LIFULL HOMES App

LIFULL HOME'S/ホームズ

アプリで住まい探し!(無料)

アプリを開く

町を面白がる名人! 塩屋・旧グッゲンハイム邸、森本アリさんに聞く塩屋の魅力とその引き出し方
町を面白がる名人! 塩屋・旧グッゲンハイム邸、森本アリさんに聞く塩屋の魅力とその引き出し方

町を面白がる名人! 塩屋・旧グッゲンハイム邸、森本アリさんに聞く塩屋の魅力とその引き出し方

  • はてなブックマーク
  • タイトルとURLをコピー

JR神戸線三ノ宮駅から約20分、ローカルムードたっぷりの商店街、豊かな自然環境を誇る町、塩屋。そして同地のランドマーク「旧グッゲンハイム邸」。その歴史ある洋館の管理人であり、さまざまなイベントを仕掛けてカルチャーシーンを牽引し続ける森本アリさんに、塩屋の魅力や町を面白がる姿勢についてお話を伺いました。

町の解像度をあげるローカルな文化拠点—「旧グッゲンハイム邸」塩屋

―アリさんは塩屋生まれですか?

アリさん:「生まれも育ちも塩屋です。細かく言えば、2歳から塩屋にいます。高校2年の時にベルギーに留学しました。父がベルギー人なので親戚が向こうに多くて、叔父さん、叔母さんの家に住まわせてもらいました。大学はベルギーの芸術大学で5年過ごしたので全部で6年間ヨーロッパですね。阪神淡路大震災の半年後に一時帰国して、次に1997年に帰って来てからはずっと日本にいます。」

歴史に敬意を払って町を見ること

―ベルギーではどんな風に過ごしていたんですか?

アリさん:「もともと映画を勉強しようと思っていたのですが、結局は現代美術の学校に入り、その学校がひとつの課題に対して、映像でも彫刻でもインスタレーションでも歌でも小説でもどんな表現でも認めてくれる特殊な学校だったので、僕は主に映像やインスタレーションをしていました。自分の生バンド付きで映像作品を発表したり、いろんな表現を節操なくやっているのは今も昔も変わらないかも。」

―どんな映像作品だったんですか?

アリさん:「市場に肉、魚、野菜が並んでいる様子を30分ワンカットでずっと映したやつとか(笑)。いま見ても新鮮やなと思います。『あなたは町の詩を撮っているのね』とか言われたんですけど、実際いまも『まちあるき」ばかりしているので繋がっていますね。」

―当時から町や都市といった部分に関心があったんですね。

アリさん:「大学の話で言えば、そこは建築学校が主軸になってるところだったので、建築関係の友だちが増えたんですよ。だからこそ建築や町並みやまちづくりに目が行くようになりました。あとは、塩屋の実家が兵庫県の奥の方から民家を移築して造られたものだったので、僕の幼児体験はその家の建設現場で大工さんの作業を眺めてたり、一緒におやつを食べてたことです。そういう意味では建築にずっと接してきたとも言えますね。」

―留学に行く前とあとで塩屋の印象は変わりましたか?

アリさん:「行く前は特に意識していたわけではないんですけど、ヨーロッパを旅行していても坂の激しいところに惹かれたり、海の見通しがよいと気持ちが盛り上がったりしたので、どこかで塩屋的な風景を求めていたんだと思います。やっぱり原風景なんだなと。
帰国後は、震災で壊滅的な被害を受けた神戸の復興があまりにも早すぎると感じました。町がスッとのっぺらぼうになっているというか。その後も、塩屋から東の須磨、鷹取、長田は区画整備が進んだり、震災復興の高層マンションが建つとか、商店街が新しくなるとか、どんどん新しく変わっていきました。逆にヨーロッパだと戦争とか地震のときの残骸がわりとほったらかしになっていて、その現場を見て歴史について考える時間があったので、日本の状況が不思議に思えたんです。そんななかで幸いにも塩屋は被害が少なくて町がまだ残っていた。そこで『これは貴重なことやな』って思いました。でもそう思っているのは少数派で(笑)。話してみると年配の方々の多くが新しく変わる町を羨ましがっていたことに危機感を覚えたんです。」

旧グッゲンハイム邸の2階から眺める海
旧グッゲンハイム邸の2階から眺める海

―だからこそ旧グッゲンハイム邸を拠点にしていろんな活動を始めたんですか?

アリさん:「もうひとつきっかけがあります。ここの管理人になったのは2007年なんですけど、その少し前に『塩屋まちづくり推進会』という行政が認可する団体ができました。その場で当時既に60年前から計画されている神戸市の16mの都市道路計画の是非を問う議論が立ち上がりました。僕は道は細ければ細い方が良いと思っているので(笑)当然大反対。その場にいる人全員が賛成してる集会に出向いて反対意見を述べたこともありました。塩屋の道って広い道が平均で4mくらいなのでたしかに狭いんですけど、狭いからこその景観や住民のやり取りもあると思うんです。だからいまあるものを変えずに面白がらないとっていうので動き始めました。」

町をいじってみるプロジェクト

―具体的に何をされたんですか?

アリさん:「始まりは2007年の『塩屋百人百景』ですね。公募で集まった塩屋内外の100人にインスタントカメラを配って町を撮ってもらい、それを展示して、さらには写真集を出すということをやりました。その後の『塩屋百年百景』は住民から古い塩屋が映っている写真を集めたプロジェクトです。時間をかけて収集し、こちらも展示し写真集も出しました。」

―面白そうですね。いまもやられているんですか?

