夏野菜は、暑い夏にこそ食べてほしい栄養豊富な食材です。水分をたっぷり含んだ野菜が多く、暑さに参って食欲が落ちていても冷えたきゅうりやトマトなら食べられる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな夏野菜の中でも、関西にはめずらしい夏野菜があります。なんと私が住む京都には、夏野菜が深く関わる年中行事なるものも存在しています。
今回は夏野菜の魅力とともに、私の地元である「関西ならではの夏野菜」について紹介します。
夏野菜とは? 京都ならではの夏野菜の楽しみ方
そもそも、夏野菜とはどんな野菜でしょうか? まずは、夏野菜のさまざまな魅力や私の住む京都ならではの楽しみ方をお伝えします。
夏野菜って、そもそもどんな野菜?
夏野菜とは、夏にあたる6~8月に旬を迎える野菜を指します。
夏野菜といえば、
・なす
・きゅうり
・ゴーヤ
・トマト
・とうもろこし
・かぼちゃ
・オクラ
など、たくさんありますね。カラフルな野菜が多いのも夏野菜の特徴です。
そんな夏野菜のひとつ、トマトには「トマトが赤くなると医者が青くなる」という、古くからのことわざがあります。トマトが健康にいいということを表したことわざですね。
トマトに限らず夏野菜には、ビタミン・カリウム・ミネラル・食物繊維など、夏にこそ取りたい栄養が豊富に含まれています。
最近ではハウス栽培が広がり、年間を通して夏野菜が食べられるようになりました。しかし、本来の旬の時期には栄養の含有量も増えるので、ぜひ夏に食べることをおすすめします。また旬の時期には収穫量も増え、お手頃な価格で購入できるのもうれしいところです。
お手頃価格で栄養豊富な夏野菜。暑い夏を乗り切るために、積極的に食卓へ取り入れてくださいね。
さて、私が住んでいる京都には、そんな夏野菜が関わる年中行事があります。どんな行事か紹介していきましょう。
京の年中行事にも夏野菜
夏を旬とする京野菜に、鹿ケ谷(ししがたに)かぼちゃという、ひょうたんの形をしたユニークなかぼちゃがあります。
鹿ケ谷かぼちゃは京の伝統野菜のひとつ。京都ではおかぼの炊いたん(かぼちゃの煮物)といえば、昔はこの鹿ケ谷かぼちゃの煮物を指すほどポピュラーな夏野菜でした。西洋かぼちゃが普及した現代では、あまり姿が見られなくなった野菜です。
そんな鹿ケ谷かぼちゃですが、京都市左京区鹿ケ谷にある安楽寺には、「夏の土用に鹿ヶ谷カボチャを食べれば中風(今でいう脳卒中の後遺症のこと)にならない」という言い伝えが残っています。
現在でもその言い伝えのとおり、毎年7月25日に「中風まじない鹿ヶ谷カボチャ供養」という行事が行われ、参拝者に鹿ケ谷かぼちゃの煮物が振る舞われているのです。
その日ばかりは、安楽寺の山門前に鹿ケ谷かぼちゃが勢ぞろい。夏を旬とする京野菜とともに販売され、多くの参拝客で賑わう京都の夏の風物詩になっています。
他にも京都には、同じく夏の土用に夏野菜のきゅうりに病気を封じる「きゅうり封じ」という行事もあります。また祇園祭の関係者には、八坂神社の御神紋がきゅうりの断面に似ているため、7月中はきゅうりを食べずに祇園祭の成功を祈願するという風習も残っています。
きゅうりの旬にきゅうりに願いを託す…このような古くから続く文化を知ると、昔から京都の人々は夏野菜とともに夏を越えてきたのだと感じますね。京の夏の年中行事には、夏野菜は欠かせない存在といえるでしょう。
夏野菜の料理と大文字の送り火
京都の夏といえば、大文字(五山)の送り火はかかせません。私にとっても、大文字の送り火は思い出深い行事のひとつです。
私が独身だったころ、レストランの屋上で大文字の送り火を眺めるのが毎年の楽しみでした。冷えたビールを片手に、賀茂なすの田楽やトマトのマリネ、ガーリック枝豆など数々の夏野菜を使った料理を食べながら、送り火の点火を待ったものです。
夜とはいえ蒸し暑い京都の夏。むわんとする熱気の中での食事は、さっぱりとした夏野菜の料理がぴったりでした。夏の夜空に浮かぶ大文字の送り火と、カラフルな夏野菜のお料理。子どもが大人になったら一緒に眺めたいと思う、京都ならではの光景です。
関西の夏野菜5選! おすすめの食べ方も紹介します
京都ならではの夏野菜として鹿ケ谷かぼちゃを紹介しましたが、関西にはその土地ならではの夏野菜がたくさんあります。
ここからは、暑い夏を乗り切るために食べたい、関西の夏野菜を5つ紹介します。スーパーで見かけた際は、ぜひ手に取ってみてくださいね。
京都の夏野菜:伏見甘長とうがらし
京の伝統野菜でもある伏見甘長(ふしみあまなが)とうがらし。江戸時代から京都伏見の地で栽培されてきた、歴史ある京野菜です。唐辛子といっても辛味はなく、長さ10~15cmほどのひょろひょろっとした細長い姿をしています。
皮も柔らかく種もそのまま食べられるので、ヘタを落としてそのまま料理に使ってください。炒めるもよし、煮るもよし、揚げるのもよし、京都の夏のおばんざいとして欠かせない夏野菜です。
おすすめの食べ方
・煮びたし
・ちりめんじゃことの炒め煮
・天ぷら
京都の夏野菜:賀茂なす
