『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.2

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。リノベ魂あふれるオフィスもバッチリご紹介します!


relife+連載2 オフィス・エコー 江本 響

vol.2 オフィス・エコー 代表 江本 響さん

profile

1974年 神奈川県生まれ千葉県育ち
1997年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1999年 株式会社電通テック入社。展示会や商品発表会などのイベントの企画・制作・運営やショールーム・展示場・店舗開発を手掛ける。この頃一級建築士の資格を取得
2007年 株式会社コスモスモア入社
2008年7月よりオフィス・エコーの活動を本格的に開始
http://www.office-echo.com/

2013年2月に日本橋小網町から台東区蔵前に事務所を移転した江本さん。「引っ越して何か変わりましたか?」と尋ねると「すごい変わりました。いつも誰かしらスタッフがいて、コーヒーのいい香りがするのでホッとします」。

コーヒースタンド「SOL'S COFFEE」を併設したユニークなオフィス。スタンドにはビジネスマンから小さい子連れの主婦、ご近所さんらしき人まで様々なお客さんがひっきりなしにやってくる。

relife+2 オフィス・エコーのオフィス

Now
「理想と現実のギャップをネガティブにならずに埋めていきたい」


-なぜオフィスの引っ越しを?
以前の事務所はビルの3階だったんですが、ふと1階で路面の物件ってどうなの?と興味本位でネットで見てたら、たまたま今の物件が見つかって。以前は事務所だったみたいです。家賃も手頃だし立地もいい。古そうな建物だからリノベーションしたら面白そうだなあと。築年数?不明です(笑)-依頼に来る客さんの傾向ってありますか?
傾向というより、お客さんのこだわりや「こうしたい」っていうものを引き出しながらやっているうちに、それを見た別のお客さんが「あんな風にしたい」と言ってきて、ということの積み重ねで今に至る、という感じです。明確なイメージを持っているお客さんが多くなってきて、業界自体が成熟してきいてるなっていうことも感じますね。-営業活動は何かされているんですか?
HP以外はとくに宣伝とかしていないんですが、おかげさまで途切れずにリノベーションの依頼があります。友人から「何でもいいから週に1回はブログをアップしろ」とアドバイスされて、その通りにしてるんですが、依頼にくるお客さんにも、結構ブログを見ていただいてるようです。-ヒアリングの際、心がけていることはありますか?
お客さんの要望はひとまず全部聞きます。でも理想と現実のギャップは必ず出てきてしまうので、「予算がないからこれしかできない」とネガティブに捉えずに、知恵を使って楽しみながらギャップを埋めるようにしていくっていうことは心がけていますね。とはいっても、そううまくいかない場合もあります(笑)-設備機器のリユースをする場合もあるとか
マンションのモデルルームで使われていたキッチンやユニットバスのリユースは過去に何度かやったことがあります。ただ、サイズの問題等いろいろ制約があって取り付け出来ないケースもあるので、うまくマッチするものがある場合だけなんですが。-最近の仕事で印象的だったのは?
渋谷にある「ポータル」というシェアオフィスの仕事ですね。いわゆるコワーキングスペースで、シェアハウスを手掛けるひつじ不動産のオフィスも兼ねているんですが、広いし、住宅とは違う刺激があって楽しかったです。---賃貸物件のリノベも好評だそうですね
リズムという会社さんと賃貸物件をリノベーションする仕事をしていますが、おかげさまで満室男って呼ばれてます(笑)。関わった物件が全部満室っていうのはやっぱりうれしいですね。-仕事をしていてよかった、と感じるのはどんな時ですか?
オーナーさんが素敵に住んでくれているとやっぱりうれしいですね。自分ができるのはハコをつくるところまでで、住み方までは指定できでないですから。お客さんのセンスをうまく引き出すようなハコでありたいですね。

