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奥深い和食器の世界。テーブルコーディネートの基本を押さえよう

奥深い和食器の世界。テーブルコーディネートの基本を押さえよう

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毎日の食事で何気なく使っている食器類。大きく分けると、和食器と洋食器に分類されます。日常生活に欠かせないものですが、もしかすると和・洋の区別をあまり意識せずに使っているかもしれませんね。

今回は、意外と知られていない「和食器のテーブルコーディネートの基本」を、食空間コーディネーターとして活動している私がご紹介します。

和食器とは

和食器の歴史

長い歴史のある日本の食器。縄文土器が生まれたのは今から約1万6千年前頃といわれており、縄文時代は約2,400年前まで続きました(諸説あります)。
その後、縄文土器と同じ素焼きの器である『弥生土器』から、古墳時代の5世紀頃に朝鮮半島から伝わった焼成技術により、『須恵器』の誕生へと続きます。野焼きのような低温で焼かれていた土器から、高温となる窯で焼かれる焼物へと変わっていったのです。
 
飛鳥時代になると釉薬を使った焼物である『陶器』が登場しますが、『白磁器』が焼かれるようになったのは江戸時代になってから、佐賀県の有田が発祥です。こうして長い歴史を見てみると『白磁器』の歴史は意外にも新しく感じますね。
安土桃山時代には千利休の茶の湯の精神から、心で感じる『侘び寂び』という日本人独特の美意識が生まれ、「器を鑑賞する」という独自の文化が広まっていきました。

和食器の種類はさまざま

ひとくちに和食器といっても、その種類は実に多種多様です。
俗に『土もの』と呼ばれる陶器や、使い勝手のよい磁器のほかにも、漆器や竹、杉といった自然素材のもの、錫やガラスなど素材もさまざま。豊富な素材から選び、シーンに合わせた使い方が楽しめます。
また、季節や行事に合わせた器使いをするのは、世界的にも珍しい日本の文化です。

また、世界各国の豊かな食文化を上手に生活に取り入れている日本。最近では、歴史ある焼き物の産地でも技術やデザインの進歩は目覚ましく、洋食器とも見間違うようなモダンなものが続々と登場しています。和食だけでなく、洋食を食べるときであっても和食器を使うという、「器を使う愉しみ」が広がっています。

和食器「陶器」・「磁器」の違いは?

和食器は、大きく分けて土器・炻器・陶器・磁器の4つの種類があります。これらは、原料や釉薬の有無に加え、焼成時間の違いによって分類されています。ここでは日常的によく使われる『陶器』と『磁器』についてご紹介します。

陶器とは

陶器の原料は、粘土です。粘土を低温(1,100度から1,200度)で焼いたものが陶器と呼ばれています。陶器は「土もの」と呼ばれるように、下地となる素地は、土の色であるグレーや茶色のものが多くあります。粘土や釉薬の種類と焼成方法の違いによって多彩な色に焼きあがりますが、ほっこりした温かみのある器が多く、和食器ならではの質感が楽しめます。

磁器とは

磁器は、陶石と呼ばれる石を砕いた粉が原料からできています。高温(1,300度から1,400度)で焼成されるため、白くて硬く、指で弾くと金属のような硬く澄んだ音がします。光を通さない陶器と比べ、光を通す性質を持ちますが、陶器と比べて割れたり欠けたりしにくく、丈夫で扱いやすいのが大きな特徴です。
白い生地に美しい絵付けが施されているものが多くあります。食器の用途以外にも絵皿として飾られたり装飾品として扱われたりしているものも見かけます。

和食器ならではの面白さ

和食器には洋食器にはない、和食器ならではの考え方があります。

聞きなれない属人器(ぞくじんき)ということば

家庭で使っている箸や茶わん、湯呑みなどを思い浮かべてみてください。箸や器に「自分専用」と決められたものがありませんか。
ファミリー世帯であれば、お父さん専用のもの、お母さん専用のもの、子ども専用のものがあるかもしれません。このように器を特定の人が使うことを『属人器』(ぞくじんき)と呼びます。
洋食器の場合は、基本的に個人ごとの区別はありませんので、これも和食器ならではの面白さの1つといえます。

メニュー専用の器がある

和食の基本となるごはんとお味噌汁。白米はご飯茶わん(茶わん)に、お味噌汁は汁椀にそれぞれよそっていることと思います。
このように、ごはん専用の器、お味噌汁専用の器が決まっていることも和食器の大きな特徴です。さらに面白いのは、磁器で作られていることの多い飯碗(めしわん)の『碗』は石へん、汁椀(しるわん)の『椀』は木へんからなっています。

