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大阪「瓢箪山」駅はどんな街? お裾分け文化を楽しむ、30代夫婦の日常 ~私の街を紹介します~
大阪「瓢箪山」駅はどんな街? お裾分け文化を楽しむ、30代夫婦の日常 ~私の街を紹介します~

大阪「瓢箪山」駅はどんな街? お裾分け文化を楽しむ、30代夫婦の日常 ~私の街を紹介します~

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引越し先を考えた時、交通の便やスーパーマーケットに商店の数など、人それぞれの条件があるもの。けれど、スペック的なところは検索すればわかるものの、実際にその街で暮らすとどんな雰囲気や光景に出会えるかは、未知数です。

本企画「私の街を紹介します」では、そんな、暮らしてみたからこそわかる街の良さを求めて、その街で暮らす人々にインタビュー。数字や検索だけではわからない、その街に流れる空気を紹介します。

近隣に住む人と一緒に暮らしを作る街 ― 瓢箪山

今回、街を紹介してくださるのは、30代夫婦二人暮らしのナカヤマさん。

庭師として働くナカヤマさんは、独立するにあたって、職人業に寛容な街で暮らしたいと瓢箪山に引っ越したのだそう。現在は、食べられる木々を植えた庭のある平屋で暮らしています。そんなナカヤマさんに、この街ならではの良さについて語っていただきました。

―瓢箪山に暮らして、どのくらいでしょう?

ナカヤマさん:「コロナ禍に入ってから引っ越してきたので、ちょうど3年が経ちます」

―職人業に寛容な街とのことですが、どんなところでそう感じますか?

ナカヤマさん:「僕の仕事は朝6時台には活動し始めるので、閑静な住宅街では朝から騒がしくしてしまうんですね。東大阪は実は同業者が多いエリアでもあるので、理解してもらいやすいと思いました。生活と仕事のバランスがとりやすいと思ったんです」

駅前の商店街「サンロード瓢箪山」
駅前の商店街「サンロード瓢箪山」

―その中で瓢箪山を選んだのは、どうしてですか?

ナカヤマさん:「実は今住んでいる平屋は、もともと先輩の職人さんが住んでいたところなんです。ちょうど独立を予定して道具を置けるような住まいを探していたところ、先輩が引っ越すこととなり、この家を借りることになりました」

―それはいい物件との出合い方ですね。実際に住んでみて、街の様子はどうですか?

ナカヤマさん:「以前は八尾に住んでいたんですが、瓢箪山はより下町感が強くて、近所の方との関係性が深い町だと思います」

―例えばどんなところで、そう感じますか?

ナカヤマさん:「近隣6軒で班が作られていて、溝掃除など一緒に地域の掃除をしたり、回覧板があったりするんです。僕は石川県出身で実家がある地域はそういう交流がある地域だったのですが、大阪でもこういう環境があるんだ!と驚きました」

―なるほど。確かに班があるというのは、あまり聞かないですよね。どのような世代の方が暮らしているんでしょう?

ナカヤマさん:「最近引っ越してきた方が僕らのちょっと上の世代で、あとは60歳以上の方々ですね。みなさん僕の職業を知っているし、僕が何が好きかというのも知っているので、最近見た庭やレトロな建物の情報を教えてくれたり、家の前でよく立ち話をします」

住人の個性を垣間見る町歩き ― 瓢箪山

―駅から降りると目の前が山!この景色は、気持ちいいですね。

ナカヤマさん:「いいですよね。駅からちょっと歩くと、瓢箪山稲荷神社があって、ここはよく妻と散歩に来るんです。先日は夏祭りをやっていて、中学生や高校生がたくさん集まっていて、幅広い世代が暮らしている街なんだなあと実感しました」

ナカヤマさん:「この神社の奥の道へ上がって歩き進めると、隣駅にある枚岡神社のほうへ向かう道があって。週末はよく枚岡神社やその先の石切さん(石切劔箭神社)の参道まで歩きます。参道に『たこつぼ』という明石焼きのお店があって、すごく美味しい。結構山道なので、歩きがいのあるコースですね」

―近くにふらっといける、ちょっとハードなコースがあると休日が楽しそうです。

ナカヤマさん:「家の近くに水路があるのですが、そこも好きでよく行っていますよ」

―開けていて気持ちいい!

