みなさんは快適な住まいの条件と聞いて、どのような環境を想像しますか?
静かであること、快適な温度が保たれていること、整っていることなど、人によってさまざまな条件があると思います。中でも、落ち着いて過ごせる静かな環境を重視する人も多いのではないでしょうか。
私は結婚をしてから転勤族となり、いくつかの賃貸住宅で暮らす経験をしてきました。物件を探すときは、なるべく静かな環境を選んでいるつもりですが、実際のところは住んでみないと分かりません。
現在は集合住宅の1階に住んでいるため、外からの音が入ってきやすい環境です。大きな音ではないものの、車の走行音や工事の音が気になって防音対策をしたことがあります。簡単な隙間テープを使った窓の対策ですが、外からの音を和らげることができました。
そこで今回は、賃貸住宅でもできる、音の原因に合わせた対策について体験談を交えながらご紹介します。外からの音に悩まされていて簡単な対策を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 外からの音、違いを知って防音対策しよう
- まずは騒音の種類について見極める
- 「空気音」と「固体音」それぞれの防音対策の違い
- 防音対策で両立させたい遮音性と吸音性
- 騒音の種類・特性に合わせた対策を
- 外からの音に悩まされていた私の対策法
- 防音対策をしたきっかけ
- 実際に試した防音対策「隙間テープ」
- 賃貸住宅でもできる簡単な防音対策
- 隙間テープと併用したい「防音カーテン」
- 吸音効果のある「防音シート・吸音材」
- 家具の配置を変えて遮音する
- 防音を重視した住まいを選ぼう
- 壁・窓・床が厚く防音対策された分譲賃貸
- 防音を重視するなら鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
- 騒音の原因に合わせた防音対策をして快適な暮らしを
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外からの音、違いを知って防音対策しよう
隣の家の生活音や、電車や車の走行音など、外からの音は様々です。リフォーム以外の防音対策で音を完全に遮断することは簡単ではありませんが、音の種類に合わせた防音対策をすることで、許容範囲の音に低減できる可能性があります。適切な防音対策をするには、外からの音の種類を見極めることが重要です。
ここでは、音の種類の見極め方やその音の特性に合わせた対策をご紹介します。
まずは騒音の種類について見極める
日常生活の騒音は大きく分けると2種類で、空気音と固体音があります。空気音は空気を介して伝わる音のことで、固体音は固体が振動することで伝わってくる音のことです。
それぞれの音が発生する原因によって伝わり方が変わります。空気音の発生源は、自宅の外から聞こえる自動車の走行音やペットの鳴き声、近隣の話し声などです。一方で、固体音の発生源は、近隣で響く工事現場の機械音・上階の足音・ドアの開閉音のような音が挙げられます。
同じ音源でも、固体音と空気音が混ざり合っていることも少なくありません。たとえば、工事の機械音もすぐ近くで響いていると、振動をともなう「固体音」となりますが、100m離れた場所では空気音として音だけが聞こえます。
「空気音」と「固体音」それぞれの防音対策の違い
前述した通り、音の伝わり方には、空気を介して耳に届く「空気音」と、固体が振動することで耳に届く「固体音」があります。
空気音の防音対策は、空気を遮断することが有効です。
一方で、固体音は壁や床・窓や天井という物質を介して振動が伝わるため、対策は音を断つだけではなく、壁や床・窓自体に対策が必要です。一般的に、振動が広がって低音で生じる固体音の方は、防音対策が難しいといわれています。
集合住宅で隣や上下階から聞こえる音には、壁や床・天井全体が振動体となって生じた固体音と空気を介して伝わる空気音の両方があります。足音やイスを引く音などは固体音、話し声は空気音です。したがって、外から伝わる音の発生源を見極めて、音の伝わり方の違いを理解したうえで、防音対策を検討する必要があります。
防音対策で両立させたい遮音性と吸音性
遮音とは、空気を伝わって届く音を遮断して、音が届かないようにする方法のことで、伝わってきた音を跳ね返して音を低減します。遮音をするときに使う素材は、鉄板やコンクリート・石膏などですが、これらを遮音物として取り入れるには施工が必要です。手軽にできる対策は、遮音カーテンや防音シートです。
吸音とは、音を吸収することで音が外に漏れるのを防いだり、室内に反響する音を低減したりします。吸音するときに使う素材は、グラスウールやウレタンスポンジです。壁や窓に吸音材を貼る、床に吸音マットを敷くなどの対策があります。
外からの音は窓から伝わることが多いですが、これらの音に対しては、遮音性を高めて音を断つ対策が有効です。たとえば、窓ガラス自体を厚いものにする、窓の隙間を防いで気密性を上げるといった対策があります。
防音対策をするときは、遮音対策を基本にして、室内の反響を抑えるための吸音対策を組み合わせると、より効果的な防音対策ができます。
騒音の種類・特性に合わせた対策を
騒音が外から伝わってくる音なのか、集合住宅の建物内から聞こえてくる音なのか、その発生源を見極めることが重要です。そのうえで、その音が空気を介して伝わる空気音か、固体が振動することで生じる固体音かを判断します。簡単な防音対策で固体音を低減させることは難しく、賃貸住宅では対策に限界があります。
騒音の種類や特性を理解して、まずは簡単にできる対策を行ってみましょう。それでも気になる場合は、引越しを検討してみるといいかもしれません。
