不動産に関連する資格といえば宅建士や不動産鑑定士などの資格を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、近年注目を受けている資格として挙げられるのが不動産仲介士です。この記事では、不動産仲介士の概要や難易度などについて詳しく解説します。
こんな⼈におすすめの記事
・不動産仲介士の試験や難易度について知りたい人
・不動産仲介士資格を得ることに対するメリットなどを知りたい人
・不動産におけるどのような業務で活かせるか知りたい人
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不動産仲介士の概要と活かせる業務
ここからは、不動産仲介士の概要と活かせる業務について解説します。
不動産仲介士の概要
不動産仲介士は、物件の購入や売却に関する相談を受け、適切なアドバイスを提供するなどにより、お客さまが抱える問題を解決するプロフェッショナルです。 不動産仲介士資格認定試験に合格することで認定資格者となることができます。
不動産仲介士の定義をWebサイトより引用します。
お客様の立場を尊重したビジネスマナーやコミュニケーションスキル、資金計画をはじめとするファイナンスや税務の知識、マーケットや不動産価格の動きについて、エビデンスを用いて分かりやすく伝えるプレゼンスキル、安全なお取引を進めるための物件調査スキル、法令・条例などの知識、そしてリフォームやリノベーションに関連する知識や新築を検討しているお客様への建築知識など、幅広い知識やスキルが求められています。日本レジデンシャル・セールスプランナーズ協会では、資格認定試験を通じ、これらの能力を備えた方を「不動産仲介士」として認定しています。
引用:特定非営利活動法人日本レジデンシャル・セールスプランナーズ協会®
不動産仲介の営業担当者にとって、お客様の期待に応え信頼を得るためには、物件情報の提供はもちろんのこと、それ以外の様々な知識やスキルが求められます。
不動産営業自体は資格なしでも行えますが、一般の人々が簡単に物件情報を得られる現代では、専門的な判断やアドバイスの重要性が増しているのが現状です。
このような専門家をきちんと育成する目的なども含め、不動産仲介士の資格が設けられました。
不動産に関する幅広い知識や優れたコミュニケーション能力を持ち、取引をスムーズに進めるアドバイザーとして活躍します。
資格を持つことで信頼性が向上し、より質の高いサービスが提供できるでしょう。
不動産仲介士はお客さまの満足度を高めるだけでなく、不動産取引全体の安心感や透明性向上にも貢献する重要な役割を担っています。
売買仲介業に適した資格
不動産仲介士の資格は、売買仲介業で成功するために不可欠なスキルを備えた営業担当者を育成するための資格です。
不動産の取引では、問い合わせ対応や接客、物件案内、価格査定、条件交渉など、各段階でお客さまからの信頼を築く必要があります。この過程で、「話を聞いてくれる」「分かりやすい説明をしてくれる」といった安心感を与えられるかが重要です。
不動産仲介士は幅広い知識と優れたコミュニケーション能力を持つことで、お客さまの満足度を向上させるだけでなく、信頼を得ることができます。
その結果、契約までのプロセスをスムーズに進め、営業担当者自身の評価向上にもつながります。不動産仲介士の資格取得は、売買仲介業での成功を目指す人にとって最適な選択と言えるでしょう。
不動産賃貸仲介業・管理業にも役立つ資格
不動産仲介士の資格は、賃貸仲介業や賃貸管理業にも役立つ資格のひとつです。
賃貸管理業では、オーナーさまからの資産組み換えに関する相談を受けるケースがあります。このような場面で、適切に対応するための知識が求められますので、不動産仲介士の資格が大いに役立つでしょう。
一方、賃貸仲介業では、「借りるべきか、購入するべきか」というお客さまの悩みに寄り添い、適切な提案を行うスキルが必要です。不動産仲介士は売買仲介業務に関する知識も身につけるため、賃貸業務の範囲を超えた対応力を発揮できます。
資格を得るために学んだ知識により、お客さまやオーナー様の満足度を向上させ、組織内での信頼と評価も高まります。
不動産仲介士の資格取得は、賃貸業務のプロフェッショナルとしての地位を確立し、キャリアの幅を広げるための有効な方法です。
独立開業を検討している方にも武器となる資格
不動産仲介士は、不動産業の独立や開業を目指す方にとって非常に有益な資格です。
宅地建物取引士の資格を持っていても、購入・売却を検討するお客さまへの具体的な対応や、取引リスクを未然に防ぐ調査スキルを十分に習得できていない場合があります。
不動産仲介士の講座では、これらを体系的に学び、実務に必要なスキルの習得が可能です。
独立や開業を成功させるには、お客さまの信頼を得るための高度な知識とスムーズな取引を実現する実践力が欠かせません。