ナカヤマさん:「大阪の街ってビルや交差点など、すべてを近くに感じるのですが、ここは珍しく1キロぐらい先まで見渡せる場所。平日仕事が終わった後、夫婦二人でビールを片手に(笑)、この辺を散歩しています。今日あったできごとを、水路を歩きながらしゃべって。自分たちにとっては大事な時間ですね。帰りには商店街まで行って、大好きな和菓子屋さんで季節の和菓子を買ったり、焼き鳥屋さんで晩酌のつまみを買ったり。『フルーツなかにし』という果物屋さんは旬のフルーツでクレープを作っていて、美味しいんです」

水路に沿った遊歩道は誰かが持ってきた椅子が点在し、近隣の人たちの憩いの場に
水路に沿った遊歩道は誰かが持ってきた椅子が点在し、近隣の人たちの憩いの場に

ナカヤマさん:「水路に生えている草木は自然と形づくられているものなので、ここに生える草木を見て色合いや生え方、そして量など、自分の仕事の参考になることも」

水路の存在も、同じ班のご夫婦から教えてもらったそう
水路の存在も、同じ班のご夫婦から教えてもらったそう

―自然のカタログを見ているようですね。

ナカヤマさん:「あと、これは下町ならではだと思うのですが、町の人が育てている植物がおもしろいんです」

―変わった花を育てているお家があったり?

ナカヤマさん:「というわけではないのですが…よく一軒家の多いエリアにいくと、家の前にたくさん鉢植えを並べている家ってありません?」

―ありますね。道に溢れ出しているような。

ナカヤマさん:「そうそう。ここも駅前はマンションが多いのですが、ちょっと離れると長屋や一軒家が多く、家の人が季節の草花を鉢植えでたくさん育てていて。僕の仕事では『この観葉植物は室内で育てなくてはいけない』というセオリーがいくつかあるんですが、結構それを無視して屋外に鉢植えを出しっぱなしにしている光景を見かけて。そうやっていろいろな家の植物を見ていると『こういう育て方ができるのか!』という意外な発見があっておもしろいですね。植物からお裾分け文化も見えてきて」

普段は見過ごしそうな光景も目を向けてみるとおもしろい。小さな鉢植えでいちじくやザクロ、ブドウがなっている家までありさまざま
普段は見過ごしそうな光景も目を向けてみるとおもしろい。小さな鉢植えでいちじくやザクロ、ブドウがなっている家までありさまざま

―お裾分け文化とは?

ナカヤマさん:「植物に子どもができると、それを近所の人にお裾分けしているようです。いくつかの家々に同じ植物があって、見ていくとここが発信源だな!というのがわかる(笑)。上手に増えたから近所の人にあげる、そういう交流が見えてくるのもおもしろいです」

―ナカヤマさんのお話をお聞きしていると、瓢箪山暮らしが楽しそうに感じます。

ナカヤマさん:「今までは休みの日は大阪市内や京都まで遊びにいくことが多かったのですが、ここに引っ越してきて、近場で遊ぶことも楽しくなりました。自分の住む町をよく見て歩いてみるとおもしろいですね。瓢箪山へ引っ越す前から、『マウンテン』という珈琲屋さんが好きだったので、引っ越してからはよくここで豆を買っています。もともとは『スタンダードブックストア』の中川さんから、『大阪の美味しい珈琲屋さんといえばここ』と教えてもらいました。『マウンテン』はもちろん、個人商店がしっかり生き残って根付いている町なので、掘り甲斐があるんです」

オーナーは生産国で農園から豆を直接買い付け仕入れているそう。お客さん一人ひとりに希望の味わいを聞いて、豆選びのアドバイスをしてくれる。オーナーが店に出ている日は仕入れ話が聞けることも
オーナーは生産国で農園から豆を直接買い付け仕入れているそう。お客さん一人ひとりに希望の味わいを聞いて、豆選びのアドバイスをしてくれる。オーナーが店に出ている日は仕入れ話が聞けることも

「マウンテン」
住所:大阪府東大阪市神田町3-5
電話:072-988-0626
営業時間:9:00-19:00
定休日:日曜

下町と自然が折り重なる、瓢箪山の暮らし

瓢箪山の暮らし模様は、いかがでしたでしょうか?

駅を降りてすぐ広がる山の光景にのびのびした空気を感じる町・瓢箪山。近鉄大阪難波駅までは約20分なので、中心地への通勤や通学も便利です。さらに、生駒駅までは約10分、近鉄奈良駅までは約30分なので、休日の外出先もさまざまに選べそうな立地です。駅前の商店街はもちろん、スーパーマーケットもいくつかあり、日々の買い物はいろいろな選択肢がありそうですね。

気になる方は、ぜひ物件情報をのぞいてみてはいかがでしょう。

◆本記事の担当者
取材・文:小島知世

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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