手前がリコーGR、奥がコダックの超広角2眼デジカメ

手前がリコーGR、奥がコダックの超広角2眼デジカメ

-仕事で愛用している道具とかありますか?
現場や竣工写真の撮影をよくするので、カメラはわりとこだわりがあるかな。リコーのGRは竣工写真をしっかり撮影する時に、現場調査なんかのときは、コダックの超広角2眼デジカメを使ってます。広角でバシバシ撮れるので気に入ってるんですが、ちょっとバッテリーの減りが早いんですよね。-この古いスイッチは?
スイッチ、好きなんですよね。解体現場とかでもつい拾ってきちゃう(笑)。事務所の中にもいろんなスイッチを取り付けてます。スイッチ

Past
「建築がイヤになって広告会社に入社。部署が変わったことで再び建築に興味を」


-建築学科に入ったのに建築に興味がなくなってしまったそうですが...
理系で、モノづくりができそうと思って建築学科を選んだのですが、いざ入ってみたら図面を書いたり1/100の模型をつくったりするばかりで、建築のリアリティを全然感じることもなく、つまらないと思ってしまって...。大学2年ぐらいから建築に興味がなくなっちゃったんですよね。ただ、モノをつくるのは好きだったので、広告をつくるというクリエイティブな仕事がしたいという理由と、あと少しミーハーだったので(笑)、広告の会社に就職しました。-モノづくりが好き、というのはご両親の影響ですか?
うーん、どうなんですかね。父は船乗りで、タンカーなどの操船をしていました。いまも水先人といって、大型船を誘導する仕事をしています。4つ上の兄が絵を描いていた影響はちょっとあるかな。

広告の会社に勤務していた頃に手掛けた展示会のブース

広告の会社に勤務していた頃に手掛けた展示会のブース

-一級建築士の資格はどのタイミングで取ったんですか?
広告会社に務めている頃、最初は営業だったんですけど、3年めぐらいから部署が異動になって、ショールームやイベントのブースをつくったりする仕事を任されるようになったんです。設営現場で触れた材料がずっしりと重たかったり、1/1スケールで空間をつくることが新鮮で楽しくて、嫌いだった建築にまた興味がわいてきて。一級建築士の資格を取ろうって思い始めたのはその頃です。家を買ったのも同じタイミングでした。-すんなり合格できたんですか?
2回めで合格しました。仕事しながら週末、予備校に通ってたんですけど、今思うと生き急いでましたね(笑)。学校が上野にあって、江東区の自宅から自転車で通ってました。東日本橋とか馬喰町あたりを通ると、古くていい感じのビルが空いてて、もったいないなあってよく思ってて。今から10年ぐらい前だから、ちょうどイースト東京に注目が集まり始めた頃ですね。ぼんやりとですけど、この辺りにいつか事務所が持てたらいいな、なんて考えてました。-イースト東京好きのルーツはそこですか?
いや、実はもっと前で。大学の入学式の日、父親に門前仲町に連れてってもらったんです。お昼に深川丼かなんか食べたんですけど、それまでは千葉県の大網って所に住んでたからすごいカルチャーショックで。深川不動のあたりとか、すごく雰囲気がいいんですよね。こういう所を通って家に帰れたら素敵だなって思ったのを覚えています。

