「宅建士は仕事に困らない」「宅建をとっても需要がない」両方の意見が情報として入ってきます。実際はどうなのでしょうか?実際のところは、不動産に関わって仕事をしたいという意志があれば、宅建資格があっても活用できないということは、まずありません。そこでこの記事では、宅建士の仕事の需要について、独占業務の種類を中心に解説します。不動産業のためのキャリアアップの参考にしてください。
こんな⼈におすすめの記事
・宅建士の仕事がどんなものか知りたい
・宅建の仕事はなくならないかが不安
・宅建の資格を活かす方法が知りたい
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宅建士の資格とは?
宅建試験(宅地建物取引士試験)は、宅建士の資格を得るための国家試験です。不動産取引に関する法令や関連知識について、宅建士としてふさわしいものを身に付けているかを問われるものです。試験の概要をおさらいしましょう。
宅建士資格の概要
宅建士に合格することで、宅建士しかできない独占業務の仕事ができ、不動産会社(宅建業者)の義務としての定数を満たす宅建士として配置されることもできるようになります。
試験は年一回で、例年7月に出願して10月3週目に受験し、合格発表は11月末です。合格率は15%~17%ほどで、マークシート50問四肢択一形式で行われます。
受験資格は年齢やキャリアなど一切関係なく、ていねいに勉強を積み上げれば誰でも合格のチャンスのある試験です。試験の内容は以下です。
| 科目 | 出題数 | 内容(簡単に) |
| 権利関係 | 14問 | 民法ほか、不動産取引に関係する諸法令の知識を問われる。「このケースではこちらの権利が優先」などの出題。 |
| 法令上の制限 | 8問 | 都市計画法・建築基準法など街や土地・建物を作る際の規則を問われる。「家と家は何m空けるか」などの出題。 |
| 税その他 | 3問 | 不動産に関して収める税金の知識を問われる。「マイホームを売った時の所得税の控除」など。 |
| 宅建業法 | 20問 | 宅建士や宅建業者が消費者保護のために守るべき規則を問われる。「宅建資格のはく奪要件」などの出題。 |
| 免除科目 | 5問 | 土地建物の基礎知識や、不動産情勢の統計問題。不動産業従事者は講習を受けたうえでこの範囲を免除できる。 |
宅建士の資格で何ができる?
不動産業は土地や建物の賃貸・売買の取引のサポートが主な仕事ですが、それらの基礎知識を得られ、自信をもって仕事を進められるようになります。
不動産業界では実務に必要なため、とても需要の高い資格であることは次項で詳しく説明します。人手不足の不動産業界では、宅建が無くても応募できる求人も多いですが、就業後も宅建受験を奨励されます。
また、宅建に合格して体系的な知識が身に付くと、自身が家を売り買いしたり、借りたりする際に節税や無駄のない手続きができるメリットもあります。友人へアドバイスをしてあげると、とても喜ばれます。
そしてもっとも重要なのは、宅建士の資格者しかできない仕事があるために、それが求人の需要につながることです。
宅建士の仕事の需要の理由とは?
宅建士の仕事上の需要は、独占業務と設置義務がもっとも大きな要因です。この2つがどのようなものかをご説明します。
独占業務
宅建士のみが遂行できる独占業務とは、以下の3つです。
①重要事項の説明
②重要事項説明書(35条書面)への記名
③物件の売買または交換の契約書(37条書面)への記名
簡単に言ってしまえば、お客様に書類を読み上げることと、書類にサインを行います。拍子抜けされるかもしれません。
しかしこの業務には重要な意味があります。専門知識のある資格者が、お客さまに物件について充分な説明を行って質疑応答も受け、それを証する署名を行うことで取引の公正を保ち、消費者保護をはかるためなのです。
不動産取引が繁忙期を迎える際には、この独占業務を行う人が足りなくなることがあります。
独占業務は都道府県に登録した宅建士なら従業員でなくとも行えるため、週末宅建士のアルバイトが募集されることもあります。
設置義務(5人に1人とそうでない場合)
設置義務とは、不動産会社(宅建業者)が一定数の専任の宅建士を設置しなければならない義務のことです。この設置義務が、不動産会社の宅建士ニーズの一番の根拠となっているのではないでしょうか。
宅建業法(宅地建物取引業法)で、宅建業者は業務に従事する者の5人に1人の割合で専任の宅建士を配置する義務があります。
仮に宅建資格を持つ人の人数が定員の5人に1人だった場合、宅建士が1人退職することになれば2週間以内に後任の宅建士を補充しなければならないのです。
また、下記の場所には5人に1人の割合に関係なく、1人以上の専任の宅建士を配置しなければなりません。
- 事務所以外で継続的に業務を行う営業所・出張所
- 10区画以上の土地や建物の分譲地に設置した案内所
- 他の宅建業者の分譲地の代理・媒介のために設置した案内所
- 住宅展示場などの催事を実施する場所
※宅地建物取引業法施行規則第十五条の五の二
いずれも事務所以外で接客の可能性が生じる場所です。不動産会社はこのルールを守るために、宅建士の確保を遵守しなければなりません。
資格手当【ニーズの証明】
また、宅建所持者は資格手当として1~3万円が月額で支給されることが多いのも、需要の証しです。仮に月2万円であれば、年間で24万円、3年間で72万円もの数字になります。
出産や育児・ブランクからの復帰ができる
出産や育児ほかでブランクができた場合でも、宅建士の資格があれば実務経験と相まって、元の職場や転職先への就業がスムーズに可能となります。
上記は性別には関係はありませんが、不動産業は女性でも働きやすい側面を持つことは言えると思います。
DX時代にも強い宅建士資格
AIの普及で、専門知識を発揮する士業の中にも、社会の需要が減っていくポジションもあります。しかし宅建士の資格は時代の変化=DX(デジタル化)に関わらず、そのポジションを左右していません。
