宅地建物取引士試験は、豊富な資格者需要を背景に令和4年22万6千人、令和5年23万3千人、令和6年24万1千人の受験者に対して毎年4万人前後(17%)の合格者を出すという、受験者数24万人を超える大規模な国家資格試験です。
この人気の背景は、未経験から高収入や資格手当を狙える不動産業界の足がかりとして役立つ点、宅建士しかできない独占業務などがあることから採用需要が絶えない点にあるでしょう。
本記事では、時間がない社会人でも働きながら宅建に一発合格するために、効率的な勉強時間の使い方をお伝えします。
こんな⼈におすすめの記事
・働きながら宅建に合格したい
・国家資格の試験が初めてで、勉強法が分からない
・合格のコツを知りたい
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宅建は時間がない社会人も多く受験する試験
宅建試験の受験者のおよそ8割を、社会人が占めているのが現状です。その点を実感いただけるデータを解説します。
宅建試験の合格者像
まず、2024年の宅建試験結果をご覧ください。
2024年 宅地建物取引士試験結果
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 受験者数 | 241,436 人(男 154,113 人、女 87,323 人) うち、登録講習修了者 49,337 人(男 30,517 人、女 18,820 人) |
| 受験率 | 80.1%(男 79.4%、女 81.4%) うち、登録講習修了者 89.1%(男 88.8%、女 89.8%) |
| 合格者数 | 44,992 人(男 27,399 人、女 17,593 人) うち、登録講習修了者 10,822 人(男 6,201 人、女 4,621 人) |
| 合格率 | 18.6%(男 17.8%、女 20.1%) うち、登録講習修了者 21.9%(男 20.3%、女 24.6%) |
| 平均年齢 | 35.9 歳(男 36.2 歳 女 35.4 歳) |
| 職業別 | 不動産業 30.6% 金融業 9.0% 建設業 8.9% 他業種 28.6% |
| 構成比 | 学生 11.4% その他 11.5%(主婦含む)→他は社会人 |
(国土交通省・不動産適正取引推進機構による公式発表)
上記のように、2024年の試験では77.1%の受験者が社会人で、不動産もしくは宅建を必要とする業界の就業者・志望者で占められていると考えられます。
全体の3割を不動産業従事者が占め、そのうちかなりの部分が登録講習終了者であると考えられます。登録講習とは5問免除とも呼ばれ、宅建業の従業者証明を持つ人が講習を受けることによって、宅建の試験のうち5問が正解扱いになる制度です。
なぜこのような制度があるのでしょうか?
5問免除制度が設けられている背景
宅建試験の目的は、宅建業に従事する人が正しい知識や倫理意識のもとに業務を遂行するために、必要な知識や責任を持ってもらうことです。
したがって、宅建業の中でそのような人材を多く育成したいがため5問免除制度が設けられていると考えられます。
また、合格率は17%前で推移していますが、これは一定以上の合格者を出さず、受験者の知識レベルを落とさないためです。
国家資格は、基本的に仕事に活かすために取得するものなので、英検や漢検などとは異なり、おのずと社会人受験者が主流となります。全国の受験生は、働きながら試験勉強をしています。
時間がない社会人が合格するための学習スケジュール
合格のためには勉強量も大切ですが、学習効率も合格の大きな決め手となります。ここからは、社会人向けの宅建試験勉強法を解説します。
忙しくても確保できる勉強時間の見つけ方
宅建試験の学習のうち、問題を解くために必要な知識を身につける段階を「インプット」といいます。
インプットで大切な要素は大きく2つあり、それは知識への理解と選択肢への慣れです。選択肢への慣れは問題に正解するために大きな意味を持ちます。
宅建試験は長文などではなく、1問につき4肢の設問の正誤の組み合わせで正解します。つまり1肢ごとの〇×の正誤とその理由を理解していて、初めてひとつの問題に正解できることになります。
言い換えると、宅建の試験問題はすべて1肢に分解できるので、1肢ごとの〇×の正誤を繰り返しチェックする勉強法ができます。
この方法は短時間でも手軽にでき、アプリなども活用すれば、特定の肢を繰り返し間違えているなどのデータが確認できて、さらに有効です。
【独学・通学・通信講座】違いやおすすめは?
