広島県といえば名物・名産が多いエリアです。お好み焼、広島つけ麺、汁なし担々麺、もみじ饅頭、牡蠣、レモン…… 非常にたくさんありますが、これらのほとんどは広島市など県西部の名物・名産です。唯一レモンは島嶼部・沿岸部で広く栽培されています。
なかでも県東部の中核市である福山市は、異なる文化圏です。そんな福山市は地味な印象だといわれることが多く、名物や名産といってもなかなか思い浮かばないといわれることも…… 実はそんな福山市にはソウルフードといえる、福山特有のグルメがあるのです。それが「関東煮(かんとうに)」というもの。
関東煮と聞いてもどんな食べ物なのか、パッと思い浮かばないかもしれません。そこで福山市の関東煮について詳しく紹介をしていきます。福山市での暮らしを考えていたり、実際に福山市で暮らしていたりする方は、ぜひ参考にしてください。
関東煮とは
関東煮は、福山市中心部にあった大衆食堂「稲田屋(いなだや)」が発祥といわれています。稲田屋は、大正時代にはすでに営業していた老舗です。昭和初期に関東煮を提供し始めたとされています。
その後、稲田屋の影響を受けて関東煮を提供する店舗がいくつか生まれ、福山市のソウルフードとなりました。盆や年末年始など親戚が集まったりするときなど、稲田屋などの関東煮を注文して持ち帰り、みんなで食べる家庭も多かったそうです。
残念ながら、稲田屋は2020年に閉店しました。閉店が発表されると、稲田屋には連日とても多くのお客が押し寄せ、行列が発生。多くの地元ニュースにも報道されました。
また稲田屋の屋号と関東煮のレシピは、福山市鞆町にある老舗食品メーカー「阿藻珍味」が継承。持ち帰り専門店として、福山駅構内や天満屋 福山店などで稲田屋を運営しています。ほかに、阿藻珍味が運営する飲食店で関東煮が食べられる店もあります。
関東煮の特徴
西日本の一部地域では、おでんの別名として「関東煮(かんとうに、かんとうどき)」の名前が使われる場合があります。福山市の場合は、おでんとは別の煮込み料理として、関東煮(かんとうに)の名前が使われているのです。
福山市の関東煮は、牛や豚の内臓肉を串に刺して煮込んだもの。牛は肺(フワ)、豚は小腸(シロ)を使っている店が多い傾向があります。
かなり濃く甘い味わいで、ツユは黒に近い濃い焦茶色をしているのが特徴です。シッカリと煮込まれ、肉に甘い味が染み込んでいます。フワは名前のとおりふんわりと柔らかな食感、シロは弾力ある食感が特徴です。
関東煮はごはんのおかずにしたり、酒のつまみにしたりして楽しまれています。関東煮を扱う多くの店が持ち帰り販売をしており、昔から家に買って帰って家族みんなで楽しむ家庭も多いそうです。
なお福山市では店によって、関東煮と同じ甘い味付けでいろいろな具材を入れたおでんを関東煮として提供している店も。その場合、具材のひとつに牛や豚の内臓肉を串に刺したものがあります。
関東煮が食べられるおすすめ店
現在でも福山市内には、関東煮がいくつもあります。その中からおすすめの店を紹介します。多くの店は、関東煮の持ち帰りが可能。食卓で家族みんなで関東煮を楽しむのもおすすめです。
稲田屋 天満屋福山地下一階店(持ち帰り専門)
稲田屋は、福山市鞆町にある阿藻珍味が本家・稲田屋から屋号と関東煮レシピを継承して販売をしている店です。福山駅前にある百貨店・天満屋 福山店の地下1階で営業しています。稲田屋 天満屋福山地下一階店は、持ち帰り専門店です。
関東煮は人気メニューなので、売り切れてしまうことも。福山市民が愛した元祖・関東煮の味を、ぜひご家庭で家族みんなで楽しんでください!関東煮のほかに、稲田屋の人気メニューだった「肉皿(にくざら)」なども本家・稲田屋より継承し、販売しています。
