大地震や火山噴火、豪雨、台風、大雪。日本では毎年何かしらの災害が起こります。
しかし、テレビで報道されている被災地の映像を見ても、対岸の火事だと考えて十分な防災対策をしていない方が多いのではないでしょうか。2018年に行われた「自然災害に対する防災の意識調査」で、防災対策を「している」と回答したのはわずか3割でした。
私は親の防災意識が高かったため、いつの間にか災害に備える感覚が身についていました。今思えば親に感謝です。特に何事もなく10年20年と過ごしていましたが、自然災害はある日突然起こりました。
私の住む地域が大型台風に見舞われ、ニュース記者が取材に来るほど大変な被害を受けたのです。幸い、我が家は防災対策のおかげで無事に乗り切ることができました。
被災して初めて「防災対策をしていて本当によかった」と身にしみたので、みなさんにも日頃から防災意識を持ち、万が一に備えることを強くおすすめします。
- 防災意識と準備があれば、いざというときも冷静に行動できる
- 被災して実感した防災の重要性
- 子どもにも防災意識を持たせるべき
- 防災用品は「非常持出袋」と「自宅用」を準備
- 「非常持出袋」に入れておきたい物はコレ!
- 「自宅用」に準備したい防災用品とローリングストックについて
- 耐震器具の活用、防災を意識した家具配置で安全確保
- 防災用品が購入できるお店
- 住まいや地域の安全性を確認して、被災時の対策を練っておく
- 地域の避難場所や避難経路を決める
- ハザードマップで地域の特性を把握、建物の強度も要チェック
- 防災に配慮した住まいの探し方
- 水没する恐れはないか?また水没に対応できる物件か?
- 土砂災害の危険がないか?
- 地盤は強いか?液状化の恐れはないか?
- 活断層が近くにないか?過去に地震が頻発した土地ではないか?
- 孤立する恐れはないか?
- 原子力発電所やコンビナートなどが近隣にないか?
- 実際に地震が少ない地域ってあるの?
- 香川県
- 鳥取県
- 佐賀県
- 岡山県
- 長崎県
- 地域とつながりを持ち、積極的に防災知識を身につけよう
防災意識と準備があれば、いざというときも冷静に行動できる
災害に遭った場合、防災知識や常日頃の準備が生死を分けることもあります。パニックにならず落ち着いて行動するためにも、防災意識を養ってしっかり対策しておきましょう。
では、何をどのように準備すれば万が一の事態を乗り越えられるのでしょうか。私自身の体験を踏まえてご紹介します。
被災して実感した防災の重要性
地震や台風の被害なんて、テレビで報道される遠い出来事。
以前はそんな風に感じていましたが、大地震と大型台風に次々と見舞われ、私は防災の重要性を否応なく実感させられました。
特に台風の被害は酷くて、仕事中に息子から泣きそうな声で電話がかかってきたほどです。
「お母さん、窓ガラスが風でガタガタ揺れてる。今にも割れそう!」
「大丈夫。窓ガラスが割れても飛び散らないようカーテンを閉めて、窓際から離れて。風圧で家具や部屋が壊れるかもしれないから、絶対に窓を開けちゃ駄目だよ。」
私がとっさに落ち着いて指示できたのは、事前に防災知識を得ていたおかげです。このときの台風で河川の水量が増えて避難勧告が出た上、地域一帯は電気・水道がストップ。物流も途絶え、スーパーが休店になって満足に買い物もできない状況でした。
でも我が家は日頃から食品や防災用品を整えていたおかげで、この事態を無事乗り切ることができました。もし防災知識も準備もなかったら、私は事態に対応できずパニックに陥っていたかもしれません。
子どもにも防災意識を持たせるべき
子どもが小学2~3年生の頃のことです。防災用にこっそり備蓄していた長期保存用の食品を、子どもにことごとく食べられてしまいました。
隠しておくだけじゃ駄目だと気づいた私は、子どもに防災の重要性を説き、備えることの必要性を理解させました。
その上で、子どもに防災用品の置いてある場所を教えました。しかし取り出しやすいとどうしても食べたくなるので、段ボールに詰めて布を被せ、日頃は目にとまらないように保管場所を工夫しました。
防災意識を持って日頃から準備をしておくと、被災時も冷静に判断し、落ち着いて行動する余裕が生まれます。日常生活で備えがある安心感を持ちながら過ごせる上に、我が家の場合は両親も安心してくれます。
ここからは具体的にどんな準備をすればいいのかを確認していきましょう。
防災用品は「非常持出袋」と「自宅用」を準備
一口に防災の備えといっても、以下のように多岐にわたります。
・防災用品をそろえる
・食品の備蓄
・避難場所や避難ルートの確認
・日頃から防災や救急の知識を蓄える
小さな子どもや要介護者がいる家庭、ペットのいる家庭など、状況に応じて対策を練っておきましょう。
「非常持出袋」に入れておきたい物はコレ!