宅建試験の勉強方法として、以下の3つの方法があります。
「独学」=教材から自分で選び、家で学習する
「通学講座」=スクールに通学して授業や模試を受ける
「通信講座」=自宅で決まったカリキュラムのテキストや模試で勉強する
独学について
独学の最大のメリットは費用を大幅に抑えられることです。また、自分のペースで学習を進められるため、仕事や家庭との両立がしやすく、教材も自由に選択できる柔軟性があります。
一方で、モチベーションの維持が困難になりがちで、分からない箇所があっても質問できる相手がいないという課題があります。さらに、試験に関する最新情報の収集に手間や時間がかかるのもデメリットです。
独学が向いているのは、費用を抑えたい方、自己管理能力が高い方、そして不動産にある程度の予備知識がある方です。
通学について
通学の大きな利点は、講師に直接質問できることです。疑問点をその場で解決でき、学習仲間とモチベーションを共有し合える環境があります。また、長年の実績に基づいたカリキュラムで効率的に学習できます。
しかし、費用が高額になりがちで、決められた時間に拘束されるため、スケジュール調整が必要です。また、通学にかかる時間や交通費も考慮すべき点です。
通学が適しているのは、費用が高くても手厚いサポートを受けて確実に合格したい方、そして学習仲間とのつながりを通じて合格へのモチベーションを維持したい方です。
通信講座について
通信講座は、独学と通学の中間的な位置づけにあります。費用は独学より高いものの通学より安価で手ごろな価格設定となっています。自分のペースで学習できる柔軟性を保ちながら、教材やサポート体制が充実している点が魅力です。
ただし、講師に直接質問できる機会は限られており、独学と同様にモチベーション維持が課題となる場合があります。
通信講座は、費用とサポートのバランスを重視したい方、そして自分のペースを保ちながらも一定のサポートを受けたい方に最適です。
それぞれの学習方法にはそれぞれの特徴があるため、自分の学習スタイル、予算、そして置かれている環境を総合的に考慮して選択することが重要です。
社会人が陥りがちな失敗例と対策方法は
社会人になると、公私ともに忙しく、時間の工面が難しくなってきます。その中でつい陥りがちな失敗例をご紹介します。
やれるときに詰め込み勉強
「今週末は一日中勉強するぞ!」と集中的に長時間勉強する方法は、確かに「頑張った」という実感は得られます。しかし実際には、記憶の定着という点では効果的ではありません。特に試験が近づいてくると、焦りの気持ちから無理な詰め込み勉強をしがちですが、かえって覚えが悪くなってしまいます。
なぜこのような現象が起こるのでしょうか?それは、脳にインプットされた知識が長期記憶として定着するまでには、一定の時間が必要だからです。
毎日コツコツと決まった時間を勉強に充て、着実にスケジュールを消化していくことで、バラバラの知識が有機的につながった体系的な理解へと発展します。そして「今日もちゃんと進んでいる」という実感が、合格への自信にもつながっていくのです。
追い込みで一夜漬け
「ぎりぎりでやったことを本番で忘れなければ大丈夫!」と追い込みをかけて、直前のおさらいでは覚えているのに、本番ではできず不合格になる例も多いです。
宅建に合格するためには、平均して300〜400時間の勉強時間が必要といわれています。一通りテキストの内容を覚え、過去問を3年分やればそれなりに勉強したように感じますが、合格ラインにはまだ遠い状態です。
3~4か月以上をかけて繰り返しで覚えることで、前述のように知識の定着や応用力が出来てきます。
定期的に模試を受けることで、今の自分の現在地も知ることができます。
「どこが分からないか分からない」で本番に臨む
漠然と学習範囲を繰り返して「覚えたつもり」が、不合格になってしまう状況も要注意です。このパターンはそれなりに学習時間をかけているのに結果が出なかったケースにも多いのが特徴でしょう。
これは自分の苦手な覚えていない箇所を特定せずに、分かっている部分だけで合格できると思ってしまうことで起こります。
「分からない・間違える・不得意」な箇所を明らかにして、繰り返してつぶしていく必要があるのです。
働きながら宅建に合格するための時間管理術
勤務時間以外の時間で勉強する必要がある以上、今までの生活に勉強する時間を組み入れる必要が出てきます。そのためのコツをご紹介します。
