あでやかな衣装を身にまとい、女性の美しさや強さを表現するベリーダンス。踊りには、中東地域の歴史や文化も色濃く表れ、今や日本でも幅広い年代に愛好者が広がっています。
最近ではテレビドラマでも取り上げられ、話題に。今回は、そんなベリーダンスの歴史から楽しみ方まで、ダンサーの声を交えてご紹介します。
古代までさかのぼるベリーダンスの歴史
ベリーダンスというと、誰もが思い浮かべるのは中東・アラブの世界。肌を露出した衣装も印象的です。少し踏み込んで考えると、イスラム教では、女性は肌の露出を制限されているのになぜ? と不思議に思うかもしれませんが、その起源は各地にイスラム教が普及する前までさかのぼります。古代エジプトで生まれ発展したといわれ、子孫繁栄や豊穣祈願の踊りとして受け継がれてきました。厳格なイスラム教下では制限を受けつつも、現在では比較的寛容なエジプト、トルコを中心に、世界各国で広く受け入れられています。
ベリーダンスの美しさは多くの人を魅了し、やがて日本へ
エンターテイメントの本場、米国でもベリーダンスは人気です。発祥から長いときを経て、1893年に開催されたシカゴ万国博覧会で注目を浴び、その後、米国のフェミニストたちに女性の美しさ、神秘性を最も表現できる踊りだと評されました。ちなみにベリー(belly)は英語で「おなか」という意味です。
そして日本で一大ブームを迎えたのは、2005~2010年のこと。習い事が盛んな日本で、フラメンコやフラダンスなどがすでにブームとなっていたところにベリーダンスが登場し、ダンスの一分野として定着しました。
ベリーダンスの多彩なスタイル
ベリーダンスと一言でいっても、いくつかの種類があります。基本となるのは、オリエンタルと呼ばれるスタイルで、エジプシャン・スタイル、ターキッシュ・スタイルの2つに分けられます。エジプシャン・スタイルは、基本的には素足で、細かい仕草を重視した優美な踊り。日本ではこちらがよく踊られています。一方、ターキッシュ・スタイルは、アクロバティックな振り付けもあり、ダイナミックな動きが特徴です。
自由なセンスが光るトライバル・フュージョン
米国で独自の発展を遂げる中では、トライバルやフュージョンという新スタイルも生み出されました。トライバルは、オリエンタルに他民族舞踊の要素やモダン音楽を融合させたもので、これをさらに現代的に変化させた踊りがフュージョンです。ジャズ、バレエ、ヒップホップなど、さまざまな踊りが取り入れられ、衣装も自由さが増しています。
ベリーダンサーの素顔、美の秘訣
スタイルが進化しながらも、古代から踊り続けられているベリーダンス。私が初めて近くで見たのは約7年前です。中東料理を楽しめるレストランで、肌の露出にドキドキしつつも、ダンサーの表情や輝きに魅せられました。実際に、どのような方がベリーダンスを踊っているのでしょうか? 理想の体形とは? 私が親しくしているダンサーお二人に、お話を聞いてみました。
普段の仕事と違う自分に
通常、レストランでショーが行われるのは週末や夜。出演するすべてのダンサーがベリーダンスを専業としているわけではなく、他の仕事と二足のわらじを履く人もいます。
プロダンサーShamさんもその一人。昼間はエネルギー関連の仕事で、日本全国の現場を飛び回っています。ベリーダンスを始めた理由を聞くと、「仕事にのめり込み過ぎたので、自分の中でバランスを取るため」とのこと。「いつもと違う自分を楽しみたい」「変わりたい」という思いがきっかけで始めた人は多いのかもしれませんね。
筋トレに肌のケア…美容は努力!
