福島県の西部に位置する会津若松市。歴史情緒あふれる街並みが魅力です。幕末の戊辰戦争や白虎隊、新選組などでご存じの方も多いのではないでしょうか。
週末になると県内外から観光客が訪れ、鶴ヶ城(会津若松城)や武家屋敷など、数々の史跡がにぎわいを見せています。毎年9月下旬に開催される「会津まつり」など、鶴ヶ城を中心に季節のお祭りも盛り上がります。
私は隣接する郡山市に住んでおり、会津若松市にはよく行くのと、7年前に神奈川県から会津若松市に移住してきた友人がいます。今回は、その友人にインタビューした内容も踏まえ、実際の暮らしの中で感じることや会津若松市の魅力をご紹介します。友人と同じように県外から会津若松市への移住を考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
福島県会津若松市はどんなところ?基本情報と住みやすさ
会津若松市がどんなところなのか、基本情報をまとめます。友人が気に入っている会津若松市の住みやすさについても紹介しましょう。
会津若松市の概要
会津若松市がある福島県は、太平洋沿いの浜通り・県中央の中通り・新潟寄りの会津地方と、3つの地方に分かれています。会津若松市は、会津地方の中心地です。
会津若松市ができるまで
会津若松市は、1899年(明治32年)に若松市が市制施行され、誕生しました。
県庁所在地である福島市は、それよりも少し遅い1907年に市制施行されたため、福島県内で初めての市は若松市です。1955年に近隣の7村を編入合併したことを機に、名前を若松市から会津若松市に改称しました。
なお、地元ではない方は会津若松市のことを”会津“と呼ぶことが多いですが、地元民は”会津”と聞くと”会津地方全体”と認識します。地元民と会津若松市のことを話す際、「話が合わない」と感じたら、たいていはこれが原因です。地元民と会津若松市について話す場合は、”若松“というと通じますのでお試しください。
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会津若松市の人口
会津若松市の人口は112,449人、49,250世帯(2024年2月1日時点)で、会津地方では最も人口が多い街です。2023年の転入数は3,284人、うち県外からの転入数は1,661人でした。約半分が県外から市内に移り住んだ人です。
会津若松市の地理的環境
会津若松市は猪苗代湖や磐梯山、飯豊山など豊かな自然景観があり、四季を満喫することができます。会津若松市のある会津地方は日本海側の気候で、夏は蒸し暑く、冬にはまとまった降雪があり、四季の移ろいをはっきりと体感することができます。
会津若松市内でもまとまった雪が降るので、道路には路面凍結防止の消雪パイプ(水を散布する装置)が設置されています。冬場はブーツよりも防寒機能がついた長靴を履いている人の方が多いです。車は冬用タイヤが必須で、四輪駆動車だと安心です。
また、会津若松市は会津盆地にあるため、夏場は少し蒸し暑く感じますが、最も暑い8月の平均気温は25.2度(1991年~2020年平均)で、最高でも30.8度となっており、比較的過ごしやすいといえます。
会津若松市の歴史
会津若松市の歴史というと、”戊辰戦争・鶴ヶ城・白虎隊”など、幕末のイメージが強いかもしれません。しかし、新潟県を経由して日本海に注ぐ阿賀川が会津若松市内に流れているため、古くから都(京都)の文化が日本海経由で伝わってきました。
市街地の北東にある大塚山には、大塚山古墳という前方後円墳があります。4世紀頃に作られたといわれ、福島県内では2番目に大きい古墳です。出土した副葬品の中には、東北では大塚山古墳にしかなく、都の文化の影響を受けているものもあります。
平安時代に入ると、会津では東北地方で最も早く仏教文化が広まりました。空海や最澄と交流のあった徳一が”仏都会津”のいしずえを作り、今もなお平安・中世・近世の寺院や仏像が多く残されています。2016年に日本遺産に認定された”会津の三十三観音めぐり“では、当時の仏都会津の雰囲気を味わえますので、ぜひ、お出かけください。
