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野川の畔にある小さな平屋の庭と花の植物店 〜地域と大切なヒト・モノをつなぐ〜

北中植物商店

プロジェクトについて

プロジェクトの概要を教えてください。

庭とウッドデッキ

 北中植物商店は、東京都三鷹市大沢の野川沿いにある、築50年以上の平屋の、小さな植物店です。周囲は野川の自然に恵まれ、四季折々の植物や鳥たちの姿を見ることができます。
 北中植物商店は、「造園業」を営むご主人の北中さんと、「お花屋さん」を営む奥さんの小野木さんが共同のお店として2014年にオープンしました。北中さんが三鷹市・武蔵野市を中心とした東京近郊のお庭の手入れ、雑木を使った自然風の庭づくりを、小野木さんがお店での切花、ドライフラワー雑貨、植木鉢の販売やお花のレッスン、イベント等でのお花の販売やワークショップ、会場装飾などを行なっています。
 蕎麦屋さんだった築50年の建物を使用して、庭を作り、外では山野草や小さな盆栽を販売しています。

プロジェクトが始まったきっかけは何でしたか?

 北中夫妻は個人事業主として店を持たずに仕事をしていました。店がなくても仕事はできるものの、お客さんを迎える場所がないことに悩んでいました。
「造園家は店舗を持たない人もいます。雑木を使った自然風の庭づくりを大事にしているので、モデルケースになる庭を造って、それを見てほしいと思っていました」と北中さん。
 福島県会津若松市出身の小野木さんは2010年に東京で独立。数ヶ月後に東日本大震災が発生し、「自分には花しかできない」と、気仙沼にボランティアに行く際に、出身地の会津の花を持っていきました。
「仮設住宅では落ち込んで家にこもってしまう人も少なくありません。そこで仮設住宅でお花のワークショップを開きました。同じ東北の花ということで親近感を持ってもらい、触れることで楽しむ時間が生まれ、小さな喜びに変わってくれたことが本当に嬉しかったです」
 こんな原体験をきっかけに、小野木さんは地域とのつながりを意識するようになりました。二人で別々に店を持つよりもお互いが助け合える。自分のお客さんが相手とも繋がってほしい。そんな二人の想いがあって、二人は共同のお店を持つことを目指しました。

プロジェクトを始めるにあたって、
大変だったこと・失敗談を教えてください。

 お店をオープンするにあたって苦労したことは、集客・営業活動だったそうです。
「都立野川公園横の野川沿いは自然溢れる環境ではあるものの、駅からも遠い住宅地で人通りもまばらです。地域の人にも利用してほしいけれど、広告予算もなかったので、自分たちでチラシを作って、自分たちの足で近隣のエリアにビラ配りを行いました」

起こった困難・問題をどのように乗り越えましたか?

レッスンの様子

 ビラ配りの地道な成果と、友達や知り合いが来てくれるようになり、その人の周りの人が来てくれるようになり、お客さんが増えて来ました。地域のお客さんが来るようになったのは、物件を貸してくれた大家さんが近隣の方に紹介してくれたことも大きいです。今では、フラワーレッスンに通っている生徒さんは、近隣の方が増えています。
 また、2015年に小野木さんが出した「小さな花束の本」(誠文堂新光社)の存在も大きいそうです。本や雑誌での連載、SNSで発信することで、遠方からお店に来てくれる人が増えました。
「なるべく外に出て、いろんな方と知り合い、雑誌などで少しずつ取り上げられるようになって、本の話をいただきました。仕事を地道に積み重ねて、発信・営業をかけていくことが大切だと思います」

物件との出会い

どのような方法で物件を入手しましたか?

お店の近くから見える景色

 お店の周りには、お店の他にも9軒の平屋が立ち並んでいて、北中さん夫妻は、お店で使っている物件よりも先に、それぞれ住まいとして、近くの物件と出会いました。小野木さんは都下に点在する平屋を取り上げた「FLAT HOUSE style」という本を出版した方を通じて、その後北中さんも現場から帰る途中で、野川のほとりにある平屋に感じるものがあり、それぞれ平屋の家を借りることになりました。
 その近隣の平屋には同世代を中心に様々な経歴を持つ人が住んでいて、まるで昔の長屋のような緩かやなコミュニティがありました。その中で二人が出会い、「庭師さん」の北中さんと「お花屋さん」の小野木さんは結婚。
 近くに住む大家さんがそれぞれ店舗を持たずに仕事をしているのを知っていたので、「お店を持ったら?」と勧めてくれました。大家さんが紹介してくれたのが二人の家から目の前にある、それ以前は住宅として使われていた元お蕎麦屋さんの物件。借りている住宅同様、賃貸で物件を借りることになりました。