京都の夏野菜といえば、まん丸でずっしりとした大きななす、賀茂なすの存在はかかせません。もちろん、賀茂なすも京の伝統野菜のひとつです。
直径10cmを超える丸々としたその姿は、「ナスの女王」とも呼ばれています。肉質が緻密で煮崩れしにくいのが特徴で、田楽はもちろんのこと、煮物や揚げ物にもおすすめですよ。
加熱するとトロッととろける食感がやみつきになります。大きめに切って食感も味わう料理に仕上げましょう。
おすすめの食べ方
・田楽
・煮物
・揚げびたし
大阪の夏野菜:泉州水なす
続いて紹介するのは、大阪の泉州水(せんしゅうみず)なすです。なにわ特産品として選定され、その名の通り大阪泉州地域で栽培されています。
特筆すべきは、アクの少なさにあります。なすの多くはアクが強く、とても生では食べられませんが、新鮮な泉州水なすはそのまま食べられるほどアクが少ないのです。皮が薄く、水分量が多いのも特徴で、みずみずしい味わいに驚きますよ。
その特徴から泉州水なすは、浅漬けやぬか漬けとして多く利用されています。
泉州地域には、この泉州水なすの古漬けとじゃこえびを使った「じゃこごうこ(じゃこなす)」という郷土料理があります。甘辛い佃煮風のお味で、ご飯のお供やお酒のアテとしてもおすすめですよ。
おすすめの食べ方
・浅漬け
・ぬか漬け
・そのままサラダでも
大阪の夏野菜:紅ずいき
さといもの赤い葉茎を紅(べに)ずいきと呼び、こちらも大阪の泉州地域で多く栽培されている夏野菜です。
紅ずいきは非常にアクが強い野菜で、そのまま調理すると手にアクがつき、なかなか取れません。私はまず酢水に1時間ほど浸し、茹でてアク抜きをしてから皮をむくようにしています。丁寧にアク抜きするのがポイントですよ。
手間はかかりますが、シャキシャキとした歯ごたえがおいしく、酢の物にして食べると絶品です。
おすすめの食べ方
・酢の物、ゴマ酢あえ
・煮物
滋賀の夏野菜:弥平とうがらし
近江の伝統野菜として認定されている弥平(やへい)とうがらし。弥平さんが持ち帰ったという言い伝えが残る弥平とうがらしは、滋賀県は湖南市下田地区以外で育てようとしても、なぜか育たないといわれる不思議な唐辛子です。
かわいらしいオレンジ色の見た目に反して、辛さは鷹の爪のなんと2倍! それでいて桃と同等の甘さを持ちます。強い辛さの中にも独特の甘味と香りが感じられる、お気に入りの唐辛子です。
暑い夏こそ辛いものを食べたい!という方に、おすすめの夏野菜といえるでしょう。
おすすめの食べ方
・麻婆豆腐
・アヒージョ
・ぬか漬けの唐辛子としても
関西の夏野菜を楽しめるエリアを紹介
関西の夏野菜を楽しむには、やはり関西に住むのが一番です。今回紹介した夏野菜以外にも、あなたのお気に入りになる野菜が見つかるかもしれません。
ここからは関西の夏野菜を楽しめる、おすすめのエリアを紹介します。
大阪の泉州地域でなにわ特産品を楽しむ
今回紹介した泉州水なすと紅ずいきは、泉佐野市や貝塚市をはじめとした泉州地域で多く栽培されている、なにわ特産品の夏野菜です。
泉州地域は、他にも山の幸や海の幸が豊富にあり、新鮮な食材で料理を楽しみたい方にとってうれしい地域だといえるでしょう。
また、大阪市内へのアクセスも良く、大型アウトレットモールや空港が近いのも魅力です。泉佐野市や貝塚市など泉州地域の住まいなら、衣食住が充実した生活を送れることでしょう。
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京都市で京の年中行事と京野菜を楽しむ
鹿ケ谷かぼちゃや賀茂なす、伏見甘長とうがらしなど、京都には魅力的な京野菜がたくさんあります。今回紹介した夏野菜と関連する年中行事のほか、祇園祭や大文字の送り火など、夏の京都には魅力的な行事が目白押しですよ。
もちろん、夏以外にも京都には四季折々の楽しみがあります。ぜひ、京都市の住まいで京の年中行事と京野菜を楽しんでくださいね。
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滋賀県湖南市で近江の伝統野菜と自然を楽しむ
滋賀県の南部にある湖南市は、山に囲まれ自然豊かな場所に位置します。湖南市では今回紹介した弥平とうがらしをはじめ、同じく近江の伝統野菜の下田なすなど、さまざまな野菜の栽培が行われています。
温泉やオートキャンプ場などの家族で楽しめる施設も多く、大津市や草津市へのアクセスも良いです。都会ではないが田舎すぎもしない、ちょうどいい暮らしが湖南市にはあります。
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地元の夏野菜を食べて、暑い夏を乗り越えよう!
今回紹介した関西の夏野菜は、その土地ならではの特徴があり、大切な夏の風物詩ともいえる存在です。
あなたの地元には、どんな夏野菜がありますか? 意外と「実はここにしかない野菜だったのか!」という驚きの発見があるかもしれません。ぜひ、これを機会に探してみてくださいね。
カラフルで栄養豊富な夏野菜。積極的に夏野菜を食べて、今年の夏も元気いっぱい乗り越えていきましょう!