同じ『おわん』でも、磁器の飯碗は石が原料であり、汁椀は木から作られていることから、漢字まで使い分けられているのです。和食器は本当に奥深いものと改めて感じます。
ほかにも、しょうゆ専用の容器である醤油さし、お酒を楽しむためのとっくりや、おちょこ、ぐい吞みなど酒器と呼ばれるものもあります。こうした専用器が多くあることから、和食器の形はさまざまで種類も豊富、集める楽しみや使う楽しみが尽きません。

和食器のテーブルコーディネートの基本

和食器のサイズについて

和食器のサイズは1寸、2寸と数える「尺貫法」が多く使われます。
1寸は3.03cmです。また、10寸を1尺とするので1尺は約30.3cmとなり、『尺皿』と呼ばれる皿は約30cmの大きさです。基本的に、「1寸は3cm」と覚えていれば計算しやすくなります。

和食器のサイズを分類すると、
・5寸(約15cm)以下の小ぶりのものは小皿(その中でも特に小さいものは豆皿、手塩皿)
・5~6寸(約15~18cm)のものを取り皿や銘々皿
・6~8寸(約18~24cm)のものを中皿
・それ以上のものを大皿や、尺皿
と呼んで区別しています。

5寸以下の手塩皿は、お寿司やお刺身のしょうゆ皿として使割れることが多いです。
最近は豆皿をコレクションしている人も多く、見ているだけでも楽しい気分になれますね。

「皿」と「鉢」の違いは?

種類の多い和食器ですが、器の大きさだけでなく深さによって『皿』と『鉢』に分けられます。
浅くフラットな形をしたものを皿、縁に立ち上がりがあるものを鉢と呼びます。お料理の種類や汁の有無で使い分けられています。

また、鉢と呼ばれるものの中でも、浅めのものは平鉢や浅鉢、深さのあるものを盛鉢、深鉢と呼び方に違いがあるほか、大きさによって5寸鉢、7寸鉢などと呼ばれています。
初めて聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、慣れてしまうと大きさと見た目のイメージがしやすくなります。

食卓の名脇役、箸置き

皿や鉢のほかにも丼などがあり、食卓の主役となる器の大きさや形は多くさまざまですが、忘れてはならないのが食卓を彩るアクセサリー。その代表的なものが箸置きです。

私たちの生活に根差した箸ですが、意外と使われていないのが箸置き。箸置きは、箸先がテーブルにつかないという衛生面のこともありますが、食卓のアクセントとしてぜひ取り入れてほしいと思います。

豆皿と同じように、色や形が豊富で遊び心いっぱいな箸置き。食卓に季節感や話題をもたらしてくれる存在です。
洗うのが面倒という理由で箸置きを使わない方も多いでしょう。しかし、お皿の縁と縁に横渡しに箸を置くことを『渡し橋』といい、気づかないうちにマナー違反をしている場合もあります。正しい箸の持ち方とともに、日本の文化としても箸置きを使ってみてほしいと思います。

和食器の選び方

和食器の種類は実に多種多様で、素材のほか色や形、絵柄や文様も豊富な点が魅力です。とはいえ、欲しいものをすべてそろえるわけにはいきませんよね。

そこで考えたいのが一つの器を多様な用途で使う「一器多様」です。1つの器を何通りにも使えるような器の買い方をしたいものです。
お気に入りの器に出会ったら、1つの器を1つのメニュー専用にするのではなくさまざまなお料理に使いこなすことを考えてみてください。たまには花器として使うのもアイデアの1つです。

また、毎日使っても飽きがこないこと、使い心地のよい器であることも大切です。できれば流行や人気に左右されず、自分の目で見て手に取って、重さや質感など十分に納得できるものを探してみてください。

和食器の配置のポイント

和食の基本は一汁三菜

和食の基本は、ごはん、汁もののほか、主菜、副菜、副々菜から成る一汁三菜です。一汁三菜の配置には決まりがあります。

茶わんと汁わんの正しい置き方

意外と知られていないのが、茶わんと汁わんの正しい置き方。知っているようでいざとなると迷ってしまうこともあるようです。
正しくは左にごはん、右に汁ものを置くのが正解。単なる食べやすさだけでなく、『左上位』といった日本古来の考え方が由来しています。大切な主食である米を位の高い左側に配置するという理由があったのです。「ごはんは左、汁ものは右」と覚えるといいですね。