不動産仲介士の資格は、これらを身につけるサポートとなり、信頼される不動産ビジネスの基盤を築くための強力な武器となり得ます。
不動産仲介士になるための試験概要
ここからは試験の概要について解説します。
不動産仲介士試験の概要
不動産仲介士試験は、不動産の流通業務に携わる実務者を対象とした資格試験で、幅広い知識や実務能力、コンプライアンス遵守を目的としています。
この資格は、2010年に「レジデンシャル・セールスプランナー」から改称され、日本RSP協会に登録することで正式に認定される資格です。
資格取得後も知識や実務能力の向上が求められるため、継続的な学習が重要になります。
資格登録は3年間有効で、更新時に再受験が必要な場合もあります。
不動産仲介士は、お客さまの不安や疑問に応えられる信頼される存在であり、宅地建物取引士資格と併用することでさらに信頼度が高まる資格です。
不動産営業に必要な知識とスキルを体系的に習得できるため、不動産業でのキャリアアップを目指す方に最適な資格といえるでしょう。
試験の合格率や難易度
不動産仲介士試験は、比較的取得しやすい資格です。
過去の平均合格率は55%程度でしたが、試験方式がCBT方式に変更され、2021年度には合格率が90%と大幅に上昇しています。難易度はやや易しい資格と評価されており、不動産業界への第一歩として適しているといえるでしょう。
試験内容は実務に直結する実践的なもので、RSP講座や過去問題集を活用すれば効率的な対策が可能です。不動産の基本知識を身につけるための試験として、多くの受験者に利用されています。
宅建資格の取得を目指す方にもおすすめの試験で、基礎力を固めながらキャリアアップを目指す資格といえるでしょう。
試験に出る範囲
不動産仲介士試験では、不動産仲介営業に必要な知識とスキルが幅広く、法令からビジネスマナーまで多岐にわたるのが特徴です。
主な出題範囲として以下が挙げられます。
①総論
②住生活基本法、不動産業界時事
③コンプライアンス等の法令
④ビジネスマナー
⑤集客活動全般
⑥接客(反響応対、面談、資金計画、購入計画等)
⑦物件案内から購入申込
⑧価格査定
⑨物件調査、重要事項説明、契約行為
⑩建築知識
試験は実務に直結した内容が中心で、特に顧客対応や法令遵守が重視されるといえるでしょう。
不動産業界での実務力を磨きたい方やキャリアアップを目指す方に最適な資格といえます。宅建資格とセットで所有していると、さらに貴重な人材として転職などにも有利です。
試験日程や費用など
不動産仲介士の試験日程や費用面などについて下の表にまとめました。
| 試験の形式 | CBT方式(コンピュータに表示される問題を解答) |
| 試験問題 | 50問 |
| 試験時間 | 90分 |
| 申し込み方法 | 個人受験の場合、インターネットによる申し込み |
| 受験費用 | 11,000円(10,000円+消費税) |
| 支払方法 | クレジットカードコンビニ払いペイジーによる支払い |
宅建士の試験と問題数は変わりませんが、試験時間は30分少ないため、宅建士の試験よりも早く判断し、解答することが求められます。
また、宅建士の試験は、1年に1回決められた日程で行われますが、不動産仲介の試験は1年中実施されていますので年間に何度も受験が可能です。
不動産仲介士受験までの流れと受講資格
ここからは、不動産仲介士の受験の流れについて解説します。
会員登録と試験予約
不動産仲介士の試験を受験するには、総合試験運営サービスのJ-Testingを利用します。
初めてJ-Testingで試験を申し込みされる方は、会員登録が必要です。会員登録は無料で登録可能で、パソコンだけではなくスマートフォンでも登録できます。会員登録が完了したら、試験を予約しましょう。
不動産仲介士試験の受験予約は、まず会員登録後にログインし、「試験一覧」から受験希望試験を選択します。試験種別(会場受験・リモート受験)、エリア、受験期間を指定すると、受験可能な日時と会場が表示されます。
希望日時を選択後、「申し込む」ボタンをクリックして申込情報が入力可能です。受験料の支払い方法を選択し、期限内に決済を完了することで申し込みが確定です。
受験当日の流れ
不動産仲介士の試験は、リモート試験と会場試験によって異なります。
会場受験の場合、受付で本人確認書類と受験詳細メールを提示します。そのまま受験し、試験終了後に結果レポートが配布されます。
リモート受験の場合は、受験前にPCやWebカメラの環境を整え、事前に体験版で操作確認が必要です。
当日はJ-Testingマイページからアクセスし、本人確認を経て試験を開始します。
結果は主催者の確認後に発表という流れです。
受講資格
不動産仲介士試験の受講資格には制限がなく、誰でも受験が可能です。