避難する際にパッと担げるリュックや鞄を用意します。重くなりすぎないよう注意しましょう。
我が家の非常持出袋は紐が肩に食い込んで痛かったので、背負いやすいリュックを購入しました。家族構成や人数によって量や内容は異なりますが、準備しておきたい非常持出袋の中身は以下の通りです。
■「非常持出袋」に入れたい防災用品
・サイレン機能やラジオ機能、携帯充電機能などのついたライトと電池
・軍手(ゴム製か革製が望ましい)や防塵マスク、コンパクトな防災用ヘルメット
・救急キット(持病がある場合はその薬も)
・ウエットシートやウエットティッシュ、綿棒や歯磨きシートなどの衛生用品
・重要書類や小銭
・タオルや着替えの衣服(下着一式、トップスとズボン、防寒用のブランケットやレインスーツ、貫通防止用の靴中敷き)
・非常用トイレセットやトイレットペーパー
・非常食(栄養バランス食品や栄養補給食品)と水
・エアベッド(安眠するためのアイマスクと耳栓もあると便利)
・ノートや油性ペン、布ガムテープ、万能ナイフ、サランラップ、ポリ袋などの避難時に役に立つアイテム
・その他、家庭の状況に応じて必要な物(紙おむつや生理用品、使い捨てコンタクトレンズなど)
「自宅用」に準備したい防災用品とローリングストックについて
備蓄専用の棚を作り、家族が1週間過ごせる量の食品や水を備蓄しておくと安心です。紙皿や割り箸、カセットコンロやポリ袋なども一緒に置いておきます。我が家の場合は棚に備蓄すると子どもが食べたくなってしまうので、箱に詰めて布で覆い、2箇所に分けて配置しています。
また、時々在庫の賞味期限を確認し、新しい食品を備蓄に回して古い食品から食べるようにしています。これをローリングストックと呼びますが、いざというときに賞味期限切れの心配がないのでおすすめです。
なお、電気がストップした場合は冷蔵庫の在庫から食べるようにします。
自宅で備蓄しておきたい防災用品は以下のとおりです。
■「自宅用」に準備したい防災用品
・缶詰やレトルト食品、長期保存できる缶詰のパンや乾パンなど(栄養が取れるよう食品の種類に配慮)
・お湯を注ぐだけで食べられるご飯やカップ麺、スープ
・飴やチョコレートなどのお菓子
・水は1人1日2リットルの計算で1週間分
・カセットコンロとカセットボンベ(被災後も暖かい食事が摂れます)
・災害用簡易トイレ、または大型ゴミ袋と新聞紙(ゴミ袋に丸めた新聞紙を詰めてトイレにセット)
・使い捨てカイロや冷却シート
・サランラップやアルミホイル(皿に敷くと食器を汚さない上、防寒対策にもなる)
・ブルーシートや段ボール、ロープ、ポリタンクやポリバケツ、ポリ袋やビニール袋
・水のいらないシャンプー、消毒剤、箱ティッシュ
・ランタンやライター、消火器
・その他、家庭の状況に応じて必要な物(ペット用の飲食物など)
耐震器具の活用、防災を意識した家具配置で安全確保
家具は突っ張り棒やガラス飛散防止フィルムといった耐震器具を活用して安全対策をします。扉開きを防止するストッパーや滑り止めシートなど様々な耐震器具があるので、必要に応じて使い分けます。テレビなどは粘着マットなどで固定しておくと安心です。
我が家は家具の配置も工夫していて、寝室は万が一に家具が転倒しても頭が潰されないよう安全ゾーンを確保。さらに、家具や冷蔵庫が転倒しても避難経路の動線が遮られないよう配慮しています。
防災用品が購入できるお店
スーパーや家電量販店など、防災用品は身近な店舗で購入可能です。ネットショップでも様々な防災用品が販売されており、ソーラーチャージャーやポータブル電源、防災グッズがまとめて入った防災セットなど、便利な防災用品が購入できますので、ご自身の住居や家族構成、周辺状況にあった物をセレクトしましょう。
住まいや地域の安全性を確認して、被災時の対策を練っておく
住んでいる地域の立地や特性を知り、建物の安全性を確認することも重要です。問題点が分かれば必要な対策方法も見えてくるので、しっかり準備して心づもりしておけば、被災したときも慌てずに済みます。
地域の避難場所や避難経路を決める
住んでいる地域の避難場所は、地区の防災マップやホームページなどで確認可能。避難ルートや避難場所などは事前に決めておき、家族が安否確認できるよう日頃から話し合っておくと安心です。
また、スマホに防災アプリを入れて通知がくるよう設定したり、ポケット型の防災本を1冊持っておくのも心強いものです。できれば、自治体の「防災都市計画」も把握しておきましょう。
ハザードマップで地域の特性を把握、建物の強度も要チェック
ハザードマップとは、災害における被災想定区域や避難場所、避難経路などを表示した地図のこと。住んでいる地域のハザードマップは、国土交通省のホームページ「わがまちハザードマップ」で確認できます。
私もこのサイトをチェックして、住んでいる地域は津波や洪水の影響を受ける恐れがあること、活断層が近くて地震に対する万全の備えが必要であることを確認しました。
想定される被害をこんな風に事前に把握しておくと、災害への備えが可能に。知らずに被災するよりも遥かに安全で的確な対処ができます。
さらに住まいの建物の強度も重要です。私の経験では大型台風の際に崩壊したのは、古い建物ばかりでした。命に直接関わることなので、災害に耐えられる住まいかどうか確認し、災害に遭う前にしっかり対策しましょう。
防災に配慮した住まいの探し方
これから住まいを探すなら、防災面で安全かどうか検討して決めることをおすすめします。住まいや周辺環境を実際に見学したり、国土交通省のホームページ「わがまちハザードマップ」などを活用して、地域の安全性を確認しましょう。
ここからは居住地域を防災面から選ぶ際の留意点をまとめました。
水没する恐れはないか?また水没に対応できる物件か?