次のような史跡も有名です。
・豊臣秀吉が東北地方の領土の分配“奥州仕置“に訪れた際に休憩した、背あぶり山の関白平
・戦国時代末期に上杉景勝によって築城が計画され、工事途中で中止となった神指城(こうざしじょう)跡
また、会津若松市の隣町(会津美里町)には、日本最大級の山城、向羽黒山城が会津若松市に隣接するなど、歴史好きにはたまらない場所といえます。
会津若松市の名物や特産品
会津若松市には数多くの名産品があります。
会津若松市の工芸品や民芸品
まずは会津地方の郷土玩具である赤べこ。カプセルトイ(ガチャガチャ)で一躍有名になりました。
赤べこには”会津で天然痘ウイルスが流行したときに、赤べこを持っていた子どもは病気にかからなかった”という伝承があります。そのほか、”赤い牛が平安時代に蔓延した疫病を払った”という伝説も。会津の無病息災のお守りとして今も愛されています。
そのほか、工芸品や民芸品には会津漆器や会津木綿、会津絵ろうそく・起上り小法師・唐人凧などがあります。
会津若松市の郷土料理
郷土料理など、食関連でぜひご紹介したいのが、“こづゆ”です。
“こづゆ”とは、ひと口大に切ったきくらげ、里芋・糸こん・豆麩・人参・わらびなどの具材を、貝柱のだしで煮込んだお吸い物です。会津地方というと、山奥で塩辛いものが好まれるイメージがありますが、この“こづゆ”は上品な薄味です。
結婚式やお祭りのときに作られ、郷土料理を出す飲食店でもいただくことができます。さまざまな材料を使っていて栄養価も高いので、会津若松市をはじめ、福島県内の小中学校の学校給食に出ることもあるそうです。“こづゆ”の魚介系の匂いが苦手という声を聞いたことがありますが、魚介系が平気ならぜひ、召し上がってみてください。
そのほか、田楽やわっぱ飯などの郷土料理、馬刺しに会津地鶏、果物では会津身不知柿(みしらずがき)が有名です。B級グルメでは、ソースカツ丼も人気です。有名店では行列ができることも珍しくありません。桜の頃の観光シーズンになると、桜を見ながらソースカツ丼を楽しむ人を見かけることもあります。
会津若松市のお酒文化
また、会津といえば日本酒も有名です。
国内最大規模の清酒鑑評会である”全国新酒鑑評会”において、福島県は9回連続で金賞受賞銘柄数日本一を達成しています。会津若松市の蔵元で作られた日本酒も数多くの金賞を受賞するなど、福島県の連続日本一達成に貢献しました。
インターネット通販が発達した現在でも、地元でしか購入できないお酒があり、お土産品として県内外の観光客から大変人気があります。
移住者目線での、会津若松市の住みやすさ
神奈川県から会津若松市に移住した友人の体験談によると、会津若松市に住んでよかったなと思うところは特に2つあるそうです。
親切で真面目な方が多い、会津若松市
1つは、親切で真面目な人が多いところ。友人は、ご主人の仕事の関係で神奈川県から会津若松市に引越をしてきました。引越す前は、雪国のやや閉鎖的なイメージから「よそから来た人には冷たいのかな」と思っていたそうですが、実際はそのようなことはなく、会津の方の集まりに行くと、昔から知っているかのような口ぶりで話してくれる人がほとんど。「ほっと胸を撫でおろした」と話していました。
また、会津若松市の方は「約束を守る義理堅い人が多い印象」があるといいます。初めは、周りの誰もが知り合い同士で自分ひとりが取り残された感覚がありましたが、会津に住む方々の人柄のおかげで打ち解けるのに時間はかからなかったそうです。
実際に友人の話を聞いていると、会津若松市でのびのびと暮らしている様子が伝わってきて、同じ福島県民としてうれしく感じています。
思っていたよりも交通アクセスが良好
会津若松市に住んでよかったなと思ったところ、2つ目は、意外と交通のアクセスがいいところです。