前提として、合格に必要な勉強時間は、法律の基礎知識・国家試験受験歴・5問免除利用などで異なりますが、おおよそ300~400時間が見込まれます。
まず、受験期間の生活時間帯も確認してみましょう。特に「朝」の時間帯の有効活用は習慣を作るためにも欠かせません。仕事の帰宅後は疲れや仕事終わりの解放感で、集中力を高めるのには不利です。残業の可能性もあり勉強に手がつかない日も出てくるでしょう。
また、通勤時間や仕事中の休憩時間をスキマ時間と呼びますが、この利用法も時間管理術の対象です。
スキマ時間の場合、ある程度使える時間を把握できたら、そこで何をやるかは決めておきましょう。例えば、電車を待つ時間、レジに並んでいる時間、など5分の隙間時間を1日で10回作ることができれば、50分は捻出できます。
毎日タイトに同じだけ勉強時間をとるのは難しい場合もあるでしょう。
1週間の中で柔軟に勉強時間の支出や貯金を工夫してみましょう。少しずつでも毎日積み重ねることが、継続のコツです。
社会人の宅建勉強時間を最適化する3つのポイント
続いて、前項のようにして作った勉強時間を、どのように活かせばいいかをご説明します。
スキマ時間の使い方
電車の中、会社の休憩スペース、喫茶店などは意外に集中できるものですが、場所の都合には左右されます。
テキストを広げて勉強できない場合は、スマホの1問1答アプリを活用しましょう。車通勤の方でも利用できるポッドキャストの音声講座もおすすめです。
学習サイクルによる時間配分
学習サイクルとは、以下のプロセスで記憶の定着を図ることです。
- インプット(テキスト学習など)
- アウトプット(模試や練習問題、過去問の1問1答)
- できない箇所の洗い出しで、勉強範囲を狭めていく
一般的にインプットとアウトプットは、時間を置かずにすぐ連続してやるのが良いとされています。
このサイクルは、記憶を定着させるために、もっとも効率的な方法です。
最初に決めたことをやり続ける
勉強法で「色々な参考書や問題集に手を出す」は禁物です。どのようなテキスト・問題集であっても、自分に合うものを見つけて完全に理解ができれば合格率は高くなります。
「これだけの分量をここまでに。この時期を過ぎたらこれに移る」というプランは変えないことです。独学で教材を変更するなら、できる限り早いタイミングで行いましょう。
ただし、1日にやる分量などを調整していくのはOKです。たとえばテキストのページ数は同じでも、権利関係と税の分野では後者のほうが読み込みに時間がかかり、進んでいける速度が異なることがあるのです。
社会人で宅建に合格する人の共通点
宅建に合格する人には、いくつかの共通点があります。
– 合格後の目標がはっきりしている
– 仕事に活かす知識を身につける意思がある
– 不動産や建物の取引に興味を持っている
中でも最も重要なのは、明確な目標を持っているかどうかです。「合格したら不動産営業に転職する」「今の会社で昇進を目指す」「将来は独立して不動産業を開業したい」など、資格取得後の具体的なビジョンが描けている人ほど合格率が高い傾向にあります。
逆に、「なんとなく必要だから」「周りが取っているから」「とりあえず国家資格がほしい」といった曖昧な理由で受験すると、勉強が辛くなったときに「なぜ自分がこんなに頑張らなければいけないのか」が分からず、途中で挫折してしまいがちです。
しかし、「キャリアアップを実現したい」「不動産業界で活躍したい」といった強い動機がある人は違います。
たとえ仕事が忙しくて最初は時間が足りないと感じていても、通勤時間や昼休みを活用するなど工夫して学習時間を確保し、最終的に合格という目標を達成しています。
まとめ
宅建は不動産業界以外に金融業、建設業、保険業、士業、地方公務員など幅広い分野の職業で採用時に歓迎され、資格手当などを含めた年収アップにつながる国家資格です。
ここまで述べたように、忙しい社会人でも、学校の勉強はあまり得意ではなかった人でも、宅建一発合格は十分可能です。
ぜひ、時間を捻出し合格を勝ち取りましょう。
LIFULLが運営する不動産業界専門の転職支援サービスでは、宅建に挑戦中の方を含め、未経験の方のサポートも積極的に行っています。
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