東京・日本橋は江戸時代から商業や文化の中心地として栄えてきました。数多くの浮世絵にも描かれた日本橋は、今では進化する街として注目を集めています。実際に訪れてみると、200年以上続く和紙専門店の近くに近代的な高層ビルが立ち並ぶなど、伝統と現代がしっかり共存している日本橋の魅力をあちらこちらで見ることができます。
今回は、文学好きな現役女子大生の私が、「大人の街」のイメージがある日本橋を実際に歩いてみて、その魅力や温かさを文豪、伝統、文化、食といった切り口でご紹介していきます。
文豪ゆかりの場所が残る東京・日本橋周辺
東京の日本橋周辺には文豪ゆかりの場所が多く残っています。
多くの文化人が、小説や戯曲などさまざまな作品のなかに、日本橋周辺の情景を描きました。その一人、夏目漱石は、黄八丈(きはちじょう)や縮面(ちりめん)を買いに越後屋(のちの三越)に来ていたことから、「日本橋三越本店」の本館屋上には漱石お気に入りの場所として記念碑が建立されています。
三越本店の屋上庭園「日本橋庭園」は、夏目漱石の記念碑のほかにも、芝生、水辺、三囲神社があります。まさに都会のオアシスのようなスポットで、気軽に散策も楽しめます。放し飼いでなければペットの同伴もできるので、リフレッシュしたい時には最適の場所ともいえます。
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文学に浸れるブックカフェ「café 黒澤文庫」
そんな日本橋におしゃれなブックカフェがあるのをご存知ですか?
日本橋三越から徒歩10ほどのところある日本橋高島屋S.C。新館4階に本と珈琲とインクの匂いをコンセプトにしたどこか懐かしさを感じるというカフェがあります。文豪にゆかりのある街のブックカフェ、なんだかロマンチックな感じがします。本好きの私としては外せないお店でした。店内には穏やかなBGM。明る過ぎない照明に心落ち着いた私は、ストロベリーチーズクリームのシフォンケーキとアイスティーを注文しました。
黒澤文庫では、それぞれの席ごとにコンセプトがあり、並ぶ本が違っています。私が当日座った席はアートがコンセプトなのか、レオナルドダヴィンチや映画、文学関連の本が並べられていました。隣の席をちらりと見ると、タイトルに「ゴリラ」が付くものばかり。どうやらゴリラがコンセプトになっていたようです。
もちろん自席に並ぶ本のみならず、店内の本は全て読むことができ、自分で本を持ち込むこともできます。座席を利用できる時間は、土日・祝が基本2時間です。ただし、空いているなど席に余裕がある日は制限がないそうですので、そんな日は心ゆくまでこの素敵なカフェで文学に浸ることができそうです。
スイーツと一杯一杯丁寧に入れる珈琲で癒しのひと時
本を眺めているとすぐに注文の品が運ばれてきました。
黒澤文庫は店内の雰囲気や選書が魅力的なだけではありません。珈琲は一杯一杯丁寧にハンドドリップしていて、スイーツの味、食器などどこをとっても素敵です。シフォンケーキは“フワッ”としているのに食べ応えがあり、ミルクを感じる甘すぎないクリームといちごの甘さが絶妙です。アイスティーをビーカーグラスで飲める遊び心も楽しいです。文豪の歩いた街のブックカフェで癒しのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
店舗名: café 黒澤文庫 -本と珈琲とインクの匂い-
所在地:東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋S.C. 新館4階
アクセス:東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」直結 都営地下鉄浅草線「日本橋駅」徒歩4分
営業時間:10:30~20:00
ビルの合間に鎮座する伝統ある神社「福徳神社」
「日本橋のお稲荷様」として行き交う人々に尊ばれている「福徳神社」があります。
この日もビジネスマンや家族連れ、老若男女問わず途切れることなく神社に入っていきます。商業ビルのすぐ裏手にあり、昔と今が同居する……その対比が不思議な感じです。日本橋室町の再開発が進む中、福徳神社は4度の遷座を経て2014年に現在の新社殿が完成しました。神社の歴史は古く、貞観年間(859〜876年より日本橋に鎮座する歴史ある神社で、徳川家康公も参詣したという記録も残っています。
現代の世相を反映した新しい「祈願」や「おはらい」も提供