Office、Home...
「まずは事務所を面白くして、人の出入りを多くすることからスタートしました」

日本橋小網町のオフィスではイベントなども開催していた

日本橋小網町のオフィスではイベントなども開催していた

-以前の事務所は日本橋でしたよね
広告の会社からいきなり建築っていうのも飛び過ぎかなと思って、マンションのモデルルームの設計等を手掛ける会社で1年ちょっと働いてから独立しました。2008年にオフィス・エコーとしての活動を本格的に開始するとき、人が集まる面白い事務所にしたいなと思って、日本橋に広めの物件を借りたんです。ちょうどその頃、イースト東京に注目が集まっていて「面白そうな会社だ」っていうことで取材を受けたり、イベントをやったりしているうちに、少しずつ仕事もくるようになって。今思えば順序が逆ですけどね。-実績よりもまず事務所を面白く、という戦略だった訳ですね
最初は実績がなかったからそうしたんですけどね(笑)。天井も高いし、広いキッチンもあって、気に入ってました。2階にカレー屋さんも入ってたし(笑)。ただ3階だったので、たまに荷物の運搬があるとちょっと不便だなっていうのもあって、いまのオフィスは1階の物件を選びました。-いまのお住まいもイースト東京なんですよね。
いろいろあって、27歳のときに中古の一戸建てを買って、自分で設計してリノベーションしました。買った時の築年数は22年(1980年築)だったから、建物には値段がつかなくて、土地の値段だけだから安かったです。そのときはまだ広告の会社に務めてたんですけど「これは確実にニーズがあるな」ってそのとき感じました。-電車にほとんど乗らない生活だとか
現場に行くときなんかは乗るんですけどね。とにかく満員電車が嫌いで。乗ってる人の顔がコワいですよね(笑)。電車自体は嫌いじゃないけど、満員電車だと自分が荷物になったみたいで生きた心地がしなくて。以前務めていた会社も家から近かったので、自転車で通ってました。社会人になってから電車で通勤したことってほとんどないですね。-日本の住宅について思う所があれば
空き家が社会問題になっている一方で、マンションや新築住宅の着工件数が景気の指標になっている、みたいな所に矛盾を感じますね。それに対して今すぐ自分が何か出来る訳ではないけど、いまの仕事をコツコツ続けていくことで少しずつリノベーションという暮らし方が広まって、みんなの意識がストックを生かす方向に変わっていけばいいなって思います。-建築を志す若者に言いたいことがあればお願いします
自分はドロップアウト組だったので、あまりエラそうなことは言えませんが...。例えば工事現場でアルバイトをして現場や職人さんを見ると、かなり意識が変わると思うんですよね。あと工具を買って自分で何かつくってみるとか。勉強ばっかりじゃなくて、リアルなものをつくったり触ったりっていうことを大切にしてほしいですね。

撮影/難波雄史 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子


『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/リライフプラス12『リライフプラスvol.12』(扶桑社刊)好評発売中!
http://www.amazon.co.jp/リライフプラスvol-12別冊住まいの設計/dp/4594608590

work01 マンションリノベーション@金町


事例 金町1事例 金町 2最上階、リバービュー、築浅と好条件の物件をリノベ。建具は既存のものを利用したり、既存クロスの上から塗装する等の工夫でコストを抑えた。南西側のバルコニーに面した個室の壁を取り払って広いLDKとし、床には杉足場板を使い、それに合わせたキッチンやオープン棚をオリジナルで造作。夫妻の好きなヴィンテージ感のある空間に。

所在地:東京都葛飾区
床面積:約86.37m2
築年:2004年
家族:夫婦2人
工事費:460万円(設計料込み)
撮影 山田耕司
『リライフプラスvol.7』特集「NORTH TOKYOに住もう!」にて掲載。

work02 マンションリノベーション@練馬


事例 練馬事例 練馬2仕事でドイツに滞在中、ネットを駆使して物件探しとリノベを成し遂げ、帰国後に無事入居したという男子おひとりさまの家。LDKは壁と天井を既存躯体のコンクリートとモルタルでざっくりと仕上げ、その一角に白い箱のようなベッドスペースをつくった。広々としたクロゼットやトレーニングルームを設けるなど、おひとりさまならではの贅沢な空間を満喫中!

所在地:東京都練馬区
床面積:69.60 m2
築年:1990年(購入時)
家族:本人
工事費:750万円(設計料込み)
物件価格:2300万円
撮影 鈴木賢一
『リライフプラスvol.11』特集「ふえてます!おひとりさまリノベ」にて掲載。

work03 マンションリノベーション@日本橋


事例 日本橋事例 日本橋2こちらのお宅、実は築50年超の空きビルをリノベした賃貸物件。床を土間と板張りで緩やかに分けただけのワンルームにキッチンとバス、洗面、トイレを設置し、そのままでも住める状態だったが、オーナーの了承を得て、さらに入居人が寝室パーテーションとウオークインクロゼットを設計造作した。世界中で買い求めたアンティークとしっくり馴染んで独特の雰囲気をつくり出している。

所在地:東京都中央区
専有面積:72.00m2
築年:1960年
家族:男性40代 女性30代
撮影 飯貝拓司
『リライフプラスvol.5』特集「住んじゃう?EAST東京」にて掲載。