福島県の中心である郡山市や、お隣の新潟県の県庁所在地である新潟市までは、電車や高速バスで出かけられます。会津若松駅から郡山駅までは高速バスで80分程度です。新潟駅へは120分ほど。冬場でなければ、自分で車を運転して出かけられる距離です。
友人はあまり買い物はしませんが、郡山や新潟など大きな街へ出かけやすい立地なので、贈答品や洋服などさまざまなものを見てから決めたいときには、大きな街に行くことが多いそうです。
以前に神奈川県に住んでいたときも洋服を買うときは都内に出かけていたそうで、その時と同じ感覚だと話していました。
会津若松市は、普段はシンプルに暮らし、いざというときは大きな街へ出かけたい人にはぴったりの街だと感じました。
なお、東京へは郡山駅を経由して新幹線を使う場合、会津若松駅からの所要時間は約150分。遠いように思えて、都心へのアクセスも意外と良好です。 友人は、会津若松市に移住した後に都心の結婚式に呼ばれることもありましたが、始発の電車に乗ればお昼前の結婚式にも余裕を持って参列できたそうです。
会津若松市の移住支援制度
会津若松市はUターンや移住をする人のために、“移住支援制度”を設けています。主なものは次の3つです。支援要件の詳細や、これ以外の支援制度などは会津若松市役所のホームページをぜひご確認ください。
・【家賃補助】移住促進家賃補助金(40歳以下)
県外から会津若松市内に移住し、市内事業者等に就業する40歳以下の方に、賃貸住宅の家賃を補助する制度です。
・【住宅取得】住宅取得支援事業補助金(40歳以下)
県外から会津若松市内に移住して住宅を取得する方に対し、住宅取得費用の一部を補助する制度です。
・【移住支援金】会津若松市移住支援金(東京圏からの移住)
東京23区に5年以上在住または通勤していた方が会津若松市へ移住し就職などをした場合に、移住支援金を支給する制度です。
※福島県への移住を検討している相談者の住まい探しをサポートする相談窓口です(令和5年9月から運用開始)
会津若松市の家賃相場
会津若松市に実際に住むことになった場合に、気になる家賃相場やおすすめエリアをご紹介します。
会津若松市の家賃相場
まずは会津若松市の家賃相場をご紹介します。
〈会津若松市の家賃相場〉
・1K: 4.68万円
・1LDK: 5.91万円
近隣の市の家賃相場も見てみましょう。
〈喜多方市の家賃相場〉
・1K:4.69万円
・1LDK:5.40万円
〈郡山市の家賃相場〉
・1K: 4.49万円
・1LDK: 6.23万円
会津若松市の家賃相場は近隣と比較すると同等か、少し高めです。築浅の物件が多いことや、設備が整っていることが理由として考えられます。費用が安いのは嬉しいものの、価格面だけではなく設備もチェックしたうえで、より安心・安全に暮らせるといいですね。
会津若松市の住みやすいエリアの特徴と魅力
次に、会津若松市の住みやすいエリアをご紹介します。会津若松市への引越しを検討されている方はぜひ参考にしてください。
歴史好きな人には白虎通りエリア
歴史好きな人におすすめしたいのが、会津若松駅と飯盛山を結ぶ白虎通りエリアです。会津若松市内の観光地を周遊する”まちなか周遊バス“が停車するので、好きな史跡へ気軽に出かけられます。
白虎隊で有名な飯盛山も徒歩圏内にあります。白虎通りの飯盛山側は、日中は観光客で賑わっているものの住宅街なので夜は静かなのだとか。八角町・滝沢町あたりは、新婚さんなど若い人が比較的多いイメージだそうです。
なお、会津の有名なお菓子屋さんである太郎庵の会津総本店も、白虎通り沿いにあります。太郎庵を代表するお菓子の“会津の天神さま”は、季節限定味がありお土産として人気です。友人も神奈川県の実家に帰省する際によく利用しているそうです。
テレワーク派の人には七日町駅エリア
テレワークが多い方におすすめしたいのが、七日町駅です。七日町駅は会津若松駅の南隣にあります。このあたりは近代化が進むにつれて街が廃れていましたが、地元の方たちの力でレトロな街並みに生まれ変わりました。