ダンスにはそれぞれに適した体形がありますが、ベリーダンスの場合、豊穣祈願という目的から、エジプトなどでは豊満で貫録のあるダンサーも目立ちます。一方、日本ではスリムなダンサーが多い印象。プロダンサーはるかさんによると、「女性らしさを表すためにも、胸とお尻などメリハリのある体形が好ましいですが、ふくよかでも、細くても本人が良いと思えばOK」との答えでした。
つまり体形には寛容…とはいうものの、おなかやお尻の筋力トレーニングを行う、筋肉を維持するたんぱく質を多く取る、肌のケアも怠らないなど、皆さんプロとしての自己管理に日々努めています。
ロングヘアのキープも楽じゃない
ベリーダンスといえば、美しいロングヘアも特徴の1つ。長さは胸くらいまであれば十分ですが、髪を使う振りや技もあり、大切なアイテムです。となれば、やはり美しく保たなければなりません。はるかさんの場合は、「傷まないように、ドライヤーは温度よりも風量で選ぶ」とのことでした。
異国情緒あふれるレストランでベリーダンスを見よう
異国の文化に敬意を払い、美の追求にも余念がないダンサーたち。そんな彼女たちの踊りを、ぜひ一度、生で鑑賞してみませんか。
近年は大きなダンスショーやコンペティションが頻繁に行われ、海外からスターダンサーが来日することも珍しくありませんが、気軽に楽しむならレストランでのショーがおすすめです。
エキゾチックな店内で、中東料理を楽しみながらショーを見られるレストランは日本全国にあります。中でも、やはり数が多いのは東京都。女性客が多い傾向がですが、男性の姿も見られます。
はるかさんからは「まずは雰囲気を楽しんで」とメッセージ。また、ベリーダンスを習っている方には、「振り付けだけではなく、お客さまとのコミュニケーションを見てほしい。アイコンタクト、手拍子を求める、フロアに誘って踊る、などプロならではの技が光ります」とアドバイスがありました。
ショーを楽しむためのコツ
ここで、レストランでベリーダンスのショーを楽しむためのコツをいくつかご紹介しましょう。独特で面白い慣習もあり、知っていればさらに盛り上がれること間違いなしです。
開催時間やチャージは要チェック
ディナータイムに20分程度のショーが2回行われます。食事代のみで見られる、500~1,000円程度のチャージがあるなど、システムは店によって異なるため、事前に時間や費用を確認しましょう。
まずは、中東料理に舌鼓
いざ、店内に入るとスパイシーな香り、豪華なペルシャ絨毯や装飾を前に、気持ちが盛り上がります。ケバブ(焼いた肉)は羊肉、鶏肉、牛肉から選べる店もあり、サフランライスやナンがベストマッチ。ショーの時間より早めに入り、ある程度食べ終えてからショーを見る方が、食事にも鑑賞にも余裕が持てておすすめです。
ディスコタイムで一緒にダンス!
ショーのスタイルは、舞台で行う大きめのレストランもありますが、お客さまが座るテーブルの間で踊る方が一般的です。異国の音楽とともにダンサーが登場すると、一瞬で非日常にいざなわれることでしょう。お客さまも参加して踊るディスコタイムが設けられている場合が多く、気持ちが乗ってきたら一緒に踊るのはもちろん、手拍子するだけでも楽しさが増しますね。
歓喜の叫びで盛り上がりは最高潮に
鑑賞中、突然客席から「レレレレー!」と声が上がるときもありますが、びっくりしなくて大丈夫。これはザガリートと呼ばれる叫びで、喜びや興奮を表し、「注目してー!」という意味です。そんな声が掛かったときのダンサーの反応も、鑑賞の楽しみの1つです。
香りにドキッ! 細やかな工夫もお見逃しなく
私は、ベリーダンサーの後ろを歩いたとき、思わず「あ、いい香り」とつぶやいたことがあります。後で聞いてみると、ベールに香水を振りかけておいたからとのこと。演出への細かな配慮が感じられました。
また、身にまとっている衣装は、本場から輸入した手縫いの物もあり、手芸技にも注目したいところです。
最後に注意事項を1つ。ダンサーへチップを渡す習慣もありますが、その際は衣装を引っ張らない、体に触れないなどのマナーに気を付け、スマートな振る舞いを心掛けましょう。
ベリーダンスが見られるレストラン
非日常に連れていってくれる空間、料理、ショーに大満足! 数あるレストランの中から、そんなひとときを過ごせる3店をご紹介します。