外からの音に悩まされていた私の対策法
防音対策をしたきっかけ
私が防音対策をするようになったのは、集合住宅の1階に住むようになり、車の走行音や工事の音が気になったことがきっかけです。
インターネットで防音対策について調べていたところ、賃貸住宅で手軽にできそうな対策は「隙間テープ」でした。コスト面を考慮すると、賃貸住宅でほかにできそうな対策には遮音カーテン・防音シートがあります。いずれも隙間テープと組み合わせて使用するとよさそうでした。
実際に試した防音対策「隙間テープ」
隙間テープの使い方と注意点
隙間テープを貼りつける場所は、きれいに拭いておきます。汚れが付着しているとうまく貼れない場合があるので忘れずにきれいにしておきましょう。次に、貼る場所の長さを測ってカットします。さいごに、ずれないようにシールを少しずつはがしながら貼りつけていきます。一度貼りつけたものをはがすと粘着力が弱まるので注意してください。
対策してみた感想
100円ショップの隙間テープをサッシに使用したところ、テープの粘着力に問題はありませんでした。簡単に一人でも取り付けることができます。防音効果は、隙間テープを貼る前と比較すると、音が低減しているように感じました。
隙間テープを選ぶポイント
隙間テープは、用途別・サイズに応じて多くの種類があり、ネットショップやホームセンター、100円ショップなどで購入できます。購入前に、隙間テープを貼る場所の幅を測っておくと、選びやすいです。
材質は、100円ショップで購入できるものはポリウレタンが多いですが、劣化しやすいというデメリットがあります。インターネットやホームセンターで購入する場合は、ポリエチレンやゴム素材のもの多く、耐久性が高そうです。
賃貸住宅でもできる簡単な防音対策
マンションのような集合住宅では、最上階や角部屋以外の部屋は上下・左右に人が住んでいるのでさまざまな音が伝わってきます。ここでは、賃貸住宅でも手軽にできる防音対策をいくつかご紹介します。
隙間テープと併用したい「防音カーテン」
防音カーテンは、生地に防音のための特殊な加工が施されたカーテンです。遮音カーテンと吸音カーテンの2種類があり、遮音カーテンは外からの音を防ぎ、吸音カーテンは室内の音を低減する効果があります。ただし、近場で響く工事音のような固体音は、カーテンだけでは防音できません。しっかりと対策するには、防音室の設置やリフォームが必要です。
防音カーテンの効果を上げるためには、窓の隙間テープや吸音シートを併用するといった工夫がおすすめです。特に、窓のサッシの気密性を高めて、遮音効果のある隙間テープとの併用で防音効果が期待できます。
設置するときは、カーテンと床の間に隙間をつくらないようにします。一方で、ガラス戸とカーテンの間は少し離して空気層をつくるように設置しましょう。
吸音効果のある「防音シート・吸音材」
賃貸住宅では、吸音効果のある防音シートや吸音材を壁に貼る対策も可能です。防音シートや吸音材には、壁を汚さないではがせるタイプのものもあります。薄い防音シートは、壁に貼ったりピンで付けたりするタイプの吸音材と組み合わせて使用することで、防音効果を高められます。
家具の配置を変えて遮音する
音が伝わってくる壁に面して、本棚や収納棚を置いて音を遮断する方法もあります。遮音物の重量を増やすと、音を遮る効果が高くなるので、棚の中身を詰め込んで重くしましょう。家具を置くときのポイントは、壁に密着させて設置するのではなく、壁から少し離して設置することです。壁から距離をあけて空気層をつくることで、より騒音を和らげる効果があります。家具の配置を変えるだけでも音を遮り、防音できます。
防音を重視した住まいを選ぼう
静かな環境での暮らしを望む場合、周りの環境を選ぶと同時に、防音性能を重視した物件を探すことも大切です。建物自体が防音効果に優れていることが多い、分譲賃貸がおすすめです。
壁・窓・床が厚く防音対策された分譲賃貸
分譲賃貸とは、購入用のマンションを賃貸物件として貸し出している物件のことです。そのため、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)で、壁の密度が高く、床も厚くつくられている建物が多いです。外からの音を低減する効果のある、遮音性が高い窓サッシを使用した物件もあるので、借りる際にチェックしてみましょう。
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防音を重視するなら鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の物件は、木造や鉄骨造よりも壁の密度が高くなっていて、遮音性や気密性、耐震性に優れています。鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造には防音性に関しての違いは、ほとんどありません。いずれも、防音性が高く室内外の音を遮断できるので、快適に暮らせるでしょう。
騒音の原因に合わせた防音対策をして快適な暮らしを
外からの音を防ぐには、騒音の原因に合わせた対策が必要です。音がどこから発生しているのかを見極めて、窓・壁・床の防音対策をしましょう。
賃貸住宅では、可能な防音対策が限られているため、大きな音にはあまり効果がないかもしれません。許容範囲を超えた騒音であれば、引越しを検討するのも選択肢の1つとなります。
引越しを考える際には、静かな環境にある物件を選ぶのと同時に、建物自体が防音対策に優れた物件を選ぶことも重要です。適切な対策をして快適な暮らしを手に入れましょう。