アリさん:「それらの活動をきっかけとして、2014年からは『シオヤプロジェクト』の名のもとで活動しています。町のいじり方を楽しむというか、はっきり言ってめちゃくちゃやってますよ(笑)。ひたすら歩いてさまざまな地図をつくり、いろんな人に塩屋をテーマに作品を作ってもらい・・・カルタも作りましたし、・・・それに塩屋文学なんてものもでっちあげました(笑)。」

「シオヤプロジェクト」ではさまざまな紙メディアを発行
「シオヤプロジェクト」ではさまざまな紙メディアを発行
本館裏の長屋にはデジタル孔版印刷機も
本館裏の長屋にはデジタル孔版印刷機も

―詳しく聞かせてください(笑)。

アリさん:「塩屋文学なんてほんとはそんなものないんです。でも高村薫の『李歐』っていう小説に一瞬だけ出てくる塩屋の描写、志賀直哉の『暗夜行路』に出てくる「塩屋、舞子の海岸は美しかった。」という1文とか(笑)とにかく塩屋が出てくるものを公募で集めて仰々しく発表しています。そのほかにも、塩屋について研究している学生の卒論を発表してもらい「塩屋で卒論修論博論!?」とイベント化したり、毎年「まちのかたち|キオクノキロク」という町フェスを開催したり。いまは『空き家再生レシピ』みたいなのを作りたいとこつこつとアイデアを出し合っています。」

―どういった内容なんでしょうか?

アリさん:「塩屋には再建築不可物件がけっこうあるんです。リノベーションしたら住めるんですけど、まだ新築信仰が強いので直すことをややこしいと思っている人も多くいます。なのでお金のこと、逆に新築を建てるためにクリアしなくてはいけないルールとか、そのあたりを丁寧に説明する。加えて、建物や床の歪みの直し方などの細かいことがインデックスになっている、小さな説明カードを集めているといつのまにか辞書になってる、そんなイメージです。」

塩屋住民の性質

―アリさんは面白いと思うことをやっているだけで、「まちづくり」という言葉はあとからついてきたような印象を受けました。そういった活動をされているなかで町に変化はありましたか?

アリさん:「『シオヤプロジェクト』をきっかけに、塩屋に引っ越してきてくれた人はいますね。実際にいまのこのプロジェクト自体に関わってもらったりもしています。でも、クリエイターなんて大袈裟なものではないかもしれないけど、それに近い仕事をしている人たちを呼び込むような環境ではあると思いますよ。」

―どんな人が住んでいるんですか?

アリさん:「面白いのが、横浜、鎌倉、徳島、香川とかの海沿いの町から移住してくる人が多いことです。原風景に海がある人が塩屋を選んで来ている印象があります。あと、京阪神は東から西に都会が続くんですけど、須磨・塩屋間で急にローカルになります。だから普通列車しか停まらないけど苦痛じゃない、坂道は険しいけどそこから海が見えて故郷を思い出すみたいな、エアポケット状態をポジティブに捉えられる人ですね。とはいえ、クリエイターに近い仕事をしている人が集まってくるのは、やっぱり家賃の面が大きいかな。」

高低差のある土地に並ぶ洋館
高低差のある土地に並ぶ洋館

―コミュニティの空気感はどうですか?

アリさん:「自然が近いからって山奥の仙人みたいなストイックな暮らし方ではなく、“なんちゃって”くらいのライトな気持ちで居心地がいい空気感は流れていると思います。ちょっと畑やってみたいとか、山登りたいとか、釣りしたいとかね。そういう“ちょっとだけ”の挑戦がしやすいんじゃないかな。『シオヤマウンテンクラブ』『シオヤフィッシングクラブ』『塩屋文芸部』とかもありますよ。」

―最後に改めて、アリさんにとって塩屋はどんな町ですか?

アリさん:「シネマトグラフィックな町です。高低差があったり、道が細かったり、見通しが悪いっていうことかもしれないですけど、逆に言えばmごとに景色が変わるんですよ。それがとても面白い。でも僕がやっていることはほかのどの町でもできることだと思っています。実際にいろんな町を歩いていると、メジャーにはならないかもしれないけどどこの町を歩いても面白い要素がたくさんあるんです。『僕だったらここをこういうふうに使いたい』って目線を持ってみると、改めて町のポテンシャルに気づけるはずです。」

◆今回取材した施設
「旧グッゲンハイム邸」
住所:兵庫県神戸市垂水区塩屋町3丁目5−17
電話:078-220-3924
開館日:毎月第3木曜、イベント情報はHPより確認
URL:http://www.nedogu.com/index.html

海も山も商店街も。欲張りな自然環境とローカルムードが同居する町、塩屋

◆本記事の担当者
取材・文:石川宝 写真:和田悠馬

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

この暮らしの記事を共有しませんか?

  • はてなブックマーク
  • タイトルとURLをコピー

LIFULL HOME'S アプリ

オリジナルの機能が充実!

  • ・ハザードマップで洪水リスク確認
  • ・地図上でなぞった範囲で物件を探せる
浸水マップ機能をONにすると洪水リスクがわかる!
  • App Storeからダウンロード
  • Google Playで手に入れよう
浸水マップ機能をONにすると洪水リスクがわかる!

LIFULL HOME'Sは安心・安全のための取り組みを行っています

  • 信頼できる物件情報サイトNo.1を目指して

    このサイトは「不動産情報サイト事業者連絡協議会」が定める情報公開の自主規制ルールに則ったサイトとして承認されています。

  • 情報セキュリティマネジメントシステム国際規格
    すべての情報を適切に取り扱うために

    株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。