住まいの近くに海や河川などが存在する場合、津波や洪水などで水没する危険性があります。
私の居住するマンションも近隣に大きな河川があり、氾濫した場合は3~5mの浸水が想定されます。そのため、鉄骨鉄筋コンクリート造の頑丈な大型マンションの8階をセレクトしました。
浸水や建物倒壊のリスクが低い物件を選択すると、万が一のときも安心です。
土砂災害の危険がないか?
日本は山地や丘陵が多く地殻変動が活発なので、大雨や地震などのきっかけで土砂災害が起きやすい傾向にあります。山のふもとや崖下に住まいがある場合は、土砂災害の危険を認識しておきましょう。
市町村が作成する土砂災害ハザードマップで「土砂災害警戒区域」や「土砂災害危険箇所」に指定されている地域は特に要注意です。突発的な土砂災害は逃げる余地がない場合も多いので、このような地域を避けることが命を守ることにつながります。
地盤は強いか?液状化の恐れはないか?
砂地盤が地震の揺れで地下水などに浸かり、地盤がゆるくなることを液状化と呼びます。土地が液状化すると、建物が傾いたりマンホールなどが浮き上がったりする現象が見られます。
地盤が硬く地下水位の深い山間部での発生率は低く、逆に海が近い埋立地や低地での発生率は高くなります。なお、田んぼを埋め立てた造成地や傾斜に盛り土をした造成地、過去に液状化が起こった土地も要注意です。
地域の地盤を把握する場合は国土交通省国土地理院の「治水地形分類図」で確認が可能です。
活断層が近くにないか?過去に地震が頻発した土地ではないか?
活断層の通る地域は、規模の大きな地震が度々起こると予想されます。過去に地震が頻発している土地も注意が必要です。
地域の地震予測、地震などの発生状況はホームページ上で確認できるので、「J-SHIS地震ハザードステーション」や「国土地理院HPの防災情報ページ」などでチェックしてみましょう。
孤立する恐れはないか?
山間のニュータウンなどで住まいを検討する場合、街につながる道が複数確保されているか確認しておくと安心です。
例えば市内へ向かう道が一本しかない場合、その道が断絶されると孤立してしまって外部からの救助が得られません。電気やガス、水道といったライフラインが道路と一緒に設計されていることもあり、すべてがまとめて遮断される危険があるので注意しましょう。
原子力発電所やコンビナートなどが近隣にないか?
住まいの近隣に原子力発電所や石油コンビナートといった施設がある場合、大地震などで事故や火災発生の恐れがあります。
また施設の風下となった地域は緊急避難する必要があり、避難が遅れると命に関わります。高齢者や子どもを抱えている家庭などは特に、こういった施設のある地域は避けた方が無難です。
実際に地震が少ない地域ってあるの?
未来の自然災害はどこにでも起こり得ることですが、過去のデータを参考にして住まいを探すという方法もあります。
今回は、気象庁のホームページより、過去10年間(2009年8月〜2019年8月)で震度4以上の地震が発生していない県を調べました。
都道府県別で以下5県が該当しますので、参考にしてみてください。
借りる、買う、建てるなど様々な軸で住まいを探せるLIFULL HOME’Sで、それぞれの住まいを見てみましょう。
香川県
香川県の戸建てを含む賃貸物件
鳥取県
鳥取県の戸建てを含む賃貸物件
佐賀県
佐賀県の戸建てを含む賃貸物件
岡山県
岡山県の戸建てを含む賃貸物件
長崎県
長崎県の戸建てを含む賃貸物件
地域とつながりを持ち、積極的に防災知識を身につけよう
阪神・淡路大震災の際、地震発生直後に瓦礫の下から救出された方の8割は、近隣住民によって助け出されています。
このことから、日頃から外出して地域とつながりを持ち、自分の存在を近所に知ってもらうこと。そして、万が一の際に協力し合えるようなコミュニティを作っておくことが、いかに大切かが分かります。
また各地域では、消火器の使い方や救命措置など様々な防災講座が開催されています。いざというときの対処法を理解していれば防災意識も自然と高まるので、防災の講習会やイベントには積極的に参加するといいでしょう。
このような防災意識と知恵の積み重ねが、被災時に命を守る行動へとつながっていくのです。