ただし、特定非営利活動法人 日本レジデンシャル・セールスプランナーズ協会の会員になる必要があります。
会員登録後、講座を受講してから試験に臨むことも、入会と同時に受験することも可能です。
試験対策には、協会が提供する「RSP講座」を活用しましょう。WEB上で受講できるeラーニング形式で、1年間受講可能です。
営業実務講座、基礎知識講座、建築知識講座に加え、過去問題集も利用可能。効率的に知識を習得できるため、試験準備に最適といえます。
不動産仲介士は不動産業界の第一歩としても注目されており、キャリアアップにも役立つ資格です。
効率的に学び、受験準備を進めましょう。
不動産仲介士を取得するのメリット
ここからは、不動産仲介士を取得するメリットについて解説します。
比較的取得しやすい
不動産仲介士は、不動産業界の他の資格と比べて取得しやすい点が大きな魅力です。
不動産鑑定士や宅建士、マンション管理士といった国家資格は、難易度が高く膨大な勉強時間が必要な資格といえます。
一方、不動産仲介士は試験の難易度が低く、短期間の学習で取得を目指せるため、多忙な社会人にも適している資格といえるでしょう。効率的なeラーニングを活用すれば、営業実務や建築知識など必要な知識を短期間で習得可能です。
基礎からしっかり学べるため、初心者でも比較的取り組みやすいといえます。不動産仲介士資格を取得することで、業務に役立つスキルが身につき、不動産業界でのキャリアアップにもつながります。
自己PRに有利
不動産仲介士の資格は、就職や転職活動において有利に働く点が大きな魅力です。
特に、不動産仲介業界を目指す方にとって、この資格は接客スキルやマナーの知識があることを証明する武器となります。
不動産取引に必要な基本知識を持つこともアピールポイントです。宅建士ほどの効果はなく、不動産仲介士の資格だけでは、年収アップやキャリアアップも難しいといえます。
しかし、未経験者や異業種からの転職を目指す方にとって、不動産仲介士資格は自身のPRにもつながります。なぜこの資格を取ったのかなど、明確な勉強意欲をアピールできると好印象を得ることも可能です。
資格はゴールではなく手段なので、資格をどう生かしていきたいか?というアピールに繋げていきましょう。
不動産仲介に関する幅広い知識やスキルをすぐに活かせる
不動産仲介士の試験範囲は、ビジネスマナーや、接客、価格査定の方法など実務に沿った内容となっているのが特徴です。
つまり、不動産仲介士の資格を取得するということは、試験に合格するだけの知識やビジネスマナーを既に備えているといえるでしょう。
不動産未経験からの転職であっても、不動産仲介士の資格を取得している場合、不動産に関するビジネスマナーやプレゼン方法、法令などの知識も事前に勉強して身につけることができます。
実務に即した試験範囲のため、すぐに活かしやすい点も大きなメリットのひとつです。
不動産仲介士取得の注意点
最後に、不動産仲介士の注意点について解説します。
宅建のように独占業務はない
不動産仲介士の資格には、法律で定められた「独占業務」がない点が注意すべきポイントです。
たとえば、宅建士には重要事項説明など資格者でなければ行えない業務があり、法的な役割を果たすための独自の強みがあります。
一方、不動産仲介士は、不動産取引における実務の質向上を目的とした資格です。
この資格を取得することで、接客スキルやマナー、不動産関連の知識が向上し、実務に役立てることができますが、独占業務はありません。
不動産仲介士は、実務力を高めたい方やスキルアップを目指す方に最適な資格といえますが、独占業務はない点に注意しましょう。
認知度は国家資格に比べると低い
不動産仲介士は、不動産業界での実務力向上を目的とした資格ですが、業界全体ではまだ十分に定着していません。
たとえば、宅建士のように知名度や法律で定められた役割があるわけではなく、不動産仲介士を持っていることが必須とされるケースは少ないのが現状です。
そのため、不動産仲介士の資格を取得しても、それだけで大きなアドバンテージになるとは限りません。
ただし、接客スキルや実務知識を習得している証明にはなるため、不動産営業の現場では評価されることもあります。
資格を取得する際には、業界での活用方法をよく理解し、宅建士など他の資格と組み合わせてキャリア形成を考えることが重要です。
まとめ
以上、不動産仲介士について解説しました。比較的取り組みやすい資格で、不動産業界へ未経験から転職したいと考えている方には、効果的な資格といえます。
実務や接客のスキルが学べる点が大きなメリットです。
宅建士の資格と合わせ持っていると、知識と実務、両方の資格を持つことで転職などには非常に有利といえるでしょう。
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