不動産売買仲介の仕事の流れは?現役営業マンの1日を解説

2025年08月15日

不動産の売買仲介営業は不動産の全職種中、指折りともいえる花形のポジションといえます。仕事が軌道に乗ると、お客さまからも会社からも頼られる存在となり、「仕事が楽しい」という実感が得られます。

売買の営業を目指す人は、不動産仲介業がどのような仕事か分かることで、モチベーションも心構えも具体化できるでしょう。本記事では、不動産売買仲介の仕事の流れや、現役営業マンの1日を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

こんな⼈におすすめの記事

・不動産売買仲介を志望するうえでどんな仕事か知りたい
・不動産売買仲介営業のリアルな1日を知りたい
・不動産売買仲介業務の魅力を知りたい

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不動産売買仲介の仕事とは?

まず不動産売買仲介の仕事について、ご説明します。物件やエリアに関する総合知識を駆使し、お客さまの要望に応えていくプロセスを確認してください。

売主と買主の間で円滑な取引を図る

売買仲介業務とは、売主と買主の間に立ち、不動産の円滑な売買取引をサポートする一連の仕事を指します。

不動産に関して知識のない一般の方が、買ってくれるお客さまを探したり、トラブルなく商品説明して取引を終えることは困難でしょう。そこで、売買の仲介に関しては、法的に義務付けられたポジションの仕事として位置づけられています。

不動産売買仲介業の分類

売買仲介を商品の種類で分離したのが下記の表です。商材の違いで、仕事にはどのような違いが出るのでしょうか解説します。

商品概要
居住用マンションマンション1戸もしくは複数戸の販売や仲介
居住用戸建て戸建て1戸もしくは分譲地で、複数戸の販売や仲介
投資用マンションマンション1戸もしくは1棟の販売や仲介
オフィスオフィス1戸もしくは複数戸の販売や仲介

マンション販売は、居住用か投資用かに分かれます。居住用の場合は一般的なお客さまが対象となり、単身の方やファミリー層が中心です。投資用マンションの場合、家賃収入を得たい投資家の方が対象となります。新築の場合は1棟で、中古の場合は1戸(区分所有)で扱うことが多いでしょう。

居住用の戸建ては、新築の場合建売や既成商品のほか、フルオーダーに近い注文住宅まで幅が広いです。価格帯も1千万円前後から1億円近いものまで多様です。

最近では戸建オーナーの高齢化により、中古戸建を投資用に販売する例も増えてきました。戸建のお客さまは利便性よりも環境を重視する方も多いため、エリアを問わず流通が増えてきています。

このように、扱う商材によって、ターゲット層や商品の分類が細かく変化します。

また、販売する際の立ち位置によって、以下のような分類もあります。

・販売業務の形態分類

業務概要
客付け仲介買主側に立ち、希望する商品を探す。
元付け仲介売主側に立ち、買ってくれるお客さまを探す。
買取売り急ぐ人の側に立ち、迅速な売却をサポート。
売主仕入れた商品を、仲介ではなく直接売る。不動産会社が売主。


さらに、仲介で売主側に立つ際には、以下の3種類の契約形態のいずれかを契約し、販売をサポートします。

・媒介の分類

取引態様概要
一般媒介契約– 売主が複数の不動産会社に重ねて依頼できる。
– 契約期間の法的制限はない(3か月が通例)。
– 「明示型」と「非明示型」があり、他社への依頼の有無を通知するかどうかを選べる。
専任媒介契約– 1社の不動産会社にのみ依頼。
– 売主は自ら買主を見つけて直接契約することも可能。- 契約期間は3か月以内。
– レインズ登録は7日以内、販売活動報告は2週間に1回以上義務。
専属専任媒介契約– 1社の不動産会社にのみ依頼。
– 自己発見取引不可- 契約期間は3か月以内。
– レインズ登録は5日以内、販売活動報告は1週間に1回以上義務。

媒介の分類は、それぞれ売主にとって別種のメリットを提供できるため、売主の状況に合わせていずれかの契約を結びます。

また、地方や中小の会社では、社内で並行して賃貸の仲介や貸主業務を手がけていることもあります。売買と賃貸は担当が異なるケースがほとんどですが、賃貸と売買の間は、お客さまが行き来することも多いので、双方の仕事の流れがつながることもあります。

ここまでご紹介した仲介業務のさまざまな分類は、最初は分かりにくいかも知れませんが、少々慣れればすぐに切り分けができるようになります。

不動産売買仲介の仕事内容は?