リノベーションのこだわりについて聞かせてください。

店内の風景

 大家さんからは、古い家なので修繕等するなら自分たちでやってほしいと言われたそうです。
 古い家の趣が素敵だったので、打ち合わせやお花のレッスンをする板間の壁を張り替える以外、リフォーム等の必要はありませんでした。畳のある和室では、切花、ドライフラワー雑貨、植木鉢の販売。厨房だったキッチンは、お花の作業場としてそのまま使い、かつてお風呂でお蕎麦屋さんがリフォームした部屋は、壁がタイルのままになっていて物置に使っています。
 リフォーム等にお金がかからなかったので、お店の雰囲気に合う、大好きな古道具を買うことにしました。北中夫妻は蚤の市や古道具屋によく足を運んだそうです。
 庭づくりは、野川の横の雑木林を借景に、コンクリートだった場所を掘り起こして、1年掛けて少しずつ作業を進め、2014年にお店をオープンしました。
「お金を抑えられたのは、大事にしたい古い部分はそのまま生かせたこと。庭造りなど自分たちの仕事を活かし、できるところは自分たちで行ったことで費用を抑えられたと思います」

地域にどんな効果があったか

プロジェクトがスタートしたことで、
地域に変化はありましたか?

近所のカフェと企画した母の日のギフト

「地域のお店や公園、学校とつながりが生まれました。近くのOeuf(ウフ)という焼き菓子を販売するカフェとコラボした企画などができるようになったことも大きいです。Oeufに通っていたのですが、先代のマスターが同郷ということでよく話すようになりました。娘さんたちに代替わりすると、年も近いこともあり、母の日にOeufの焼き菓子と花をセットにしたギフトを販売したり、お互いの商品を取り扱ったりしました。Oeufさんから野川公園の方を紹介していただき、公園のイベントでワークショップを開催する話をいただいたり、近くの学校の式典などのお花を頼まれたり、地域の仕事も増えてきました」と小野木さん。
 震災後、「風評被害に晒される福島の花を何とかしたい」と小野木さんはJAや生産者、地域の伝統産業に携わる人にも連絡を取り、福島の花を使ったPRや会津木綿の新たな商品開発に取り組む団体と連携して母の日ギフトをつくったり、会津慶山焼を使った北中植物商店オリジナルの商品を作ってもらったり、地域が大事にしてきたものを伝えていく関係が生まれています。

今後、地域とつながる中で、
どんな場所にしていきたいと考えていますか?

北中さん夫妻

 どんな場所にしていきたいか聞いたところ、二人からこんな答えをいただきました。
「多分、このお店は都心にあったら価値が埋もれてしまう。この場所は、東京だけど、自然があって、何もない。何もないからこそのいい場所。お店のお客さんに限らず、『あっ、いいな』とふらっと寄ってもらえるような場所にしていきたいです。自分たちがつくったものを良いと言ってくれる人に、自分たちが大切にしているものを知ってもらえるような場所にしていきたいです」(小野木さん)
「造園業は場所を持たなくてもできる。けれど、お店を持つと、人をいつでも迎えることができて、場を見てもらうことで信頼・信用が生まれます。場所があることで得られるものがあります。野川の持つ風景を見ながら出た何気ない話から仕事に繋がることも、具体的なイメージを掴んでもらいやすくなります。そうして、お客さんが増えてきたのかもしれません。庭の手入れは誰にお願いしたらいいのかわからない人もいます。そうした人が相談しやすい場所にしていきたいです」(北中さん)

プロジェクトに関するデータ

物件について

物件名 北中植物商店
所在地 東京都三鷹市大沢6-2-19 地図を見る
物件タイプ 空き家(一戸建て) 築年月 1968年1月
取引形態 賃貸 入手時期 2013年8月
間取り 3DK 事業開始時期 2014年6月
建物面積 37.1 m² 賃料・購入価格 非公開
土地面積 - 事業用リノベ費用 150 万円
活用分野(詳細) 造園、花屋(販売、レッスン)

資金調達について

資金調達方法 自己資金
自己資金 非公開 投融資 -
クラウドファンディング - 補助・助成金 -
その他 -
初期投資は回収できたか

プロジェクトオーナーについて

プロジェクトオーナー 株式会社北中植物商店 北中祐介氏、小野木(北中)彩香氏
プロジェクトURL http://www.kitanakaplants.jp/
プロフィール 【北中祐介氏】造園業も行う観葉植物屋で働いていた時に、庭造りの面白さを感じ、修行を経て独立。東京都三鷹市・武蔵野市を中心とした東京近郊のお庭の手入れ、雑木を使った自然風の庭づくり、また戸建住宅や店舗などの外構設計、施行、管理サービスの提供もしています。/【小野木彩香氏】趣味でフラワーアレンジメントを習う中で、花屋になることを決意。東京都内を中心にレストラン装飾、ウエディングなどを主とした活動をしています。出身地である会津を基点に、東北の産地に赴き生産者との交流を図ったり、産地にて講演会やデモンストレーションを行なっています。著書に「小さな花束の本」(誠文堂新光社)。
北中さん夫妻

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