箸は横置きに

箸だけを使って食事をするのは日本独自の食文化です。それだけでなく食事用のほか、調理用、取分け用など箸を使い分けていることも日本ならではの伝統です。
和・洋ミックスのコーディネートで、ナイフやフォークと一緒であれば箸の縦置きも構いません。しかし、和食で箸のみをセッティングする場合は茶わんと汁わんの手前に横置きに置くのが正解です。

和食器のコーディネートを楽しむポイント

種類が豊富すぎることから、難しいといわれているのが和食器のコーディネート。難しいことをいえばたくさんの決まりやコツがあって、プロでも悩むことがあるほどです。決まりを言い出したらキリがないので、ここではご家庭で楽しめるような内容を紹介したいと思います。

お料理に合わせた器選び

まず大切なのは、料理と器を生かすこと。納得して手にした器ですから、料理と調和し、料理が映えていることが大切です。食器の組み合わせは無限ですし、お気に入りの器は使ってこそです。

難しく考えず、それぞれのライフスタイルや感性に合わせて気軽に楽しむこと、お料理と器がマッチして食卓を豊かに彩ることを第一に考えてみてください。

ぜひ楽しみたい季節感

テーブルコーディネートを楽しむうえで忘れてほしくないのが季節の演出です。季節感を取り入れることで食卓の変化を楽しむこともできます。

桜や菊など季節の花をかたどったもの、桜の表現としてピンク色を使ったもの、絵付けで自然や季節の風物詩を描いたものなど、和食器には季節感が溢れています。食卓の上で視覚的に季節を感じ、おいしい旬のものを召し上がってくださいね。

和食器を楽しむならキッチン設備にこだわりを

テーブルコーディネートを楽しみたい人は、住まいを選ぶ際は以下の点にこだわってみましょう。

キッチンまわりの収納のポイント

キッチンの収納に限ったことではありませんが、収納の基本は「使いたいものを、使いたい場所にまとめて収納しておくこと」です。

キッチンでいえば、完成したお料理をすぐに盛り付けられるように食器類が近くにあることは大切ですし、テーブルクロスやランチョンマットはダイニングテーブルの近くに収納しましょう。

また、箸置きやカトラリーレスト(ナイフやフォークを置くもの)なども取り出しやすい場所にあるのがよいでしょう。
注意したいポイントは和食器の収納スペース。和食器は多種多様な楽しみがある分、それぞれの形や大きさの関係で重ねて収納できないことも多いのです。
収納の際は、まず自分が持っている道具の量や、それを使いたい場所を考えましょう。そして、何をどこに、どれだけの量を収納するのか、事前に収納計画をたてます。

ゆったりとテーブルが置けるダイニング

テーブルコーディネートを楽しむなら、ダイニングにはゆったりとテーブルを配置したいもの。家族の人数に合わせたテーブルのサイズを考えます。まず、ランチョンマットなどの上に食器などを置く個人のスペース(パーソナルスペース)が必要です。
さらにキャンドルやテーブルフラワー、大皿料理を置くなどする共有のパブリックスペースがあるとテーブルコーディネートが断然楽しくなります。
人数に合わせた最低サイズに、プラスアルファの広さがあるテーブルをゆったり置けるスペースが確保されたダイニングが理想です。

まとめ

お料理の味を楽しむだけでなく、目でも食事を楽しむことができるのがテーブルコーディネートの楽しさです。
和食器については、まだまだ書ききれないほど奥が深いものです。今後も暮らし方や食生活の変化に合わせて使い方も変化していくでしょう。

美食家であった北大路魯山人は「器は料理の着物」という有名な言葉を残しています。使い心地がよいもの、お料理が引き立つ器を選ぶことが、楽しいコーディネートへの第一歩です。
お気に入りの器においしいお料理が盛り付けられること、そしてなによりも楽しむことです。今回の記事が、これからの器選びや器使いに役立つことを願っています。

中西まゆみ食空間コーディネーター

テーブルコーディネートのほか、紅茶やチーズなど食に関することを中心に地元北海道の他、東京銀座でもレッスンを行っています。中でも人気なのがアフタヌーンティーレッスンです。テーブルコーディネートのコンテストでは優勝経験のほか受賞多数。メディアへの出演や、ブライダル広告のコーディネート、過去には横浜西洋館の装飾も担当。WEBライターとしても活動しています。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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