不動産売買仲介の業務は、「客付け」と「元付け」という役割によって大きく異なります。それぞれの詳しいプロセスをご紹介します。

客付け業務(買主サポート)の流れ

まずは買主サポートの流れを見てみましょう。

主な業務ステップ

1. 条件ヒアリング
お客様の理想の住まいについて、間取り、予算、立地などの詳細な希望をお聞きします。

2. 物件リサーチ
ヒアリング内容をもとに、条件に適した物件を市場から選定します。

3. 物件調査
候補物件が見つかった際は、現地での詳細調査を実施し、物件の状態や周辺環境を確認します。

4. 売買契約サポート
売主との条件調整を経て、双方が合意に至った段階で売買契約の手続きを進めます。

客付け業務のポイント

物件を買いたいお客さまは物件探しのプロセスや、取引中にさえ徐々に不動産に対するリテラシーを高めていきます。知識が付くと迷いが出たり、買いたいものが分からなくなったりすることもあります

そのような状況でも、お客さまの要望をよく消化したうえで、専門的な提案や、背中を押すクロージングなどを提供することで、最後まで信頼の関係を保ち、サポートをしていくのが、客付け仲介業務の大切なポイントです。

元付け業務(売主サポート)の流れ

元付けとは、物件を売却したいお客様をサポートする業務です。

主な業務ステップ

1. 物件価格査定
現地調査の結果と過去の取引データを参考に、適正な売却価格を算定します。

2. 媒介契約締結
専属専任媒介、専任媒介、一般媒介のいずれかの契約形態を選択し、正式に業務委託契約を結びます。

3. 販売資料作成
物件の魅力を伝える販売図面や資料を作成します。

4. レインズ登録
不動産流通標準情報システム(レインズ)への物件情報登録を行います。

5. 販売活動展開
不動産ポータルサイトや自社ウェブサイトへの掲載、その他の販売チャネルを活用して購入希望者を募集します。

元付け仲介の場合、売り出してからの市場の反応を以下に細かくお客さまにフィードバックし、価格戦略や販売条件の調整、新規販売ルートなど、活きた提案ができるかが、良い取引や信頼関係につながります。

客付け・元付け問わず、業務の進捗に沿って各種の契約業務があります。元付けの場合は媒介契約、成約した場合は売買契約、最後に契約内容に沿って残金の決済と物件の引渡し・所有権移転を行います。

買取業務の特徴

また、仲介とは異なる買取業務も存在します。元付け業務と比較して非常にシンプルな構造となっています。物件査定で価格が合意できれば、売買契約から決済まで直接進行します。

買取では仲介手数料が不要で、売主の契約不適合責任や残置物の処理も問題となりません。買取価格は市場価格より低くなる傾向がありますが、売主にとってのメリットは大きいといえます。

不動産売買仲介・現役営業マンの1日

以下は典型的な営業マンの1日です。営業活動以外に資料収集や情報収集も、大切な業務の一環です。お客さまへの説明や業界内での情報のギブ&テイクに活かします。

売買仲介・現役営業マンの1日 

勤務時間が9:00〜18:00とした場合の一例を見て見ましょう。

時間主な業務詳細内容
9:00-10:00出社・事務作業清掃、進捗確認、契約書類作成、物件情報確認
10:00-11:00朝礼・テレアポ開始情報共有、申し送り、アポイント取り開始
11:00-12:00テレアポ・営業準備物件案内のアポ取り、顧客フォロー
12:00-13:00昼休憩同僚と昼食、話題の店チェック
13:00-14:00外回り・商談顧客訪問、銀行・同業他社との面談
14:00-17:00営業活動・調査物件案内、役所調査、決済業務
17:00-18:00貴社・事務処理・準備書類依頼、業務整理、翌日準備

週末はお客さまへの対応が増えるため、月曜は書類準備などの仕事が多くなります。また、休日明けは溜まった連絡に対応する時間が多くなる傾向です。

1年以内の経験の浅い営業マンの場合は、先輩と一緒に行動し、業務内容をチェックしてもらうこともあります。法令改正や新しい知識などは、慣れてくれば自然に入ってくるようになりますが、最初のうちは意識して勉強するようにしましょう。

不動産売買仲介の魅力とは?

