TOP データラインアップ [調査研究レポート]在留外国人の居住実態と日本人の意識に関する調査 - 右傾化する日本で寛容を問い直す
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2025年末時点で、日本に住む外国人の人口は約412万人に達し過去最高を更新しました。10年前と比べて85%増と2倍に近い勢いです。背景には、言うまでもなく日本の構造的な人手不足があります。多くの国内産業の現場は、すでに外国人材なしには継続し得ないのが現実です。一方で増え続ける外国人に対して、日本人の間にさまざまな不安や不満も噴出し、その声は現実の政治にも強い影響を与えるまでに膨らんでいることも事実です。
しかし、それら外国人に向けられる視線は、外国人の実態に基づくものでしょうか。実は、私たちは、外国人の実態をよく分かっていません。また、一般的な日本人が外国人に対してどのように思っているのか、外国人増加に対する賛否の差はどこにあるのかもよく分かっていません。
今回の調査研究プロジェクトは、外国人問題を印象論・感情論から解放し、「外国人の居住の実態」と「日本人の外国人に対する意識」という客観的なファクトを明らかにし、冷静な議論の土俵を作り出すことに寄与したいと考えています。
2026/09/29
日本における外国人受け入れは、おそらく政府の確信犯的ななし崩し戦略によって進められてきた。歴代政権は長く「移民政策は取らない」と言いながら、労働力不足に悩む産業界の要請に応じて技能実習や特定技能の受け入れを拡大し、少子化に直面する教育機関の経営を支えるかたちで留学生の受け入れを増やしてきた。しかし公式には「移民政策は取らない」という立場のため、外国人の社会統合策について多くを語ることが出来なかった。社会統合とは、国籍や文化が異なる人々を単なる出稼ぎ労働者や一時的な居住者として扱うのではなく、地域社会の対等な構成員として迎え入れ、社会のあらゆる場面に参加できるようにするプロセスである。本報告書に掲載した一橋大学の清水千弘教授の論文によれば、日本語教育など移民の社会統合にかける予算は諸外国に比べると非常に少ない。日本社会はすでに外国人なしには成り立ちにくくなっているにもかかわらず、彼らをどのような隣人として受け入れるのかについて、国民的な議論や合意形成は追いついていないと言わざるをえない。
その結果、外国人問題をめぐる議論は、受け入れるべきか、拒むべきかという「べき論」に傾きやすい。受け入れを主張する側は、人口動態からの必要性で語り、受け入れに否定的な側は、雇用や賃金、社会保障、治安、日本文化や社会秩序への不安から語る。どちらの立場にもそれぞれの言い分はあるだろう。しかし、その議論の多くは、現に日本で暮らしている外国人の生活の実態からは離れがちだ。また、どちらの立場に立つとしても、すでに400万人以上を受け入れた外国人に対しては、人権の観点から外国人にも相応かつ正当な権利を保障する責任がある。
本当に必要なのは、すでに外国人と共に暮らす社会になっているという現実を直視し、その実態を踏まえた議論をすることである。外国人はどのように住み、どのように働き、学び、地域社会とどのように関わり、何を日本社会の魅力として感じているのか、何に困っているのか。またそれと同時に、日本人住民は彼らをどのように見ており、受け入れに対する賛否の対立は、何によって生じているのか。この基礎的な理解の共有がないままでは、外国人受け入れをめぐる議論は、SNS上で飛び交う個人的な価値観や思想、断片的な印象や都合のよい切り取りによる言説のあいだを行き来するだけになる。
文:LIFULL HOME'S 総研所長 島原万丈
報告書全体(36.7MB)
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