店舗名:Zakuro
所在地:東京都荒川区西日暮里3-13-2 スタジオ谷中1階
7,000円分くらいの内容が供される「食べきれないコース」2,200円が名物。店長のキャラクターもユニーク。
https://nippori-zakuro.com/
店舗名:BolBol
所在地:東京都杉並区高円寺北3-2-15-2階
ショーの日はぜひ予約を。
http://www.bolbol.jp/index.html
店舗名:Cafe BOHEMIA
所在地:東京都渋谷区宇田川町36-22 ノア渋谷Part2 1階
とてもおしゃれな雰囲気、テラス席もおすすめ。ショーはステージを使用。
https://www.udagawacafe.com/cafe-bohemia/
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ベリーダンスを習って内側から美しく
読者の方の中には、ベリーダンスを習ってみたいと思っている方もいるかもしれませんね。実は、私も美しさに憧れて、少しだけ習ったことがあります。それをきっかけに、「美しさとは何か」を自分なりに考え、日常でも意識するようになりました。
始める前には、何事も不安に思うもの。そこで、よくある疑問についての答えから習うメリットまでをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
ベリーダンスを始めてみよう
専門スタジオの他、スポーツクラブ、カルチャーセンターなど、その入り口は全国各地にたくさんあります。
年齢問わず、思い立ったが始めどき
子どもからご高齢の方まで幅広い年齢層の方が楽しんでいます。現在の中心年齢層は、ブーム時に始めた30~40代ですが、50代以上のダンサーたちも美しく、引けを取りません。初めから本格的にはちょっと…という場合は、おなかや腰回りを鍛えるベリーエクササイズがおすすめです。
ダンス経験も必要ありません
ベリーダンスはダンス経験がなくても始めやすい踊りです。初心者の場合、運動量もそれほど多くありません。はるかさんによると、まずは90度お辞儀ができるくらいの柔軟性があればOKとのことで、意外に身体能力的ハードルは低めです。
レッスンでもおなかは出すの?
ベリーダンス用の練習着もありますが、最初はヨガウエアやスエットなど動きやすい服装で参加している方も。腰に着けるベリーダンスベルト、ヒップスカーフは貸してもらえる教室も多く、ネット通販では1,000円程度から選べます。
ポイントの「おなか」ですが、出さなくても問題ありません。ただ出した方が、体の動きが把握しやすいというメリットがあります。
体への負担は?
私が当時初心者として心配したのは、腰を回す動きで腰や膝を傷めないかということでした。しかしこれは、レッスン前と後にストレッチをしっかり行うことでリスクを減らせます。先生の指示に従い、適切に行いましょう。
慣れてきたら、仲間と披露
ある程度、振り付けを覚えると、人前で踊ってみたくなってくるもの。そのときは、「ハフラ」と呼ばれる小規模な集まりに参加してはいかがでしょうか? 仲間内で盛り上がれる楽しい場です。レベルアップには、踊る場数が大切。気軽に参加してみましょう。
「自分が好き」ベリーダンスはそんな思いを高めてくれる
運動量も柔軟性もそれほど問われないとはいえ、ベリーダンスは体中の筋肉を使う全身運動。インナーマッスルや内臓にも働きかけるため、体の内側からもきれいになれます。
そして何より私がベリーダンスを見ていて「いいな」と感じるのは、踊っているときのダンサーの表情がとてもすてきなこと。練習やショーを重ねるうちに自分を大切にし、愛する気持ちが生まれてくるそうで、ダンサーは皆さん、踊っている自分が大好き。欧米に比べ日本人の自己肯定感の低さが指摘されていますが、踊りながら自己肯定感を高められるなんて、素晴らしいと思いませんか。
美、健康、そして自信。私たちが人生を歩む上で必要な多くを、ベリーダンスは与えてくれるのかもしれません。興味を持ったら行動あるのみ。異国情緒あふれるベリーダンスの世界の扉を、今こそ開けてみましょう。
取材協力:Astraia、Studio Libra
トップ画像 © はるか