メンタルも身体も、大変なこともある売買仲介の営業職ですが、目指す人は後を絶ちません。天職と言い切る人もいますが、その魅力とは何でしょうか?

高収入

営業職の魅力として、やはり高収入が挙げられます。成約に応じてインセンティブ(歩合)が見込め、土地や家屋は高額商品なので、かなりの金額となります。営業のコツが分かり、お客さまからの紹介案件が増えれば、案件数をこなすことも可能になってきます。

厚生労働省の令和6年就労者統計データによると、住宅・不動産営業職の平均年収は618.3万円となっています。

具体的には、住宅メーカーの営業職の場合経験数年、あるいは未経験で入社した場合の20歳代の年収が400~600万円台、40歳代で1000万円前後というのが大まかなイメージでしょう。

しかし、歩合で収入になる点をセールスポイントにしている企業の場合、20代半ばで年収1千万円を超える営業マンも多いです。 が、

反面、営業職の中でも会社によっては比較的安定志向で、歩合よりも基本給や諸手当、福利厚生が充実した募集もあります。

ご自身の要望に応じて、適したバランスの募集をチェックしましょう。

お客さまの人生設計に関わるやりがい

不動産が高額な買い物である点、住む場所や家の種類の選択が人生設計に大きくかかわる点では、家族の人生のナビゲーターのような性格を持つのが不動産の営業マンです。

予算的に無理な要求も、アイデアやアドバイスで切り抜ける面白さ、想像以上の満足度が得られたと感謝される喜びなどは、他の商材では味わいにくいかも知れません。

満足度の高い成約は、紹介で次につながる機会を生むため、良い連鎖が続くこともあります。

キャリアアップのチャンスが豊富

営業のスキルやコンサルとしてのスキルが確立されると、営業としてはもちろん、アセットマネジメントや開発など、幅広い転職機会の創出にもなるでしょう。

さらに独立して起業すれば、経営者としての苦労は生じますが、仲間とともに味わう達成感・収益ともに、さらなる充実が可能になります。自分で考えた方法を思う存分試す場合も、起業がおすすめです。

不動産売買仲介営業に求められること

最初は特にハードに感じる仕事にうまくなじみ、営業職としてのスキルを軌道に乗せるためには、何が必要でしょうか?ここでは売買仲介営業に求められることを解説します。

ハードワークへの対応

売買仲介営業は採用先によっては高いノルマの設定や、達成レベルが低いと理由を問いただされるような場合もあります。その中ではモチベーションを維持しながら、「とれる営業を目指す」必要が生じます。

不要なネガティブ感情にとらわれない、冷静な心を持つことと、改善点を探して営業スキルをコツコツと磨いていくことが求められます。

多忙な時は勤務時間が長くなったり、休みが不規則になることもあるため、うまく気分転換や休息をとって、ストレスをコントロールする必要があります。

お客さまをサポートする人間力

お客さまの立場に立って、しっかり説明し質問に答える上では、8割相手の話を聞いて、2割返すというのを心がけましょう。お客さまが心を開いて信頼してくれるような、ふるまいや気遣いも大切です。

また、迷っているお客さまについては、意思決定の後押しをするクロージングのスキルも必要となります。「いいところまで進むが成約しない」という場合、このクロージング力不足の場合があります。

さまざまな知識の吸収

法令や税、取引など不動産業の最新知識は常に吸収し、アップデートしていく必要があります。そのほかにも、売っている物件に対する知識、特徴やライバルとの比較、購入希望エリアに関する知識=相場、生活の利便性、治安、将来性なども営業職の武器です。

これらの知識に興味を持ち、面白がって吸収していく姿勢を持つと、仕事が楽しくなります。

まとめ

不動産売買仲介の仕事の流れや、現役営業マンの1日を解説しました。業界研究をしっかり進めることで、「自分が何をやりたいか」も自然と焦点が合ってきます。仲介営業のどこに惹かれるか、何を実現したいかを考えるのは、良い転職活動のために大切な要素となります。

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監修

不動産のOTOMO

不動産ブロガー。30歳未経験で不動産業界に転職し、営業や企画に携わり、宅建も取得。不動産業界の魅力を伝えるため「不動産のOTOMO」ブログ運営を開始し、累計40万PVに到達。LH不動産転職の理念に共感し、不動産業界の魅力を伝えるコンテンツを配信中。 資格:宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

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