なお稲田屋の関東煮は缶詰も販売されており、通信販売による取り寄せも可能です。
阿藻珍味 さんすて福山店(持ち帰り専門)
阿藻珍味 さんすて福山店は、福山駅構内のショッピング施設「サンステーションテラス(さんすて) 福山」にあります。練り物などの珍味や自宅用ラーメンなど、お土産向けの商品を販売している店です。
阿藻珍味の売場の一角で、稲田屋の関東煮が持ち帰り向けとして販売されています。駅を利用する際にフラッと立ち寄れるので、とても便利です。
小魚 阿も珍(一部店舗除く)
小魚 阿も珍は、阿藻珍味が運営している飲食店(和食店)です。福山市内を中心に数店舗展開しています。小魚 阿も珍では、メニューに稲田屋の関東煮をラインナップ。店内で関東煮が楽しめます。また、関東煮の持ち帰り販売も可能です。
なお一部店舗では、関東煮の取り扱いがありません。
大衆食堂 さんさん亭
大衆食堂 さんさん亭は、福山駅前の三之丸町にある大衆食堂です。令和になってオープンした店ですが、昭和感ただようレトロな雰囲気が特徴。メニューが非常に豊富で、ランチだけでなく夜のチョイ飲み処としても人気があります。
さんさん亭では、単品メニューの中に関東煮(もつ串)があります。手軽に食べられることから、チョイ飲みのときのおつまみとして人気です。
村上食堂
村上食堂は福山駅から東に約1.5kmのところ、三吉町南にある老舗食堂です。小さな店ですが、昔懐かしい雰囲気を残しています。メニューは焼そば・焼うどんがメインですが、それらに並んで関東煮もラインナップ。
関東煮はいろいろな具材が煮込まれた、おでんスタイル。その中に「牛串」があり、牛肺(フワ)と「牛スジ」の2種類があります。牛肺は福山の関東煮の定番ですが、そのほかに牛スジがあるのが村上食堂の特徴です。
やまもと商店
やまもと商店は福山駅から南東へ約2.5kmのところ、多治米町一丁目にある焼そば専門店です。「備後焼そば」という独自の焼そばがメインメニューで、人気があります。焼そばのほかにもいろいろなメニューがラインナップ。その中に「関東煮おでん」があります。
関東煮おでんは甘い味付けのおでんで、いろいろな具材が入っているのが特徴。関東煮おでんのうち「串」というものが、稲田屋などのほかの店で関東煮と呼ばれるものにあたります。
紅屋食堂
紅屋食堂は福山市北部の神辺町にある、老舗の大衆食堂。さまざまなメニューがラインナップしていますが、その中に関東煮があり、人気です。
紅屋食堂の関東煮は、おでんと同じようにさまざまな具材が濃く甘いツユで煮込まれています。紅屋食堂では牛肺や豚の小腸などはなく、代わりに串に刺した「牛スジ」があるのが特徴です。
大衆食堂 服部屋
大衆食堂 稲田屋は福山市北部の御幸町にある、昭和30年代に創業した老舗食堂です。幹線道路沿いで、駐車場もあります。さらに店内も広々としておりテーブル席がメインで、座敷もあるので家族でも行きやすい店です。
服部屋の看板商品で人気メニューのひとつが、関東煮(串)。牛の肺(フワ)と豚の小腸(シロ)を串に刺したものです。非常に甘い味付けが、シッカリと染みています。なお服部屋では甘い味わいの「肉めし」や、甘い肉を載せた「中華そば」なども人気です。
関東煮は福山でしか味わえない、郷土ならではの味!
甘い味わいが特徴の関東煮は、福山市でしか食べられない郷土の味です。福山で暮らしを始めたときには、ぜひ福山の郷土の味である関東煮を食べてみてください。店によって味わいや特徴に違いもあるので、いろいろな店をめぐって食べ比べてみて、お気に入りの関東煮を見つけるのもおすすめです。持ち帰りができる店が多いので、食卓にて家族みんなで関東煮を楽しんでみてはいかがでしょうか。