野生の動物たちが生息する環境を再現した展示方法で知られる「よこはま動物園ズーラシア」。
実際に園内を観て歩いた現地取材を通して、「動物園のある街に住む」という新しい暮らし方の魅力をご紹介します。
よこはま動物園ズーラシアで気軽に癒し時間
働き方が変わりゆく中で、緑豊かな自然環境を求めて郊外や地方に移住する人が増えています。一方で、オフィスへのアクセスを考えると都市部で暮らすのが現実的に。そんな人も少なくないでしょう。都心部へのアクセスが良好かつ、緑豊かな自然に囲まれているエリアがあれば理想的。そのバランスが取れた街として今、注目したいのが神奈川県・横浜市です。
緑豊かな自然に恵まれた横浜市
市内には多くの公園があり、さらに少し内陸部に入ると緑豊かな自然がたくさん残っています。その環境を最大限に生かして1999年に「よこはま動物園ズーラシア」が開園しました。横浜市内にはそのほか野毛山動物園、金沢動物園の合計3つの動物園があります。これは市町村あたりの動物園の数としては日本最多。なぜ、横浜市は動物園に力を入れているのでしょうか?今回はその秘密を探りにズーラシアを訪れてみました。
横浜市の旭区と緑区の境目にあるズーラシアですが、最寄りはJR横浜線と横浜市営地下鉄グリーンラインが乗り入れる中山駅、もしくは相鉄線・鶴ヶ峰駅と三ツ境駅。いずれの駅からも園の開園時間に合わせてバスが1時間に平均3〜4本出ており、所要時間も約15分ほどです。車の場合は第三京浜・港北I.C.から約20分、または保土ヶ谷バイパス・下川井I.C.から約5分。緑豊かな自然の中へ赴くにしてはまずまずのアクセスといえます。
動物の野生環境を再現した展示
ズーラシアのメインテーマは「生命の共生・自然との調和」。園の正式名称は「横浜市立よこはま動物園」で、ズーラシアというのは愛称です。このズーラシアは動物園(ZOO)と広大な自然をイメージするユーラシア(EURASIA)の合成語で1996年秋の市民公募で選ばれました。’99年の開園以来、今日に至るまで園の愛称として親しまれています。
正門をくぐるとそこにはアジアの熱帯林が広がり、奥へと進むと亜寒帯の森、オセアニアの草原、中央アジアの高地、日本の山里、アマゾンの密林、さらにはアフリカの熱帯雨林、アフリカのサバンナまで。世界中の動物たちがそれぞれ生息する地域の環境が再現されています。各ゾーンにある休憩施設などの建物も現地の雰囲気を演出するこだわり。ディテールまで含めて考え抜かれた完成度の高いテーマパークです。
横浜に動物園が3つもある深いわけ
動物の種ごとに展示された各ゾーンの多くには、あえて檻を設けていないのもズーラシアならでは。動物が越えないことを計算して造られた二重の柵が私たちの視界を遮らず、より野生に近い状態の動物たちを間近で見ることができます。トラやライオンなどの大型肉食獣はさすがにガラス越しではありましたが、至近距離から表情を観察することができて、思わず興奮してしまいました。
園内に生息する動物は全部で約100種・600点。世界3大珍獣の1つで園の”アイドル”であるオカピをはじめ、セスジキノボリカンガルーやテングザルなど、ほかでは見ることができない希少種もここで伸び伸びと暮らしています。
ズーラシア全体の敷地面積は東京ドームの10個分で、横浜スタジアムなら17個分にも及びます。もともとは雑木林で、山菜採りなどに使われていた旭区に残る唯一の大規模緑地帯でした。園が誕生する以前には民間による都市開発の候補地に挙がったことも。そんな中、同エリアの緑を残したままうまく活用できないかと横浜市が動き出します。都市公園としての役割を持ちつつ、積極的に環境保全への取り組みを進める場所にしたい。横浜市のそんな思いから、日本最先端の動物園「よこはま動物園ズーラシア」が誕生しました。
地球環境の大切さを伝えたい
「環境保全と都市公園への思いを知ったとき、横浜市ってすごいなと思いましたよね」と話してくれたのはズーラシアの村田浩一園長です。
開園から17年を迎えた2016年には累計入園者数が2,000万人を達成。その後も着実にファンを増やし続けていますが、当初は来園者数が思うように伸びず、運営面で悩んでいた時期もあったといいます。
