先ほど紹介したカリウムやクロロフィルには、血液をきれいにする働きがあります。
美容大国韓国では「よもぎ蒸し」が人気
美容への興味関心が強い方は、「よもぎ蒸し」という美容法をご存じかもしれません。よもぎ蒸しは韓国の民間健康法で、体の不調を感じたときや産後ケアで利用されているようです。
よもぎを煎じた蒸気でじんわり体を温めることで、リラックス効果もあります。日本でもよもぎ蒸しができるお店はありますので試してみてくださね。
ただ食べるだけでなく、薬草としても利用されているよもぎの利用価値は計り知れないものです。
栄養満点なよもぎのレシピ
よもぎにはたくさんの栄養素や、健康にいいとされる効果があるとご紹介しました。続いては、よもぎの美味しい食べ方を紹介します。
春の食卓にぴったりのよもぎレシピです。簡単に作れるものばかりなのでぜひ試してみてくださいね。
あんことの相性抜群の「よもぎ餅」
よもぎとあんこの相性はとてもよく、和菓子にもよく使われています。なかでも「よもぎ餅」は家庭でも作りやすく、よもぎの風味を存分に楽しめるお菓子です。
新茶との相性もよい和菓子となっているので、春を楽しみながら食べていただきたいです。
<材料>8〜10個分
・生よもぎ50g
・重層 小さじ1(よもぎのアク抜き用)
・上新粉200g
・砂糖30g
・お湯150cc
・あんこ150g
① よもぎは茎を取り、葉のみを湯がく(重層を入れたお湯で約3分)
② ①を氷水で冷やす(色飛び防止のため)
③ よもぎをフードプロセッサーで細かくなるまですりつぶす
④ ボウルに上新粉、砂糖を入れて湯を加えて混ぜる
⑤ 蒸し器で④を蒸す
⑥ ⑤に③を混ぜ、あんこを包む
<ポイント>
重曹を使うことでよもぎのアク抜きができます。アクが残っていると少し苦味が強くなりますので、しっかりアク抜きを行います。
よもぎの風味をより深く感じるためには、生のよもぎを使用しましょう。また、フードプロセッサーを使用する際、できるだけ細くすりつぶすことでより香りを出すことができます。
すり鉢をお持ちの方は、フードプロセッサーではなくすり鉢ですりつぶすほうが香りを際立たせることができますよ。
よもぎの風味を味わう「桜えびとよもぎのかき揚げ」
春の食材を使った「桜えびとよもぎのかき揚げ」は、旬の食材を楽しみたいときにぴったりです。まずは塩だけでシンプルな味を楽しんでいただきたいと思います。
また、付け合わせとして楽しむなら、冷たいせいろ蕎麦とともに香りを楽しみながら食べるのもおすすめです。
<材料>5個分
・生よもぎ20g
・桜えび 10g
・小麦粉 大さじ4
・片栗粉 大さじ1
・冷水 50cc
・油 適量
① ボウルに片栗粉と小麦粉を混ぜ、よもぎと桜えびを混ぜる
② ① に冷水を加え、さっと混ぜ油で揚げる
<ポイント>
かき揚げはサクッとした食感を楽しみたいですよね。ポイントは、手順②のときにきちんと“冷たい水”を使うことです。水の温度が高いなと感じた場合は、氷を入れてもよいです。ただし、氷が溶けると天ぷら粉が薄まりますので、都度小麦粉や片栗粉で調整してくださいね。
また、天ぷら粉はつけ過ぎてしまうと食感に影響します。ベチャッとしてしまうのを防ぐためには、具材が透ける程度で油に入れるようにしましょう。
栄養を丸ごと! 「よもぎポタージュ」
こちらは朝食におすすめのレシピです。ふわっと香るよもぎの香りが眠気を覚ましてくれます。見た目も鮮やかなので、食卓に並べるだけで1日の始まりが楽しくなりますよ。フランスパンのような硬い食感のパンにつけて食べても美味しくいただけます。
<材料>3人分
・生よもぎ50g
・重層 小さじ1(よもぎのアク抜き用)
・じゃがいも 150g
・玉ねぎ 100g
・バター 15g
・コンソメ 小2
・牛乳1カップ
・水1カップ
・塩、こしょう 少々
① よもぎは茎を取り、葉のみを湯がく(重層を入れたお湯で約3分)
② ①を氷水で冷やす(色飛び防止のため)
③ 玉ねぎはスライスし、バターを入れた鍋で透き通るまで炒める
④ じゃがいもはダイスにカットし、レンジで軟らかくなるまで温めてから③に加える
⑤ ④に牛乳とよもぎ以外をすべて加え、煮込む
⑥ ⑤に牛乳とよもぎを加え、ミキサーでなめらかにし、再度鍋で温めながら塩、こしょうで味を調える
<ポイント>
ポタージュにはよもぎの葉の部分のみを使いましょう。茎の部分は繊維が硬いため、ポタージュとして楽しむには少し舌触りが悪くなってしまうためです。
(茎の部分はかき揚げにすると美味しく食べられますよ! )
玉ねぎを炒めるときは、弱〜中火でじっくり炒めます。焦げないように様子を見ながら火を通しましょう。コゲが出てしまうと、味にも影響しますしよもぎならではの鮮やかな色みが損なわれてしまいます。
春のよもぎ料理を楽しもう
よもぎ料理を楽しむには、どのような住まいがいいでしょうか。
充実したキッチン空間
よもぎはすりつぶして調理することも多く、フードプロセッサーやすり鉢などの調理器具が必要になります。料理が好きになると食器やキッチングッズも増えやすいですね。住まい選びの際は、キッチン周りの収納量が自分に適しているのかをチェックすることが大切です。
また、料理が好きな方には、3口以上のコンロがあるカウンターキッチンがおすすめです。カウンターキッチンを実際に使ったことがありますが、作った料理を並べるスペースがあるのはとても便利でした。3口以上のコンロがあると何品かの料理を同時に作れるので、家族に温かい料理を提供しやすくなりますよ。
キッチン収納の充実した家
採れたて野菜を楽しんでみては?
今回ご紹介したよもぎレシピは、生のよもぎを使うことを推奨しています。なかなか生のよもぎが手に入らないという場合は、家庭菜園で育ててみるのはいかがでしょうか。初めてよもぎ栽培を行う場合は苗から育てることをおすすめします。
3〜4月に販売されることが多いので、ホームセンターなどをチェックしてみましょう。家庭菜園といってもベランダのプランターでも育てられます。またよもぎは繁殖力が強いため、他の野菜と一緒に育てる場合は、ある程度間隔を開けて植える必要があります。庭付きの一戸建て物件であれば、広めの家庭菜園のスペースを確保することができますね。
旬のよもぎを美味しく食べよう
春先にしか味わえない旬のよもぎは、春の食卓にぜひ取り入れたい食材のひとつです。ぜひご家庭で楽しんでみてくださいね。