AIでは替えが効かない宅建士
そもそも接客と密接な関係がある独占業務と必置義務はAIで置換できないため、継続して求められます。
また、不動産全般の知識が将来的にAIで補完可能であったとしても、宅建士はお客さまに寄り添い、専門知識と対人スキルの組み合わせで仕事をするため、仕事がなくなりにくいのです。
なお、2024年末現在では、Chat GPTの不動産知識や日本国内の法令準拠は、まだ実用の域にない状況です。さまざまな問いに対して誤りがあったり、必要な内容が抜けていたりします。
デジタル改革関連の法改正が進んでも重要な業務は変更なし
宅建士とお客さまが対面で会う必要のないIT重説や契約書の電子化などが進んでいますが、宅建士の独占業務には変化はありません。
zoomなどのオンライン会議アプリで行うIT重説の場合、宅建士は双方の映像や音声が充分に分かる通信状態にあるかを確認したうえで、重要事項説明を行うこととされました。
設置義務についても、リモートの普及と人手不足対策から、宅建士の事務所常勤の必要性について見直しの声はありますが、専任宅建士の必要数は変更の兆しはありません。
不動産業以外でも宅建が活かせる
宅建資格は実は、不動産業界以外にもキャリア拡大の可能性を拡げてくれます。その場合、他の業界は不動産業で一度働いた人を歓迎しますが、宅建の取得がその道を拓く門戸になるのです。
不動産以外でもニーズがある理由
不動産はそれ自体の取引以外に、融資のためにその価値を見積もったり、担保にしたりなど、資産としての扱いが非常に多いです。
また、租税公課の対象にもなるため、その方面でも不動産に詳しい人材が必要になります。そのほか官公庁などの行政では、市民の福祉を守るために住環境のチェックや改善に従事する仕事があり、宅建資格と密接な関係を持つことになります。
不動産以外でニーズのある業種
具体的には以下の業種で、宅建資格が歓迎されます。
- 金融機関
- 保険・FP
- 建設業
- 自治体や官公庁
不動産を担保にして融資を行う金融業界(その最たるものが住宅ローンです)では、宅建の知識や資格を持つ人が必要です。保険業界の中でも損保、住宅ローンの借り入れや借り換えの相談を受けるFP(ファイナンシャルプランナー)の人も、不動産知識なしには接客が困難です。
建設業界においても、建設するだけでなく、建物を売買することで宅建業免許自体が必要、つまり不動産業を営むところが数多くあります。
自治体や税務、開発指導などの官公庁は、街づくりや土地・建物の利用、建築などを監督する立場にあるため、宅建士の需要があるのです。
不動産で宅建士資格をフルに活かす方法
宅建資格を補ってさらにキャリアアップをする方法があります。この項では、不動産業界内で宅建をさらに活かす方法を解説します。
不動産会社などに就業する前からこれらを身に付ける必要はなく、徐々に進めていけば良いのですが、下記のようなスキルをお持ちの場合、アピールするのも良いでしょう。
他のスキルや専門性をプラスする
コミュニケーション能力を高めて、お客さま対応能力や仕入れ能力に活かせると、不動産業では大きな力となります。お客さまに対して親身になれ、専門的な説明ができれば信頼を得られ、良い関係につながるからです。
また、不動産業の中で自身の得意分野を少し絞り込んで深くすることも効果的です。
たとえば賃貸管理でもアセットマネジメントや転貸に強い、中古マンション販売でもリフォームノウハウが深い、などのプラスアルファの専門性を身に付けると有利となります。
業界未経験の場合は、これまでの経験で役立ちそうなことをアピールしましょう。
宅建と相性の良いダブルライセンスの資格
宅建士は、不動産知識を総合的に身に付けられる資格ですが、組み合わせると相性のいい資格が多数あります。以下でその代表例をご確認ください。
| 資格 | 内容 | 宅建との相性がいい理由 |
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 個人や家庭の財政状況資産管理や将来に向けたライフプランのサポートをする資格 | 不動産を資産と見た場合の売り時・買い時などを、ライフプラン全体から見てアドバイス可能になる。 |
| 賃貸不動産経営管理士 | 近年国家資格化した資格。賃貸分野では今後独占業務や設置義務が考えられる | 宅建は主に宅建業がメインで取引の学習が主。賃貸不動産経営管理士のように、賃貸経営の知識も得ることで、差別化が可能 |
| 住宅ローンアドバイザー | 住宅ローンの借り入れや借り換え、返済についてのサポートを行う資格 | 売買のお客さまのほとんどが借り入れを行うため、接客時の強い味方となる。 |
| 管理業務主任者 | 分譲マンションの管理組合に対する窓口を行う資格 | マンション管理の分野に特化した専門性をアピール可能。 |
令和5年時点で118万人いる宅建士登録者の中からニーズをさらに高めていく手段として、ダブルライセンスは有効な武器となるでしょう。
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まとめ
ここまで宅建士の需要の詳細を解説しました。不動産業界への転職を目指すなら、宅建の取得はメリットが大きい点は理解いただけたのではないかと思います。
それでも「不動産取引の需要減少で仕事が減るのでは?」という疑問があるかもしません。
確かに、ニーズの方向性が変容する可能性はないとは言えません。しかし、宅建士の需要自体が減ることは考えにくいでしょう。不動産は一つとして同じものがなく、個別の取引です。経験を積み重ねれば積み重ねるほど、独自の強みになっていくでしょう。
実務にも欠かせない宅建試験、ぜひチャレンジしてみてください。
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