「そんなときでも横浜市の担当者は『動物園はお客さんを集めることだけが目的なのかな? それよりも訪れた1人でも多くの人たち、とくに子どもたちにセンス・オブ・ワンダーの感性、いわゆる神秘さや不思議さに目を見張る感性を養ってもらい、これからの地球環境のことを考えてもらうのが大切では?』といってくださったんです」
最近の社会活動のキーワードによく挙がるSDGsですが、横浜市ではすでに20年以上前から取り組んでいたというわけです。ニューヨークをはじめとする世界の主要都市では、自然環境に対する取り組みとして、都市機能における動物園の役割が重要視されている昨今。横浜市の都市のあるべき形を追求する情熱が感じられるエピソードです。市内に動物園が3つもある理由が分かったような気がしました。素敵な街ですね、横浜市って。
“繁殖”もよこはま動物園ズーラシアの大切な仕事
展示方法が話題になりがちなズーラシアですが、その裏側では絶滅危惧種の繁殖という重要なミッションも担っています。
「ズーラシアは日本の中では一番新しくできた大規模動物園。その究極の目的は環境保全なのです。園内には、通常は一般公開されていませんが、動物に関する繁殖・研究機関である横浜市繁殖センターがあり、希少種を守るための研究が日々、行われているのですよ。これは世界中の都市にある動物園でも珍しいことです」(村田園長)
絶滅危惧種の繁殖に次々と成功!
園で繁殖させた動物の筆頭がオカピ。アフリカ・コンゴ民主共和国のみに生息するキリンの仲間で、現在では保護プロジェクトなどによって命をつないでいる希少種です。ズーラシアでは2000年に国内初となるオカピの繁殖に成功。その後も希少種の繁殖を次々と実現してきました。
繁殖センターの取り組みでは、インドネシア・バリ島のみに生息し、環境破壊や乱獲によって絶滅の危機にあったカンムリシロムクを飼育下で繁殖。さらに繁殖した個体を原産国に里帰りさせるところまでを遂行しました。そう、この繁殖センターは動物園業界的にもかなりすごいことをやってのけているのです。
「20世紀の動物園のイメージといえば、人が動物を観て楽しむことが中心でしたが、ここはまったく異なります。地球環境と生物を守りながら共生していくこと。それが、よこはま動物園ズーラシアが目指すべきところなのです」
園での取り組みを通じて環境保全へのメッセージを伝えていくなかで村田園長も手応えを感じています。
「お客さまとの触れ合いやSNSを通じて、以前とは違った感覚で動物たちと交流していただいているなという印象は受けますね。みなさん、動物主体の視線を持っているんです。寒いときは無理に外に出ないで暖かいところで休んでいてね、というような。動物たちの気持ちになって考えていただけているんですよね」
動物とのリアルなふれあい体験
市内や近隣エリアの幼稚園、小学校などの遠足利用はもちろん、生きものについて学ぶ各種ワークショップも充実。中でも小学生に大人気なのが、今年12年目を迎えるズーラシアスクールです。
事前公募型のイベントで、小学4年生から6年生を対象として9月から3月までの期間、月に1回開催している連続講座。実際に動物を観察したり、ゲームやクイズなどを通じて野生動物や自然環境について学ぶ教育プログラムです。
「ズーラシアスクールではテーマを決めて全員で討論する場も設けていて、例えば動物の命は大切だけど、では私たちはお肉を食べてはいけないの? など、かなり本格的な議論になることもあります」
数年前には中学生を対象としたズーラシアハイスクールを実施。そこにはズーラシアスクールの卒業生も参加していましたが、園の環境保全に関する考え方が彼らに引き継がれていることを村田園長は確信したといいます。
「感性豊かな小学生のときに現場で体験するのは本当に大切なことだと思うんです。例えば園内のサイを見て身近に感じて、その生息地では何が起きているかまで考えてみたりとか。そうすると、自分たちがいる場所とアフリカがつながるんですよね。自然に関する感動を子どものときに体感しておくと、大人になってからも環境について身近に考えることができ、環境破壊に対しての課題に向かうことができるんです」
そのほか、繁殖センターでは近隣エリアの緑区新治町の小学校と共同で、地域で絶滅の危機にあったムカシツチガエルの野生復帰に取り組むなど、ズーラシアのある足元の自然を守る取り組みにも積極的です。
見どころ満載のよこはま動物園ズーラシア散策