歴史ある神社ですが、現代的な要素も持ち合わせています。例えば、「あなたは何度“推し”に逢えるだろうか」と題した鑑賞券当選の祈願。お気に入りのアイドルなど、いわゆる“推し”のライブやコンサートのチケット入手のためお参りする人が増えていることから、御守「富籤守(とみくじまもり)」の授与も行っています。「ランチタイムdeオハライ」(要予約)と休憩時間など20分程度の短い時間でおはらいができるユニークな取り組みもあります。伝統を生かしつつ、時々の世相を取り入れてきた福徳神社。これからも日本橋を見守るシンボルとして多くに人々に愛されていくことでしょう。
神社名:福徳神社
所在地:東京都中央区日本橋室町2-4-14
アクセス:JR総武快速線「新日本橋駅」A6出口より徒歩1分
東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前駅」A6出口より徒歩1分
日本文化「和紙」の魅力を味わい尽くす「小津和紙」
歴史あるものと現代がうまく融合している街・日本橋には、まだまだ日本の伝統を受け継ぎ、守り続けているお店が少なくありません。そのうちの1軒が和紙専門店「小津和紙」です。創業は1653年(承応2年)、小津清左衛門長弘が、大伝馬町(現 本社所在地)に紙問屋「小津清左衛門店」を創業したのが始まりです。
小津和紙では、全国の手すき和紙を中心に、日本画、水墨画、仏画、写経用紙なども扱っています。さらに、手すき和紙の体験工房、ギャラリー、文化教室、小津和紙の歴史を紹介する小津史料館や小津和紙展示室もあり、日本の伝統と和紙の魅力を伝える場所にもなっています。手すき和紙体験工房では、伝統的な手すき和紙の制作体験・工程の実演などが行われます。予約が確実ですが、当日でも空きがある場合は体験可能です。和紙体験は1枚800円からと手軽に楽しめるのがうれしいです。
季節ごとにさまざまな展示があるギャラリー
私が小津和紙を訪れたとき、ギャラリーではカレンダーの原画展を開催していました。カレンダーに印刷しきれなかった細やかな色合いや、絵具の光を感じうっとりし、和紙に描くことで生まれる柔らかな雰囲気がとても素敵でした。原画展の作品が一番印象に残ったので、原画展の作品が載せられている和紙カレンダーの余りからリサイクルして作られた和紙ファイルを購入しました。
ギャラリー前のロビーには、岩絵具で巨大な和紙に描かれた日本画がありますので、ぜひチェックしてみてください。私は初めて見る大きな和紙と、絵具の鮮やかさに圧倒されました。 期間ごとにさまざまな展示をしているので、気になる方はぜひ足を運んでみではいかがでしょうか。
店舗名:小津和紙
所在地:東京都中央区日本橋本町3-6-2 小津本館ビル
アクセス:JR総武線快速「新日本橋駅」5番出口より徒歩2分 東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前駅」A5出口より徒歩7分
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日曜日・年末年始
日本橋周辺で「食」を楽しむ スイーツ店2選
ここまで日本橋を紹介してきましたが、日本橋周辺も見どころがたくさんあります。そのなかでも私がお気に入りの日本橋周辺のお菓子屋さんをご紹介します。
お茶を使ったスイーツが楽しめる人形町「森乃園」
まず、東京メトロの日比谷線、都営地下鉄の浅草線が乗り入れている人形町駅から徒歩1分にある「森乃園甘味処」です。人形町駅からすぐなのですが、私は日本橋駅から歩いて下町を感じられる人形町通りを散策しながらお店に向かうのがお気に入りです。
森乃園は大正3年(1914年)創業以来、ほうじ茶を自家焙煎していて、1階の店舗で買い物も楽しめます。私はこの日「ほうじ茶ソフト」をいただきました。他にもほうじ茶パフェや抹茶パフェなど、お茶屋ならではの美味しい甘味と、昼は食事もできるようになっています。
店舗名:森乃園甘味処
所在地:東京都中央区日本橋人形町2-4-9 2階
アクセス:東京メトロ日比谷線・地下鉄都営浅草線「人形町駅」より徒歩1分
東京メトロ半蔵門線「水天宮前駅」より徒歩2分
営業時間:13:00~17:45(土日・祝は12:00~) 年中無休(年末年始除く)
街歩きが楽しい、日本橋
歴史ある日本橋の街の変化と柔軟さを垣間見て、日本橋での暮らしが身近に感じられました。伝統と現代が交差する街で、まだまだ楽しめる場所が増えていく予感がします。東京駅や銀座などからも近く、交通のアクセスも抜群な日本橋。ぜひ皆さんの目と足で感じてみてはいかがでしょうか。