昔ながらの建物で会津土産を買うことができますが、街歩きをするだけでも楽しめる場所です。テレワークの休憩時間に、外出してレトロな街並みを散歩するのはいかがでしょうか。
また、七日町駅エリアはカフェ巡りもおすすめです。明治・大正時代の建物を活かしたカフェは、テレワークの気分転換にもぴったりです。 例えば、地元の蔵元”末廣酒造”の酒蔵を改築した蔵喫茶杏(きょう)では、レトロな空間でコーヒーや日本酒スイーツをいただけます。友人は、ぼーっとしたいときに利用し、元気をチャージしているそうです。
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買い物好きには千石通り~小田橋通りエリア
会津若松市内にデパートやショッピングモールはありません。友人は「ファミリー層など、買い物が少しでも便利な方がよい場合は、千石通り~小田橋通りエリアがおすすめ」と話していました。
千石通りと小田橋通りは、正式には県道64号線会津若松・裏磐梯線といい、同じ県道です。会津若松市の中心地の東側を南北に通る幹線道路で、道路沿いには大型スーパーや家電量販店、レストランなどが立ち並んでいます。
地元スーパーのリオン・ドール 千石店は、夜は22時まで営業しています。遠方に出かけて帰ってきたときなど、夜遅くまで営業しているので大変助かっているそうです。
小田橋通りの近くは新しいアパートが次々と建築されているので、新しい部屋で会津若松ライフを楽しみたい人にもおすすめのエリアです。
自然好きな人には南若松駅エリア
自然が好きで登山やキャンプなどアウトドアが好きな方には、南若松駅エリアをおすすめします。
会津若松市街地の南端のため、尾瀬など奥会津の登山に出かけるときに最適な場所です。
会津若松駅から電車で10分ほどのところに一級河川の阿賀川が流れ、サイクリングや釣りを楽しむ人たちの姿を見かけることが多いです。阿賀川の向かい側には、隣町である会津美里町の田園風景が広がります。
西若松駅と南若松駅の間は工業団地になっています。朝夕は道路が混むことがありますが、市街地の通勤ラッシュよりは厳しくないそうです。自然に囲まれてのんびり過ごしたい方にはおすすめのエリアです。
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お出かけ好きには会津若松駅西エリア
平日は会津若松市で過ごし、週末は別の場所に出かけたいアクティブな方には、会津若松駅の西側のエリアをおすすめします。
特に石堂町や町北町の上荒久田地区は、会津若松駅と磐越自動車道の会津若松インターチェンジに挟まれているため、電車と車のどちらのアクセスも良好です。県外から移住してきて、頻繁に実家に帰る必要がある方にも便利なエリアだと思います。なお、会津若松駅と会津若松インターチェンジ間は車で約9分の距離です。
会津若松インターチェンジが接続する国道49号線沿いには家電量販店や大型インテリアショップが並び、週末は混雑します。このエリアから車でお出かけをする際は、早めに出発することをおすすめします。
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会津若松市はゆったりした時間が流れる住みやすい街
会津若松市は、歴史を感じながらゆったりと自分の好きな暮らしをするのに向いている街です。会津のシンボルである鶴ヶ城とともに、日本らしい春夏秋冬がはっきりした暮らしを営むことができます。
昔はやや閉鎖的な雰囲気があったかもしれませんが、近ごろでは友人のような移住者も徐々に増え、無理のないご近所づきあいができています。
会津若松市は、極端な田舎でもなく、意外と都心へのアクセスも便利なので、“ほどよい田舎”として首都圏からの移住におすすめの街です。引越しや移住を考えている際は、この記事を参考に会津若松市を候補として加えていただけたら幸いです。
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