村田園長のお話を伺ってから再びズーラシアを巡ってみると、あらためて心地良さの理由が分かりました。生い茂る緑の中を気持ち良く散策できて、森林浴にも最適。生息環境を再現した各ゾーンでは、動物たちが伸び伸びと暮らす姿にほのぼのします。“アイドル”のオカピもこの地で繁殖されたことを知ると、感慨深い思いになりました。園内にあるレストランでは地元・横浜のブランド豚である“ハマポーク”を使ったメニューも提供。地産地消の取り組みにも触れることができます。また、「わくわく広場」や「サバンナの遊び場」にあるアスレチック遊具も子どもたちに大人気。子どもを楽しく遊ばせつつ、パパママのひと休みにも最適というわけです。これも、ファミリーに愛される点ですね。
工夫を凝らした動物とのふれあい
ズーラシアで暮らす動物たちのぬいぐるみを取りそろえたギフトショップでは、気づきのあるグッズに出逢いました。「うまれてくるよ」シリーズは飼育員のアドバイスをもとにキリンとユーラシアカワウソの出産の様子をぬいぐるみにしたもの。お母さんのお腹から赤ちゃんを取り出すことができ、子どもが生まれる仕組みを自然に理解できるというわけです。
そのほか、バードショーや飼育員によるガイド。夏には期間限定で夜まで開園時間を延長する「ナイトズーラシア」などエンターテインメント的な要素もプラスしていますが、それも気軽に楽しみながら動物たちのことを知ってほしいという思いから。そのうえで、例えば『ナイトズーラシア』の場合は照明を最小限に抑えるなど、あくまで動物たちに負担のない形を追求。すべてがよく考えられていますね。思わず、ズーラシアに脱帽です。
「都会の中に身近に自然を楽しめる場所があることが重要なんです。遠い子孫たちがこの地球で生きていくことができるように、いまの環境を守りつつ維持していく。そういった考え方を無理のない形で伝えていければと思っています」(村田園長)
ズーラシアへ気軽に行きやすい、中山駅・鶴ヶ峰駅は都心へ好アクセス!
子どもはもちろん、大人が来園してもいろいろな角度から楽しめるズーラシア。入園料は大人1回800円ですが、年間パスポートが2,000円(※2023年3月現在)とかなりお得です。毎日のように気軽に散策に訪れて、ズーラシアを”自分の庭”にすることもできますね。
隣接地の里山ガーデンでは毎年春秋に季節の花々が楽しめる大型イベント「里山ガーデンフェスタ」が開催されます。そのほか、手軽にアウトドアアクティビティが楽しめる自然共生型アウトドアパーク、フォレストアドベンチャー・よこはまや、自然がそのままの状態で残されている四季の森公園などなど。周辺の緑豊かな環境は生活エリアとしても魅力的です。
動物園のある街は暮らしにも便利
ズーラシア北側に位置する中山エリアはJR横浜線、横浜市営地下鉄グリーンラインの2線が使え、横浜線を利用した場合、横浜駅までの所要時間は最短で20分ほど。菊名駅で東急東横線に乗り換えれば渋谷駅へ約45分で行くことができます。
駅北口は再開発が進み、東急ストアが開業。反対の駅南口方面には緑区役所もあり、日々の生活にも便利です。今後は駅南口の再開発も予定されています。
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一方、園の南側に広がる鶴ヶ峰は、住みやすさランキングでも上位にあがる人気エリア。相鉄線の快速 利用で横浜駅へは約11分、相鉄・JR直通線の開業で新宿まで約40分と都心へのアクセスも向上しています。
この3月には相鉄・東急直通線も開業し、渋谷駅や目黒駅、さらには出張に便利な新幹線・新横浜駅までも乗り換えなしで行けるようになりました。北口を中心に再開発が進む駅前では日々の暮らしに必要なものがひととおりそろい、旭区役所も鶴ヶ峰にあります。
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世界的にも都市機能の中で重視されている動物園ですが、「よこはま動物園ズーラシア」のある街での暮らしは日常生活にも便利。アウトドア派や伸び伸び子育てにも最適な”ZOO”とずーっと一緒のワンダフルライフ、楽しんでみませんか?
【施設データ】
よこはま動物園ズーラシア
神奈川県横浜市旭区上白根町1175-1
TEL 045-959-1000
https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/
PR・素材提供:横浜市